選挙日までの道

4月24日付の“今日の一面”にあった次の文章は誤りがあることを発見。「すでにクラブ理事会解散後の“選挙委員会”メンバーも決定している。この責任者にはこれまでクラブ経済部門を担当していたジョセップ・トライテル、そしてカタルーニャフットボール連盟会長のジャウメ・ロウラが務めることになる。」
“選挙委員会”ではなくて“臨時理事会”としなければいけなかった。失敬、失敬、というわけで、クラブ臨時委員会と名が付く以上、当然ながら会長職が臨時とはいえあるわけで、その会長がジョセップ・トライテルさんということになる。ということは、今シーズンはバルサに4人の会長が登場する歴史に残るものとなるんだろう。ガスパー、レイナ、トライテル、そして遅くても6月22日には選ばれる新会長さん。

選挙は6月22日になる可能性が最も大きいようだ。今の会長とその理事会が5月5日に解散するのに何で選挙日までそんなに時間がかかってしまうのか。いろいろ調べてみると、会長を選ぶための“選挙法”というのはなかなかややっこしくできている。

5月5日に“ソシオ代表委員会”にて現理事会が解散宣言をする。そしてその翌日にでもトライテル・クラブ臨時会長のもとに新たなクラブ臨時理事会が結成されることになる。最少11人から最大22人からなる臨時理事会。そしてそれから2、3日し、初めて選挙公募がなされ会長選挙へと突入することになる。したがって選挙が現実味をおびてくるのは5月8日あたりからとなる。選挙公募がおこなわれてから4、5日以内に“選挙委員会”が結成され、その選挙委員会の人たちがソシオ有権者数の発表をおこなうまで、それからまた1週間程度待たなければならない。ここらへんが書いている自分にもよくわからないところだけれど、とにかくそういうことらしい。そして会長立候補者のプレゼンテーションがおこなわれるのが5月の末か6月の最初。

何人の人たちが会長候補に出馬することになるかわからないけれど、いずれにしても彼らが“正式”な立候補者となるには全ソシオ数の1,5%の数の“この人を推薦します!”署名が必要となる。つまり1500人から1600人程度のソシオの署名が必要となる。その署名が揃って初めて正式な会長立候補者となるわけだ。

選挙戦は最低1週間と決まっているらしい。そして選挙の日は週末であること、そしてカンプノウで試合がある日が“望ましい”とされている。するってええと、一番早い週末は6月8日の日曜日。でもこの週は代表の試合の影響でリーグ戦は休み。次の週末はバレンシアとのアウエーの試合。したがってカンプノウで試合がおこなわれる日を選ぶとすると、リーグ最終戦のセルタ戦の6月22日ということになる。ひょっとしたらUEFA圏内突入をかけての壮絶な戦いとなるかも知れないのでソシオの投票率は上がるかもしれないという“おまけ”付きの選挙日だ

でも実はこの日も問題がありそうだ。なぜなら6月23日・24日はサンフアンのお祭りがあり、カタルーニャ地方は6月21日から24日まで4連休になる。ということはほとんどのソシオは旅行に出かけちゃう可能性がある。う〜ん、一体いつ選挙をやるんだろう?
2003/04/30)


5月5日は子供の日

スペインリーグに所属するクラブの中で、バルサはこれまで選手や専門スタッフに給料遅配とか給料未払いという問題がいっさい存在しない唯一のクラブ。そんなバルサでも、他の多くのクラブと同じように経済的に苦しい時期を迎えている。それはメディアが伝えることや、元・現を問わずクラブ理事会の人たちが語っているところを聞くと間違いのないことらしい。でもどれくらい苦しいのか、どれくらいの借金があるのか、今シーズンどのくらいの赤字となるのか、そこまでは誰もわからない。わかっている唯一の人物、それは会長さんだけだ。

来シーズンからこれまでの倍以上のテレビ放映権が入ってくると言ったってそれは別に経済的にうまくいっているという意味ではなく、一つの確かな収入源が確保されているということしか意味しない。土地がどんなにあろうと、それはソシオの財産でありクラブがかってに必要以上に売ることは“クラブ規則”が許さない。果たしてバルサにはどのくらいの借金があるのか。現在のクラブ理事会に敵対するクライフ派の人たちが語る数字と、味方と言っていいヌニェス派の人たちが語る数字では一桁も二桁も違う。

そしてそれが具体的な数字となって発表されるのが5月5日の子供の日だ。ソシオ代表を前にして現理事会が解散を宣言し、新会長選挙日を決めるための“ソシオ代表委員会”が5月5日におこなわれる。この場でレイナ会長は現在のバルサの財政状態をソシオ代表たちに発表する義務があるからだ。

ところでこの“ソシオ代表委員会”というのはよくわからない委員会。この会合に呼ばれるソシオ代表というのもよくわからない。聞くところによればソシオ番号が古い順番に抽選で選ばれる“ソシオ代表”さんたちらしい。これまで何回かテレビ画面を通じてこの委員会の風景を見たことがあるけれど、80歳代や90歳代のおじいちゃんやおばあちゃんばっかりで、ところどころ二代目か三代目としてソシオを受け継いだのであろう若いお兄ちゃんお姉ちゃんもいることはいる。今回の委員会ではソシオ代表の一人としてガスパーが発言するらしい。ついこの間まで会長だった人が、一人のソシオとして彼と交替した現会長に発言するというのも何かおかしい。

