リケルメとロナルド

リケルメの「移籍に関する謎」は計り知れない。彼がバルサに来るんではないかという噂が流れ始めたのは去年の6月頃だったように思う。もう1年もたっているわけだ。昨日のニュースでは彼はバルサとAt.マドリとの仮契約書を持っているということだった。ところがボカ会長のせいでそれが不可能となったと怒り狂っているという。第三者にはどうなっているのかわからないけれど、何かおかしい。

At.マドリの会長であるヘスス・ヒルがリケルメの獲得はもう諦めたという。ロシアマフィアとのつながりあると言われている彼でさえ、リケルメの代理人の要求には参ったらしい。具体的な数字は出していないけれど、代理人に支払うコミッションとしては天文学的な数字だという。バルサに来る来ないでもめていたときも、一番の障害が代理人に払うコミッションだったということを思い出した。

そのことを思い出したことでまた一つ思い出した。ロナルドがブラジル代表選手としてカタルーニャ代表と試合するためにカンプノウに帰ってきた。そして彼の代理人がタイミングを計ったように、インテルが彼を売り出しているというコメントをしていた。常識的に考えてインテルが長い負傷から戻ってきた彼を売るわけがないことぐらいシロウトでもわかる。それでもバルサが狙っているだの、マドリが狙っているだの、そういう噂を出しているのはきっとその代理人だろう。また新たなビジネスをインテル会長相手にしようとしているに違いない。もちろん年俸の値上げ交渉。

1週間バルセロナでセレソン合宿をしていた関係で彼に関するニュースが多い週となった。もちろん昔話しが中心で、彼がバルサを出ていった時の事情が再び話題になった。どれも具体的な証拠が示せるわけではない。「ある筋」からの情報としか語られない。それでも各情報の違いは「コミッション料の額」の違いだけだ。バルサとの延長契約が済んだ段階で、ロナルドの終身代理人である二人の人物が要求したコミッション料が5億円(この金額に各情報の違いがある)と言われている。これを払ったインテルが、それを払わなかったバルサからロナルドを獲得した。

リケルメの代理人はきっとロナルドのそれと同じような血筋をもった人々なのだろうと思う。だから彼の獲得はややっこしい。
(02/05/21)


あれから10年

1992年5月20日、今からちょうど10年前の永遠に忘れることはないだろうこの日、バルサがウエンブリーでクラブ初のヨーロッパチャンピオンズカップを手にした。あれから、もう10年たってしまった。

ロンドンには結局行くことができず、バルセロナでテレビ観戦したこの試合。試合開始30分前には、いつもは車でいっぱいになる家の前の通りには車一台、ひとっこ一人いない状態。映画館もゲームセンターも何もかも空っぽ状態で、街そのものがストップした2時間。90分が過ぎ、延長戦前半が終わっても両チーム得点が入らない。そして後半10分ぐらいだったか、エウセビオが誘ったファールを蹴る準備をするクーマン。相手チームのサンドリアのベンチでは、何人かの選手がタオルで顔を覆い「見たくない」という感じのシーンが画面に写る。そしてクーマンのフリーキックは、キーパーのパリューカの右を通り過ぎてゴールネットにズドーン。

試合が終わり、家の中でテレビにかじりついていた人々が一斉に外に飛び出した。花火が上がり、爆竹がなり、車のクラクションが響き渡る。ランブラス通りには何万人という人が集まり騒いでいる。通りに沿ってある商店のおやじたちが泣きながら喜んで抱き合っているシーンは今でも目に焼き付いている。この人たちにとって、何十年も待ち続けた日がやっと来たのだ。そしてガスパー副会長は試合前の約束通り、テームズ川に飛び込んだ。5月20日のテームズ川はまだ冷たいというのに。

あの時、こんなことはこれからしょっちゅうあるのだろうと思っていた。毎年のようにリーグ優勝はその後もしていたし、このウエンブリーから2年後にもアテネで決勝戦も戦った。だからあの優勝した年から何年も、こんなことはしょっちゅうあるんだと信じていた。

