アンティックを分析

サラゴサ時代にアンティックと一緒にプレーし、現在カタルーニャ代表監督を務めているピッチ・アロンソがアンティック監督のことを分析しています。以下は彼のアンティックに関する分析です。

選手時代は非常にテクニック的に優れた、いわゆるユーゴスラビアの典型的な選手だったが、監督としての彼は非常にチームブロックを大切にする監督だ。自分のチームが抱える各選手の特徴をよく分析し、そして相手チームの内容に関しても常に研究を怠らない。だが戦術的に“固まった”監督ではない。チームが抱える選手の特徴を活かすために、それにあった戦いを挑むのが彼の理想論となっている。それはAt.マドリの監督時代にリーグと国王杯を制覇したときの戦い方を見てみれば明らかとなるだろう。

彼の好むシステムは4−4−2、あるいは4−3−1−2というもの。どちらのフォーメーションにしても中盤でのロンボが基本となる。メノッティはサイドを使った攻撃を好むが、彼は直線的な攻撃を好む。ロンボの中にいる選手が相手に対して強いプレッシャーをかけ、ボールを奪った後のカウンターアタックでの早い攻撃を信条とする。そしてディフェンス面では4人のディフェンダーが高いラインを形成してオフサイドを誘う形が一般的だ。現在のバルサが抱える選手で11人を構成すると次のようなスタイルになるのではないだろうか。

したがってこの4人のディフェンスの後ろには広大なスペースが生まれることになる。したがって自陣の選手が攻撃態勢に入っているときはキーパーも高い位置にいることが要求される。それはディフェンスとキーパーとの間に生まれるスペースをなるべく少なくするためだ。

監督と選手の関係として言えば、非常に対話を好む監督でもある。選手一人一人の“精神科医”として常に会話を好む。
2003/01/31)


ジ〜と我慢

しかしながら、こう毎年毎年よく監督が代わるバルサとなってしまいました。しかも最近は同じような顔ぶれの人が出たり入ったり忙しいです。そこで、さて、この風景はどこやらのクラブで昔よく見たなあと思い、それを調べるためにレアル・マドリ・オフィシャルページとやらに行って参りました。なんと、ここには日本語もあるんですね。しかも怪しげな訳の日本語が。

1990年代に入ってからのマドリの監督交代劇。
ディ・ステファノ(4か月)→アンティック(10か月)→ベンハッケル(5か月)→ベニート・フローロ(20か月)→デル・ボスケ(3か月)→バルダーノ(17か月)→アルセニオ(5か月)カペーロ(12か月)→ヘインケス(12か月)→ヒディング(7か月)トシャック(9か月)そして1999年にデルボスケ。

つまり90年代で12人の監督さんが出たり入ったりしているマッチロクラブだったんですね。これこそが昔よく見た風景。ほんのたまにテレビでマドリ戦を観戦しようとすると、ありゃまあ、この前の人と違う人が指揮をとっているクラブ、それが私にとってのマドリというクラブの印象でありました。そしてこの90年代に、バルサとマドリは1回ずつチャンピオンズを制覇していてながら、リーグ戦を見てみればバルサ6回、マドリはわずか2回の優勝。当然ながら監督の交代劇が多い季節には、それほど良いことがないということでしょう。

というわけで、今の我らがバルサはジ〜と我慢の季節。レシャックが監督となるのか、メノッティとなるのか、はたまたアンティックがなるのか、それぞれ好き嫌いは個人的にありますが、そんなことより誰でも良いから早く来てうちのチームをなるべく早く立て直してくださいませ。指揮官不在のチームでは寂しすぎます。
2003/01/30)


ヌエボ・バルサ

今シーズンのバルサは監督の存在感が大きかったチームだけに、監督が代わるということはかなりのイメージチェンジが生まれてくるんじゃないだろうか。これから残りのリーグ戦19ゲーム、そしてチャンピオンズを“ヌエボ・バルサ”として生き抜いていかなくては。

最初っから高々と派手なアドバルーン的な目標をあげてはいけない。地味に、謙虚に、慎ましく、したがって目標はリーグ4位以内、チャンピオンズ決勝戦進出、こなんなもんでいいだろう。いくつかのメディアが言うように「今のバルサの顔ぶれではリーグタイトルを狙うのには苦しい」かも知れない。事実、メンバーがどうこう言う以前にポイント的に不可能だ。でもそれだからといって、決して二部降格まで3ポイントにいなければならないメンバーでは絶対ない。

バンガールを擁護する気もなければ責める気もないけれど、バルサがこうなっちゃったのは何も彼一人の責任じゃあないことは確か。問題はもっと根本的なところにある。会長を筆頭としてクラブ理事会の無能さはもちろん第一の問題だろうけれど、この1月の段階でそれを言ってもしょうがない。いまガスパーがしなければならないことはこの6月での辞任、そして7月会長選挙を公表しておくことだ。

