2003年
10月
2004年

ルストゥマニア

ルストゥというのは不思議な選手だ。HPの掲示板にも彼の出場を懇願している人が多いし、うちに来るフットボール観戦旅行者というかバルサ観戦旅行者というか、そういう彼らの間でもルストゥ人気はかなりのものという感じがする。ところがバルサに来るまでルストゥなんて選手を知らなかった、いわゆるバルサ以外音痴の多くのソシオたちは、彼のことを知らなかったんだから別に特別の注文を出さない。したがってビクトルが活躍している今、バルサを取り巻く環境で“ポルテロ論議”などは存在していない。

つくづくワールドカップというお祭りの影響は大きいのだと思う。まさかフェネルバッチェのインチャだったからルストゥ出場を懇願している人はいない、とは言わないまでも、まれだろう。ワールドカップでの数試合を体験することでルストゥマニアが生まれてしまうんだから、その影響の大きさは凄い。フェネルバッチェではどうだったか、まったくもって記憶にないので彼らがカンプノウに来たときのビデオを探してきて見たけれど、やはり記憶に残らない程度のプレーしかしていなかった。

もっともルストゥはラポルタ政権の“目玉商品”の一人として入団してきたわけだから、その彼を使わないというのはここ何年かの悪しき補強作戦と平行線をだどっていることを意味する。目玉補強であったにも関わらず、しかもロマンが追い出される“言い訳”となった外国人選手問題の一人である彼だからして、その選手をスタメンで使わないのはおかしいという論議は可能だ。ルストゥが良い悪いではなく、せっかく獲得した選手をベンチに置いておくのはおかしい、そういう論議も成り立つ。それだったら、控えだったらボナノでも良かったじゃないか、この発想も可能だ。

それでも、控えポルテロとして彼がいることは心強いことだとも思う。ルストゥマニアの人々には悪いけれど、彼はベンチに控えていてくれれば良い。何かの拍子でビクトルが狂ってしまい、どうにも手がつけられない状況が生まれた時にルストゥが代わってくれればいい。ビクトルはなんたってこれから10年間はバルサのポルテロを務める選手だ、と言い続けてきた自分には今の状況はすんごく素晴らしい。と言うわけで、ルストゥマニアの人々には申し訳ないけれど、彼は当分の間ベンチ控えとなってもらおう。

ところで、イニエスタマニアを自称する者としては彼をださんというのが納得いかん。これから10年間バルサの中心選手となるであろう彼が、何でベンチはおろか試合に呼ばれもしなくなったのか、う〜ん、納得いかん、こればっかしはぜんぜん納得いかん。
(03/10/30)


カンプノウ・ブーイング現象

バルサ番記者を30年以上もやっているベテランジャーナリストがカンプノウでのブーイング現象に関して語っている。
「クバーラ人気で多くのバルセロニスタが試合を見に来るようになり、ラス・コーツス・スタディアムからカンプノウに引っ越ししてきたわけだが、そのスタディアムで最初のブーイングを受けたのがそのクバーラだった。ゴールがかつてのように決まらず、選手寿命が終わり近くなっていた彼に多くのソシオからブーイングが飛ぶ。そしてその後も外国人スター選手やカンテラ出身選手を問わず、このブーイング現象は存在することになる。クライフ、レシャック、マラドーナ、シュステル、クーマン、ロナルド、ペップ、その他大勢、今さらオランダ人選手に触れることもないだろうが。」

バルサソシオを特徴づけるものとして、バルサというクラブの所有者意識が非常に強いこと、そしてテクニック的に素晴らしい選手を好むと同時に、そういう選手もユニフォームに汗を染みこませることを要求すること。これらの傾向がブーイングを生む原因だと締めくくっている。

そして今、その有名なカンプノウ・ブーイング現象の的となっているのはパトリック・クルイベル。最初はカタルーニャのジャーナリストに、昨日の2回目は自分のHPでそれぞれブーイングをする観衆に対して一つの忠告をしている。
「年俸引き下げ案を了承してまでバルサに残ったのに、もしこれからもブーイングを受けるようだったらクラブを去ることになるだろう。」

この発言があろうとなかろうと、もう彼に対するカンプノウ判決はすでに下されていると思う。今年の夏に移籍先クラブと交渉するために“行方不明”になっていたことをみんな覚えているし、彼と違い契約が切れたにも関わらず、そしてもっと多くの年俸を払うクラブがあったであろうにも関わらず、バルサに残ることを希望したコクーとはまったく立場が違うことも知っている。シーズンが始まりゴールが入らないことに対してのが第二の判決とするなら、今回の“忠告”はもう自殺行為にも等しい第三の判決となってしまう。ブーイング現象を巻き起こす“一部”のソシオの行為に道理があるかどうかは別として、何千あるいは何万という“クラブ所有者”がそういう人たちなんだからしょうがない。
(03/10/24)


