デビューしました

イニエスタというチョットばかし注目されている少年がいると、このHPで紹介したのが今から1年半以上前のこと。そして実際に自分の目で確かめてみようと思い、二部Bでデビューした彼を見に行ったついでに、彼に関する記事をいくつかまとめて「明後日の星」として La Masia にだしたのがやはり1年半前ぐらい。う〜ん、あれからもう1年と半年。

小さい時から注目されている選手が一部チームに上がってくることは結構珍しいことだけれど、そのイニエスタがついにデビュっちゃいましたね。嬉しい限りです。これまでいろんな選手がバルサBから上がってきたけれど、イニエスタの場合は注目度ということで言えばだいぶ彼らとは違う。セルジやプジョー、彼らの場合はほとんど注目されることなく一部に上がってきた選手だったし、しかも彼らをバルサBの試合で見ていても、何でこんな選手がいるんかいな〜、と思っていたほどの魅力のない選手だった。セルジはちょっとスピードがあり、プジョーはやる気だけけの選手として、自分みたいなシロウトの目にはそううつった。だから一部に上がってきたときも、それほど長くは続かないだろうと思っていたのが正直なところ。

イニエスタの注目のされ方はデラ・ペーニャ以来のもの。もちろんデラ・ペーニャほどではないけれど、彼以来の注目選手。今シーズンは負傷という悪運に見舞われていないからバルサBでは全試合出場しているし、そのほとんどの試合を見ることもできた。だから昨日の試合の出来は不思議でも何でもない感じ。

以前、チャビに似すぎてきてしまっていると少し不満だったけれど、それは今でも変わらない。ただ、チャビにしてもナバーロにしても、もちろんプジョーにしても、一部チームで試合を続けることにより下のカテゴリーでは考えられないほどの成長をする場合がある。チャビはそういう意味で言うと「急成長」組みに入るから、イニエスタが彼に似てきても相変わらず「差」はある。ただ彼にあってチャビにないところは、前へ前へでるプレー傾向。そこが伸びれば素晴らしい選手になる、と思う。

少しでも才能を感じる選手はできるだけ早く一部でデビューさせるべきだ。それで戸惑ってしまう選手、例えばルフェッテとかジョフレとかナノだとか、数え上げればきりがないほどの選手がいるけれどそれは運命というもの。そういう否定的な部分より肯定的なところを考えた方が良い。プジョーがこんな選手になるなんて誰もが予想できなかったことだし、ナバーロにしても左セントラルという不慣れなポジションでも成長してきたし、左ラテラルとしては急成長だ。

さてさて、第一歩を踏み出したイニエスタ。戸惑う選手となるか急成長組となるか。
(2002/10/30)


クーマンとメンディ

ロナルド・クーマン、ディフェンスというポジションでありながら毎シーズン10ゴール以上は確実に決めていた選手。ロベカルと同じような「驚異のスピード」と、ロベカルにはまったくない「正確なコントロール」によるフリーキックが得意だった。そして彼の天性はペナルティーキックの美しさにもあった。

プレシーズンも含めてメンディのペナルティーを2、3回見た。ボールをペナルティーポイントに置いてからは、いっさいボールを見ることがない。視線はひたすらキーパーの方に行っている。ペナルティーを蹴る瞬間にもボールにはいっさい視線はいかない。視線はキーパーへのみで彼がどのように動くか、それ次第で蹴る方向が決まる。もちろん一瞬の判断で蹴る方向を決めないといけない。

この蹴り方はクーマンとまったく同じだ。瞬間の判断でボールの方向を決めるから、ボールそのものにはスピードはまったくない。クーマンのにもスピードはなかったしメンディのにもない。スルリとボールが入っていく場所とは反対の位置にキーパーが倒れているのも同じだ。キーパーのいない場所に蹴るのだからボールそのものにはスピードがある必要はない。ただそれがわかっていないと、入ることは入るが何か不安を感じる蹴り方ではある。でも間違いなく入っちゃうんだなあ、ソロリソロリと。今シーズンのバルサのペナルティーは99%の確率でゴールとなると思う。クーマンがいた頃のバルサと同じように。

ところで、メンディがまだバレンシアにいる頃の話し。監督がグース・ヒディングの時代だったかバルダーノだったか、あるいはルイス・アラゴネスだったか覚えていないから具体的なシーズンはわからないけれど、いずれにしても90年代中頃におこなわれたメンディへのインタビュー番組を覚えている。なぜそんなことを覚えているかというとバルサ戦後におこなわれたインタビューだったからだ。

あのタフさはどこから来ているのかという内容だった。なんせバレンシアにいる頃も右サイドといわず左サイドといわず、どこでもプレーする上に90分間走りまわっていたメンディだからだ。そしてその当時まで「彼の記録」は破られていないと語っていた。何の記録かというと「ジュニアー・ハーフマラソン」のタイム。彼はスペインのそのカテゴリーの種目の記録保持者だということだった。もともと陸上競技の選手だったメンディは何かの拍子にフットボール選手になってしまったという経歴を持つ。