まあ、こういう怪しげな委員会だけれど、いずれにしてもこの日にどのくらいの借金があるのかわかるのだろう。これまでのようにわかりにくい説明じゃなくて、子供にもわかるようにチャント説明してくれることを期待しよう。
2003/04/29)


アディオス! セニョール・カトー

二昔前のスペイン社会で最も有名だった日本人、それは自転車の中野浩一という人だった。ヨーロッパで人気の高いトゥール・ドゥ・フランスみたいなロード選手ではなかったけれど、スピード競技において毎年世界チャンピオンとなっていた中野はそれでもスペイン社会では英雄に近い人物だった。そしてここ何年か、やはりスペインで大きな人気のあるバイク競技に日本人の名前が連なって出てくるようになって、何人かの英雄選手が登場した。もちろん、カトー選手もその一人だった。

彼は“テレフォニカ”というスペインチームに所属していたこともあって、スペインでは非常に人気のある選手だった。かつて80ccや125ccで世界を制覇したスペインの英雄アンヘル・ニエットが彼のコーチをしていて非常に将来を期待された選手でもあった。ニエットはGPバイクの大会があるごとによく言っていた。
「カトーはこれまで見てきた日本人の中で最も才能あふれる選手だと思う。そしてなによりも素晴らしいのは彼の人間性だ。」

そのカトーが鈴鹿で倒れて以来、スペインの新聞で彼の名前が登場しない日はなかったと言っても大げさじゃないと思う。少なくともエスポーツやムンド・デポルティーボには毎日のように彼の近況について触れられていた。少し様態に変化が起きただの、昨日は何の変化もなかったのだの、メディアの彼に対する関心の強さは同時にスペイン人読者の関心の強さも示していた。特に彼と同業者であったりチームメイトであった選手たちのカトーの様態に対する心配のコメントが連日発せられていた。そして、そして、そして、彼の死に対するコメントがなされることになる。

カトーとチームメイトだったスペイン人レーサーのセテ・ジベルナウ。バルセロナ生まれでバルセロナ育ちでバルセロニスタ。彼が土曜日にポールポジションを勝ち取ったあとの涙ながらのコメントが忘れられない。
「空から見ていてくれたカトーにお礼を言いたい。走っている最中、彼が一生懸命自分の背中を押してくれているのがわかった。彼は空から見ていただけじゃなくて、俺と一緒に走ってくれたんだ。」
そして彼らとはチームが違うイタリア人のロッシやビアッジが嬉しそうに彼のところに走ってきて祝福しているシーンが泣かせる。彼らもまたカトーの友達だったんだ。

そして昨日の本番、もう30歳になるジベルナウは生涯2度目の優勝を飾った。ほとんどのメディアが彼の優勝のことより、カトーの勝利として紙面を飾っていた。そして彼はレース後に語っている。もちろん涙で顔をくしゃくしゃにしながらのインタビューだった。
「今感じていることを言葉にすることは不可能。ゴールをトップで走り去ったとき、自分の脳裏にあったものはカトーのことだけだった。この勝利はチームすべての勝利であり、もちろんカトーの勝利でもあるんだ。すべての人々にありがとうと言いたい。彼に、そして彼の家族に、我々としては最高のプレゼントができたことが何よりも嬉しい。」

朝日新聞しか読む機会がないのですが、これまで彼が事故で倒れてから少なくても彼に関する記事はほとんど見かけなかったような気がする。この空気の違いはいったい何なんだろう。
2003/04/28)


“おまけ”が楽しみ

18歳以上にしてソシオ歴1年以上の人なら誰でも選挙権がある会長選挙。この選挙に関するルールはわかりやすいけれど、会長候補の中から誰か一人を選ぶという作業は、これほどあやふやで“当たるも八卦当たらぬも八卦”という感じがするものもない。立候補者の所属する政党がはっきりしているような政治家議員さんを選ぶ政治選挙と違い、何を基準にして選べばいいのか。“無所属”ばっかりだとこれがナカナカ難しい。

スローガンはまずあてにならない。それは前回会長選挙を思い出せばじゅうぶんだ。ガスパーにしてもバサットにしてもスローガンに違いはなかった。曰く、クラブ理事会の“透明さ”を目指す、曰く、クラブ財政の更なる豊かさを追及する、曰く、可能な限りのタイトル獲得を目指す、曰く、会長就任の際には何人かのクラック選手の補強をはかる、etc.etc。そりゃもちろん会長候補の人々がこれらの逆のことを言うわけがない。どんなソシオであろうと、クラブ内の透明さを希望し、クラブ運営がうまくいき、クラック選手がカンプノウで見られて、おまけにタイトルも欲しい。

じゃあなぜバサットじゃなくてガスパーが選ばれたか。それは簡単なことだ。彼は22年間もクラブ副会長としてほぼ毎日のようにテレビ画面に登場してきた人。具体的な選考基準が浮かばないソシオにとって、この知名度はとてつもない選考要素となる。しかもバサットがどんな人だかはほとんどの人々が知らなかった。バルセロナオリンピックを担当した広告屋ぐらいの知識しかなかった。

フロレンティーノが前々回のマドリ会長選挙でサンスに敗北したあとマドリソシオに名前を売り始めたように、バサットも前回の選挙で初めてバルサソシオに名前を知られるようになった。だから単純に考えて今回は余程の思いがけない強力な対立候補がでてこない限り彼は他の候補者を一歩も二歩もリードしている。しかも今回の選挙に立候補しそうな人は、理事会経験者ではなくニューフェイスばかりだ。したがって彼のリードは間違いない。あとは“おまけ”次第だ。

