クリスマス休暇のお知らせ

バルサの現状に変化が起きるかあるいは起きないか、そういうマジョルカ戦がいよいよ明日に迫りました。勝利・引き分け・敗北、いずれの試合結果となっても将来を決める試合とはならないでしょうが、少なくても現状に変化が起きるかどうかの試合とはなります。早い話がバルサ現監督が前監督となるか、あるいは、バルサ現監督がバルサまだ現監督として生き続けることを許されるか、それを決めてくれる試合となります。

この大事な試合にイニエスタのスタメン出場が噂されています。しかもリケルメの代わりに彼の登場となる感じのようです。リケルメの代わりというところが大いにひっかかりますが、イニエスタの出場事態はめでたい話し。それでも正直なところ、こんな大事な試合で使って欲しくはなかった気持ちもあります。彼の持ち味はチームを引っ張っていくところ、そういう彼の特徴を期待してバルサ現監督が起用するとするならそれはチョイと可哀想な話だ。明日が彼にとって超幸運の日となればいいけれど、もし悪い日だったら決して良いデビューとはならない。しかもこの場におよんで二部Bの選手に試合そのものの重さを背負わせるのはチョイと芸がないというもんじゃないかいな。

実はこの試合、リケルメはどういう精神状態でプレーするのだろうか、という答えのでない疑問というか、他の言い方をすれば野次馬根性でそこら辺のことを知りたいなとは思っていました。彼にしても、もし負けるようなことがあればビアンチが来ることがわかっているでしょうし、そこら辺の感情は興味深いところです。でも噂によれば彼は出ない。果たしてバルサ現監督に何らかの思惑があってのことか、と野次馬は疑います。と疑っていたら、リケルメは今日の練習で負傷したそうな。明日の試合には召集さえされない。やりますなあ、リケルメ。

この試合、噂どおりイニエスタがでるなら彼に最高の幸運を期待、そして彼が出ようが出まいがバルサの勝利を期待。それでも期待はずれの結果となった時に変な疑いをかけられないために“チキートHPクリスマス休暇”の予告を今からしておこうと思います。

つまり決して、惨めな敗戦をしたバルサに嫌気がさしたというわけではなく、どうしようもない悲しい結果をだしたバルサだから応援するのをやめたというわけでもなく、寒い試合を続けたこんなバルサにつき合っていられるかという意味でもなく、以前から予定していたとおり来週の月曜日からしばらく更新を休みます。28日は特別な日ですからもちろん「今日の一面」はこの日だけ復活。そして来年の1月2日から更新を再開する予定です。
(2002/12/20)


お疲れさんでしたガスパー副会長

意地の悪いメディアは、例のセビージャ戦後のパフォーマンスを同情集めの“ガスパーショー”だと言っていた。それが当たっているのかどうかは別として、いわゆる普通の会長じゃないことは確かだろう。普通はあんなことしない。チームがどんな状況であれあんなことはしない。内心どのような思いだったのか第三者にはわからないけれど、20年近く彼を見てきた自分としてはまさにガスパーがガスパーたる所以を示したシーンという気がした。少なくても副会長時代にはよく見られたシーンである。

ガスパーはヌニェス時代の大番頭として21年間にわたって副会長を務めた。最終的な責任がない副会長としての彼は世界一の副会長だったと思う。交渉術にたけ、マドリメディアに一人立ち向かい、ここぞという時にスキャンダルな話題を提供し雰囲気を盛り上げてくれた。バルセロニスタの代表としてメレンゲに対する突撃隊長としての役目もかってくれた。不謹慎な発言で罰金を何回も喰らったことがある。大事な試合が窮地に陥ると緊張感に耐えられなくて、自分の席を離れドライブにでかけてしまう副会長だった。