それにしても彼はもう30歳近くの選手。毎試合あれだけよく走れると感心です。
(2002/10/28)


白ハンカチ

先月、フットボール好きの友人が生まれて初めて闘牛を見に行った。日曜日の午後におこなわれるこの闘牛は、武装した闘牛士が非武装の牛を20分間攻め続けてあの世に送るというシナリオで出来上がっている。ときたまシナリオ通りにいかないで闘牛士がやられちゃうことがある。

さて、非武装の牛が闘牛士にうまく調子を合わせてスムーズに「オッレー!」なんかがでるような20分間を送ると、「よくやったっ!」という意味で闘牛士に白いハンカチが振られる。いい仕事をしたと褒め称える意味の白いハンカチだ。だが闘牛を見るのが初めてだった上に、フットボールファンである彼女は何がおきているのかわからない。
「拍手している人と、白ハンカチを振り続けている人がいる」
これじゃあ、あの闘牛士はデ・ボエルではないか、と思ったかどうか。

ペナルティーエリア内から飛び出し、デランテロに敢然とタックルするボナノ。それは見事にアサッテの方にかわされ、デランテロはボールと共に無人のバルサゴールへ走る。後ろ斜めからすっ飛んできたプジョーが彼の前に、ゴールを背にして立ちはだかる。ペナルティーエリアの白線に立つ選手とペナルティーポイントに立つ選手との一騎打ち。スーと腰を引いて構えたように見えたプジョー。武道家が「気」を入れるときによくやる、腰を低くして両手を脇に持っていってのスタイル。そしてボールは彼の胸に当たる。彼の胸がボールに向かっていったという方が正解か。

この瞬間、プジョーに対するスタンディングオベーションがいっせいに沸きあがる。まあ、こんなことはプジョーにはよくあることだ。ファンが総立ちになっての拍手。でもこの日は普段とチョット違う現象が起きる。今まで見たことのない現象。ゴール脇のバルセロニスタからプジョーに向かって白ハンカチが振られた。

へえ〜、こういうこともあるんだいね。カンプノウで初めて見た闘牛的白ハンカチ。スペシャル中のスペシャルプレーに送られるのだろう。バレンシア戦でのリバルド大聖人ゴールでも見られなかったスペシャル白ハンカチ。まあそう言えば、プジョーは武器を持っていない闘牛士みたいだからな、これも自然な現象かも知れん。

ちなみにスペインでフットボールをテレビ観戦する場合は、テレビの音は消して、ラジオをつける。この迫力、たまりません。勝てばの話ですけど。
(2002/10/25)


狐につままれたような

チャンピオンズリーグ・4試合・4連勝・12ポイント・グループ一位通過決定。そんなバカな、というのが正直なところ。それほどひどい、このバルサ。

他のクラブのインチャになったことはないからわからないけれど、普通だったら4試合4連勝でもうグループ一位を決めたのだから、試合内容がどうであれ喜ぶもんじゃないだろうか、と単純に思う。でも、こんな試合を見せられちゃあ満足できねえな、ぜんぜん満足できない。それがバルセロニスタというものなのかどうかは別として、とにかく満足できない。理由は簡単だ、こんなバルサに魅力はないから。

貧乏人ソシオが多いゴール裏3F席の良さは、グラウンド全体が見られること。選手を目の前にしての「迫力感」はないものの、選手一人一人が駒のように見えるから全体の配置がバッチリわかる。まるでバンガールノートを拡大して見ているような感じだ。

バンガールノートの特徴、それは良い意味でも悪い意味でも、各選手のポジションがはっきり決まっていること。10mだか20mだか知らないが、野良猫のテリトリーみたいにはっきり自分のテリトリーが決まっていることだ。そこからはみ出す選手はもちろん失格。サビオラでいえば、彼をマークしている相手ディフェンス選手が攻撃に移った時には追いかけないといけないから、その時のみが彼のテリトリーをはみ出していい唯一の例外となる。しかも試合中に選手間におけるポジションの変化もないから、チョットよそ見していても誰がどこでプレーしているかがすぐわかる。約束事や規律だけがあって躍動感もいきいきさもないバルサ。窮屈、退屈、卑屈な戦い。

カンプノウのサイズは縦105m×横72m。この大きなグランドを目一杯使っての攻めがバルサ本来の攻撃スタイル、とそう信じている。そして今のバルサが使っているサイズは両脇を省いた横30mぐらいか。これで面白いわけがない。この狭いスペースでリケルメに何ができるか、シロウトにはわからない、わからないけれど、何かをしようとしているのは彼一人だった。昨日のリケルメは期待していたものに比べれれば60%。あの限られたスペースでよくやったと思う。

試合後のバンガール記者会見を見た。
「何でこの記者会見場の雰囲気はこんなに暗いんだ?」
そう語るバンガールと寒い試合につき合った人間の間には、これから彼のノートに埋めていかなければいけないスペースと同じぐらい、広大なギャップがあることを再認識。
(2002/10/24)