“おまけ”が問題となると思う。会長候補として名をあげるその人物そのものがどうこうではなく、その候補が誰を連れてこようとしているのか、その“おまけ”が問題になる。つまりフロレンティーノ=フィーゴ以来の嫌な感じの政治の再来だ。テクニック・ディレクターに誰をするか、監督候補に誰をするか、そして大きなポイントとしてどんなクラック選手を狙うか、この“おまけ”が問題だ。

ヌニェス政権はは22年間も続いた。それでも任期が切れるたびに会長選挙がおこなわれたので何回も選挙は経験してきている。だが彼に対抗する強力な候補者が一度として現れなかったため、選挙運動も地味だった。でも今回の選挙はけっこう派手にやるんじゃないだろうか。前回の選挙の時のように、街中の人の集まるポイントにそれぞれ候補者が選挙事務所を構え、きれいな姉ちゃんが愛想を振りまいてビラをまいたりするんだろう。さすがに候補者の名前は連呼しないものの、選挙カーなんかも登場するはずだ。

前回の選挙ではバサットとジャウラドの選挙事務所が家から近かったのでそれぞれ行ってみた。両方の事務所でアメをくれた。でも今度はアメ以外に、どんなクラック選手を用意してくれるのだろう。
2003/04/26)


モッタッタッタ

モッタを初めて見たのは、というか初めて見たんだと思うのは、今から3年前のセラ・フェレール時代。もちろんバルサBの選手としてミニエスタディでプレーしているモッタだ。バルサBにしては珍しく背が高く、しかも痩せていてヒョロヒョロとした身体付きをしていてブラジル人にしては色白の選手だな、という印象だった。

彼は1999年にバルサに来ているから、もしかしたらその年にも見ているのかも知れないが覚えていない。この年にサンパウロのチームからセラ・フェレールが連れてきたというから、モッタはセラの置きみやげだ。セラは監督を首になってからクラブを退団するまでいろいろと評判の悪い人だったけれど、まあヒット商品もちゃんとおいていっている。何て言ってもモッタはタダで来ているんだから。0ユーロ。

17歳になったばかりの時に一人でブラジルからやって来た彼はマシア寮に入り、バルサBに所属することになる。つまり彼はバルサ二部のカテゴリーからいきなりスタートしていることになる。バンガール第一次政権最後の年にやって来て、次のセラフェレール時代に一部チームのベンチに呼ばれて、そして次のレシャック時代に一部チームでデビューを飾り、再び戻ってきたバンガールから一部定着を勝ち取り、そしてアンティック時代に少々爆発しかけている選手だ。確実に階段を一歩一歩上っている選手であり、そして急成長を遂げている選手でもある。

187センチ、73キロという恵まれた体格をうまく使ってのヒジテツが彼の秘密兵器の一つだ。まだ選手としては知名度や経験が少ないから審判はヒジテツ・イエロやジダーンのような扱いはしてくれない。だからカードはもらうし退場にもなる。そしてあの手を相手選手の身体や顔に押し当てる感じが誰かに似ているなと思っていたけれど、それはかつてのレドンドのそれにソックリだということに先日気がついた。そしてレドンド二世はバルサBにもいる。ダビ・サンチェス、いくつかのポジションをこなし、現在はモッタと同じように守備的なピボッテの位置でプレーすることが多い。年齢も同じ20歳。

彼らがレドンドと違うところは、ゴール能力も持っていること。ただモッタはバルサBにいる頃より中距離からのシュートが断然少なくなった気がする。枠内にいくシュートも少なくなっているような気がする。それでも多くの部分で急成長を遂げていることは確か。バルサは決してモッタを売ってはいけない。0ユーロで獲得した選手だけに売ればすべてが儲けになる選手だけれど、彼は売っちゃあいけない。
2003/04/25)


さあ、来シーズンだ!

個人的には今シーズンは終了しました。一昨日のユベントス戦でズド〜ンという花火と共に弾け散って今シーズンのバルサは終了です。一つのシーズンはいつかは終わるわけで、今シーズンはチョイと早すぎましたけれどとにかく終わっちゃいました。6位以内に入る義務を果たさなければならないのは、これまでさんざん力の限りチームを応援してきたバルセロニスタではなく選手たちです。いつまでも“12番”の選手に甘えていてはいけません。

それでもUEFAカップなんていう、どうでもいい二流の大会に出場するために“消化試合”をしていかなければならないバルサは惨めです。チャンピオンズがコパ・デ・ヨーロッパと呼ばれていた時代であればUEFAカップもそれなりに面白い大会ではありましたがリーグ4位まで出場できるチャンピオンズがある現在、UEFAカップは超二流の大会となってしまいました。どこの馬の骨ともわからないような、例えばキプロス島の何とかというクラブだとか、フェロー諸島のナントカカントカクラブと対戦するような大会を誰が見に行くというのでしょうか。少なくても年内はそんな対戦が続くことになります。そしてカンプノウは5千人の旅行者で埋められることになります。

確かにバルサはこれまでヨーロッパの大会に一度も欠場したことのない唯一のクラブとはいえ、時代は変わってきています。現在の唯一のヨーロッパの大会はチャンピオンズしかありません。したがって6位以内にも入れずクラブの威厳を保つためにインテルトットの大会に参加しようなんて発想は問題外を越えたところの問題外な問題です。