ところが、ところが、ここ最近はウエンブリー優勝前のランブラス通りの商店のおやじみたいな気分になってしまっている。敗北者であり続けた人々が、あの日を境にして勝利者の喜びを知った。いま唯一願うこと、それは監督なんか誰でもいい、誰でもいいから、あの日の興奮をもう一度与えて欲しい。10年前のことは、もう一昔前のことなんだから。
(02/05/20)


期待しています

昨日の記者会見でバンガールが正式に来シーズンからの監督に決まってしもうた。これで、泣いても笑っても、叫ぼうが怒鳴ろうが、嫌いであろうが大嫌いであろうが、そんなことはもうあまり意味のないことになってしまった。バルサを応援する一人のファンとしては誰であろうがウエルカム・新監督。監督に対する個人的な好き嫌いは別として、チームがうまくいくように頑張ってもらわねば。

カタルーニャという土地と同化しなければとか、バルサの何たるかを知らなければならないとか、プレスとの仲を改善しなければとか、性格をもうちっと穏やかにとか、まあそういう前回できなかったことを今回はどうにかしろというのは無理な話だ。ヤツはもう50を越えた男なんだから、いまさら性格まで変えろというのは無理なこと。だからそういうことはあまり期待しない。

2年契約というから、2年間結果を出してくれればいい。セラフェレールやレシャックには不可能だった結果を出してくれればいい。試合内容にはそれほど期待はしていない。所詮、バンガールではないかと思う。彼がいた3年間の試合をスペクタクルだったという人がいるけれども、とてもそうとは思えなかったバンガールバルサ。確かにクライフがやったことと同じようなフンイキはあるのだけれど、試合中に窮屈な感じを受けることがほとんどだった。選手の配置なんかはクライフの時代とよく似てそうで違う、まったく違う。各選手のプレーポジションがキッチリと何メータ範囲と決まっているから、それを見ていると窮屈な感じを受ける。やはり似たようなものより本物の方がいいに決まっている。まあ、いいや、そんなことは。

オランダ代表監督をアッという間にクビになった、まあそんなバンガールだけれど、少なくとも結果だけは出さなければいけない。2年間続けてチャンピオンズの一次リーグで負けたバンガールバルサだが、今回はそれは許せない。国王杯の試合で選手が少ないと試合を辞退したバンガールバルサだが、今回はそのタイトルもとらないと許されない。クラシコはもちろん両方のスタジアムで勝利し、圧倒的な差でマドリを引き離したリーグ優勝を飾らないといけない。それが多くのファンの反対を押し切ってやってくるバンガール第二次政権の使命。それは彼にとってたいしたことではないはずだ。世界最高の監督と自負している彼なら、こんなことは朝飯前に違いない。期待してますバンガール閣下。
(02/05/18)


知将、チキチキバンバン

もうバンガールがバルサに来てくれちゃうと「こちらカピタン」のネタが永遠につきないような気がしてきて、なぜかニタニタしてしまう今日この頃であります。この人が監督をやっていた第一次バンガール政権のころはこのHPはなかったし、思い出話だけでもじゅうぶんに1年間分は埋められそうな気もしてきた。でもまあ、そのうち書いている方も読んでいる方も飽きてくるでしょう、きっと。

と言って再びヤツの話題。

今ちょうど16時。この時間には二組の人たちがスペインに向かっているはず。一組は昨日グラスゴーの決勝戦で勝利をものにし、マドリのバラッハス空港に向かっているマドリの面々。そこには大勢のマドリディスタが彼らの英雄を迎えにいっているはず。そしてもう一組は、明日の記者会見に間に合うようにバルセロナに向かっているバンガール夫妻。バルセロナのエル・プラット空港には白いハンカチ好きの人たちが今か今かと待っている、はずだった。

でもバンガール夫妻は飛行機を利用しない。陸路を使って車で来るようだ。
やってくれます、バンバン、ガンガン、チキチキバンバン、バンガール。さすがに情報網をバッチリ張っているようで、大騒ぎになりそうな飛行場はご免とばかり車にしました。車は飛行場に到着しません。空振りもいいところだ。何だか来シーズンはこういう空振りをさせてくれることが多くありそうな予感。

それにしてもこの風景の違いは、とてつもない。寂しい話だけれど、とりあえず明日の久しぶりに公の前に登場してくるバンガールの記者会見をが楽しみにしよう。う〜ん、寂しい話しだな、やっぱり。ちなみに明日の記者会見は12時じゃなくて13時になりました。
(02/05/16)


「おまけ」をよこせ!