ニューキャッスルなんぞには行かんだろ

と、思う。いつかはイングランドに行くことになるだろうクルービーだけれど、やはりその場合はロンドンじゃなくちゃ。ロンドンっちゅう、気候こそ地中海のそれとは比べものにならないところだけれど、薄暗い中にも華やかさがある街じゃなければ行かねえ。もし、それが無理だったら、街そのものには魅力はないけれどクラブに魅力があるマンチェスターあたりじゃなければ、きっとクルービー一家はそう思っているはずであります。

クルービーの“放出可能”問題は、これまで年間15ゴールは最低決めていた彼がゴールが決まらなくなったのだの、クラブとしてはゴールを決める本当の9番をとるための資金が必要だの、あるいはカンプノウでのブーイング問題があるから彼はやる気をなくしただの、そういうことが原因として考えられるけれど、でも、ちょっとシーズンが始まる前の彼の契約問題を考えるともっとすっきりしたものになる。

この夏にクルービーが出る出ないで揉めたとき、ガスパーの残していってくれたありがたい遺産が話題になった。年俸を大幅に上げましょう、もしこの約束を守らなかったら移籍料はたった180万ユーロにしましょう、という例のヤツだ。それは各シーズンが終了した日から数えて何日間だけ有効となる違約金で、シーズンが始まった今は元の3600万ユーロに戻っている。が、また今シーズンが終わってしまえば来年の夏には再び180万ユーロに戻ってしまうという恐ろしいものだ。

つまり、来年の夏になると再び彼の移籍問題がでてくることになる。それだったら、今のうちに売っちゃえ、売っちゃえ、となってもおかしくない。でも問題は、売ったら誰かを買うことができるかどうか、毎シーズンのように失敗している冬のマーケット商売をまたオープンしたとしても、バルサに本当に必要な9番なんぞという選手が来てくれるのか。しかも、あと半年待てば180万ユーロになる選手を高い金だして買うほどのお人好しガスパー・クラブがあるんだろうか。

バルサBにはチョット小さいけれど、セルヒオ・ガルシアっちゅう良い選手がいるんだけれどな。フラン・ライカーさんはお忙しくて二部Bの試合までは付き合えないかな?
(03/10/20)


ロナルディーニョ・ガウチョ

幸運なことに、これまで3人のブラジル“R”選手をすべてカンプノウで拝むことができた。そして、さらに幸運なことに、4人目の“R”選手まで今シーズンから拝むことができるようになった。ロナルディーニョのカンプノウにおける自己紹介状、それはもちろん深夜のセビージャ戦でのゴラッソ、あれも幸運なことに自分の目の前のゴールに突き刺さるゴラッソとなった。

一人の選手を他の選手と比べることはバカバカしいことだとは思っているけれど、どうもブラジル人の場合は“過去の人”と比較してみたくなってしまう。そして正直言って、ロナルディーニョにはかつてのロマリオのようなゴール前でのスーペル・スーペル・テクニックや飽くなきゴールへの嗅覚には及ばないと思うし、かつてのロナルドのような100m競技選手のようなスピードと強靱なフィジカルを基本的な武器としての超近代的なゴール能力にも及ばないだろうし、そしてかつてのリバルドのような地をはうような強力なロングシュート能力や一人で試合を決めてしまうような才能にも及ばないと思う。それでも、そう、それでも“不思議なロナルディーニョ”は、彼らのすべてを越える要素を持っている選手だとも思っている。

これまでの“3R”選手のそれぞれの最大特徴にはそれぞれ及ばないものの、彼らの持っていた素晴らしいところを少しずつどころか大いに身につけていると思う。スーペル・テクニックは持ち合わせているし、スピードもそれなりにあるし、何よりもリズムの変化を可能にする素晴らしい才能を持っているし、“旬”の季節にはゴールの嗅覚まで備えている。いずれにしても“メディア的クラック”として、言ってみればユニフォームを売ったりオンナコドモたちを集めるために来たようなメディアの扱いだったけれど、いやいや、とてもとてもそれだけの選手ではない。今の“スターなきバルサ”の中にあっては立派なクラック選手だ。

そして、この4番目のR選手ロナルディーニョには、これまでの誰もが持っていなかったものがある。それはバルセロニスタに好かれるとてつもなく明るい性格とクラブへの献身精神。ロマリオのように孤立することを良しとしないし、ロナルドのように天才的なバカでもないし、そしてリバルドのような暗さがない。次第に好かれていくタイプと見た。バルサ久々のクラック登場。ついでに言わせてもらえば、彼とロマンが一緒にプレーしているところを見たい。
(03/10/17)