ヌニェスが突然辞任し会長職が空白となったバルサ。ヌニェス派、反ヌニェス派、クライフ派、なんだかわからない派、とにかく有象無象の会長候補者があらわれた時も、彼は立候補しようとしなかった。でも会長候補締め切りが近づいたある日、彼は突然のように立候補することになる。一人のソシオとして将来のバルサを憂いたのか、あるいはクラブの最頂上に登れるチャンスだと思ったのか、それはわからない。でももしあの時、しっかりとした会長候補がいれば彼は立候補なんかしなかっただろうと思う。誰が会長となっても副会長の座だけは経験がものをいって約束されてたんだから。そして彼自身もそのポストが彼本来のものだと知っていたんだろうと想像する。

時代の要請により間違って会長席に座っちゃったガスパーは、器が会長じゃないんだから多くの誤りを犯すことになる。監督選択の賭けにも敗れることになる。ヌニェスが会長になった頃のように“回転の遅い時代”ではない。何年もなんのタイトルをとらなくても許された時代ではない。常に急いでいる今の社会状況では彼には多くの時間は与えられない。多くの間違いといくつかの賭けに敗れたことを理由にスッキリと辞めてしまえばいい。間違っても、一回つかんだ最高権力の座にすがっていてはいけない。副会長に戻ることができないなら普通のソシオに戻ればいい。彼のバルサに対する愛情は会長職についてようと副会長であろうと、あるいは普通のソシオになろうと一切のかわりがないことは誰もが知っている。だからさ、楽になりなさい。

カンテラ上がりの選手にクラックがいないように、カンテラソシオあがりの会長にもやはりクラックはいないのだろう。その点、昔からクラブとは何の関係もなく「一生マドリディスタ」とも思えないフロレンティーノはクラック会長かも知れない。
(2002/12/18)


寒いぞ!

セビージャ戦は今シーズンのカンプノウでおこなわれる最後の試合であったにも関わらず5万人チョットの入り。多くのバルセロニスタが不快感を示したバンガール監督就任という事態があったわりには、異常なまでに人、人、人で埋め尽くされたきたこれまでのカンプノウだった。でもここのところ観客席にも少し寒い風が吹いてきている。

余程のことがない限り、バルセロニスタは選手たちの味方であり仲間であるという意識がある。そこが会長とか監督とかに対する関係と違うところだ。リバルドに対しては少なくてもバルサ選手でいる間は彼の多大なる“助力”に感謝したものの、一度バルサを後にした彼には“カラー”のなさが故に興味のカケラさえない対象の一人となった。バルサが今のような状況であるにも関わらず、彼の名前がこれまで1回たりとも出てきていないのがその証拠だ。バルサのユニを付けている現役の選手には、デ・ボエルとかレイジゲルとか“熱さ”を感じない選手も含めて、バルセロニスタはできる限りの応援を送ろうとしている。選手たちは必要以上に甘やかされているといってもいいかも知れない。だがバルセロニスタにとってバルサというクラブそのものがそうであるように、選手たちこそが最も大事な財産そのものだ。だから衝動的な怒りの表明や罵声が飛ぶことがあっても、それは一時的なものでしかない。しかしセビージャ戦は彼らに対する叱咤激励の表現もみられなかった。

セビージャ戦での辛さや悲しさは、選手たちに対する反応が完全に消えてしまったことだ。すべての関心事は会長と監督に向けられてしまった。本来は主役となる選手たちの存在が消えてしまった。会長、監督に対する攻撃の意思表示は選手たちに対する関心を失わせてしまった。そういう意味で言うと、とてつもなく辛さが伝わってくる悲しい試合であり、同時に選手たちの、どうすればいいのかわからないという感じの果てしない焦燥感が伝わってくる試合でもあった。

それでも、こんな状況を抱えているカンプノウでも、パッションや、怒りや、喜びが、つまり生きていく上で待ち受けているさまざまな現実が凝固された世界がある。一昔前に3年も続けてカンプノウ最終戦で勝利して逆転優勝を遂げたときの歓喜の世界や、白ハンカチで怒りを表したソシオ連中が作り出した風景もカンプノウの一つの世界にしか過ぎない。人生長いことやっていればチョット調子の悪い日もあるように、ここのところカンプノウ周辺も調子悪いことが続いている。でもいつか良い日がやって来るというのも世の中の決まりだ。