1週間前にバンガールが監督候補として噂に上り、そして2、3日してその噂が実体をおびてきてからすぐに反応したソシオがいた。そのソシオが「アンチ・バンガール」グループを組織し、わずか4、5日で1000人以上に膨れあがっている。その人たちが一昨日のガスパー記者会見の日に街頭デモを企画。だが残念ながら、時間的な問題で警察の許可を得られずに「幻のデモ」に終わってしまった。

明日はその人たちによる第二の行動が、警察の許可なし(必要ないから)に実行に移される。プラット・バルセロナ空港に到着するバンガールを待ち受けるのが彼らの目的。空港出口にバリケードを張ってあの土管のような体を阻止するわけではなく、火炎瓶を投げてあのゴム顔をドロドロに溶かしちゃおうというものではなく、ただ白いハンカチを振りに行く。ただ白いハンカチを振りに行くだけ。ガンジーもビックリの平和的無抵抗作戦。

こんなことでバンガールの監督就任話しがポシャルわけはないだろうけれど、彼にほんのチョットした現実の一部を認識させるのにはいいかも知れない。難しい仕事を引き受けた勇気は認めるとして、どれくらい根性があるかは別の話。声なき声のソシオの声が彼の耳にグアーンと鳴り響く日々が続くことを今から知らせてあげるのは親切というものだろう。監督就任正式記者会見も終わっていない、当人もまだ来ていない、それでもこれほど盛り上がっているということは、そう、いったい、プレステージが始まったらどうなっちゃうんでしょうか。

昔のグリコキャラメルには「おまけ」がついていたけれど、あれはきっとキャラメルがまずいことを「おまけ」で商品価値を上げようということだろう。もうヤツが来るのは避けることのできない事実だから、せめて魅力的な「おまけ」をつけて欲しいと思う。でもそれはシードルフだとか、デブーの残留なんぞというシッケタ「おまけ」じゃなくて、もっともっと魅力的なものがいい。クレスポやボメルとか、う〜ん、チョット魅力不足。ここは思い切って本体以上に上等で魅力的な「おまけ」にしたらどうだろう。例えば、ロナルドとかリケルメとか。そうすれば一時的にせよ、誰もバンガールのことは相手にしなくなるだろうし、ムダな市民戦争も止まるような気がするけれど。
(02/05/15)


第二次バンガール政権

これほど受けの良くないアイデアをよくも考えだしたものだし、しかもそれをよく実行しちゃったもんだ。少なくてもそのウワサがでるまでは誰もが思いもしなかったバンガールの復帰。それがついに現実化してしまった。

それにしてもと思うのは、彼の復帰に賛成する人々が(メディアのアンケートを信用すれば)半分近くもいること。彼の第一政権のころに聞かれた多くの批判にも反対の人もいたということか。あえて100%ととは言わないまでも、99%のメディアがバンガールを批判し、監督を辞任した後もその批判は続いていた。もちろんオランダ代表監督としての彼の手腕についても、彼個人の性格とは別に批判されていたものだ。それでも彼がバルサの監督になるとわかった瞬間に、半分近くの人が賛成している。でも正直に言うと、このメディアによるアンケートは信用していない。インターネットによるアンケートなんてどうにでもなる。クーマン監督賛成に合計87回クリックした経験者が言うんだから間違いない。

ストイチコフが最近、彼が監督になるならソシオを辞めると発言していた。でも昨日の記者会見後のあるTV番組で彼はその発言を撤回している。その理由を「よく考えれば監督が誰であれ、それが例えバンガールであろうと、バルサはそんなことを越えたところに存在しているから」と答えている。非常に正しい。それは正しい選択だと思うよウリスト。そうじゃなくちゃ。

