2006年
2007年
5月

バケーションに突入!
(07/05/29)

スペインフットボール連盟は37節の“微妙な試合”に関しては、土曜日22時同時開催と主張。一方の大金を支払っている大スポンサーのテレビ局はそれに反対の意向。つまり前者はレアル・マドリやバルサなどは同じ時間帯にきっかりと時計を合わせて同時開催とせい!と主張し、後者の意向は視聴率の稼げる美味しい試合に関してはそれぞれ別時間の試合開始とするべし!となっています。今のところテレビ局が発表している試合開始時間は、サラゴサ・マドリ戦が土曜日22時、そしてバルサ・エスパニョール戦は日曜日21時と試合開始。さて、どうなりますか。

さて、話題は変わって、こちらカピタン。

年に1回のバケーションに突入→街を離れたりする→家の中でボーとしたりする→たまに大掃除をしたりする→いずれにしてもパソコンなんぞには触らない→したがってHP更新など問題外。

次回のエスパニョール戦の結果次第では、気分次第でリーグ戦終了まで再開する可能性があるものの、とりあえず今日までつきあってくれたバルセロニスタ仲間に感謝すると共に、来シーズンの再開までアディオス!そしてブエナ・スエルテ!

ビスカ・エル・バルサ!


バルサB歴史的危機状況(最終回)
(07/05/27)
05-06 開幕戦
06-07 開幕戦

左が昨シーズンの開幕戦スタメン11人、そして右が今シーズンの開幕戦メンバー。ポルテロのルーベン、セントラルのフラゴッソ、左エストレーモのオルランディ、そしてトップのシト、この4人の選手だけが両シーズン開幕戦スタメン連続出場となっている。

昨シーズンが終了し、バルサBチームを構成する選手の大改革がおこなわれている。デフェンサのロドリ、ダミア、ダニ・フェルナンデス、ペーニャ、セントロカンピスタのアルナウ、ベルドゥ、そしてデランテロのクリスティアン、リエラ、ハビート、モンタニェスなどが他のクラブへと大量移籍していった。これらの選手は昨シーズンまでほぼスタメン選手として出場していた選手だ。バルサAチーム出場という希望を与えられなかった彼らの移籍は、必然といえば必然のことだった。それはクラブ側にしても選手個人にしても同様だった。

バルサカンテラ指導部は、これらクラブを離れていったベテラン選手の穴埋めをするために、他のクラブからベテラン選手を補強獲得する。レンタル移籍でクラブを離れていたポルテロのウルコ、そしてやはりレンタルしていたデフェンサのフラン、若手が多くなるセントロカンピスタというポジションにグラマネからディマスという24歳のベテラン選手を獲得してきた。だが、残念なことに、誰一人として期待にそう活躍を見せていない。ラ・マシアHPでもシーズンをとおして語ってきたように、“明日に希望のない”選手には新人もベテランも関係ない。ウルコとフラン、悲惨なシーズンをおくりレンタルという形でクラブを離れていった彼らに期待すること自体誤りだった。

ディマス以外にも2人の新顔がやって来ている。入団当時23歳のルチアーノ、そして20歳のナノ、彼らもまたほとんど出番がないまま冬のマーケットでクラブを後にしている。レンタル戻し選手、外部からの獲得選手、これらの補強作戦はまったくの失敗と言える。
「未経験の若手選手が多かったことが、結果を出せなかった一つの原因。」
キケ・コスタス監督やアレサンコがこのようにバルサBの不振を総括するとき、そこには大いなる誤りがある。今シーズンのバルサBをどうにかこうにか支えてきたのは、下のカテゴリーから上がってきた若手選手たちであり、そして彼らの助けとならなかったベテラン選手にこそ、バルサBの不振の原因の一つがある。

だが、バルサB不振の総括より大事なことがある。それは各カテゴリーの将来、つまりバルサBをどうするのか、バルサCをどうするのか、そしてフベニルAをどうするのか、それらの来シーズンに向けたプランニングだ。