僕はレオ・メッシー

1987年6月24日生まれというから15歳。アルゼンチンはロサリオでとれている。バルサ「カデッテA」カテゴリーに所属する彼の名前はレオ・メッシー。お父さんの名はホルヘ、お母さんはセリア、もちろん一家丸ごとバルセロナに引っ越してきている。

これまで何回か触れてきたレオ・メッシーはマラドーナ二世と呼ばれる少年。そう、アルゼンチンの優秀な若手選手にはもれなく贈られる称号「マラドーナ二世」を彼も持っている。1993年から地元のクラブでプレーし、2000年の9月にバルサに買われた。メッシー13歳の時だ。目をつけたのはバルサ百年史にもでてくるホセ・マリア・ミンゲージャというFIFA代理人。マラドーナをバルサに連れてきた代理人だ。彼のテストに立ち会ったのはレシャック、ミゲーリ、キケ・コスタ、アセンシ、リフェというそうそうたる面々。そしてメッシーは彼らに太鼓判を押されてバルサにめでたく入団。ところがついてなかった彼はいきなり負傷してしまう。それもデビュー戦で負傷。だから去年の半分以上は試合にでていない。

そのメッシー少年が今シーズンは快調に飛ばしている。すでに”ドリームチーム”と呼ばれているカデッテAのバルサチーム。これまで6試合戦って全勝、得点35、失点わずか1、その失点もペナルティーによるものだという。先週末おこなわれたサン・ガブリエルとの試合では0−8で勝利し、メッシーは初のハットトリックを決めている。このゴールを含めてシーズントータル8ゴール、メディアプンタのポジションながらチームの得点王だ。

楽しいねえ、こういう話し。決してバルサ一部チームの悲惨さから逃避しているわけじゃなくて、これもバルサの一部分の話しですから。バルサBもハンドボールもバスケもローラーホッケーもすべて勝利した先週末。マドリもお粗末さを通り越して負けた先週末。もっとも大事なバンガールバルサが負けたとはいえ、バルサファミリーは健在です。
(2002/10/22)


さてさて、困ったものだ

たかがフットボールHPの掲示板に突如として人種差別主義者が現れるのも困ったものだが、バルサにも困ったものだ。ノー・パッサ・ナダとは言ったものの、そして気分はノー・パッサ・ナダなんだけれども、でもすでに信仰と化しているバルサの試合を見なければいけない身としては、もうチョット楽しい試合を見たい。でも昨日の試合みたいなものを見せられると、う〜ん、困ったものだ。

このHPを覗いてくれる人なら誰もが気がついているだろうけれど、バンガール嫌いを争うゲームがあったなら絶対チャンピオンになる自信が自分にはある。でも、監督のせいであれ何であれ、負けた試合の翌日にはからかう気がしない監督だ。レシャックは身近に感じる監督だったからあの腰の引けた根性をオチャラカサイサイできたけれど、今の「信念だけが武器」という人にはからかう気は起きない。ひたすら頑張ってくだされ、と思うのみ。例えバンガールといえど、この時期に監督交代劇なんてのは問題外。したがって、はい、頑張ってくださいよ、お願いしますよお。でも、掲示板でのバンガール批判は楽しいっちゃ。

いずれにしても今シーズンは、最初から固苦しいシーズンだ。バンガールの存在自体も固苦しいし、彼の発する言葉もシステムも固苦しい。やれ「規律」だの「犠牲精神」だの「クラブへの忠誠」だの「100%のモチベーション」だの「統計」だの、そして何かと言えばシステム、システム、システム。でもそういうことは表に出すことじゃねえな。内輪でそういうことを徹底させるのは自由だけれど、何億も年俸をとっているスーパープロに言うことじゃねえ。

「我ら九人の甲子園」、これが何と言っても我がバルサが目指して欲しいチーム。クライフ時代がそうかと聞かれればよくわからないけれど、これに近いかも知れない。「努力」なんぞ人にみせるもんじゃあねえ。「根性」なんて人にいうもんじゃあねえ。個性ある9人が(バルサの場合は9人じゃ勝てねえ。やっぱし11人いないと)それぞれグランドの中で個性を見せるような試合を拝ましてもらいたい。

個性的な選手から出していこう。度肝を抜くタッチマン・惨めなシュート力の持ち主クルービー、コチョコチョ・コネッホ、ノートに入りきれないロマン、ガッツ・ガッツ・エンリケ、かみそりのような切れ味・お粗末センターリングオーベル、守備になんかかまうなチャビ、北欧産ドイツ魂アンデルソン、もちろんスーパープジョー、我慢してちょナバーロ、そしてもう一人我慢してちょビクトル。ここら辺をちょっとアレンジして合計11人にして、持ち味生かしたプレーをしているところを見たいのだ。
(2002/10/21)


しまったなり、バルダーノ

夏のプレステージ季節に「大部屋」に入れられていたレアル・マドリの何人かの選手。彼らの何人かはすでにレンタル扱いでアッチャコッチャのクラブに貸し出されているようだ。その中の一人がムニティス。ラーシング・デ・サンタンデールにレンタルされたムニティス選手。「このみち〜は、いつか来たみ〜ち〜」とばかりサンタンデールに追い返された。その彼が昨日ゴールを決めちゃった。それもマドリ相手の試合で。試合はもちろん見ていないんだけれど。