クラブ首脳陣間でも、バルセロニスタの間でも、そしてメディアの間でも、これほど嫌われていることを知っているにも関わらず、それでも戻ってくることを決意したバンガールは大したもんだとは思う。だが彼が「現実」を知ることになるのは、来シーズンのプレゼンテーションとなるガンペル杯だろう。その日に、彼の1年間がいかに長いものになるかを知ることになる。ソシオが彼らの思いを表現できるのはスタディアムでしかない。クラブ首脳陣のようにテレビ番組に出てマイクに向かってしゃべる機会はないんだから。

バンガールファンの方、おめでとう。バンガール嫌いの人、ご愁傷様。ハイ、本当にご愁傷様です。
(02/05/14)


黒い原石、ディオング・メンディ

2月23日にこのコーナーに書いたことの続きになります。つまりバルサの下部カテゴリーの中の「infantil A」のこと。

あの日の時点ですでに19試合が消化され、19試合全勝負け知らず、しかも奪った得点182ゴールで失点4ということでした。そしてその時点での目標は250ゴールを達成し、得点王になることは間違いないディオング・メンディ選手に100ゴール獲得を達成させてやること。さてその後どうなったでしょうか。

すでにこの「infantil A」カテゴリーのシーズンは終了しています。そしてその結果、もちろんバルサは優勝。成績はナント30試合30勝0敗、奪ったゴール273得点、そして失点はたったの10。まさに「infantil A」に敵なしバルサです。

そしてディオング・メンディ君はどうなったかというと、残念ながら目標のシーズン100ゴールは達成できず、わずかに及ばない97ゴール。それでも彼はPKを1本も蹴っていないというから、もしPKを担当していたら間違いなく100ゴールを越えていたでしょう。しかも1試合だけだけれど風邪をひいて休んでしまったというから、もし全試合に出場していたら達成間違いなし。何と言っても一試合平均でハットトリック以上の得点をあげている少年ですから。

セネガル出身のディオング・メンディ少年はただ今13才。彼の夢は、もちろんバルサの選手としてできる限り遠くまで行くこと。つまり一部の選手としてカンプノウでプレーすること。そして彼のアイドルはロナルドとガッツ・エンリケとクルービー。

クルービーのどこが好きかと聞かれたディオング・メンディ少年。
「あのテクニックは素晴らしいと思いまっす。僕にもまだあのテクニックはないでっす。でももっとゴールをチャント決めないといけないと思いまっす。」わかってるね、この坊や。
(02/05/13)


兄貴分と弟分

リーグ4位を決定づけるための大事なサラゴサ戦が今日ならば、昨日はその弟分たちにとっても大事な試合だった。2部Bカテゴリーに属しているバルサBは今シーズン2試合を残すのみ。そしてミニエスタディでおこなわれた試合に勝てば第二グループの首位となり、2部Aカテゴリーへの昇進をかけたプレイオフで優位なスタートをきれる。その弟分の相手は今日兄貴分が当たるサラゴサの弟分チーム、つまりサラゴサB。しかも首位バルサBに1ポイント差で2位につけているチームでもある。ちなみにグループ4位以内に入ればプレイオフに参加できる。

今日対戦するサラゴサの兄貴分の方はもう2部A落ちが決まっているが、弟分たちにとって非常に迷惑な話。というのも兄貴分たちが2部Aのカテゴリーに落ちてくるので、弟分は同じカテゴリーには入れないからいくら頑張っても上の、つまり2部Aのカテゴリーには上がれない。今シーズン1年かけて「上のカテゴリーでプレーするんだ!」と頑張ってきた弟分にご褒美はない。もちろんグループ4位以内に入ってもプレイオフには参加させてもらえない。

教訓、やはりできの良い兄貴を持たないといけない。

来シーズンのバルサの兄貴分の方の親分は、とてもイヤな野郎になりそうな雰囲気。もしそうなったら、バルサBの試合がおこなわれるミニエスタディのほうに足を運ぶ機会が増えそう。だから何としても2部Aカテゴリーに上がって欲しい。やはりBとAの試合じゃあ面白みが違う。マドリBも来シーズンは2部Aのカテゴリーに上がってくるチャンスがある。もしそれが実現したらミニエスディで弟分たちのクラシコが見れる。それも一興です。