まず、バルサインフェリオールカテゴリーの各責任者が、深刻に歴史的危機状況を反省し総括する心構えがあるのなら、フィゲーラスの“カテゴリー権利”売買なぞに興味を示すことなく、いかに早急に二部Bカテゴリーに復帰するか、その対応をはかるべきだろう。そう、バルサBは三部リーグで素直に戦えば良い。2年前のエスパニョールBのように、三部リーグに落ち込みながらも翌年すぐに二部Bカテゴリーに復帰してきたような努力をおこなうべきだ。成金よろしくユーロ札束をちらつかせて、こしゃくな真似をするべきではない。

“クラブ以上の存在”
それはユーロ札を見せびらかせることではない。

同じような主旨により、バルサCも解体すべきではないだろう。いや、間違っても解体してはいけない。ラポルタが余計な維持費がかかるバルサCをカテゴリー降格を理由にして解体しにかかるのは目に見えている。だが、それはこれまでの歴代クラブ首脳陣が作り上げてきたもの、つまりクラブ(ソシオ)の財産を手放すことを意味する。もしこのカテゴリーを解体するような事態になれば、少なくても20人から30人の若手選手をレンタル、あるいは完全移籍という形でクラブから放出することが義務づけられる。それでは、かつてのヘスス・ヒルが会長をしていた時代のAt.マドリの二の舞となってしまう。今シーズンはフベニルカテゴリーでプレーした選手を中心として、バルサCチームはカタルーニャ地方リーグを戦うべし。

フベニルAチームの構成はそれほど難しいことではない。フベニルA1年目となった今シーズンの選手と、昨シーズン同じカテゴリを繰り返させられたフベニルBの優秀な選手、そして黄金のカデッテAチームから4、5人このカテゴリーに上げれば良いだろう。

勇気ある決断をすることを嫌うチキやライカーには難しいことかも知れないが、ボージャンはバルサAチームの選手として登録すべきだ。新しいシーズンが開幕する頃にはすでに17歳となっているボージャン。チキにしろ、アレサンコにしろ、ライカー(たぶん)にしろ、そしてラウルにしろ、17歳でデビューを飾っているではないか。エトー、ロナルディーニョ、メッシー、新加入デランテロ、そしてボージャン5番目のデランテロとしてスタートすればよい。冬がやって来る頃には4番目のデランテロとして、毎試合後半あたりには出場する選手となるであろう、そう魔法のクリスタルは予言している。

これまた彼らには難しい作業となるだろうが、ジョバニはレンタルすべし。アヤックスでも良いし、ナスティックでも良い。クロッサス、バリエンテ、ジェフレンもレンタルすべし。オルモはバルサA登録とするのが良いだろう。

まだ30人ぐらい一人一人触れたい選手がいるが、キリがないのでここらへんでやめておこう。肝心なことはもう触れている。背広組でクラブを去らなければならない人物はキッパリと責任をとって辞任しよう。残った背広組と現場担当者は危機状況を深刻に総括し、バルサインフェリオールカテゴリーの健康的な発展のために努力すべし。そして、繰り返すことになるが、ボージャンはレンタルにだすべきではない。さらに、これを書いているカピタン氏を、来シーズンからバルサインフェリオールカテゴリー外部相談役とすれば完璧だ。


バルサB歴史的危機状況(4)
(07/05/26)

ここ何年かのチャンピオンズに参加しているチームを見る限り、バルサほどカンテラ出身選手が出場しているチームは存在しない。カンテラどころかイングランド人選手が出場していないイングランドのクラブさえお目にかかることがあるくらいだ。

バルサというクラブの歴史的特徴の一つであり、そして同時に大きな魅力ともなっているものの一つに、カンテラ出身選手の起用度の高さがあげられる。ここ2、3年のライカーバルサを見ても、バルデス、プジョー、オラゲール、チャビ、イニエスタ、モッタ、そしてメッシーというように、チームの半分近くを構成できる世界に通用する素晴らしいカンテラ出身選手たちが活躍している。だが、それでもここ4年、つまりフラン・ライカーが監督に就任してからというもの、わずか2人の選手しかバルサBから上がってきていない。控えポルテロのジョルケラ、そしてメッシー、この2人。これは最近20年のクラブ歴史を見る限り、4年単位としては最低の数となる。その理由は・・・それなりにあるに違いない。