各シーズンが終了した段階で、そのシーズンの総括なんぞをする趣味はありませんが、各シーズンそれぞれの思い出は残ります。どんなに悪いシーズンであれ、それは今シーズンのような最悪のシーズンであれ、楽しい思い出や悔しい思い出が残ります。クラブが危機を迎えている瞬間、それはそれで思い出深いものとなります。今シーズンは何といっても圧倒的に“白いハンカチ”が主役となったシーズンとして思い出に残るでしょう。

そして心に残る最大のもの、それは何と言ってもユベントス戦となりました。それはまるでアテネでの決勝に敗れたかのような風景がカンプノウに再現されました。いつもはどんな試合であれ試合後には“次の試合があるさ”という笑顔で別れる横に座るタクシーの運転手があの試合では涙を見せていたことや、いつも試合前試合後に挨拶する警備員のおじさんが頭を抱えてしゃがみ込んでいたシーンは忘れることのできないものとなるでしょう。

そう、どんなシーズンであれ思い出は残ります。シーズンは、早すぎるかどうかという時間の問題は別として、必ず終了し心に残る思い出を作ってくれます。そしてどのような状況で終わりを見ようと、いつも生まれるのは来シーズンからの期待と希望です。それが長いことバルセロニスタをやっている、あるいはバルセロニスタとしていられるコツです。さあ来シーズンはリーガ制覇だ!
2003/04/24)


イエローカードはチャビへ

スペインは地方色が強いことで有名だ。エストレマドゥーラ地方に、アストゥリア地方に、アンダルシア地方に、バスク地方に、そしてマドリッド地方やカタルーニャ地方に、それぞれ独自の文化と“オラが地方の自慢”が存在する。そしてフットボールに関しても決してそれとは無関係でいられないように、各地方メディアももちろん無関係ではない。

例えば先日のクラシコに関してもマドリ機関紙であるマルカやアスと、バルサ機関紙であるムンド・デポルティーボやエスポーツとでは試合内容に関して違う総括をすることは別に不思議なことではない。まるでそれぞれ違う試合を見ての総括をしているような雰囲気を与えたとしても不思議なことではない。それでももちろん試合結果に関して事実と違うことは書けないように、基本的な試合の流れに関しても事実と違うことは語れない。
“バルサが圧倒的に押した試合”
それが中央紙、地方紙、すべてのメディアの試合総括が一致した最近では珍しいクラシコの試合となった。

ところが“審判の問題となるシーン”に関してはそれぞれ利益が異なる地方によって見方が違ってくる。

カタルーニャのバルサ機関紙は“今世紀最大の盗賊”としてあの審判を非難している。“今世紀最大の盗賊”かどうかは別として、歴史的にもクラシコとなると審判の判断には“ツキがない”バルサであることは間違いない。ここ最近でもセラ時代のリーボーゴール無効事件、今シーズンのカンプノウにおけるクルービーゴール無効事件、そして今回のメンディゴール無効事件とイエロPK認めないよ事件。さらにジダーン暴力事件も付け加えておかなければならない。

ジダーンがもしレクレとかマラガの選手だったらすでに今シーズン3回ぐらいは何試合かの出場停止処分をくらっているだろう。試合中にカードが出されなくても、試合後に“ビデオ委員会”が彼に処分をだしだであろうことは予想できる。でも彼はマドリの選手だからそれは起きない。かつてバルサがフットボール連盟内に権力を持ち、しかもチームの強い頃はそういう恩恵を受けていた。だが今では連盟内に権力があるどころか対立している最中だし、チームも強くない。だから恩恵は望めない。クラシコを欠場したサビオラが良い例だ。

もちろんマドリ機関紙は審判問題に関しては沈黙を守っている。イエロPKに関してもテレビ全国放送チャンネルでは、あのシーンさえ流していなかった。だがマルカだけは審判問題についても触れている。なぜならあの機関紙には反ヌニェス、反ガスパー、したがって反バルサ現政権のクライフが特別記事を毎週書いているからだ。彼によれはあの審判はほぼパーフェクトに仕事をしたと言う。カタルーニャメディアが何と言おうと、ほぼパーフェクトな仕事をした素晴らしい審判だと語る。

“どうでもいいクライフ”はロベカルにイエローカードが出されなかったことに触れていない。PKのふりをしたロベカルに審判がイエローカードを示していないことに触れていない卑怯者だ。審判が高々と示したイエローカード、誰しもがロベカルにと思ったイエローカード、あれは審判に抗議したチャビへのものだったことをクライフは触れていない。こんなクライフにはでどかいイエローカードをやろう。
2003/04/21)


主導権をとるべきか否か

ラドミール・アンティックがかつてレアル・マドリの監督をしていたことは“バルサ100年史”でも触れてあるし、確かこのコーナーでも触れたことがあるような気がする。ダントツで首位を走りながらもベルナベウには人が集まらず当時の会長であるラモン・メンドーサに突然ながら解雇され、そのおかげでバルサは最終戦で逆転優勝をしちゃうことになるわけだ。

なぜベルナベウに人が集まらず、その少ない観客席に居座るマドリディスタにも勝っている試合中にブーイングを浴びてしまったのか。それを理解するには先日のコルーニャ戦を見るのが一番良い方法だと思う。マドリにしてもバルサにしても歴史的にカウンターアタックを特徴とするクラブではない。したがって選手たちもそういうタイプの選手でないことは当然だ。いつも試合そのものの主導権を握り、相手の選手にボールの後ろを走らせることを特徴としているクラブ。それでも今の状況のバルサなら、試合に勝利さえすればカンプノウ族は満足して家路につく。なぜならアンティックに与えられた任務はスペクタクルなフットボールをすることでもなければ、5−4の試合をすることでもなく、ひたすら、そう、1−0でもいいから勝利の3ポイントを稼ぐことだからだ。