選手たちが主役となる日が1日も早く戻ってきて、カンプノウに本来のドラマを作って欲しい。現会長や現監督を失う日がやって来ても今シーズンのバルサはまだ何も失ったわけじゃないし、まだ最後の言葉を残していると思う。
(2002/12/17)


総括できない監督

どうしたらいいんでしょうか。どうしたらいいんでしょうか。どうしたらいいんでしょうか。どうしたらいいんでしょうか。どうしたらいいんでしょうか・・・・・。得点数より失点数が多いバルサをどうすればいいんでしょうか。首位に16ポイントという気の遠くなるような位置にいて、しかもカテゴリー降格ラインに2ポイントと迫っているバルサをどうすればいいんでしょうか。

やはり、試合を読めない監督を追い出すべきか、ベンチから出て指示することもできない監督を追い出すべきか、試合後にビデオを見ないと総括できないという監督を追い出すべきか、選手たちがなんと言おうと、もうとっくに信頼感を失っている監督を追い出すべきか、そう、やはり追い出すべきか。

これまでこのHPで何度もシーズン途中の監督更迭意見には賛成できないと言ってきたけれど、これはもうバルサまだ現監督を擁護することは犯罪的なことに思えてきた。22人の選手の全とっかえはできない話しだし、チームを率いる直接的な立場にない会長の辞任要求はソシオに任せておけばいい話だから、とりあえず一人のバルサファンとしては監督の交代しかこの状態を切り抜ける可能性は見つからない。もう遅い状態かも知れないけれど、それでも今のうちにどうにかしないと大変なことになる。

バルサまだ現監督はもう完全にいっちゃってる。昨日、夜中まで待っていた記者会見での彼の表情は完全にいっちゃってた。“運が悪かった”とか“集中力の欠如”だとかの総括を試合後にできるのはまだましだったのかも知れない。昨日の彼はそういう総括さえできなかった。ビデオをみないとわからない、なんじゃ、それは!

人一倍の労働時間を費やした監督として、どんなプレッシャーにも負けず己を通してきた監督として、決してギブアップすることなく逆境に立ち向かおうとした監督として、罵声を浴びせることもなく子豚の頭を投げつけることもなく、暖かくバルサまだ現監督を送り出してあげるのがいい。そうじゃないと、このまま“スムーズ”にことが運んだあかつきにはガスパーとバンガールはバルサ百年史の中で赤文字太文字でその名が記録されることになる。初めてのカンプノウ閉鎖を生ませた会長と監督、そして初めてのヨーロッパ大会の不参加という不祥事を生ませた会長と監督として。

そんなことにつき合うのはゴメンだ。
グラシアス、アディオス、バンガールー!
(2002/12/16)


ブーイングと拍手

試合開始5分前だというのに正面スタンド入り口前には多くの人たちが集まって議論の真っ最中だ。もう40年も50年もソシオをやっている年輩の人々、つまり60歳から70歳ぐらいの人々による試合前の年中行事の一つである討論会がおこなわれていた。でも昨日のそれは普段と違って熱が入っている。200人近くのソシオによって構成されるギリシャ的直接民主主義広場、そこでは口からツバが飛び出るほどの勢いで議論が展開されている。テーマは二つに分かれているようだ。一つはカンプノウ閉鎖問題。そしてもう一つはクラブ理事会、特にガスパー会長とバンガールに対する擁護派・反対派の論議。
もうじき試合が始まりますよ、おじさんたち!