ライカーバルサの選手層が例年になく厚いからかも知れない。バルサBを構成する選手のレベルが例年より低いのかも知れない。あるいは、デビューさせたものの期待通りの活躍を見せないのかも知れない。エトセトラ、エトセトラ。

バルサBから選手が上がってこない理由は多くあるだろう。だが一つの事実、それはフラン・ライカー監督が継続性を持ってカンテラ選手を起用してきていないことはだ。例えば今シーズン、国王杯のバダロナ相手の試合で起用されたバリエンテ、クロッサス、ジェフレンの三人は、多くの人々の予想を裏切って次の国王杯アラベス戦には起用されなかった。この傾向は、ライカーがおこなってきたここ4年間のカンテラ選手起用法としては特に変わったものではない。頭あわせの一時的な起用がほとんどであり、決して継続性をもっての起用はしていない。若手選手がどんなに満足するプレーをみせたとしても、彼らに継続性は与えられていない。バルサBでどんなに頑張ったとしてもAチームには上がれないのではないか、そういう意識が芽生えたとしても不思議ではない。

イニエスタやメッシーなどの選手は、バルサカンテラ組織から何十年かに一度誕生すれば見っけものと言って良いほどの貴重な存在だ。したがって彼らをバルサAチーム選手として定着させるのは、監督としてそれほど難しいことではないだろう。だが、1人のプジョー、1人のオラゲール、1人のモッタという選手の持つ才能を見つけ出し、それに磨きをかけて育てていくというのは、どの監督でもできることではない。バルサB1年目の右インテリオール選手カルラス・プジョーのプレーを見た人がいるだろうか。バルサB1年目のオラゲールのオロオロとしたプレーを見た人がいるだろうか。もし見た人がいるとすれば、どんなに想像力豊かな人だとしても、まさかバルサAチームに上がってくる選手とはうつらなかっただろう。彼らに学習能力があり、継続性を与えられる幸運があり、そしてプレッシャーに負けない強い精神力があり、それらの要素が強固な自信を生んだとき、一丁前と呼んで言い選手となる。ここまでの4年間を見る限り、ライカーバルサには残念ながら第二のプジョーや第二のオラゲールが誕生してくるような背景はない。

1997−98シーズン。二部Bカテゴリーに落ちていたバルサBは優秀な成績でシーズンを終了し、カテゴリー昇格プレーオフを戦っている。カディス、マドリB、レオネセというクラブと同グループになり、ベルナベウでの最終戦に勝利すれば二部Aカテゴリー昇格が決まるところまで来ていた。この試合には当時バルサインフェリオールカテゴリー背広組最高責任者のムソン氏や、バルサAチーム監督バンガールがわざわざやって来ている。いや、このベルナベウでの重要な試合だけではなく、地元ミニエスタディでの試合にも時間が許す限り観戦に来ていたのを目撃している。そしてベルナベウでの試合に0−2で勝利したバルサB。クラブの上層部やカンテラ組織のお偉方に若手選手に対する情熱があった時代だった。

才能ある若手選手がたまたま揃っていたからかも知れない。あるいは、まったくの偶然かも知れない。だが、この試合に出場していたアルナウやミゲランヘル、そしてガブリ、チャビ、プジョー、ジョフレ、マリオ、ルイス・ガルシアといったほとんどの選手たちがスペイン一部リーグでプレーする幸運を得ることになる。

バルサBの三部リーグへ降格が決まった翌日、バルサ金庫番ソリアーノが驚くべきことを言っている。
「バルサBのカテゴリー降格は、経済的な観点から見ればクラブには何の影響も与えない。」
ラポルタを筆頭とした現在のバルサ理事会にカンテラ組織に対する強い興味があるとは思えない。カンテラ組織と最も密接な関係も持たなければならないアルベルト・ペリンは、存在そのものがマイナス面となっている。決断することを嫌う我らがスポーツ・ディレクターのチキ・ベギリスタインは、大方の流れに沿った当たり障りのない政治をおこなうだろう。アレサンコが今後どのような解決策を見いだしていくのか、それを知るにはもう少し時間が必要だ。