それぞれがそれぞれ信じるものに賭けて、その賭けが外れればそれなりの代償を払えばすむことだ。2万5千人のソシオがガスパーに投票し彼を会長として賭け、それがペケとなった代償として限りない挫折感をもって支払い続けている。会長が賭けたセラフェレール、レシャック、バンガール、みんなペケだったのだから会長辞職という代償を払えばいいだけの話しだ。誰も命をとろうなんて考えてはいない。だから早くスッキリすればいいんだ。

決まったわけではないとは言え、レシャックが残りのシーズンを担当する監督となる可能性が非常に強い。もし彼が正式に決まれば、それは同時にディフェンス選手の補強を意味することになると思う。それは昨シーズンの補強作戦を見れば明らかだ。レシャック、レシャック、されどレシャック、それでもレシャック。なんだかわからないレシャック。結果がついてきてくれれば嬉しいぞよ、レシャック。

バンガールのサヨナラ記者会見。趣味的に合わない監督であったけれど、このての記者会見は悲しい。彼の監督としての評価は別として、これまでバルサのために全力で尽くしてきてきてくれた人のサヨナラ会見は誰であろうと悲しい。しかも、これで監督生活は最後となるであろう男の心意気が伝わってくる記者会見だった。いまだに己の可能性を信じている人の言葉が、心に深く染みこんでくる。本当に、本当に、悔しかったんだろうなあ。機会があればシッチェスで一緒に水でも飲みましょうバンガールさん。いや、本当に。

アディオス・バンガール!
スエルテ・バンガール!
2003/01/28)


俺たちを救ってちょっ!

“もう1試合監督”指揮下のバルサの練習風景というのは、これまで2、3回しか見たことがない。それも第一次政権の最初の年に見ただけ。理由はいくつかあって、例えば、彼が来てから練習場を取り囲む金網に幕を張ってしまったので暇人には練習が見にくくなったこと。あるいは選手一人一人に注意するときに、真上から見下すように、しかもツバが飛ぶのがわかるぐらいにドデカイ声で怒鳴っている風景があまり好きになれなかったこと。そして練習内容そのものもクライフの時代に比べて面白さがなかったことなど。

それでもテレビでは少なくても5分とか10分ぐらいの練習風景が毎日のように見られる。今シーズンの彼の指導方法は、まさに前回の時と同じように“つば吐き”指導で、怒鳴り散らしている風景ばかりだった。でも今週の練習風景は明らかにこれまでと違っている。バンバンがバンバンでなくなっちゃったんだ。

今週見たバンバンはチョイと違う。選手たちが走ったりボールを回したりする中を、彼だけが後ろに手を組み、頭をガクッと下げ、芝を見ているのか見ていないのか、とにかく練習グランドをウロウロと何かを考えてながら歩いている感じの風景が多かった。もう怒鳴りもしないし、ツバも飛ばさない、上からも選手を見ないし迫力の欠片もなきバンバンの姿。これはいやらしいテレビカメラマンのいたずらか、あるいは編集者のいたずらかも知れない、そう思っていたら、昨日聴いていたラジオの練習観戦記者も同じ練習風景を語っていた。どうしちゃったのバンバンさん?

彼から、かつての存在感がなくなってしまっている。監督としての存在感も同時に失われてしまっているのかも知れない。そうだとしたら、今日のセルタ戦はこれまで監督を必死になって擁護してきた選手たちが主役とならなければならない試合だ。勝利すれば彼らの勝利、そして負ければ彼らの敗北。この状況をむかえているのは監督の責任ではなくて、すべての選手の責任と言い続けている彼らが、もし今日の試合に負けたらみんな坊主になろう。少しぐらいは責任感を物理的に表してみよう。もういい加減チャビとかデ・ボエルとかの“責任論”は聞き飽きたから、君たちももう少し責任というのを具体的に見せてみよう。そして存在感がなくなった人は監督を辞めることも忘れずに。

さてさて、今日の試合の後にはどんなアトラクションが見られるのでしょうか。そして明日のバルサはどうなっているのでしょうか。試合だけではなく何かにつけてファンを退屈させない魅力的なバルサだけど、こういう二流のドラマは一度はいいけれど何回も繰り返すと飽きがくる。だから早いところスッキリしましょう、会長さん、監督さん!お願いだから。
(2003/01/26)


残るは2日となりました

今日はもう金曜日。我らが監督は依然として“元”も“過去”もつかずにバルサ監督としていらっしゃいます。ということはあと2日と迫ったセルタ戦にはこの監督は現役監督としてビーゴに行くことは間違いない。やはり週中でのドラマは起きなかった。

さて、もしセルタ戦に負けるようなことがあったら、それはそれは間違いなくサヨウナラとなるでしょう。それは100%間違いないところ。そしてもしあのマジョルカ戦みたいに何かの拍子で勝ってしまったら、その場合は、そう、何と言ってもわけのわからん会長がいるだけに、セビージャ戦後やバレンシア戦後に決断できなかった会長だけに、現監督残留というのは更迭の可能性より強そうだ。そしてもっともスリリングな結果、それは引き分け。そう、引き分けたら一体どうなるんだい?