バカなことを

ルイス・ロッホ、一昔前からバルサを担当しているマルカの記者で去年だったか今年の初めだったか、バルサの選手の年俸をすっぱ抜いて“独占記事”としながら、いくつかの間違いを発表していたジャーナリストだ。こいつがまたまたくだらないことを“独占記事”として発表している。バルサ首脳陣はルイス・エンリケの契約延長をしない方針だという。呼ばれてもいないのに、しかも土足でバルサ家にドカドカと上がって来るような感じがするイヤーな野郎だ。

今シーズンが終了する瞬間に、ガッツ・エンリケとクラブとの契約は切れることになっている。そんなことは誰でも知っているし、彼の年齢を考えれば来シーズンもバルサの選手としていられるかどうかも怪しい。そしてそれは当人が誰よりも自覚していることだろう。それでも、新たなシーズンが始まったばかりの今、そんなことを話題にすることの神経を疑う。それもここのところ調子が悪い時を見計らっての“独占記事”というのが気分が悪い。なぜ“独占記事”なのか、それもなぜバルサに関することで“独占記事”をマルカが発表するのか。それは簡単だ。そんなことをバルサ首脳陣が外部に漏らしているわけがないのだから、他のメディアが触れるわけがないことだからだ。

ジャーナリストが煙も立たないところに火を炊いてしまうことはよくあることだ。かつて、何年前だか忘れたけれど、イタリアのナントカガセッタという新聞がグアルディオーラの独占インタビューというのを載せてイタリアのどこかのクラブへの移籍話しを“しゃべらせて”いた。それがまったくのでっち上げだということが1週間もしないうちに世間の前に露呈された。そして最近ではイングランドのナントカナントカという新聞がラポルタの独占インタビューを発表し、アンリを獲得する意向だということを“しゃべらせて”いた。これもまたわすか数日でウソ記事だということが発覚している。

ガッツが来シーズンもバルサに残ることは難しいことだろう。でも今はそんなことはどうでもいいことだし、彼にとってもどうでもいいことだろう。今の関心事はバルサがいかに立ち上がるか、そしてガッツがこのクソ記事を読んでいかに彼らしく発奮するか、そういうことだ。
(03/10/13)


やり手サンドロ・ルセー

会長となったガスパーの“交渉術”はまったくもってデタラメなものとなってしまったけれど、副会長時代の彼のそれは相手をギャフンと言わせるほどの戦術に長けたものだった。何時間、何十時間にもわたって休みなしにおこなわれる“缶詰交渉”は有名な交渉手段としてなにかと話題になったものだ。そしてラポルタチームでのその役を買ってでているサンドロ・ルセー、彼の交渉術はどのようなものか知らないが、彼もまた厳しい交渉家のようだ。

“チキートコーナー”で登場したオーベル・ペティ獲得の際の借金問題、アホ・ガスパーの遺産となった、いまだに残っている“1試合の親善試合”問題をサンドロ・ルセーはセスク問題とからんで見事にクリアーしたようだ。どこを突っついて、何を押し通したのかはチットモわからないけれど、セスクの移籍料として100万ユーロを獲得、アーセナルとの契約が終了した時点でバルサがセスク獲得の優先権を、そして残っている1試合の親善試合も、その想定売り上げ金としての220万ユーロもお互いに忘れましょう、そういうことになった。

その代わりと言ってはナンですが、と、サンドロ・ルセーがそう言ったかどうか。そう、来シーズンが始まる前のプレステージ期間中に是非とも親善試合をおこないましょう。場所は夏でも太陽がないイングランドではなく、海もあるし魚介類も美味しいし美女がゴロゴロしている地中海に面する街、例えばバルセロナだとかマルベージャだとかマラガだとか観光もできるところがいいですよね。もちろんお小遣いもあげますよ、そうだ、25万ユーロ程度でどうでしょうか。いや〜、よかった、よかった、これで一件落着ですね。これまでどおり、バルサとアーセナルは仲良くやっていけそうですね。はい。ところでアンリ選手は元気ですか?