フラン・ライカーには・・・ほんの少しの勇気を期待しよう。己のカンテラ選手づくりに一生懸命だったバンガールのようになれとは望まない。ただ、もう少しだけ若手選手に継続的なチャンスをあげてみたらよい。果たしてどんな選手がいるのか、それを知りたかったらミニエスタディに足を運べば済むことだ。4年間で数回というのはチョットばかり寂し過ぎる。


バルサB歴史的危機状況(3)
(07/05/25)

昨シーズンが終了した段階で、チキ・ベギリスタインとアレサンコはバルサBの監督就任要請を何人かの人物におこなっている。キケ・コスタスは、あくまでも1年だけの約束で昨シーズンの監督要請を受けたことはすでに知られていたし、首脳陣としても“キケ臨時監督”ではなく、一つのサイクルが作れるような長期ビジョンによる監督就任を考えていたという。候補監督の1人はマリア・カルデレ(今のダビッツのようなプレースタイルを持っていた、ベナブレス監督時代の選手)であり、もう1人はエステバン・ビゴ(彼もまたベナブレス監督時代の選手)だったという。つまり2人ともベナブレス監督時代にアレサンコと一緒にプレーした人物であり、そういう意味で言えば気心の知れた人物だ。

だが、この交渉は見事に失敗している。交渉を担当したのがチキだというから、それほど不思議なことではない。そこで再びキケ・コスタスの登場となる。ここら辺がチキの短絡思考回路を見られるようで面白い。何と言ってもキケ・コスタスはブラウグラーナ色の血が流れている人であり、クラブのためとなるなら何でもやる人だ。もちろん、この要請に対し首を横に振ることはしない。彼はクライフと一緒にプレーした人だが、後者とまったく異なるところは愛するクラブのためならなんでも引き受けるところにある。確かにシーズンをとおして監督としては多くの誤りを犯してきた人だが、それでも彼に責任を押しつける気にはならない。

バルサBを筆頭としたバルサインフェリオールカテゴリーの現場最高指導者はホセ・ラモン・アレサンコ。彼が主に担当するカテゴリーは、フベニルカテゴリーとバルサC、バルサBだ。もちろん選手補強作戦にあたっては最高責任者となる

そして、見事なまでに失敗した補強作戦。アレサンコのプランニングによる今シーズンの選手補強作戦は大失敗に終わっている。

前任のコロメールの方針。それは国籍を問わず、優秀な若手選手によるチーム補強にあった。その典型的な例が2004−05シーズンの“史上最強のインファンティルA”チームに見て取れる。当時の少年たちのほとんどが、今シーズンはカデッテAチームを構成している選手たちだ。イスラエル人、ドイツ人、ブラジル人、ポルトガル人、スペイン人、そしてもちろん地元の優秀な少年たちの獲得をおこなって作り上げたチーム。1年後、あるいは2年後にバルサBチームで活躍するであろう選手たちが多くいるチーム。だが、アレサンコの補強方針はコロメールとは違っていた。

アレサンコの補強方針はあくまでも地元出身の選手がメインとなるものだった。もちろん上からの指示と考えるのが正しいのだろう。その典型的な例がバルサC新加入選手と言える。

今シーズン、バルサCは想像をこえる選手放出作戦をおこない、そしてやはり想像外の補強選手作戦を展開している。加入してきた選手の数、実に12人。そのほとんどが地元出身選手であり、年代としては1984年生まれから1987年生まれという感じだ。通常のシーズンであれば、前年フベニルA在籍の選手がこのカテゴリーに上がってくるが、今シーズンはほとんどおこなわれていない。地元出身選手獲得は良いとして、もちろん優秀な選手であればなお良いとして、なにゆえ1984年世代まで獲得しなければならなかったのか、そこは疑問符がつくところだ。23歳になる選手をなにゆえバルサCカテゴリーで起用しなければならないのか、誰にも理解できないことだった。