今から1年ぐらい前に、レシャックがほとんど窒息寸前の状態でテネリフェにわたり、思わぬ0−6という結果で大勝してしまって首がつながったことがあった。あの時に噂されていた、というよりは噂以上にほぼ決定間近となっていた恐竜メノッティは、あの大勝でバルサ復帰は実現しないことになりアルゼンチン残留。そしてわずか1か月前、この試合でいよいよバルサ当時監督も終わりだろうと見られていたマジョルカ戦に、エトー君はじめいろいろな人の協力があって0−4で勝ってしまった。ここでもやはり噂以上の存在だったビアンチも最終的に飛行機をキャンセルしてアルゼンチン残留。

今回、我らが監督の代わりに予定されている人々はほとんどがスペイン滞在だ。へレスに住んでいるシュステル、多分マルベージャかマドリッドあたりに住んでいるアンティック、そしてミニエスタディに住んでいるキケ・コスタス。キケ・コスタスの場合なんか移動費がタダだ。バルサは経済的に苦しい時期をむかえているっちゅうから少しでも経費が少ない方がいい。

バルサもう1試合監督は、自分で辞めると言っちゃうと退職の際に貰えるお金がかなり少なくなってしまう。そしてバルサは彼を首にすると3年分の年俸を支払わないといけない。何でもその金額は400万ユーロとか600万ユーロとか言われている。それはもったいない。だから一つ提案。バルサの監督をキケ・コスタスにしてほんのチョット年俸を上げてあげる。そして元バルサ監督はバルサBの監督をさせればいい。企業内の人事異動というか、クラブ内の職場変更だ。こうすればゼニはあまりかからない。

でもって、チャンピオンズの試合にはこのトーナメントで幸運なところを見せているバルサB監督を一部チームに戻すというのも良いかも知れん。我ながら妙案だ、これは。
(2003/01/24)


バルサがとる道

バルサがとる道は一つ。ガスパーが今シーズン終了次第会長職を辞任することを今すぐ発表し、バルサもう一試合監督を1秒でも早く更迭すること、これしかない。

一昨日の試合後にカンプノウ正面スタンド入り口で起きた“暴力事件”、それはドアや壁をメッチャクチャにした破壊行為であり、プレスの車をデコボコと気持ちよく破壊した事件。一部の興奮しまくっちゃったアホファンがやったことで決して肯定でききることではないけれど、基本的なとことでは納得できることもある。
「バルサSi、ガスパーNo、バルサSi、バンガールNo」の叫び声が何百人というソシオによって緊急会議とやらをやっている選手控え室に向かっておこなわれていた。プレスの車を壊したのはガスパー・バンガール政権を擁護してきたことへの怒りの表明だ。

会長選挙は中途半端な時期ではなく、早い予告をおこなってのシーズンオフが理想的。だからガスパーは一刻も早く辞任を表明し、今年の7月選挙を発表すべきだ。そしてバルサもう一試合監督は、セルタ戦を待つまでもなく更迭すべきだった。もっと言ってしまえばセビージャ戦の後に更迭すべきだった。地元カンプノウでああいう雰囲気のもとで試合をしなければならない状況は一試合でも早く避けなければ。いまさら彼が良い監督だとか悪い監督だとかを論議する問題でもないだろう。あの人がいる限り、そしてカンプノウで相手チームがリードする状況が生まれるたびにああいう風景は続くことになる。地元有利が地元不利になるような状況は今すぐ避けなければ。ただでさえアウエーでは勝てないチームなんだから。

帰りのバスの中で一緒に試合を見に行った人と話していたことは、これでハッセルバインの獲得発表が明日になるのではないかということ。試合前にはほぼ決定的だったんだから、敗戦の翌日によくやる”ごまかし作戦”がいよいよ実行に移されるというのが常識的な発想というもんだ。だがバルサは誰もとらないということにしたという。ガスパーは奥が深い、一般的なファンには想像てきないものを持っている。もちろん否定的なものばかりだけれど。