バックスタンドと南ゴール裏の角にある3階席、そこはビジターの応援団が集まる場所。イギリスから来た3000人近い元気な人たちでいっぱいだ。いつもイギリスのチームが来るときに羨ましく思うこと、それは必ずといっていいほど彼らには歌がある。カンプノウでのイムノとは違う意味での、素晴らしい独自の歌を持っている。これを聞くだけでも楽しい。

ダニがゴールを入れたのはその彼らの左下に位置する南ゴール側。ゴールが決まってから数分の間に、この日最初の大ブーイング。まずゴールを祝うためにベンチを飛び出してきて、いつものオーバーなジェスチャーをしているバンガールに大ブーイングが飛ぶ。そして次はそのすぐ後、南ゴール裏にいた若者ファンが発煙筒をたいた瞬間だ。南ゴール裏1階席を陣取っているこれらの若者ファン以外のすべてのバルセロニスタからの驚くべき迫力のブーイング。

この日の大ブーイングはそれだけではない。クリスタンバールやデ・ボエルがミスするたびに起きたブーイングは拍手によって消されてしまう。一部のファンから起きる小さいブーイングだから圧倒的な拍手の前に消されてしまう。だがすべてのバルセロニスタによる大ブーイングは消される手段がない。それはベンチから出てくるたびに起きあがるバンガールへの大ブーイングだ。システムの説明を聞くのももういい加減あきたし、そもそも彼のシステムや選手起用なんぞ誰も信用していない。ガスパーの存在には無関心という恐ろしい対応に徹したバルセロニスタだが、バンガールの存在だけは目障りだ。ベンチでおとなしくしてろ、これが心やさしいバルセロニスタの教え。

拍手のことも触れておいた方がいい。ゴールごとに拍手があったのはもちろんとしてそれ以外に沸きあがった印象的な大拍手。それはロッケンバックに対するもの。後半開始と共に練習を始めたロッケンバックだが、サビオラが出場することに変更されて彼は出番なし。だが3人目の交代がおこなわれてもベンチに下がらず一人走り込むロッケンバック。怒り心頭という感じの彼に「頑張れ!」という感じの試合途中に湧き起こる大拍手だ。選手とバルセロニスタの間にはいい感じのハーモニーが流れている。
(2002/12/12)


好きだな、ガスパーダメ会長が

カンプノウは水はけのいいグランドとして知られている。なんでも雨で中止になったのは15年ぶりというからとにかく珍しいことだ。昨日は確かに朝から雨が降っていたし、時々すごい勢いで雨が降ってくる時間もあった。特に夕方には集中豪雨という感じだったから排水が追いつかなかったということかも知れない。それにしても、15年前のことなんか覚えていないから、昨日の中止という決定は不思議といえば不思議な感じだった。

マドリメディアをのぞいてみたら、同じように不思議さを感じた人たちもいたようだ。彼らは彼らなりに“陰謀説”まで組み立てていたりして、その真面目さには驚いてしまう。

“それほど雨の激しくない朝の10時になぜ審判が中止の可能性をほのめかしたのか?”
“試合開始1時間半前という早い時間になぜ試合中止を決めてしまったのか?”
“天気予報では9時過ぎには雨が小やみになると予想していたのに、なぜ試合時間を延ばす余裕がなかったのか?”
“リバルドがヒールキックゴールを決めたビルバオ戦では昨日の雨より激しかったのに、なぜ昨日のグランドはあの試合より水びだしになっていたのか?”

これら彼らの“やっつけ疑問”はすべて次の単純にして明確な解答へと移行します。
“それはすべてガスパーの陰謀”

昨日の夜に競技委員会から発表されるであろうカンプノウ制裁措置が、ソシオの団結を固めるきっかけとなるであろうということ。その結果、いつか再開されることになる試合では、彼に対するソシオの批判が少しは弱まるんではないか。しかもうまくいけば来週のベルナベウでおこなわれる“世界隠し芸大会”にあわせて試合を組むことができるのではないか。エトセトラ、エトセトラであります。