ムニティスのレンタル交渉は時間がかなりかかったようだが、結末はけっこうお粗末だ。なんにもしないディレクターのバルダーノが「マドリ戦には彼を出場させない」という要請を書類ではなく「口約束」で済ましちゃったズサンさがそれを証明している。「口約束」はあくあでも「口約束」で、そんなこと聞いた覚えがないと言われればそれはもうしょがない。だからムニティスは堂々と昨日の試合に出ることができた。そりゃあ、燃えていただろうね。ベティス・バルサ戦のアルフォンソみたいなもんだ。バルサは歴史的にこういうことをしない。レンタルした選手にとやかく条件をつけないから、アルフォンソはなんの問題もなくバルサ戦にも出場している。ところがマドリの方針は歴史的に違う。これまでマドリからレンタルされた何人かの選手がマドリ戦には出場できないようになっていた。でもそれは「口約束」じゃなくて「契約条項」として書類に記載されていた。

ところでこのムニティス選手の年俸は手取り440万ユーロという莫大な額。こんな年俸を二部から上がってきたばかりのチームが払えるわけがない。じゃあどうしているかと言うと、マドリが300万ユーロ近く払っている。正確に言うと65%の年俸分を払っているという。もちろんレンタル料なんてものはないから、マドリはムニティスの年俸分の35%を浮かすためだけにレンタルしたことになる。デカイ資金はあるけれど小銭がないというのがマドリ。それにしても商売がへただね〜え。

どこかの外国のクラブに貸し出されたサビオも同じような条件らしい。つまりレンタル料なしで、しかも彼の年俸の半分以上をご苦労にもマドリが支払っている。そしてさらに悲惨というかお笑いというか、ムニティスもサビオも今シーズン限りでマドリとの契約が切れる選手ということだ。つまり来年の夏にはタダでどこかにさし上げなければならない。

カタルーニャメディアはバルサに厳しいから色々なことが批判の対象となる。でもマドリ機関紙のマルカやアスは自分たちのクラブにやさしいから、こういうことは話題にも批判の対象にもならない。どちらのメディアがいいかというのは個人の好みとしておこう。

それにしても最近のバルサはお世辞にも商売がうまいとはいえないけれど、マドリも誉められたもんじゃあねえな。
(2002/10/20)


冬と夏のバーゲンセール

もしオサスナ戦にスンナリと勝利していれば、この2週間のフットボールなしの長い期間がもう少し面白い話題で埋まっただろうに、と思う。たぶん、プジョー問題なども話題にはならなかっただろう。状況は以前とぜんぜん変わっていないんだから話題になる方がおかしい。彼の契約はまだ2年も残っているのだ。でも冬や夏でのバーゲン問題はオサスナ戦の結果とは別にしてやはり登場したテーマだろう、と思う。

冬のバーゲンセールの目玉商品はクリスタンバールとダニの二人。もちろんバルサ側が提供する商品だ。冬のバーゲンセールではこの二人の販売があっても不思議じゃあないだろう。残ったとしても、バルサの商品ケースの中には含まれはしてもバンガールシステムの中には含まれない二人だからだ。他の予備商品はどうかというとロッケンとジェオだろうが、あくまでも緊急の場合の予備商品に過ぎない。

緊急の場合とはどんな場合か。それは、12月末のクリスマス休暇に入った段階ですでにカンプノウでのクラシコに敗れ、マドリに7、8ポイント差をつけられている状態。あるいは首位に10ポイント差をつけられている状態を言う。これが緊急の場合だ。クラブとしてもソシオとしても緊急事態となる。

夏のバーゲン商品、これはもちろん夏の到来が近くならないとわからない。バルサがどのような状態でシーズンを終えようとしているかが一番のキーポイントとなることはもちろんだ。それでもすでに「予想される支払い」をより効果的におこなうための商品は用意されている。

予想される支払い、それはメンディエタの移籍料2400万ユーロ。1年だけのレンタルで来ている彼の完全移籍をバンガールが望むなら、そして当然ながらバンガールはそれを要請するだろうけれど、次の夏には2400万ユーロをラッチオに支払わなければならない。今のところ上に下に走り回ること以外なにが彼の仕事なのか誰も理解できないメンディエタに2400万ユーロを支払うことはドデカイ損失だ。もちろん金庫を預かるクラブ首脳陣にとっての話しだけれど。

そのために、ユーロという現金ではなく選手という商品で少しでも支払いを少なくしようとするだろうクラブ。それゆえ今イタリアではロッケンだとかジェオの移籍話しが盛んになっている。でもいずれにしても彼らの場合は来年の話しだろう。

今シーズン、どのくらいロッケンとジェオが活躍するか。あるいはメンディエタがどのくらい「本来のメンディエタ」として活躍するか、それ次第で夏のバーゲン商品が決まってくる、と思う。
(2002/10/19)