ちなみに昨日の試合、トラッショーラスとダビ・サンチェス、そしてババンジーダの2点で4−1で勝ち、優勝を決めました。再来週あたりからプレーオフが始まります。
(02/05/11)


スペイン風ユーモア

ホセ・マリア・ガルシアという、スペインのフットボールファンなら知らない人はいないであろうと思うほどの超ベテランジャーナリストがいる。60近くになると思われる彼は、30年近くにわたってラジオのコメンタリスタとして活躍し、色々な局を点々としながらも「スーパー・ガルシア」という夜中の0時から1時半までのスポーツ番組を担当してきた。そして彼はバルサの元会長であるヌニェスや元監督のバンガールを支持してきたジャーナリスト。そしてヌニェスにとってもバンガールにとっても、唯一インタビューを許可する相手でもある。

昨日深夜、あるラジオ番組で彼の声色を得意とする人が彼らに電話し、バンガールのバルサ移籍の話題に関し質問していた。ヌニェスもバンガールも偽物だとは思わないで素直に質問に答えている。だが彼らは時期が時期だけに、オフレコとしてしゃべっている。

ヌニェス「今シーズンのバルサは最低だ。誰も良いことを言わない。クラブ首脳陣内部にいる知り合いなどは、伝染病が蔓延しているとさえ言っていた」

バンガール「バルサに戻れることは本当に嬉しい。これまで何回もガスパーとは接触してきたし、彼の熱意やバルサというクラブが私を必要としていることに感謝している」

これをオフレコといいながら、しかも本物の人物ではなく声色を使った偽物の人のインタビューでありながら放送してしまうところがスペインの恐いところ。それを冗談として許してしまうところはもっと恐い。それぞれ4、5分の電話インタビューとしながらも途切れ途切れにしか放送していなかったところを見ると、ヤバイと思われるところはカットしてあるのだろうけれど、それにしても凄いことをします。
(02/05/08)


バンガールに賭けるガスパー

「今日の一面」を覗けばわかりますが、エスポーツもムンドも同じタイトル。これまで5000日ぐらいこの両紙を見ているけれど、果たして今までまったく同じタイトルの一面があったかどうか、もちろんそんなことは覚えがない。まったくの偶然ということか、それともバルサ広報機関紙となってしまったのか。

こういう自信にあふれた記事が出るということは、クラブ内部からのチクリであることは間違いない。それがガスパー側が何らかの意図で出したのか、あるいは反ガスパー側がその椅子を揺らすためにチクったのか。そんなことは一ファンにはわかりません。

ビクトール・フェルナンデスがテネリフェで見事に失敗し1年ももたなかったのにセルタではそれなりの成功を。イルレッタがオビエドでこれまた見事に失敗しながらもデポールで何となく成功を。カッペロが惨めさというのを通り越してミランを後にしたけれど、何とかローマで体裁を保つことに成功。こういうことを考えれば、いかにオランダ代表でみっともないことしたダメ監督にも、バルサでの成功はあり得るかも知れない。でもそれは普通の人間に対する評価の仕方であり、ヤツには当てはまらない。

どうしてこんなことが可能なんだろうか。たった2、3年前には毎試合といっていいぐらい白ハンカチが振られたヤツが戻ってくるなんて。その白ハンカチはバンガールだけにではなく、会長が座っている貴賓席にも向けられて振られていたことをもう忘れてしまったんだろうか。毎試合、毎試合、カンプノウの観客席に登場した「バンガール、出てけ!」という垂れ幕風景を忘れてしまったのだろうか。バンガールがオランダの代表監督に就任したときにした「カタルーニャはバケーションを楽しむところで、決して仕事をするところではない」というコメントを、彼もガスパーも忘れてしまったのだろうか。

ヤツらが忘れてしまったとしても、試合ごとにカンプノウに足を運び、カタルーニャでバケーションをとるためじゃなく出稼ぎに来ている俺はぜったい忘れないよ。それにしても、こんなことは信じられない、ぜったい信じられない。
(02/05/07)