この補強作戦の誤りは他のカテゴリーにまで影響を与えている。昨シーズン、可能な限りのタイトルを獲得したフベニルA選手たちの何人かは、再び同じカテゴリーでプレーすることを義務づけられた。チャビ、ロベルト、トリビオ、ルエダ、コト、これらの将来を期待される1988年世代をなにゆえバルサC、あるいはバルサBに上げなかったのか、大いに疑問の残るところだ。そして多くのフベニルA選手残留という現象はフベニルBチームにまで悪影響を与えている。期待のポルテロであるマシップ、ラテラル選手ブラスコ、セントラル選手アンドレウ、そして期待のエストレーモであるイエッペスなども同じカテゴリを繰り返すことを余儀なくされた。また、このバルサC補強作戦の失敗は、シーズン途中で誰1人としてバルサBカテゴリーへの助っ人選手として招集されることがなかったことを見ても明らかだろう。

バルサB三部リーグへと降格という歴史的汚点を前にして、このコーナーでは誰一人として無罪とはならない。明日はフラン・ライカー被告を追求してみよう。


バルサB歴史的危機状況(2)
(07/05/24)

いわゆる“クラブ以上の存在”というテーマをひっさげ、ラポルタ政権が世界各地にバルサフットボールスクール開校政策を採用し始めたのはつい2年ぐらい前から。中南米やアフリカ各地に候補地及び協力者を探し、バルサ・フットボールスクールが現在のところ6つ開校されている。このフットボールスクール開校政策というのは、かつてのフロレンティーノマドリも5、6年前からおこなっていることで、スクールを開校することにより、マーケティングの拡大と優秀な選手の発掘・育成が目的とされている。

ラポルタはこの政策と平行して中南米のクラブと“姉妹クラブ”的な結びつき政策もおこなっているが、これは今のところ見事に失敗の巻きとなっている。去年だったか、アルゼンチンのアルセナルというクラブと姉妹提携を結んだが、いつの間にかアルセナル側から一方的な契約破棄がおこなわれている。その理由として、バルサが、つまりラポルタが約束した年間60万ユーロの補助金が1ユーロも届いていないどころか、姉妹提供を結んだ後、クラブ関係者が一人も現地を訪れていない無責任さをあげている。これに対して、バルサは今のところ具体的な説明をおこなっていない。少なくとも個人的には何のニュースも見たことがない。

フットボールスクールの開校や姉妹クラブの提携は、マーケティング問題を別とすれば、あくまでも優秀な若手選手の発掘・育成にあるとクラブは説明する。つまり、外部でのカンテラ選手育成だ。だが、この政策が正しいかどうかは別として、ラポルタ政権がかつてのヌニェス政権のようなカンテラ組織充実化を図っているとはどうしても思えないのだ。

ヌニェス会長、そして彼に続いたガスパー歴代最悪会長時代、バルサインフェリオールカテゴリーには独自のクラブ理事会が存在した。バルサインフェリオールカテゴリー会長、副会長、そして何人かの理事会員、これらの背広組の人々が20年以上にわたって、バルサAチームとは無関係にカンテラ組織のみの政策を担当してきた。だが、現在はアルベルト・ペリンだけだ。昨シーズンからだったか一昨シーズンからだったか、このアルベルト・ペリンが突如としてラポルタ内閣に入閣し、バルサインフェリオールカテゴリーの理事会内における最高責任者として任命され、役職に就いている。

アルベルト・ペリン、かつてジョアン・ラポルタと共に“エレファン・ブルー”の親玉の一人として、事あるごとにヌニェスを追求してきた人物。バルサBが二部Aカテゴリーから二部Bカテゴリーに落ちた際、ミニエスタディでヌニェス会長更迭、監督のフアンデ・ラモス(現在セビージャ監督)の更迭を要求するデモンストレーションをした人物として個人的には記憶している。そしてその人物がカンテラ組織における背広組の最高責任者として働いている今、クラブ史上初のバルサB三部リーグ降格という悲惨な事実を招いたというのは、あまりにも皮肉な話だ。

彼がクラブ理事会に入会したのはラポルタのコネだというのは明らかだが、なにゆえカンテラ組織を担当することになったのか、そこらへんがよくわからない。この人物がカンテラ組織に関してどれだけの知識を持ち、どれだけの関心を持ち、どれだけの愛情を持ち、そしてどれだけの精力を注ぎ込んできたのか、そこらへんもわからない。ただ、いつもラポルタの隣や斜め後ろに彼の姿が見られる。ライカーバルサチームがアウエーの試合の時には、いつも彼がラポルタと一緒に移動している風景が見られる。