ただいま順調に成長中

試合に負けるということを1回も経験しなかった昨シーズンのカデッテBの選手たち。まだ15歳とか16歳とかいう少年たちのカテゴリーではあるけれど、それでも期待されている選手たちは順調に成長しているようだ。その証拠にほとんどの選手が今シーズンに入ってから上のカテゴリーであるカデッテAでプレーしている。

もっとも期待されているレオ・メッシー(カンテラ全員集合ではLionel Andresと表記されている)はもちろん、デランテロセントロのビクトル・バスケスやトニー・カルボ、セントラルのジェラール・ピケ、そしてエストレーモのソンゴーやフアンホ(やはりカンテラ全員集合ではJuan Jose Clausi表記)なども順調に育っている。

と言っても彼らの試合を直接見たことは一度もないことも断っておきます。彼らの活躍ぶりが見られるのは試合終了してから2、3日後。バルサのすべてのカテゴリーの試合を放映してくれる番組を通してのみとなる。下はベンハミン・カテゴリー、アレビン・カテゴリー、インファンティル・カテゴリー、そしてちょっと大きくなってカデッテ・カテゴリーやフベニル・カテゴリーまでの試合をすべて放映してくれる番組。もちろん一試合すべてということではなく編集されたものとなるのはしょうがない。

カデッテAのバルサは、すでにヨーロッパ中に注目されているらしい。試合となると、各クラブのスカウトマンの姿が観客席に陣取っている。試合も、そしてスコアーもスペクタクルだ。ほとんどが10点以上をとっての勝利。先週はレイダへ行ってのアウエーの試合でありながらも0−8で勝利している。

さてこのカデッテAの少年たち、クーマンが来る2、3年後には17、18歳の若者に成長している。かつてクライフが監督として来たときに、2、3年後からマシアの若者が続々とカンプノウへと活躍の場を移していった。クーマンにしても同じことが起きそうな状況となっているではないか。今シーズンにカデッテBに上がってきたディオング・メンディもその頃には若者になっている。すべて、そう、すべて順調にいけばの話しに過ぎないけれど、そして多くの場合順調にいかないことが多いけれど、いずれにしても「特別」なサイクルがカデッテクラスに訪れていることは間違いない。

そして、フト思うこと。その頃にはここのHPも多分なくなっているだろうし、現在バルセロニスタと称している人たちもそうであるという保証はない。いま学生である人は労働者となり、労働者である人は家庭を持ち、家庭を持っている人は子持ちとなり人生の変化が当然訪れる4、5年先の話し。そう、バルサの少年たちが運良く成長し続けてデビューのチャンスが得られるのは、少なくとも4、5年後のことだ。いまチキートのHPを見ているバルセロニスタがそのままバルセロニスタであれば彼らの登場を特別な感情を持って迎えることになる。果たしてその瞬間までに、何人がバルセロニスタとして生き残れるか、これも興味あるところ。
(2002/10/16)


バルサ百年史・外伝

市民戦争が始まりメキシコ遠征に乗り出すバルサ(第1章・10参考)。それはフランコ政権から一時的に逃げるという意味よりは、クラブ延命をかけた資金づくりという意味合いで重要な遠征となります。当初は3週間の遠征予定だったのが4か月近くにまで延びてのメキシコ滞在となりました。帰国することが決まったとき、帰国するかどうかはそれぞれの各人の意思次第ということになり、多くの選手がメキシコに移住ということになります。その中の一人にキーパーをしていたペペ・イボーラという選手がいたのですが、先日その彼がメキシコでお亡くなりになりました。あの遠征以来65年間のメキシコ生活が続き、一回もスペインには戻ってこなかったということです。

死ぬまでの65年間に一回もスペインに戻らなかったこと自体、海外でフラフラしている人間にとっては一つのドラマです。でも彼にはもっともっと凄いドラマがあります。

移住してから4年たったある日、メキシコで知り合い同じカタラン人ということもありすでに親友となったいたある人物と昼食をとるぺぺです。そして突然その友人がさりげなく彼に言います。
「ちょっと大事な用があるのでこれで失礼するよ、ぺぺ。」
この友人の名はラモン・メルカデールといいいます。トロツキーを暗殺した人物として後の世で知られる人物です。そう、トロツキーもまたこの時期、スターリンの暗黒政治から逃げてメキシコにやって来ていました。ラモンはそのスターリンによって送られてきた殺し屋だったということです。「ちょっと大事な用があるのでこれで失礼するよ、ぺぺ。」と言って別れた友人が実はトロツキーを暗殺に行ったなんて、うん、これは凄すぎる、凄すぎる。

現在バルサでマッサージ師として活躍しているアンヘル・ムールさん。彼のお父さんもやはりバルサのマッサージ師としてこの遠征に同行しています。そして彼のお父さんはもうかなり昔に亡くなっており、メキシコ遠征での唯一の生き残りは先日亡くなったぺぺだけでした。フランコ政権の圧制から経済的独立をはかるためにクラブ延命をかけたこの遠征での関係者はこれで一人もいなくなりました。