さすがにガスパーに大雨を降らせる能力があったりとか、カンプノウで雨乞い祈祷師のマネをしたとか触れていないのが残念といえば残念だ。我がクラブの会長にはそれぐらいの神秘性があった方が良い。でもマドリのメディアは常軌を逸するほどの想像力を持っている。あるラジオ局では昨日の夜の番組で“衝撃の発言”をしている。それは昨日の午前中、雨が降りしきるカンプノウにガスパーがホースで水をまいているのを目撃したという“衝撃の発言”だ。

彼の水をまいている楽しそうな姿が想像できるところが怖い。硬い表情を崩さず、目を細め、閉じられた口から思わず「クックックッ」という笑いが・・・。
(2002/12/11)


「バルサ討論」番組

さっそくダレサンドロが出演するテレビ番組を拝見。夜の11時30分ぐらいから始まる約1時間半の「バルサ討論」番組で、毎週月曜日の定例番組。このての討論番組はナマでやるのが常識となっているスペインだから、こんな夜遅くに番組に呼ばれたダレサンドロはきっとビックリしていただろう。バルセロナに着いたばかりということもあり眠そうな目をした坊や。カベソンというあだ名がついているぐらいだから頭がとても大きいのかと思っていたけれどバルサ現監督に比べればはるかに小さい。でも頭のてっぺんからとんでもない高い声をだしてしゃべる坊やだ。そして身体はそれほど大きくない、というよりは小さい。この選手がバルサに来るのかどうか知らないけれど、彼とサビオラとチャビが一つの画面に写ったら間違いなくジュニアーバルサの誕生だ。

この番組の途中でバルサソシオの一人がガスパー現政権に対し「不信任動議」を申請するということが緊急ニュースとなった。不信任動議、それは現体制のミスを糾弾し、即時解散・新選挙を要求すること。う〜ん、不信任動議はいいけれどこれをやろうとしている野郎が胡散臭い。ヒジョ〜に胡散臭い。今年の夏にやはり不信任動議を準備していたイバン・カリージョという人物がいる。彼は「やるぞ〜やるぞ〜」と脅かしているうちにガスパーに説得されて現理事会内に入ろうとした人物。結局、多くの理事会メンバーの反対があってそれは実現されなかったけれど、今回の不信任動議を要求しようとしているのはこの人の弟だか兄だかしらないけれどとにかく兄弟の一人。しかもソシオ番号が101.267ということは最近ソシオになったばかりの人物だ。

当人が出席していることもありさすがに番組内では触れていなかったが、少しでもモノを考える人なら誰でもが想像できること、それはこの不信任動議がガスパーのこしゃくなアイデアから生まれてきているのではないかということだ。ガスパーに対立している強力な“野党”グループは現在のところ4つか5つ。もしこの“陰謀”が現実化されるとこのグループが用意している不信任動議は空振りとなる。というのは、1回でも誰かが不信任動議を実行した場合、動議内容が余程違わない限りしばらく不信任動議はおこなえないというクラブ規約があるからだ。したがってこの“お芝居不信任動議”の内容に、想像できる限りのすべての要求内容を含ませたとしたら、ガスパーの本当の強敵ライバルは不信任動議をしばらく出せないことになる。

昨日の続きのような内容になってしまったけれど、とにかく背広組というのは外部からはよくわからない胡散臭い連中ばかりなのだ。レイダ・ペーニャの反乱は、ヌニェス時代の理事会員で現在の強力な反ガスパー野党となっている人物ラモン・フステの仕業というのが一般的。かつての「カピタンコーナー」で登場してきたFIFA代理人のミンゲージャまで次期会長に立候補する予定だという。まだ会長の任期が2年残っているというのに早くも戦国時代に入ったバルサ次期会長選です。
(2002/12/10)


何だかよくわからん世界

スポーツ株式会社ではないバルサというクラブでは、クラブ会長はソシオの選挙で選ばれることになる。会長に立候補できる条件はいろいろとあるけれど、もっとも基本的な要素はソシオであること。したがって、簡単に言っちゃうとソシオの親分を決めるのが会長選挙だ。