カンプノウで大勝したベティス戦やインテル戦、アウエーのモンジュイクで勝利したエスパニョール戦、これらの試合をじっくり思い出してみれば決してバルサが試合そのものの主導権を握っていたわけではないことがわかる。特に先制点をあげてからは相手に試合の主導権を譲ってしまうことがほとんどだ。ボールをアッチャコッチャへと回す必要はないし、ボールが常に自陣の選手の足下にある必要もない。相手のボールを奪った瞬間に、いかに直線的に攻撃態勢に入れるかどうか、それが問題となるフットボール。そしてこのスタイルのフットボールの基本となるのはプレッシャーだ。ボールを持ってる相手選手や、そのボールを受けようとする選手に対するプレッシャー。これを11人の選手がアンティックの思うとおりにおこなうには2か月のプレステージが必要となる。

これらの試合のボール支配率がどうなっていたか知らないけれど、たぶん相手のチームの方が上だったかも知れない。でもそんなことはアンティックには何の問題にもならない。それでもなお、だ〜から、アンティックはどうの〜こうの〜、と言っちゃあいけない。彼は瀕死の重傷を負うチームを救護しに来た監督であり、1か月も2か月もプレシーズンを利用してチーム作りをしてきた監督ではないんだから。

試合の主導権をとるかどうか、それは試合に勝利する条件とはならないし、リーグ制覇やヨーロッパチャンピオンになる条件ともならない。どのようなスタイルの戦いをするにしても、問題はそれにあったスタイルの選手が揃っているかどうかだ。そしてバルサには、少なくても今のバルサには、コルーニャ戦のような戦いのスタイルを得意とする選手はいない。

さてさて、ラドミール・アンティックさん、クラシコではどのようにするんでしょうか。
2003/04/17)


リーボーマンはどうした?

最近ミランの試合を見ていてもちっともリバルドが登場しない。もっとも、ほんのたまにしか見ないから、たまたまその試合にはでていないのかと思っていたらどうもそうじゃないらしい。ぜんぜんスタメンでは出場していないようだ。

先週末のダービー戦でも試合終了間際にトコトコとでてきた彼は、これまで17試合に出場してたったの5ゴールらしい。そう言えばアヤックス戦でも試合終了間際にでてきていた。彼はアンチェロッティには信頼されていないということなのかどうかはわからないけれど、この数字を見る限りうまくいっていないことだけはわかる。バルサにいた昨シーズンだってお世辞にも良いシーズンだったとは言えないリーボーマンだけれど、チームを移って10億も稼いでこれでは、うん、きっとミランにいるのも長いことではないな。

そう思っていたら今日の新聞に久しぶりに彼のことがでていた。もちろん良いことではなく悪いこと。ペルージャとのカップ戦に関してのものだったけれど、彼はいずれにしてもこの試合に招集されていない。その理由をクラブ側は“ヒザの故障”のためといい、アンチェロッティは“風邪”のためとメディアに発表したという。そう、こういうのはバルサ時代にもあったことを覚えている。監督とうまくいっていない時の典型的な症状だ。

ミランという街の冷たさに合わなかったのか、寒い日が続く気候に嫌気がさしたのか、あるいは“リーボー人生の中に新たに入ってきたオンナ”問題が原因なのか、いずれにしても奥さんはブラジルに帰ってしまった。もちろんバルセロナにいるときはいつも一緒だったリバルディージョも一緒に帰ってしまった。だから彼は一人でミラン暮らしをしているらしい。な〜んも良いことがないミラン生活。バルサに残っていれば、果たしてどうなったんでありましょうか。彼の場合は自分で出ていったというより、バンバンガンガンと追い出された感じだったから何となく気になる。
2003/04/16)


ユーロバルサ大快進撃

ご存知ユーロバルサは敵地でユーベと引き分け、準決勝進出への道を突っ走り中。そしてあの試合の翌日、ギリシャではオリンピアコスというチームがユーロバルサバスケを迎えての試合。もし彼らが勝利すれば彼らがヨーロッパチャンピオンを決めるファイナルファーへの近道へ、もしバルサが勝利すればバルサがファイナルフォーへ一歩前進という重大な試合。

バスケ会場に発煙筒がたかれ、真っ赤っか、煙モクモク、という環境の中でのまさにビジターにとっては気持ちの悪いオリンピアコス室内競技場。地元チームに不利な笛が吹かれると観客席から審判に物が飛んでくる。地元選手ともめようもんなら、バルサの選手に向かってヤジはもちろんツバは飛ばされるは物は投げられるはのとんでもない会場だ。でもユーロバルサは頑張る。とっても頑張っちゃう。そして見事この地獄会場で勝利をおさめ、地元パラウ・ブラウグラーナでおこなわれる最終戦に勝てば念願のファイナルフォー進出が決定する。そのファイナルファーはバルセロナのサン・ジョルディでやっちゃうので、これはヨーロッパチャンピオンになる絶好のチャンスだ。

ユーロバルサハンドボールの方はといえば、これはもう圧倒的な強さでヨーロッパをカッポカッポしている。昨年は国内リーグ優勝を逃しているものの、ユーロバルサとしては9年連続ユーロリーグ決勝戦を戦っている。これはヨーロッパのどこのハンドボールクラブチームでも再現不可能なことだろう。そして今シーズンはフットボールで言うUEFAカップに参加。すでに決勝戦進出を決めているので10年連続ヨーロッパ決勝戦進出を確定した。すごい、ユーロバルサハンドボール。もうこの記録は永遠に不滅です。