こういう歴史の証言者がいなくなったということを知ったり、あるいは歴史に登場してくる人々のドラマチックな人生を知ること、これもまたおつなもんです。
(2002/10/14)


バスケ・ユーロリーガー

フットボールでいえばチャンピオンズリーグに当たるバスケ・ユーロリーガーが昨日はじまった。もちろんバルサも出場している。そして今年は各国各関係者から優勝候補と呼ばれているバルサだ。

去年まで長いこと監督をやっていたアイト・ガルシアという人が辞任し、今シーズンからはユーゴスラビア人のPesic(ペシッチと呼んでいます)が監督に就任。アイトが自分のシステムが大優先でこれまでスター選手を嫌ってきた監督だとすれば、ペシッチはクラック選手の存在がシステムを越えるといってはばからない監督。先月アメリカでやっていたバスケ世界大会で優勝したユーゴスラビアの監督でもあった。

そして彼が今シーズンに獲得した選手がこれまた凄い。ヨーロッパ最優秀選手に選ばれたユーゴスラビア人のBodiroga(ボディロガと呼んでいます)と、彼と最優秀選手賞を争ったスロバキア系イタリア人のFucka(フツカと呼んでいます)を獲得。ヨーロッパナンバーワンとツーが揃い、これにバルサ選手3年目となるリトゥアニアの星と勝手に呼んでいるJasikevicius(ジャシケビシウス)とマシア育ちでシーズン途中でNBAに行ってしまうかもしれないナバーロ。同じマシア育ちのガソールはNBAに行っちゃってもういないけれど、今シーズンはかなり期待できそうだ。

ゼニがない、ゼニがないと言われるバルサだが、何でこういう大物監督や大物選手がとれたのか。それはフットボール界と同じでバスケ界にも同じように不景気が襲ってきたからだ。NBAに持っていかれないようにアメリカのクラブ以上の年俸を支払って優秀な選手を確保してきたトルコやイタリアのクラブ。だがもうそんなことはできない。そこで彼らはどうしたか。バルサがリバルドにしたことと同じこと、つまり年俸がとてつもなく高い選手は持っていっていただきます方式。

レアル・マドリにゼニがあると思っている人は勘違いもはなはだしい。ロナルドの獲得にしたって5年払いかなんかで、しかもそれでも銀行に借金して最初の支払いをしている。したがってバスケまでには全然ゼニがまわらないマドリだ。でもバルサは大金はないが小銭なら持っている。2億だか3億ぐらいの小銭はすぐに出せる。各クラブの不況をいち早く察したバスケ部門のクラブ担当者が素速く動いたおかげで大物を獲得。

というわけで昨日はイタリアのボローニアを敗りまず1勝。先はまだまだ長いがファイナルフォーの会場はすでに決定している。それはバルセロナのパラウ・サン・ジョルディ。来年の5月9日準決勝、11日に決勝。今から楽しみ。
(2002/10/11)


知らなかった

カンプノウでは3桁以上の試合を見ているけれど、記憶なんてのは結構いい加減なものだといつも思う。去年のレシャックバルサで印象に残っているのは、後半の半分を過ぎてからのケツを引いた試合展開だ。あの広いカンプノウが半分しか使われていない光景。もちろんバルサ側に相手選手が押し寄せている風景が印象的だった。その弱腰レシャックバルサの印象が強いもんだから、イマイチのバンガールバルサを見ていても何となく「良い結果」を出しているような気分だった。

でも今日の新聞の「統計数字」を見てビックリした。これまで8得点で7失点のバルサ。獲得したポイントは5試合8ポイントで、セラやレシャック時代に獲得したポイント数よりも少ない。1試合獲得の平均ゴール数も今年が一番少ない。攻撃的なチームでないことはわかっていたけれど、う〜ん、わかんねんもんだな。

フト思ったんだけれど、バンガールフットボールというのは、何というか、試験管の中で生まれた見たいな、あるいはコンピューターの中から出てきたみたいというか、優れた計算機の中から誕生したというか、はたまた彼の自宅の書斎から生み出されたというか、何と言っていいかわからないけれど、そんな感覚を受けるもの。ワンタッチパスによる「怒濤の攻撃」さえあれば面白いんだけれど、ボールを相手に持たされている状況でのフットボールにはワクワクするものもなければ暖かみもない。ボールがみるからにスムーズにわたっているようで、何のことはない、実は相手選手のいないところでスムーズにまわっているということに気がついたりする。しかも困ったことに、それでも試合を支配していると思えちゃったりすることだ。

統計に関しては大家であるバンガールがこの「統計数字」を見逃しているわけがない。それでも、今のバルサを10点満点として評価すれば何点か、という質問に対し7と答えている。かなり高い評価だ。「統計数字」から判断すれば、セラやレシャック時代を少なくても8以上のポイントと評価されてもいいわけだ。フム、フム。少なくとも今年1年ぐらいはどんなことがあってもバンガール政権を維持して欲しいと思っている身としては、第三者からは根拠の見つからない彼の自信に根拠のない期待をするしかない。