前回の会長選挙で敗れた人たちはもちろん、これから新しく会長席を狙う人たちは次の選挙に向けていわゆる「事前運動」というのを日々やることになる。この「事前運動」は色々な種類のものがあるようだけれど、一番有効なのはメディアを騒がせることだ。もちろんテレビ番組にでるのがもっとも手っ取り早く顔と名前を覚えてもらう方法。ラジオ番組や新聞にでるのも効果的な方法だ。そして彼らがそれらのメディアに登場する絶好のチャンスはどのような時か、それはもちろん今みたいな時だ。

ここ2週間ぐらい、何かあるにつけ有象無象のアブラギンギン次期会長候補の人々がメディアに登場してきている。ヌニェス政権時代の理事だとか、反ガスパー派だとかが入り混じって顔を売りに来ている。そんな折り、世界中に1500以上あるといわれるファン組織、いわゆるペーニャのいくつかがガスパー追放運動を開始した。レイダ県にある26のペーニャが合同表明をおこなってガスパー辞任を迫った。記憶に間違いがなければペーニャが会長の辞任を迫るのは始めてだ、少なくてもここ20年はなかったことだと思う。ペーニャ間における暗黙の了解事項として、クラブがどんな状態にあろうと現理事会を支持していくというのがあるらしい。それが破られたのが今回の出来事。だがその“反逆”からしばらく時間がたってきて明らかになってきたこと、それはどうやらアブラギンギン次期会長候補の一人が音頭をとっているらしいということ。

ただでさえ複雑な世界だけれど、さらに複雑なことに次の会長席を狙っているのは何も現クラブ理事会の外部の人間だけではないということだ。前回の会長選挙でもそうだったけれど、選挙戦を戦って敗れた対立候補が選挙が終わった後に勝利した対立候補の傘下に入り理事会の人間となるケースが多くある。しかもそういう人とたちは支持者を多く持っているから、幅を利かせて偉い部署につくことになる。現在のバルサ理事会の副会長なんていうものはほとんどがガスパーの対立候補か、その陣営にいた人たちだ。彼らは現理事会の人間だから当然ながらテレビに出る機会も多く、名前と顔を売ることができる。そしてシコシコ淡々と次の会長席をを狙っている人たちでもある。

こんな魑魅魍魎の世界の中から、どのように素晴らしい会長を選べばいいのか。それはキニエラを買うような確率ってもんだ。それに、どいつもこいつも胡散臭そうなヤツばかりというのが気になる。とりあえず、今のところガスパーはスカだったという結論だけはでたな。
(2002/12/09)


あれから1年

ガンペル杯よりは少し価値があるトヨタ杯に勝利してウキウキ状態のマドリッド周辺。今のところ「カンプノウ閉鎖措置」に向けての中央メディアによる大攻勢も休止中。選挙目当ての政治家や、お呼びでないのにことあるごとにしゃしゃり出てくるインテリ文化人もそれどころではなく、アラ・マドリ!アラ・マドリ!と嬉しそうにはしゃいでいて忙しそう。さてさて、そんなこととは別世界という感じのバルサは、明日はラージョ戦です。昨シーズンのラージョ戦も寒い寒い冬でした。そして例の事件がおこったのがラージョ戦。

マルカ、アス、テレマドリがスクラムを組み、騒動の発信地となったのが今から1年前。ラージョ戦の前夜、マドリッドのホテルでおこなわれたという「真夜中のパーティー」スキャンダル。バルサ選手のクルービー、ジェラール、ガブリ、コクー、ダニの5人が乱交パーティーをやったというニュース。あれからもう1年だ。