でもよく考えてみれば、もともとハッセルバインの獲得に反対していたクラブ首脳陣だというから、バンガール継続の条件として彼をとらないとしたのではないかな。もしセルタ戦に負けるようなことがあれば、今度こそイッチャウであろうバルサもう1試合監督だから、今さらハッセルバインなんかいらないのだろう。何日か前に「今年もとりあえずその日暮らし」と書いたけれど、本当に今シーズンだけにしてくれればミッケモンかも知れない。
(2003/01/20)


カンプノウへの道のり

チームの調子や雰囲気が良かったりする時はカンプノウへたどり着く時間がやけに短く感じるもので、実際は25分かかる道のりがそれこそ5分ぐらいの感じだ。もちろんチームの状況がその正反対の場合は、かかる時間に感じるものも正反対となってしまう。だから今日なんかは、そう、3時間ぐらいかけていく覚悟をしないと。

バルサは現在9位。当然ながら上には8つのクラブが控えている。レアル・ソシエダ、レアル・マドリ、コルーニャ、ベティス、At.マドリ、マジョルカ、セルタ、そして今日当たるバレンシア。来週に対戦するセルタは別として、9人相手のマジョルカに勝ったのを唯一の例外として、残りのクラブには順位が示すようにどこにも勝っていない。順位が下の、比較的弱いクラブにも勝てる保証はないバルサだけれど、上位に位置する強いクラブには勝てない保証が付いているバルサです。それだったらなにゆえこんな試合を見にいくんだろう、とは考えないバカなバルセロニスタ。
“勝負はやってみなければわからない”
地元カンプノウでの試合でありながら、弱者がよく吐きそうな言葉を唯一の希望として、いざ、カンプノウへ。

監督がどんなに理不尽な野郎であれ、どんなに納得のいかない試合展開を画策しようと、そして本来はグランドを走り回っていなければならない何百万ユーロもする選手たちがベンチにいようと、あるいはグランドにいるのは街でよく見かける肉大労働者ばかりであろうと、いざ、カンプノウへ。

“勝負はやってみなければわからない”
今日のモットーはこれだ。
(2003/01/18)


ファン気質、メディア気質

どこの国でもそうだろうけれど、メディアというのは世論操作機関紙であると同時に、売れなければやっていけないから読む人の興味を抱くような記事を載せないと生き続けられない。それはスペインの中の新聞やテレビやラジオも当然そうなわけで、カタルーニャにあるメディアも例外とはならない。でもそれぞれ微妙な違いは当然ながらある。

マドリのソラーリ選手が、誰しもが望まないような状況にいま置かれている。ロナルド移籍の“エサ”にされていたのはもう昨年の夏に明らかとなっていて、移籍料600万ユーロと査定された彼がロナルド移籍料の一部となるわけだ。プロの世界の話しであり、それも超ビジネス産業であるフットボール世界の話だから、こういう“人身売買”的なことはどこのクラブでもよく見られる風景。

マドリの選手の話でありながら可哀想だと思うのは、インテルが提出しているソラーリの年俸のオファーがマドリが支払っているそれの半分近くのものでしかないこと。そしてこのオファーを断りマドリに残ることになれば、今の彼の状況のように、そう、試合に出場できないばかりか召集さえされない状況が続くことになる。選手に対するこの手のプレッシャーはマドリ首脳陣やバルダーノが得意とするもので、バルサに来たときのガッツの状況や、かつてカシージャスの契約更改の時もそうだったし、今はソラーリだけではなくカンビアッソでさえ契約更新問題でもめていて、いつの間にか試合に出場できなくなっている。

ソラーリ問題、カンビアッソ問題、これらがもしバルサで起きたとしたら、それはそれは凄い勢いでのメディアからの大攻勢が続くことになるのは火を見るより明らかなこと。クラブ首脳陣の冷酷さと、クラブ職員と化している監督に対して“無能”扱いするだろう。

バルセロニスタはクラブ批判は強烈にするが選手個人への批判はどこよりも少ない。カタランメディアも毎日のようにクラブ批判や監督批判をするが、選手批判はほとんどおこなわないというのがここのしきたりとなっている。だがマドリメディアはちょいと違う。バルサ全盛期のクライフの時代にも、マルカやアスはマドリというクラブへの批判はほとんどしていない。マドリッドではクラブ批判は御法度なのかも知れない。マドリディスタもクラブ批判の声を聞くのは嫌いなのかも知れない。

というわけで、ソラーリが抱えている状況やカンビアッソが抱えている状況は事実のみ伝えることで済ましているマルカやアスなどのマドリメディア。バルサのニュースならこれでもか、とばかり突っ込んで追及してくれるメディアなのに、己のクラブに対しては火の粉はまきません。
(2003/01/16)