シーズンオフ近し

頭の中では大事な一戦としながらも、心の中では消化ダービー戦。この前のユーロクラシコで今シーズンは終わっている。もうチョットだけでもレシャックが勇気を出していれば、ベルナベウでの勝利はじゅうぶんあったと思う心がまだ残っている。過ぎたこととはいえ、あんなマドリ相手にグラスゴーへの道がふさがれたのがいまだに悔しい。

そうは言っても最終戦は最終戦。観客席から選手たちと同じ空気を吸いながらでも、テレビの前に座ってイメージを共有しながらでも、今シーズン頑張った選手たちに「お疲れさん」と言わなければという気持ちにさせてくれる。カンプノウに集まったソシオたちがそうしたように。ガッツやプジョーなどに「ありがとう」という合唱は涙が出てくるほど嬉しい。これがバルセロニスタ。多くのクラブ関係者や監督、選手に対しても不満が充満しているにも関わらず、すべてを出し尽くした選手には心からの拍手を送る。美しい、美しいです。感動的ですらあります。

いちばん重要なのは結果だとはわかっていても、やはりこういうハーモニーは気持ちがいい。どんなシーズンでも気持ちがいい。

来シーズンのバルサの監督に、バンガールがウワサされている。彼の1年目と2年目はリーグ優勝をしながらもこういうハーモニーはなかった。でも「タイトル奪取」という超魅惑的なことの前に、残念ながらそういうことを忘れてしまう人々がいる。4年連続タイトルなしというのはバルセロニスタにとっても、そしてクラブ首脳陣にとっても自分のクビがかかってしまう恐ろしい事実だ。だから何はなくともタイトルという発想になるのはしょうがない。

レシャックにもう少し勇気があって、自分の主張を押し切る強烈なキャラクターがあって、カタラン人じゃなくて外国人だったら、来シーズン用の新しい監督なんか探す必要もなかったのにと思う。

ところで明日はカタルーニャカップの決勝戦。マドリッドでは日本相手のジダーン、ラウールがでないアンチドラッグの試合。シーズンオフが近づいております。
(02/05/06)


ペセテロの終末

ハッシッシの臭いの染みついたドル札に魅了されてしまったのか、あるいはコカインの香りがするペセタ札に酔ってしまったのか、今となってはどうでもいいことだけれど、とにかくその瞬間にヤツの人生が変わってしまった。それも大きく変わってしまった。それまで順調に来ていた彼のプロ生活がドロドロとしたものに変わってしまった。

フィーゴが売りに出されているという。それほど驚くことではない。今シーズンの、どこまでも落ちぶれたプレーの総決算が先日のバルサ戦だったような気がする。これがあのバルサでキャプテンマークをつけて、いきいきとプレーしていたフィーゴという選手と同じヤツだとはとても思えなかった。あの姿を見ると同情すらおぼえてくる。な〜んてのはもちろんウソ八百。それほどお馬鹿さんではないんだよ〜。オレほどヤツのチカラをかっていた人間もいないと思うぐらいの自信がある当人としては、新しい世紀がやってくるまでは同情という言葉は生まれないのだ。恨みつらみの世界はおぞましいのだ。

売れるかどうか、買い手がつくかどうか、それはわからないけれど、早く視界から消えてくれるといい。マドリを出て新たな世界で活躍した方が彼のためなどということは、彼をいまだにアイドルとするミーハーが心配すればいいこと。そんなことではなくて、視界から早く消えて欲しいだけだ。どこでどうしようがどうでもいい、視界から消えてくれればいい。

これで多分カンプノウで彼の姿を見ることは一生ないだろう。あのラウドゥルップでさえ、バルサ100周年の際におこなわれたドリームチーム対現役バルサの試合では拍手で迎えられた。あのラウドゥルップでさえ、マドリに移籍してから初めてカンプノウでプレーした時に「人生で最悪の瞬間だった」と言わせたほどのブーイングの嵐を浴びせられたラウドゥルップでさえ、時がたてば暖かく迎えたバルセロニスタ。だがヤツにはそういう瞬間は絶対やってこない。トーゼンだね。フン、フン。
(02/05/04)