第36節バルサB対アルコイア戦。ミニエスタディでおこなわれたこの試合で、彼がドカンと貴賓席に座っているのを目撃している。この試合に勝利するかどうか、バルサBにとってはまさに将来をかけた試合だった。そしてほぼ敗戦が濃厚となった後半の半ば、アルベルト・ペリンは席を立ち、どこかへと消えていってしまった。その姿を目撃した多くの人々から派手なブーイングと白いハンカチが送られている。
“ペリン!ディミシオン!”
“ペリン!ディミシオン!”
“ペリン!ディミシオン!”
もう辞めてしまえ!そういうシュプレヒコールまで登場した。

そして第37節アウエーでのバダロナ戦。この試合に勝利し、そしてカテゴリー降格候補仲間の不幸があって初めて最終戦まで期待が持てることになる、バルサBにとって超重要な試合。だが、カンテラ組織最高責任者アルベルト・ペリンの姿はなかったという。ラポルタと共にマドリッドに飛び、At.マドリ戦を観戦しに行っているアルベルト・ペリンだった。このことだけで、彼は更迭されるじゅうぶんな理由がある、と個人的には思う。

この人物は、昨年のチャンピオンズ決勝戦のチケット配分責任者でもある。なにゆえカンテラ組織最高責任者がこういうことに顔を出してくるのか理解に苦しむが、いずれにしても多くのソシオを裏切ってくれたチケット配分責任者だ。アウエーでのライカーバルサチームの試合には必ずラポルタと肩を並べて行動を共にし、こういうわけのわからないところまで顔を出してくる。まるでカンテラ組織の面倒は片手間でできます、と言わんばかりだ。
“ペリン!ディミシオン!”
ここから新たなカンテラ組織再編をスタートすべし。


バルサB歴史的危機状況(1)
(07/05/23)

バルサBが三部リーグでプレーすることになるのは、33年ぶりのことだという。それでも当時は二部Bカテゴリーが存在しなかった時代。最高カテゴリーとしてリーガがあり、その下に二部リーグ、さらにその下に三部リーグという時代だった。つまり三部リーグが文字通り三番目のカテゴリーの時代ということになる。したがって二部カテゴリーを二部Aと二部Bというカテゴリーにわけ、その下に三部リーグを設置している現在のシステムによれば、三部リーグは実質的には四番目のカテゴリーになるわけで、バルサBとしてはクラブ創立以来初の“四部リーグ”でのプレーとなる。

この事実を見ただけでもバルサBのカテゴリー降格がいかに重大な問題であり、すべての当事者たちが襟を正し深く反省し、各自なりの責任をとらなければならないのは当然のことだ。

キケ・コスタス監督は、バルサB不振の原因をすべて己のせいとして総括しようとしている。もちろん現場責任者としての彼の誤りが多く見られたことは否定できない。だが、バルサB不振問題は現場の問題だけではない。構造そのものにも多くの問題があるのは明らかだ。

クラブ会長ジョアン・ラポルタ、スポーツ・ディレクター・チキ・ベギリスタイン、バルサインフェリオールカテゴリー担当理事アルベルト・ペリン、そしてバルサインフェリオールカテゴリー責任者ホセ・ラモン・アレサンコ。彼ら一人一人にもキケ・コスタス監督と同じような責任がある。そして残念ながら一人としてその責任を明らかにしていない。少なくとも今のところ、誰一人として責任をとろうとはしていない。バルサBが三部リーグでプレーするということは、バルサCが自動的にカテゴリー降格し、カタルーニャ地方リーグへと追いやられることを意味する。そしてそれは同時に、90%の確率でバルサCチーム解体を意味することになる。なぜならカタルーニャ地方リーグでプレーすることは、将来ある選手の育成に役立たないばかりか、成長を妨げる恐れも生じるからだ。だが、問題はバルサCチームだけにとどまらない。フベニルAチームでプレーしている選手たちのクラブ内チームでの行き先が減ることにより、多くの選手がレンタル移籍、あるいは完全移籍の身となる可能性が大だからだ。