セルジ・ロペス

1988−89シーズンにクライフが監督に就任してきた年にカンテラから上がってきた選手の一人にセルジ・ロペスという名前の選手がいる。かすかながら覚えていることは、セントラル不足のバルサにとって将来を期待された大型新人というようなふれ込みだったような気がする。ただ資料がないので細かい数字はわからないけれど、クライフバルサではそれほど試合に出場するチャンスに恵まれてはいなかった。カンプノウで見たのはわずか2、3試合の記憶しかない。

バルサBで活躍してから一部に上がり、多くの関係者から期待された彼だが残念ながら負傷に泣く。アンダー21にも常時召集される選手でありながらケガの多い選手だった。クライフバルサとなってからの最初のリーグ優勝となった1990−91シーズンにも彼の名前が残っている。だがいつの間にか彼の名前は消え、気がついてみればサラゴサへと移籍することになった。そして最後には、いつのことだか知らないけれど、当時は二部のAだかBのガバというクラブで選手生命を終えているようだ。

いずれにしてもこの選手のことに関する資料はほとんどない。一部クラブで派手に活躍したわけでもないし、スペクタクルな何かをした記録もないからしかたがない。この世界でよくある“将来を期待された選手”の一人として、だがいつの間にかその存在が忘れ去られていく選手となる。でも彼の名前が再び登場したのが1997−98シーズンが始まる前。つまりバンガールがバルサの監督として就任した年だ。

彼の弟がバルサBでプレーしていた。その弟の活躍ぶりに目をつけたバレンシアが年俸1億という凄いオファーを出し、その頃には弟のマネージャーとなっていた彼がバルサに残りたいという弟を説得して移籍させる。先のことはわからない世界に生きてきた兄の思いやりだったのかも知れない。そしてその決断がよかったのか彼の弟はヨーロッパの大会で大活躍し、一躍名が知られる選手となった。ジェラール・ロペス、スペイン代表の将来を、あるいはスペインリーグの将来を担っていく一人の若者の登場だ。

とまあ、ここまでチョット気取って書いてみましたが、負傷するということが“血筋”や“遺伝”であるということを言いたかったわけではもちろんなく、そんなものとは関係なく同じような運命を抱えながらも成功するであろうジェラールに期待して、そしてついでにお兄さんのことにも触れただけです。

ナマヌルイ試合となったマラガ戦のことはもう忘れてしまったけれど、ジェラールが交代する時のシーンはなかなか忘れられそうもありません。もうプレーできないことがわかっているのに交代したくないという感じの彼の表情。あれはドラマでした。
バモス!アニモ!ジェラール!
(2003/01/14)


すっきりせんなぁ

上の方を何気なくを眺めると、首位のソシエダまで15ポイント、マドリまで14ポイント。まことにもって中途半端なポイント差ではありませぬ。それでもチャンピオンズ参加最低ラインまで6ポイント、UEFA戦いただきまで4ポイントというのを見ると少し気が休まるけれど、こんなことで安心するようではバルサも落ちたもんになっちゃう。そしてまたまた何気なく下の方を覗いてみると、二部降格ラインに入っている18位のラージョとはわずか4ポイント差。これは笑える。顔が引きつってヒクヒクと笑える。

今シーズンのバルサにとって唯一明るい材料となっていたチャンピオンズの試合がない1月だから、このリーグ戦での厳しいというか、寂しいというか、とにかく悲惨な状況だけが目の前にあらわれることになるバルサだ。マジョルカ戦で奇跡の勝利をあげ、最下位のレクレ戦では予定通り勝利したというものの、気分的には少しも盛り上がらないのはしょうがない。奈落の底に落ちるのが避けられたというだけで、相変わらず危なっかしい塀の上を歩いているような感じ。どっちの方向に落ちたとしても暗い暗い地獄への第一歩だ。

もし今日のマラガ戦に勝つことがあるとすれば、少しはバルサの状況を変えてくれるものになるような気がする。明日はどうなるかわからない“その日暮らし”のバルサが続くとはいえ、もし勝てば快進撃の道が少しは明るく照らされることになるかも知れない。そしてそういう想いがこれまで何回も裏ぎられてきたのも事実であります。

1年半ぶりの3連勝という結果をだすのは、そう、何といっても1年半もできなかったことなんだから、非常に難しいことなんだろう。たかが3連勝、されど3連勝、アア〜、ちょうだいっ、ちょうだいっ、ちょうだいってばあ3連勝。
(2003/01/12)


ジェラールはナダールになれるか?