そして地味なスポーツでありながらイベリア半島や中南米では人気の高いローラーホッケー。この部門でもすでにユーロバルサホッケーはヨーロッパチャンピオンを決めるファイナルフォーへの進出を決めている。もし今シーズンもヨーロッパチャンピオンになったとしたら4年連続ヨーロッパ制覇というとんでもない記録を達成することになる。

というわけで、バルサプロ部門のユーロバルサは、フットボールだけでなくすべての部門でヨーロッパチャンピオンを目指して大快進撃中。ヨーロッパには残念ながら総合スポーツクラブに関する組織、例えばフットボールでいえばFIFAだとかUEFAみたいな組織が存在しない。もしそんな組織があれば、バルサに対して“ヨーロッパ最高クラブ殊勲賞”みたいなものが贈られるのは間違いない。

そしてフットボール国内バルサに送られるのは、ブーイング、ブーイング、ひたすらブーイング、これっきゃない。
2003/04/15)


カンプノウは解放中

カンプノウ閉鎖問題はクラブが一般法廷に持ち込んだことにより今シーズンは少なくても閉鎖の可能性はなくなってきた。一部カテゴリーに在籍するフットボールクラブが一般法廷に持ち込むことは前例がないこと。だが、かつて二部カテゴリーのクラブがバルサと同じようにスタディアム閉鎖問題で一般法廷に駆け込んでいる。その時判決が下りるまでに要した期間は約半年。FIFAやUEFAはクラブの一般法廷への問題の持ち込みを禁止している独裁政権みたいな組織。だが一般法廷に問題を持ち込んだのは二部のクラブだっただけに、彼らには介入してこなかった。だがバルサは一部のクラブだ。さて、どうなるか。

多分どうにもならないだろう。FIFAやUEFAからの処分は何にもないだろうと考えるのが一般的のようだ。それはバルサが用意した訴えの内容がカンプノウ閉鎖に関する処置に対する異議だけではなく、純粋なフットボール問題を離れたことについても触れているからだ。

一つはフットボール競技委員会や規律委員会、最終的に決断をおこなったスペインスポーツ規律委員会、そしてそれを受けてバルサにカンプノウ閉鎖を言いわたしたフットボール連盟などに対する処置に対しての反論。これは純粋にフットボール的なものだ。

二つめは、その閉鎖処置を即時に実行に移すように命令してきたフットボール連盟に対する反論。それはまだ“異議申し立て”期間が残っているにも関わらずそれを無視した形で命令してきたことに関する反論だ。これは“個人”の持つ基本的な権利を無視した問題であり、法律を無視したもの、つまりフットボールそのものとは離れたものとして取り上げられている問題だ。

そして三つめ、それは閉鎖問題に関して二つの組織が介入してきたことに対する反論。つまりフットボール連盟とは別に行政機関が介入してきたことを言っている。フットボール連盟はカンプノウ閉鎖を言い渡し、行政機関は7万ユーロの罰金としながらも閉鎖するほどのものではないとの判断を発表した。一つの“犯罪”に二つの“処罰組織”が介入することは法律違反という基本的な立場で反論をおこなっている。したがってこれもフットボールとは関係ない話し。だからFIFAやUEFAなどの組織が介入してこないという根拠になっている。

そしてコルーニャ戦はカンプノウでおこなわれた。UEFA圏内を狙うバルサは首位を狙うコルーニャに勝てない。地元であろうがどこであろうが今のバルサは同じようなもんだ。強い相手には勝てない。真理を追究しようというクラブ首脳陣の心意気は良し、大いに良し。でもいっそのこと、今シーズンはもうカンプノウを自主閉鎖してしまってはどうだろう。そうすればもうこんな苦々しい試合を見に行くこともないからスッキリだ。
2003/04/13)


悔しいやら嬉しいやら

一昔前のユベントスしかイメージがなかったから、噂にきく“快調ユベントス”はどんなんかいな、そう思いながら見た試合。まずウルトラディフェンシーブなユベントスにビックリ。そりゃ歴史的にそういうチームだけれど、地元の試合じゃあございませんか。これでいいんですかリッピーさん、そしてユベンティーノの人たち。地元でこんな戦い方するチームで本当にいいんですか?応援してて楽しいけ?

何が悔しいかって、こんなユベントスに勝てなかったことが悔しい。こういう大事な試合で、違いを見せなければいけないリケルメがあれじゃあ、チョイとどころかだいぶ悔しい。でも何が嬉しいかって、バルサはアウエーでの試合にも関わらず攻撃的な選手をそろえて攻撃的に戦おうとしたその姿勢が嬉しい。じっさいはチットモ攻撃的なフットボールではなかったけれども、肝心なのは心がけだ。やろうとしてできなかっただけの話しだ。そしてさらに嬉しかったのは入れなきゃいけない選手が入れたことだ。サビオラはそれほど好きな選手でもなんでもないけれど、こういう試合で入れる選手は好きだ。

それにしてもつまらん試合だった。緊張感だけが伝わってくる試合という感じ。でも夜中にラジオを聴いていて、デレ・アルピまでかけつけた人々に対してのインタビューが印象的だった。インタビューをしているアナウンサーも印象的だった。超興奮状態で“勝利”“勝利”の言葉が何回もでてきていた。きっと12時間もバスに乗って現地に見に行った人々にとっては超興奮する試合であり、勝利したような気分の試合だったのだろう。テレビからの小さい、しかも空気が伝わってこない箱を通して観戦することと、空気に触れ空間が180°見渡される場所にいる人との違い。往復24時間バスに乗ってでも見に行こうとする人々との“やる気”も違う。