予想通りの展開

エスポーツ紙やムンド紙などだけではなくカタルーニャの一般紙も含めて、バルサに対する昨日の対応はそれこそ傷をなめあうような同情的なものだった。それを「今日の一面」に写しながら、きっと明日から総攻撃が始まるぞという予感。ピッタシ。

いつものことながら、バルセロニスタが深く傷ついている翌日は、結構同情的な表現の書き方になることが多い。あれがマドリではなくバイエルンあたりに負けたのなら翌日からすぐに総攻撃が始まっていたに違いない。でも相手はバルセロニスタがもっとも傷つくマドリ相手の敗戦だったから、これ以上地獄に落としたくない配慮だったのであろう。アテネでのミランとのチャンピオンズ決勝戦に敗北した翌日の新聞をよく覚えているけれど、やはりクラブに対してやさしい感じだった。そしてその翌日から強烈なクライフ批判が吹き荒れた。あれと同じだな。

ガスパーを筆頭にクラブ首脳陣、レシャック、選手などに対する厳しい批判がこれからグワアーと押し寄せてくる。プロ中のプロのリバルドもその例外とはならない。最高給取りの選手でありながらバルサでプレーできず、結果的にそうなったとはいえセレソンでは間違いなくプレーする選手と判断される。クルービーは珍しくゴール数の多い年でありながら、まったくゴール能力に欠けた選手として評価される。チャビやサビオラやロッケンバック、クリスタンバールやモッタなどはまだまだ若すぎる選手として見られる。マドリはもちろん、バルサでさえ恐れるカタランメディアの本領が発揮されるのはこれからだ。

ところでマドリの試合を終えて帰ってきたバルサの選手とコーチ陣の中で、空港に着いてから皆と別れて二人だけが家に向かわずディスコに行ったという。朝までトンジャッテいたその二人がジャーナリストに見つかってしまった。明日も練習なのにそんなことをしてていいのかと聞かれた二人、
「これでストレスを吹っ飛ばすんだ」
と答えたという。果たしてこの二人とは誰でありましょうか?
(02/05/03)


ぐやじい!

ゴールチャンスがいかに多くても、試合内容がいかに相手より優っていても、敵地でのものとは思えないほど立派な試合をしても、そして選手たちがどんなに勇気あるプレーをしても、あ〜、マドリに負けちゃうのは悔しい。とてつもなく悔しい。あ〜、くやじい〜。

な〜んてことあないチーム相手の試合にジダーン一人にやられたユーロクラシコ前半90分カンプノウでの負けが、今頃になってガビーンと心の臓に突き刺さり、さらに地元で戦ってもな〜んてことあないチーム相手に、ラウール一人にやられた悔しさがドドーンと胸に襲ってきやがった。あ〜、くやじい。

くやじい、くやじい。くやじ〜い!

美しく戦って負けることを恥と思うな、なんていうバカなセリフに興味はないけれど、それにしてもあれほど醜い敵を沈められないバルサも情けない。判定勝ちというルールは残念ながらフットボールにはないのは知っているけれど、マドリ戦だけはそのルールがあってもいいんではないだろうか。そうすればユーロクラシコ、バルサの2連勝だ。あの試合を見て、それでもなおマドリが素晴らしいチームだなんていうオッチョコチョイがいるのも悔しい。あ〜、ぐやじいな。

こんな監督のもとでプレーしながら、チャンピオンズの準決勝なんていう場違いなところまで生き延びて多くの人々に夢を見させてくれた選手たちに拍手!
試合前日、マドリッドにいるレシャックに電話をいれてどうしても試合に出させてくれと頼み込んだというリバルドに拍手!
無理をすればワールドカップ出場もオジャンとなるにも関わらず、そしてその負傷を恐れず最後の最後まで我々を勇気づけてくれたガッツ・エンリケに拍手!
そしてすべてを出し尽くした、オランダ人選手以外すべての選手に拍手!

ぐやじい、ぐやじい、それでも拍手。パチパチパチ!
(02/05/02)