ジェラールのセントラル起用というアイデアが、良いと思うか悪いと思うか、気に入っているか気に入らないか、バルセロニスタの間で大きく意見が分かれている。もし彼がそのポジションで続けてプレーすることになるのなら、そのうち結果がわかることになるだろうけれど、いずれにしてもこういうケースは良くあることだ。

チャンピオンズに優勝した年に入ってきたのだからあれは1991−92シーズン。マジョルカの監督をしていたセラ・フェレールが見つけたナダールという選手がマジョルカでセントロカンピスタとして大活躍。中盤からの強烈なロングシュート、ヘディングの強さを売り物にしてバルサに入団してきた。でも1年目ということもあったし、バルサには中盤には素晴らしい選手がいたこともありナカナカ出番が見つからず2年目に突入。この年は中盤の選手として最初の年より出番が増えてきたような記憶がある。そしてクライフは次第に彼を後ろに下げていく。気がついてみればセントラル・ナダールとなっていた。

あの時もバルセロニスタの間で大きく意見が分かれた。ナダールは中盤でこそ生きる選手、いや、彼の体型からして上のボールにも強いし、そしてボールを前線にだせるテクニックも持っているからセントラルがあっている、そう、だいたい今のジェラールに関してと同じような意見で二つに分裂。それが一つの解決を見たのは半年後ぐらいだったか。ナダールであれジェラールであれ、時間をかけて判断しなかければならないのは当然だろう。

ほんのチョットの試合出場で選手の力を図るのはバカげたことだ。今のバルサを見ても、サビオラが後半30分で活躍するタイプの選手でないことは明らかだ。ロマリオと比べてはカリオカのお兄ちゃんに失礼になるだろうけれど、ロマリオにしてもマラドーナにしても90分使い切ってナンボの選手。サビオラもさることながら、こういう状況しか与えられないでバルサを去っていく選手、そう、最近ではジェオなんかは個人的に同情してしまう。彼が、サイド攻撃では唯一といって良いぐらい一対一の勝負ができるのに、15分では何もできない。少なくても5試合ぐらい続けて使わなければ、本来の力はでてこない。

バルサにはそんな余裕はないと言う人もいるだろう。でもそういうテストもしなくて今の状況を迎えているバルサの状態を考えれば、ずいぶんと無駄な時間を過ごしてきている気がする。メンディは慣れないポジションでいつの間にかすり切れてしまい、サビオラに至ってはゴール前に到着する瞬間にはすでにゴールの嗅覚エネルギーは守備エネルギーの消費で使い果たしてしまっている始末。そして気がついてみれば二人とも干されてしまっている。

ジェラールが使い捨てにならないことを期待しよう。カンプノウに駆けつけるバルセロニスタは彼らの“バルサ”を見に行くのであって、決して好きな選手を見に行くわけではない。それでもやはりお気に入りの選手がでているのといないのとでは当然ながら雰囲気は違う。とりあえずジェラールを長い目で見て、そして1日でも早くリケルメやサビオラがスタメンで見たいのだよ、少なくても個人的にはね。
(2003/01/10)


アスタ・ルエゴ、ジェオ!

これまで何回もオーベルのことに触れてきたから今さらグタグタ言いたかないんだけれど、どうも話題のタネになりやすい男のようだから久しぶりにヤツを登場させよう。

9人相手のマジョルカに勝ち、最下位のレクレに地元で勝利し、今シーズン2回目の2連勝という、今のバルサにとっては大進撃と言っても言い過ぎではない状態になったと思ったら、何やらオーベルが男っぽいことをしゃべっている。
「マジョルカ戦前に我々は勝利を誓い合った。監督を辞めさせてはいけない。我々自身でどうにかしてこの状況を突破しなければならないと思った。そして我々は2連勝して“根性”のあるところを証明したと思う。」

なに言ってんだかね、このオッチョコチョイ兄ちゃん。そんな調子に乗っていうほどのことでもないだろうに。たかが9人相手のチームに勝っただけだし、一昨日の試合なんて二部に両足突っ込んでるクラブ相手じゃねえか。そのセリフは次のマラガ戦に勝ち、バレンシア戦に勝ち、セルタに勝ってから言って欲しいもんだ。そう、せめて5連勝ぐらいしてから言って欲しいもんだ。この男はなあ、何と言っていいか、憎めない選手だしやたら人気がある選手だけれど、個人的には何の期待もしてないしこれからも期待しないだろう選手。今のオーベルだったら後半15分ぐらいにでてきて試合のリズムを変えてナンボの選手に過ぎない。

アーセナルのオーベルはまったく知らないけれど、アヤックスのオーベルならかなり知っている。あれがオーベルだ。でもバルサに来たオーベルはもうオーベルであってオーベルではない。ライン際を走ってナンボの選手がやたら中に入ってきてはいけません。縦のラインの行き止まりまで行ったら、今度は横のラインに沿って右に走ってこそオーベル。センターリングは下手なんだから、できるだけゴール枠近くに、それもゴール前ではなくゴール横に走ってこそオーベル。シュートなんか間違ってもしていはいけない。