ところで、同じオランダ人監督でありながらクライフフットボールが生観戦用だとすれば、バンガールのそれはテレビ観戦用という気がしている。それはなぜか?感覚派の人間には論理的に説明する能力に欠ける。だからうまく説明できない。でもそうなんだなあ。
(2002/10/09)


まあ、いろいろと複雑な事情がありまして

試合の空気に触れている時に何が不愉快って、そりゃ自分とこの選手にブーイングするのが聞こえるときだ。一昨年、去年とやり玉にあがったセルジがいなくなった今、目標とされるのはデ・ボエル、あんたです。

プレー内容のお粗末さがその原因となるものの、本当のところはそんなことはほんの一部の理由なんだ。デ・ボエルに限って言えば、根はもっと深い所にある。昨シーズンのボナノへのバックパス事件、自分の多くのミスを省みずにエンケを批判した国王杯事件、ブルッハス戦やその他の試合での多くのミス。そして幸か不幸か、彼はバンガールが一番信頼してやまない選手、つまりバンガールバルサの顔でもある。まあ言ってみれば、ジョルディがプレーしていた頃に彼にブーイングをすることでクライフに対する不満を表明したのと同じようなもんだ。

試合を見てるということは「ライブ」に生きること。したがって「ライブ」に生きていない人にとっては、その瞬間の状況がわからないとナニガドウナッテイルのかは完全には理解できないことがある。あの試合、カンプノウには8万人以上の人が来ていた。そして試合を見ながら、もちろんラジオも同時に聴いている。バルサがつまらん試合をしている最中に耳に入ってくるニュースは、なんと、フィーゴとロナルドのゴールじゃねえか。バルセロニスタにとって、実はこのニュースだけで、ほんのチョットしたミスを犯したデ・ボエルをブーイングするために「攻撃態勢」に入るのには十分な理由となる。

だからさ、まあ、気にするに越したことはないけれど、それでもまあ、気にすんなや、デ・ボエル。あの日は運がなかったんだ。でも気にして欲しいのはどちらかというと監督の方だな。自分に起きたブーイングにも気がつかなかったと言い張る監督だから、そういう人にはチョットでいいから気にしてもらった方がいいだろう。サビオラが交代と告げられ、交代要員としてジェラールの番号が示された時に起きたブーイング。あれは監督へのものです。まさかサビオラやジェラールにブーイングをする理由は何もないからね。

それにしても、カンプノウでの平和な時期が壊れたのはアッという間だったなあ。これまでどうにかお互いうまくやってきたのに、ロナルドのゴールとオサスナなんかとの引き分けで壊れちゃった。もっとも、これまですべてのバルサ監督を応援してきたように、それがセラという名前であろうとレシャクという名前であろうと、個人的には今の監督も例外ではないから「私はそれでも現監督を応援します」。それしか、しかたがないっちゃ。もちろんデ・ボエルという名のバルサの選手もね。
(2002/10/08)


これを不愉快と言わずに何という!

フットボールは理屈じゃない。理屈じゃなくてパッションなんだから理屈抜きで不愉快に感じることは多い。たとえ、それに矛盾があってもだ。そして先週末は、盆とクリスマスをひっくり返したような不愉快なことばかりだった。

まず、土曜日のバルサハンドボールがまさかの敗北を喫し、同時タイムでやっていたバルサBもあのノベルダに負け、そして昨日の昼にはバルサバスケットボールが負け、夜にはバルサも負けたような引き分けだ。週末4連続敗戦のバルサ。

スペインに来てノートなんぞ買ったことのない人間にとって、ノートを偉そうにちらつかせるヤツを見るのは不愉快だ。しかもそのノートにはぎっしりと複雑そうなことが書かれ、仕事中にもそれを埋めようとしてやがる。記憶力っちゅうのはないのかね、君。

これでもまだ「危険を顧みずに攻撃に力を注いでいるシステム」と言い張る、根拠なくして頑固一本やりのことを言うヤツが不愉快。2得点のうち半分がこれまでの統計通りにセットプレーからのものだったことを何と総括する。

集中力の欠如、闘争心の欠如、こういうのは漫画の世界だけにして欲しい。何百万ユーロも年俸をとっているプロの選手に使われる言葉ではないんだよ。疲労がある?まだ10月だって言うのに、疲労があるなんて言うことは許されない。こっちは週末もなく毎日働いているんだから。

相手ゴール付近での、コクーがクルービーに投げるバカの一つ覚えみたいなフリースローは不愉快そのもの。もう何十回見たことか。あれをすることを命じている頑固なヤツに不愉快感。もう少し変わったことをやらせるアイデアがノートの中にないのかねえ。

試合中にデ・ボエルにブーイングをする一部の輩に少々の不愉快さを覚えると共に、試合後にブーイングをしたその輩を批判するヤツにはもっと大きな不愉快さを感じるこの矛盾に少し不愉快。