ミカノア・コムというウエッブページに選手の名前が登場し、マルカが間違ったホテル利用部屋の番号を発表し、アスが発表した「お相手女性」の中のソニア・モンロイはその事実を否定し、そしてテレマドリの名物ディレクターであるシロ(白)・ロペスが「物件証拠を見せろというならいつでも用意する。なんならお相手女性の履いていたパンティーも持ってこようか、ギャハッハッハッ!」と叫びながらも、それから何の音沙汰もナシ。バルサ選手が執拗に否定していく中、ニュースを流した方は次第にニュース自体を無視していく感じとなった。

ことがことだけに、噂が流れるだけでじゅうぶんダメージを与えられるニュースだ。選手個人だけではなく選手の家族やクラブやソシオにも精神的なダメージをじゅうぶん与えたのは間違いない。カンプノウでクルービーにブーイングが送られたことからもそれは明らか。心の中では99%あり得ないと信じていても、ほんのわずかな悪いプレーが残りの1%を呼び起こしてブーイングとなってしまった。このてのスキャンダルはそれが真実かどうかということとは関係なく噂だけで半年殺しの価値はある。

来月、もう来年の話となるけれど、来月の1月21日にようやく裁判が始まる。5人の選手が関係メディアを訴え、それぞれ報道の誤りをを認めること、そして一人につき100万ユーロの迷惑料の支払いを要求している。ついでに、この資金は慈善団体に寄付することも彼らはすでに表明している。先週にはすでに予備審というのか関係者の打ち合わせというのか、とにかくそういうものがおこなわれていた。裁判所が被告人側に要請したという「具体的な証拠」はいっさい示されなかったらしい。彼らには何の具体的な証拠などないのだろう。

でも今年は「カンプノウ事件」は別として、そんなスキャンダルなニュースは必要ないですね。何たって自滅気味のバルサですから。さて、明日のラージョ戦が立ち直りのきっかけとなるか、あるいはさらにぶっ倒れるか、スキャンダラスな一戦。
(2002/12/06)


元気を出そう!

ブートラゲーニョやミッチェルなどをを中心とする“キンタ・デ・ブイトレ”と呼ばれたカンテラ上がりの選手たちや、メキシコ人選手のウーゴ・サンチェスなどの活躍でレアル・マドリが黄金時代を築いたのが1980年代中盤から後半にかけて。今と違って月に一度か二度しかなかったテレビのフットボール中継ではマドリの試合ばかりということもあり、とにかく時代はレアル・マドリのものだった。

この時代は同時に、カタルーニャメディアが徐々に力をつけてきて中央メディアを抑え始めるころでもあったと思う。そして彼らのメインテーマはヌニェス政権に対する騒々しいアンチ大キャンペーンだった。ガスパーが最近批判されているとは言え、バルサ現監督が批判されているとは言え、当時のトーンとは比べものにならない。新加入選手獲得作戦の失敗、新監督選択の失敗、取り上げられるテーマはいつの時代でも同じ。だが今とはスケールの違う批判がバルサ首脳陣におこなわれていた。それも何年にもわたって。

そしてそれから10年以上の間にバルサがリーグ優勝カップを6回掲げ、マドリはチャンピオンズで快調とはいえリーグ優勝はバルサより少ない。そして、いま再びレアル・マドリの時代がやって来た、とも思わない。彼らにしても今シーズンはリーグのタイトルをとるかチャンピオンズのタイトルをとるかが迫られている。そうでなければデル・ボスケもサヨウナラの人となるに決まっている。トヨタカップではマドリディスタは満足できるわけがないだろう。

ソシエダ戦でどんなに醜い試合をしようが、トヨタカップでどんなにボール回しが素晴らしい試合(と、ニュースで言ってました)をマドリがしようと、リーグでのその差はわずかなものだ。不思議なことにチャンピオンズではバルサの方が圧倒的に良い成績を残している。そしてリーグ戦はまだ三分の二も残っている。