本来ならオーベルと反対側でプレーしているはずのジェオがベンフィカに行ってしまった。残念だけれど、このままバルサでやるよりベンフィカに行った方がプレーチャンスはあるのだろう。オーベルと違って人気のないジェオだが、個人的には非常に期待していた選手であるし、今でも期待している選手。昨シーズン、負傷から戻ってきた彼をレシャックは何で5試合ぐらい続けて使わなかったのだろうか。ジェオは彼が連れてきた選手であるなら、もう少し彼に賭けてもよかったんだ。もっともバルサ当分監督は「ジェオに期待している」なんてシーズン前に言っていたけれど、まあ、バルサ当分監督の言うことは前からあてにならないからいまさら文句は言わない。

とにかく可能な限りのプレーチャンスをカマッチョにもらって、期待通りのジェオとなって来シーズンのバルサに戻ってきて欲しい。その時はジェオを信頼する監督が来ていると最高だ。アディオスは必要ない、また来シーズン、ジェオ。バモス、ジェオ。スエルテ!
(2003/01/08)


プレゼントいただきました

個人的なところでとっても嬉しかったことが二つ。一つはこれまでミニエスタディでしか見たことのなかったイニエスタがいよいよカンプノウに登場したこと。そしてもう一つ、それは今シーズンが始まる前の“私が監督”特設コーナーで、理想メンバーとしたジェラールのセントラールが実現したこと。この二つ。おっとお、そうそう、バルサが勝った嬉しさはいつものことだからそれは特別なこととはしない。

これまで何回もブツブツ言ってきたように、イニエスタにとってミニエスタディはすでに小さい容器という感じだった。昨日見たカンプノウ・イニエスタは彼にピッタシのスタディアム。レシャックにもう少し根性と勇気があれば去年にデビューしていなければならない選手だったと今でも思っている。

たいして仕事がなかったとはいえ、ジェラールがほぼ完璧に90分プレーしたのが嬉しい。バルサ当分監督に対して今でも批判以上のものがあるけれど、ここら辺の選手のやりくりは誉めておこう。個人的に今のジェラールの最高のポジションはセントラールだと思う。彼のお兄さんのセルジがクライフ時代にあのポジションをやっていたけれど、やっぱり血筋というヤツだ。前で使うよりこのポジションが最適だと思う。もしかしたら第二のベッケンバウアーになっちゃうぞ、というのはチョット気が早いか。

クルービーにあった何百回というゴールチャンスや、モッタにあった何十回というゴールチャンスや、チャビのペナルティーが決まっていたり、ゴールポストに3回もゴールを邪魔されなかったら、ゆうに20点は入っていた試合。それがたったの3点で終わった結果となってしまったけれど、でもまあ、それはヨシとしよう。とにかく3ポイントだけが重要なバルサだから。

二部降格に両足を突っ込んでいるレクレ相手といえど、試合に勝つのは嬉しいこと。勝った時ぐらい素直に楽しんでおかないと損しちゃう。これからも“その日暮らしのバルサ”は続くだろうけれど、とりあえず昨日はプレゼントをもらった日だから良い日。そしてもうクリスマスが終わった1週間後のマラガではどんな日になるか予想もつかないバルサが続く。
(2003/01/06)


今年もとりあえずその日暮らし

バルサ当分監督はまさにビックリ箱だ。試合前日の彼の記者会見を聞いていてそれを苦々しく再確認。

この段階で、つまり折り返し地点を過ぎてもいない今の段階で、首位に16ポイントも離されているバルサは記憶にない。マドリに11ポイント離されているのも記憶にない。10位という二桁の数字がつく位置にいるのも記憶にない。これほど最悪な順位にいるバルサを経験したことがない。つまるところ、個人的にはバルサは最悪の状態にある。それにも関わらず、そう、それにも関わらず、これまでの試合でバルサより優っていたのはソシエダーとビジャレアルだけだったと語るヤツの精神構造はまさにビックリ箱だ。それもナイフやヤリが飛び出してきそうな危険なビックリ箱だ。

遙か昔にオランダのとある有名なクラブで何か価値ある実績を残した監督であり、その後バルサではカンプノウで見るとワクワク感を何にも感じない試合をしながらも、なぜかテレビで見るとそれなりの試合を指揮していた3億もの高給を取っている監督だ。それなりに“一流”なのだろう。何回もビデオを戻したり先に進めたりしながら出した結論がそう言わせているのかも知れない。でもコヤツの意見に納得する輩が果たしているのだろうか。