この試合は歴史の1ページには残らないものだったとはいえ、2週間後の試合に期待する気持ちに変わりはございません。10年ぶりに見るユベントス。嬉しいじゃありませんか。お礼にコテンコテンにしてあげましょう。
2003/04/10)


偶然は重なるようで

世の中、えてして偶然が重なっちゃうことがよくある。今のバルサに起こっていることは、その偶然の重なりのオンパレードショーみたいなもんだ。“PER LA PAU”の意思表示をしてからというもの、この偶然のオンパレードショーが始まった。もちろんこの意思表示をしてから偶然が重なるというのも偶然の産物にしか過ぎない。偶然は偶然を呼ぶお友達だ。

フットボール連盟がいきなりカンプノウ即時閉鎖を言いわたしてきた偶然から、この偶然オンパレードショーが幕を開かれることになる。いまだに3週間近くの“異議申し立て”を遂行する権利が残っているというのに、その権利さえ認めないと言うメチャクチャな論法なしの論法でのカンプノウ即時閉鎖命令。「そんなメチャクチャなことを言うのはよして、少しは冷静になって話し合いましょう」というバルサ側の話し合い要請を断って、一刀両断という感じの一方的な命令。フットボール連盟はスペインスポーツ省大臣と切ってもきれない関係にある。偶然にもその大臣はイラク侵略戦争を支持している民衆党議員でもある。

それまで不敗の館だったパラウ・ブラウグラーナもこの偶然から無関係ではいられない。今シーズンはバスケもハンドボールもホッケーもここでは1敗もしていなかった。でも偶然とは恐ろしいものだ。不幸と土砂崩れは突然やって来る。あの意思表示をしてからしばらくして、バスケが怪しげな審判の判定によって初の敗北をしてしまう。そしてその週末、バルサBは怪しげなペナルティーを二つもとられてやはり負けてしまった。そしてガダフィーの息子チームとの試合中継も突然として中止命令がだされることになる。偶然が偶然を呼び始めた。

ビジャレアル戦の審判は例の野郎と決まった。ディアス・ベガ、そしてナントカ・オマールに続くバルサの天敵審判だ。フットボール連盟に所属する審判委員会のコンピューターからはじき出された審判は偶然ながら彼となった。いつもながらのひどい国内バルサの悪いプレーは偶然ではない。でも二つのペナルティーが偶然にもこの審判から吹かれる。そしてその翌日のミニエスタディでは、これまた二つのペナルティーがバルサBに吹かれ最後の最後に引き分けに持ち込まれてしまった。偶然の嵐が吹き荒れる。

バルサがこれまでの公式戦で75ゴールを決めているのは偶然ではない。そのゴールのうち途中出場した選手が入れたゴール数がわずか3というのも偶然ではない。これまでアンティックバルサが対戦してきたチームから奪ったポイント数が、バンガールバルサが対戦した同じチームから奪ったポイント数より1ポイント少ないというのも偶然ではない。弱いバルサは偶然の産物ではない。

否定的な偶然現象は弱いものめがけてやって来る。勝ち目のない強い相手には否定的な偶然はやってこない。やはり強くなくっちゃあいけない。
2003/04/07)


意思表示するバルコニー

つい何日か前、ある全国紙が発表したイラク侵略戦争に関するアンケートでは、スペイン人の92%が反対しているという結果がでていた。つまり10人のうち9人が反対していることになる。そしてその意思表示はいろいろな形で、いろいろな街で、それぞれ独自のスタイルでおこなわれているようだ。

侵略が開始された翌日の22時ちょうど、バルセロナの街の多くの家の中から、あるいはバルコニーから、庭から、軒先から、とてつもないガチャガチャガチャという音がし始めると共に、通りを走っている車や停車中の車から騒々しくもクラクションが鳴らされた。その間20分から30分。その日から毎週水曜日は“その日”と決められているようで、この騒ぎが街中でおこなわれる。ところが我が家がある地域は元気な若者が多いようで毎日のことになっている。22時ちょうどになるとエネルギッシュな若者がナベやフライパンを持って横断歩道の真ん中でガチャガチャやり、それを避けて通りすぎる車はクラクションを鳴らしながら走り去る。なぜ22時なのか、それは知らない。でも22時ちょうどに始まる。

そして通りに面したバルコニーにはシーツ大の白い布が垂れている。かなりの数でこのシーツが垂らされている。しかも街中のビルに垂らされている。観光名所の一つであるカテドラルにもドデカイ白い布が垂らされている。サグラダ・ファミリアの壁にも垂らされている。“NO BUSH, NO GUERRA, NO SADAM”と書いてあるものもあれば“NO AZNAR, NO GUERRA”と書いてあるものもあるが、ほとんどのシーツには何も書かれていない。だからただの真っ白いドデカイ布が下がっているだけだ。

その布が風にたなびく風景。こりゃ、カンプノウで見る風景と同じじゃないか。最近ではガスパーやバンガールに向かって、何年前か前にはヌニェスやクライフに向かって、あのカンプノウで振られた白いハンカチ風景と同じだ。白い布は抗議の意思表示。ひょっとしたら戦争で降参する時にも振られる白い布も抗議の表明かも知れない。