状況がどうであろうとガスパー会長への批判は続くだろうし、バルサ現監督への批判は消えることはない。時代や状況がどうであれいつも同じテーマで批判はおこなわれる。それが大きいか小さいかだけの違いだ。そしていつものように試合の勝利だけがこの批判を小さくさせる役目となる。アウエーのソシエダに負けたからと言って、ラージョに勝つことが不可能ということではない。ラージョに勝利し、地元でのセビージャ戦で勝利し、アウエーのマジョルカ戦でソシエダ戦でのクルービー冗談ゴールで勝つことだってあり得る。元旦を迎える頃には首位までほんのわずか、ということだってありえないわけじゃあない。

ほんのチョットしたことで何かが変わることがある。その変化は予想できないときに訪れるから面白い。幸か不幸か、バルサ現監督第一次政権の時もそうだったことを思いだせばいい。
(2002/12/03)


こんなバルサに、だぁ〜れがしぃーたぁ〜

この問題は非常に複雑にしてかつ単純です。チーム成績が悪いことの張本人はもちろん現監督の責任となるし、その監督を選んだのは会長のガスパー氏。そしてその会長を選挙で選んだのはバルサソシオたち。つまり最終的な責任者はソシオとなります。しかしながらバルサソシオは歴史的に他のクラブと違い、クラブの所有者としての認識がされているところです。クラブ所有者に責任を持っていってもしょうがないことが少し事を複雑にしています。

ソシオがガスパーではなく他の会長を選択し、その会長が現監督とは違う人を選んだとして、そしてその監督が今の選手たちとは違う選手を獲得していたらどうなっていたか、という話は見えない話であります。したがって現実的な話をすれば、ソシオの期待に応えないすべての関係者、つまりクラブ会長、監督、そして選手たち、彼らの責任が現在の状況を迎えている重大な要素となるでしょう。そしてその責任の筆頭にあげられるのは今年から指揮をとっているバルサ現監督ではなく、会長に就任してから3年目を迎えるガスパー氏となることは致し方のないところであります。そして彼が最大の戦犯であることも間違いないことです。一つ例を取るとすれば、100億という「憎しみ」の代償としていただいた貴重な資金をむだ遣いしてしまったのは彼の責任であります。そしてさらに言えば、ここ3年間なんのタイトルをも獲得していないバルサです。

来年の6月を同じようなことをしゃべっている状況で迎えるとすれば、バルサは新会長選挙がおこなわれるのは間違いないと思います。そうなると3年前には当時の会長であったヌニェス会長と心中したバルサ元監督ですから、今回も彼を選んだ会長と一緒にサヨウナラという可能性も大いにあります。すると誰が会長になったとしても、就任する監督はクーマンというのが第一候補でしょう。これはバルサに、少なくても多くのバルセロニスタに明るい夢を与えることになりますが、その最低条件として今シーズンの「破滅的なバルサ」が必要となります。それがない限りガスパー氏も辞めないし、バルサ現監督も辞めません。

どっちを選ぶかと聞かれれば、バルサ現監督がいかに嫌な野郎であってもやはり辞任騒動が起きないバルサです。良い成績を残してバモス、バモスバルサといきたいのがやはりファンの心情。しかも今あるものはよく理解できるけれど、まだ来てもいないものはよくわからないということも理由になります。先日のレバクーセン戦で見たかつての獲得ウワサ選手となって騒がれていたプラセンテやルシオの大お粗末プレー。少なくてもあの試合に限って言えば、ナバーロはプレセンテの数倍良いプレーをしていました。だから、ウワサの選手や監督は未知、未知、未知の世界の話しだと思います。誰が来るかという楽しい話はそれはそれとして、今の「バルサ関係者」で頑張ってもらわなくてはなりません。

そして次のカンプノウでの試合はチャンピオンズでのニューキャッスル戦となります。もし今週末のアウエーでのラージョ戦で負けるようなことがあったら、間違いなくカンプノウには白い花が試合前に咲くことになるでしょう。それもベンチに向けてのものではなく、会長席に向けての大きな白い花です。ガスパー会長、バルサ現監督、この二人にとってラージョ戦は今シーズンもっとも大事な試合となりそうです。
(2002/12/02)