こうして、親善試合は約束通りおこなうことになったようだけれど、金銭的には220万ユーロから25万ユーロに、しかもシーズン中の親善試合ではなくプレステージ中の練習試合みたいなものに、そしてイングランドまで遠征する必要もなく国内での試合にしてしまったサンドロ・ルセー。彼の想像力と交渉力はエゲツナイほど凄そうだ。
(03/10/08)


それでもガッツ・エンリケ

こんなルイス・エンリケを見るのは寂しい。年齢的な限界もさることながら、プレステージから休みなく働かされていることにより彼の体力はもう限界にきていると見るのが正しいのだと思う。なぜそんな彼をフラン・ライカーは使い続けるのか、そこがよくわからない。

それでもいまだにガッツだけは誰にも負けずにあるのは彼のプレーを見ていればよくわかる、が、体がついていかない、どうしても相手に一歩も二歩も先を行かれてしまう。だからファールがやたらと多いし、完全に相手に抜かれた後は放心状態と化しているのをこれまで何回も見てきている。スピードがない自分に対するイライラが、相手に翻弄されてしまう悔しさが、観客席から見ている人々にも伝わってくるガッツ・エンリケ。だから、昨日の試合でも決して良くなかった彼が遅すぎる交代をするとき、観客席から大きな拍手が送られた。

それと対称的なのが相変わらずのオーベル。前半10分を過ぎたあたりですっかり姿を消してしまったオーベル。確かに前半10分間はキレキレにキレていた彼から2回のゴールチャンスが生まれている。だが、そこはオーベルだ、突然いなくなってしまう。それも後半遅くに交代されるまでまったく消えてしまうオーベル。典型的なオランダ人選手として認識される彼は、相手がどこのチームであろうとガッツは同じ。二部Bのチームであろうとバレンシアが相手であろうと、彼の魂は燃えるわけでもなく燃えないわけでもない。だから、それを知っているバルセロニスタは彼が交代を命じられてベンチに引きあげる姿にブーイングを送る。試合中のクルービーに対してと同じようにだ。

だがクルービーを責めるのは可哀想な気がしないでもない。彼が“9番”でないことは誰もが知っていることであり、彼がいきるのは“9番”がいてこそだということをみんな知っている。それでもブーイングが起きるのは、ボガルデ→セルジ→デ・ボエル→バンガールと続く、バルセロニスタの不満を示す対象者として絶好の的だからだ。

クアレスマが体を温めるためベンチを出てきたとき、クアレスマコールが高々と送られる。フラン・ライカーはそれから5分ほどして彼をグランドへ。そして彼が登場してくるとサビオラコールがクアレスマのそれ以上の大きさで起き始める。それから5分、サビオラに体を温めることを命じるフラン・ライカー。ライン横を走り初めて2分としないうちにサビオラにグランドへと命じるフラン・ライカー。なんだかこの監督に疑問符をつけたくなってきた。
(03/10/06)


こんなバルサでもバルサはバルサ

ヌニェスが会長を辞任する最後のシーズンからガスパー政権の三年間を経て今シーズンに突入しているわけだけれど、誰もが知っているようにバルサはここ4年間にわたって何のタイトルもとっていない。ヨーロッパタイトルはおろか国内タイトルからも遠のいているここ5年間のバルサ。それでも不思議なことにヨーロッパではいまだに“顔”なんだなあ。

UEFAがヨーロッパ各クラブの順位を決めるのに、各クラブの最近5年間の成績をもとにポイント制で順位をつけることになっている。そしてな〜んと、バルサはヨーロッパ2位につけているらしい。ここ最近5年間の成績、それも、たまんないぐらいひどい成績を残している印象のあるバルサが、な〜んと2位。あ〜ら不思議。不思議じゃないのはメレンゲが1位につけていること、そしてチョット不思議なのは1位と2位の差がたいしてないことだ。いずれにしても今シーズンのメレンゲはバルサと違うタイトルを争っているため、バルサはUEFAカップでは押しも押されぬダントツ1位クラブであるからして、最後までシードチームとなる。

ここ5年間でバルサはチャンピオンズの戦いに2回準決勝進出、ベストエイト進出が1回、そしてUEFAカップでは準決勝進出が1回。こんなもんで140.769ポイントとなり、1位メレンゲの151.769ポイントを追っている。バルサの下にはマンチェスター、バレンシア、バイエルン、ラッチオ、アーセナル、ユベントス、コルーニャ、ミランと格下クラブが続く。

とまあ、信じられない話しだけれど、どうやら本当にそうらしい。バルサはやっぱり本当は強いのだ。したがってプレステージで格下のユーベやミランに勝ったのは当然、だが、そこはそれ勝負の世界には番狂わせっちゅうものがあって、格下のマンチェスターなんぞに負けてしもうた。格下の下の下のセビージャやオサスナに引き分けたり、247位(って、もちろんいい加減な数字だけど)マタドールなんていうチームとも引き分けたりしてしまう。だから勝負はわからない。

まあ、というわけで、日曜日のバレンシア戦は格上のバルサが格下のチームとやるわけだから順当にいけばバルサの勝利だ。順当に順当にいきましょう、この試合。
(03/10/01)