子供だましの敗戦理由なんかどうでもいい。それだけ良い試合をしながら今のような位置にいることを大人用に説明して欲しい。偶然というのは15試合も重なるものではないことぐらい子供でもわかると思うのだけれど、ヤツにはわからないのだろうか。つまるところマジョルカ戦に勝利しようが、新しい年が明けようがバルサは何も変わっていない。今日の試合に6−0というスコアーで勝利しようと基本的なところは何も変わらない。試合での勝利は一時的に気分を良くしてくれるが、だからといって何かが変わっるわけでもない。

At.マドリ監督のルイス・アラゴネスがバルサとのシーズン開幕戦前に語っていたことを思い出す。
「プレステージのバルサを見ている限り、このチームはサイド攻撃に弱そうだ」
それはAt.マドリ相手との初戦から去年の最終戦となった9人相手のマジョルカ戦まで一貫していることだ。毎試合毎試合システムが変わり、スタメン選手が変わり、選手のポジションが変わり、そして変わらないのはバルサ当分監督の持っているノートとお粗末な攻撃スタイルだけだ。誰がどう間違って理解したのか、非常に攻撃的なフィロソフィーを持っているという評価がいまだにあるバルサ当分監督だが、そんなメッキはとっくのとうにはがている。でもそんなことより問題なのは、バルサというチームに自らの戦いのスタイルがないまま相変わらず相手次第でどうにか戦っていこうという姿勢だ。

この4か月、バルサは基本的には何も変わっていない。クラブ理事会、特にガスパーに対する批判や新監督に対する不安はシーズン前と同じかそれ以上だ。そして今年もその日暮らしのバルサが続くことになる。今から覚悟しておこう、ひたすら忍耐と我慢、我慢と忍耐となる2003年のバルサだ。
(2003/01/05)


年末も何となくバルサ色

HPの更新が必要ないとなると、インターネットの世界にもサヨウナラ。小さな画面を通して伝わってくる情報なんて、まあ、そんなもんがなくても日常生活には変化がないし、せめてフットボール・バルサがクリスマスに入っている間ぐらいはバルサと離れ、もう少しインテリジェンスに生活しようを心がける。まだかすかなインクの香りがする新聞を普段より多めに読んだり、少々かための本の読書生活。

ところがHP更新をやめた翌日に、クラブから“ドリームチーム”と題するクライフ時代の特集本が送られてきてしまった。A4の大きさで重さを計ったら2.5キロもある重たい本。これがなかなか面白そうなんだな。というわけで当初予定していた“亡命スペイン人”という、元社会党副書記長のアルフォンソ・ゲーラという人の書いた本を読むのを止めて、クライフ時代に突入。やはりカラー写真付きの本は楽しい。

何気なく見たテレビ画面からは、あるクラブの会長がファンに白ハンカチを振られていた。その数約5千枚。降られているのはマドリ会長のフロレンティーノ。バスケを見に来ていた彼が、マドリが負けた試合後にマドリディスタから一斉の白ハンカチ。今年のバスケ・マドリはどん底だ。地元でも勝てなくなってきている。会長さんはどこでも大変です。ざま〜みろ〜。

そしてその翌日、カナル+というテレビ局が毎年この時期に主催するフットボール7(7人でおこなうフットボール)の決勝戦。大体インファンティルカテゴリーの少年が出場する試合だからみんな12、3歳。出場クラブはバレンシア、アヤックス、At.マドリ、インテル、マンチェスター、ビルバオ、PSG、マドリ、バルサ、そして今年の会場となっているラス・パルマスチーム。決勝戦は予想通りバルサ対マドリのミニクラシコとなった。昨年はバルサが優勝していて、今年も本命。でもなあ、負けちゃったんだマドリに。内容は圧倒的に良かったバルサがラッキーゴール一発で沈められてしまった。ワイワイガヤガヤ泣いちゃう少年たち。な〜に、来年があるさ。と言ってみても、くやじ〜い。

そしてその翌日、バルサのハンドボールチームはアソバル・カップ(国王杯みたいなもの)の決勝戦を、たまたま今年の決勝戦会場となっているバジャドリでバジャドリ相手に戦う。これまで5年連続優勝しているバルサだけれど、この日はアウエーみたいな決勝戦になったせいかバジャドリのクラブ創立以来初の優勝をかっさられてしまった。う〜ん、これも非常にくやじ〜い。

そしてさらにその翌日、マドリでマドリ対バルサバスケットのリーグ戦。危機を迎えているマドリはこの試合に負けると非常に厳しくなる。今のバルサフットボールみたいになってしまう。ぜったい勝たなければならないマドリ。でも負けましたね、やはり弱いチームは強いチームに負けるんだ。さま〜みろ〜。

と言うわけで、やはり年末もバルサカラーとなってしまいました。
そして年も明けて、今年もヨロシクです。
(2003/01/02)


迎 春