この風景を見た日本人観光者曰く。
「変な街ですねえ〜。バルコニーにはやたら汚い布が垂れちゃってるしい〜、夜になるとナベだかヤカンだか知らないけれどガチャガチャやってるしい〜、しかも酔っぱらってるんだか何だか横断歩道で寝込んじゃってる人もいるしい〜、車もやたらとクラクション鳴らして走っているしい〜、あ〜、うるさい街ですねえ〜。日本の方が静かでいいわあ!」
2003/04/04)


ガダフィーの息子

リビアフットボール連盟の会長にして、アル・イティハーというクラブの会長であり、そしてそのクラブの選手でもありカピタンでもあるアル・サアディ・ガダフィーさん。まるで着せ替え人形のようだ。そう、一つ忘れていることがある。彼はユベントスの2番目の大株主でもあるんだっけ。おっとお、もう一つ忘れてた、彼は3か月契約であのベン・ジョンソを40万ドルで個人トレーナーとして雇い、スピードをつける練習までしたプロ精神にあふれる人だ。もちろんスピードはつかなかったみたいだけれど。おっとお、まだ忘れていることがある。彼はリビアのボスであるガダフィーの息子でもあったんだ。

アフリカ・チャンピオンズリーグの予備選の準備をするために、バルセロナでミニ合宿をおこなっているアル・イティハー。このミニ合宿の10日間、彼らはバルセロナの超高級ホテルであるフアン・カルロス・プリメロに泊まり込んでいるそうな。選手たちは300から400ユーロする普通の部屋に泊まり込んでいるが、ついでに監督も選手と同じクラスの部屋に泊まっているが、エル・サアディ・ガダフィーさんはこんな部屋には泊まらない。何たってガダフィーの息子だし、フットボール連盟の会長だし、クラブの会長でもあるし、ユベントスまで持っているんだから。彼の部屋はこのクソ高いホテルのスイートルーム2部屋だそうな。さすがに違いを見せちゃいます。

さてグランドの中ではどのくらいの違いを見せてくれる選手なのだろうか。カンプノウでバルサとの親善試合が昨日おこなわれ入場無料という大サービス。といっても行くわきゃありませんが、テレビで観戦。と思ったところテレビ中継は、あの嫌らしくも憎たらしいフットボールヤクザ連盟の親分の一言で中継禁止になってしまった。

どうやら監督をやっている人はイタリアの人のようで、この人のコメントを聞く限りによると、息子さんが交代したい時には手を挙げて監督に指示するそうな。だから90分間手を挙げないときは試合終了までプレーすることになる。ところで、こういうクラブの監督を引き受ける人というのはいったいどういう人なのだろうかと、どうでもいい心配。ギャラだよ、ギャラ、これっきゃ理由があるわけがありません。

今までことあるごとに何かとコメントの対象となってきた“ジョルディはクライフの息子”なんてことは、とてつもなく小さいことに思えてきた。コイツはチョイとスケールが違うぞよ。
2003/04/03)


ファッツ・マイケル

シロウトにはどうしても理解に苦しむ現象、それは監督が代わることによって調子がこれほどまでに変わっちゃ選手がいること。その代表例がファッツ・マイケル・レイジゲルだ。

例えば、守備することまで義務づけられていたデランテロがその任務から解放され、今まで以上にゴールを決めるようになるというのは何となくわかりやすい話し。あるいは、後半の何分からしか使ってもらえなかった選手が、スタメンで何試合も続けてでられるようになって活躍し始めるのもよくある話し。そして、それまでひたすら孤立していたセントラルの選手が彼の前に守備的な選手が一人ピボッテと入ることにより、精神的に楽になって“旬”の選手になっちゃうのもわかりやすい。でもわからないのは、マイケルが何故これほどスッキリと活躍しちゃうかということだ。一つだけ考えられるのは、やはり連続して試合に出られて自信がついたということか。でも彼は19歳の選手でなければ25歳の選手でもない。もうじき30歳の選手だ。やっぱりシロウトにはわからない。

レイジゲルがファッツ・マイケルに変身しちゃうということは当然ながら他の選手にもそういう可能性があるということだろう。だから、かつてレシャックが言っていたようにクリスタンバールが“スピードとテクニックに優れた選手”に変貌してしまうかも知れないし、ロッケンバックが“ドゥンガの再来”に近い選手になってしまうかも知れない。あるいはエンケが“ドイツの将来を担うキーパー”として実力を発揮しちゃうかも知れないし、メンディやジェラールがかつてのバレンシアコンビと返り咲くかも知れない。

というわけで、選手の評価ということに関してはよくわからない。同じように、素晴らしい選手として獲得の噂が流れる選手もカンプノウを走り回ってくれないとよくわからない。いや、それを見てもよくわからないことが多い。かつてプラセンテという選手が凄い凄いと噂になったけれど、カンプノウで見た彼はそれほど印象に残る選手ではなかったし、ソリンもやはり凄い凄いと言われながらも、悪かないけれどどうしても必要な選手とも思えない。

だから特別な思いを持って見ている選手は別として、あまり“この選手が欲しい、あの選手が欲しい”というおねだり気分にはなれず、バルサに今いる選手に頑張って欲しいとおもう。他のクラブの選手を欲しがるよりも、自分のクラブにいる選手にさらに頑張ってもらえば最高だ。

かつてヌニェスが買い占めた土地を売り払い、それを有効に使うのならそれもいい。クラブの財産の一部とはいえ、土地には血も流れてもいないし親近感もわかない。でも土地よりももっと大事なクラブの財産である選手を売るのは楽しくない話し。いつの時代でも楽しくない話しだ。
(2003/04/01)