こんな試合の後の記者会見で「リケルメ獲得を要求したことはない」なんぞと言い張る状況判断の悪いヤツが不愉快。正直さが唯一の売り物とは言え、世の中っちゅうのはナカナカ複雑なもんで時にはウソをつくことも必要だということが50過ぎてもわからんやつが不愉快。

そして何が不愉快って、あんなコロコロ太っている恩知らず選手が何で2点も入れたんだ。あ〜、不愉快。
(2002/10/07)


ジェラール・9番

ロコモティフ戦で登場したジェラール・9番。テレビ解説者は、かつてのクライフ時代にアレサンコが試合終了間際に時々プンタとして起用されたことと同じようなものと解説していた。でもそれは違うような気がする。アレサンコのプンタ起用は決まって負けている状態の時であり、残り何分かの試合時間をすべてゴール前へのハイボールで攻める、というせっぱ詰まった感じでの起用だった。でもロコモティフ戦のジェラール・9番の意味合いは、アレサンコのそれとはぜんぜん関係ない。

バンガールにとってというか、今の彼のシステムにとってというか、いずれにしても現在のバルサの9番はピボッテに近いものという感じがしている。要するに「軸となる選手」の一人という意味で、ゴールを決めるに越したことはないものの、ゴールまでへの過程で「軸」となればいいという存在なんだろう。それも相手ゴールを背にしてのピボッテ。9番選手を「壁」として、あるいは相手ディフェンスに対する「餌」として、最終的にはメディアプンタが主になってゴールエリア内に侵入していく形が今のバルサの理想的なパターン。もしそれが正しいとすれば、ひょっとしたらジェラールは今後もクルービーの代わりとしてプンタとしてプレーしていくような気がしてきた。決してゴールストライカーではないジェラールだけれど、その種の仕事をこなす9番としては彼はじゅうぶん通用するような気がする。

そうなるかどうかは別として、ジェラールという選手はガブリを抜いて「超便利屋選手」となっている。普通の便利屋さんというのは左右ラテラルとか左右インテリオールとか、左右のポジションならどこでもという選手が多い。でもキーパーからの縦の線をどこでも務めようという「超便利屋選手」はそうそういないもんだ。ある時はデ・ボエル・ジェラールになったり、またある時はペップ・ジェラールになったり、そして今度はクルービー・ジェラールの登場だ。

個人的にはプレステージで初めて見た、デ・ボエル・ジェラールが一番気に入っている。でもひょっとしたらクルービー・ジェラールも面白いかも知れない。 そしてもしこれが当たったら、バンガールの「狭い台所を広く使う」グッドアイデア商品だ。
(2002/10/03)


まあボチボチと

これをベティス戦のすぐ後に書いちゃうと「ほ〜ら見たことか!」という感じがするので、ロコモティフ戦の勝利を確認してから書いております。

さて、今シーズンのバルサは決して攻撃的なチームではないと思っているし、どちらかというと守備的な戦法で戦っている感じがしているし、ましてスペクタクルな試合を期待するというのもチョット無理な気分だし、実力的に上のチームにはちゃんと負け、それでも格下のチームにはキッチリと勝利するチームだと思っている。だからポイントを格下チームから可能な限り稼いで、実力的に上のチームからは、特にアウエーでは、少しでもポイントが稼げれば良しとすることで満足すべきだ。

ベティス戦での敗北はムカツキはするものの、冷静に言っちゃえば計算内の出来事ではないだろうか。まして調子のいいチームとの対戦であり、場所はカンプノウでもない。今のベティスは、今シーズンこれ以上のものは望めないベティスになっている。

攻撃的と呼ばれるチームが、これまで得点した半分がセットプレーからのものであったり、得点する選手がすべて前のポジションにいる選手のみ、というのも変な話だ。3−4−2−1などとうたっているが、実際には5−4−1と呼でんいる人もいる。しかも使える選手はA定食のみの選手。これほどスタメンと控えがはっきりしているバルサも珍しい。これはバルサの限界をはっきり示していると思う。

でも、まあそういうことは解釈の相違だからどうでもいい。肝心なのは攻撃的であろうが守備的であろうが、ポイントを稼いで首位を狙える可能性があるチームだということだ。セラやレシャックバルサと違うこと、それは今シーズンのバルサは「マジ」なチームだということだと思う。「マジ」なチームは弱い相手に負けない。そして強い相手にはそれなりの善戦をする。それが春先になれば、つまりリーグ戦もチャンピオンズも大詰めを迎える頃、少しでもスーパーバルサに近づければいいと思う。勝つことから生まれる自信とタイトル獲得の可能性が見えてくることにより、力以上のものを発揮することが可能になる春先。

だから今のバルサに必要なこと、それは強いベティス相手の試合などは放っておいて、オサスナやバジャドリ戦に全力をあげて勝利すること。最強チームでなくても優勝できることは昨シーズンのバレンシアが証明している。この「マジ」なバルサが成長していけば、気分屋キラキラスター軍団を抜いて優勝候補第一番だと信じている。
(2002/10/02)