ミアプエスタ・フィゲーラスという、最終戦を残した段階で14位につけているクラブがある。彼らの下に位置するオサスナBとサン・アンドレウが最終戦で勝利した場合、このフィゲーラスも最終戦を勝利しない限り、二部Bカテゴリー残留は決まらない。もし、ミニエスタディでおこなわれるバルサB相手の最終戦に勝利しなければ、カテゴリー入れ替え戦を戦わなければならないことになる。その彼らが一つのオファーを出そうとしている。もし、二部Bカテゴリー残留となれば、その権利を他のクラブに売ることも考えています、そういうオファーだ。

たぶん過去にもあった例なのだろう。だが、具体的にどういうスタイルで“売る”のか、個人的にはよく知らない。カテゴリーの権利を売るのか、はたまたクラブそのものを売ってしまうのか、そこらへんが良く理解できない。いずれにしてもフィゲーラスクラブ会長が語るには、経済的に大きな問題を抱えているので“カテゴリー権利”だか“クラブそのもの”だかわからないものの、とにかく金になる物は売ってしまいたいということらしい。そしてその予想されるオファーに、バルサがヨダレを垂らして待ち受けているといわれる。

売りたい側がいて、それを買う側がいればビジネスは成り立つ。法律的には何の問題もないビジネスのようで、別にヤバイことではないようだ。もしバルサがフィゲーラスの売ろうとしてるものを買い取れば、バルサBは何事もなかったかのように二部Bカテゴリー残留となり、バルサCもまた三部リーグ残留となる。だが、スッキリしない。まったくもってスッキリしない。いやいや、まったくもってスッキリしないどことか、バルサBカテゴリー降格という悲惨なニュースより恐ろしげなニュースとうつる。だが、こまかい内容がわかるまで、とりあえずこのビジネスに関してはこれ以上触れないようにしよう。

まず背広組の追求。クラブ会長ジョアン・ラポルタ、そしてバルサインフェリオールカテゴリー担当理事アルベルト・ペリン、この2人だ。


コルチョネロ
(07/05/22)

ファン心理は単純にして、そして同時に複雑でもある。愛するクラブに心も体も染まってしまうと、必ず“アンチ”がつくクラブが登場するのは誰しもが経験していること。それはインチャにとって避けられない現象だ。そしてその“アンチ”度の濃度によって、ファンが抱える心理的な複雑さも変わってくる。

At.マドリ対バルサ戦。首位奪回を目指すバルセロニスタにとってだけではなく、コルチョネロ(At.マドリファン)たちにとっても大事な試合だ。もしバルサに勝利することができれば、来シーズンのUEFAの戦いに参戦できる可能性がグ〜ンと高くなる。したがって、相手がどこであれ、勝利の3ポイントを期待し地元での大声援をしたいと考える。それは単純にして明快な発想だ。だが、その勝利が“天敵”であるメレンゲ(レアル・マドリファン)を大喜びさせることになると、事情はチョイと違ってくる。いや、だいぶ違ってくる。

バルセロナ市内にあるAt.マドリペーニャの会長であるフアン・ポッソ氏。
「一人のコルチョネロとして、そりゃあ、いつもチームの勝利を期待し応援しているさ。相手がマドリやバルサとなればなおさらだ。だが、今回はどうもまずい状況だ。コルチョネロとしてチームの勝利を願う気持ちはもちろんあるんだが、それがマドリのリーグ優勝の手助けになるとあっちゃあ、こりゃ、チョイとまずい。ペーニャの会長がこんなことを言っちゃあなんだが、できればバルサに勝って欲しいとさえ思っているんだ。いやあ、まったく困った試合だよ。」
バルセロナという街にあるペーニャの会長だから、こう語っているのではないという。彼らと連絡を常にとっている他の地方にあるペーニャたちの気持ちも、似たり寄ったりのものらしい。

その気持ちはクラブ理事会を構成している人たちにも共通してあるようだ。ある理事会員が語る。
「理想的な展開としてはこうだ。まずマドリがレクレに負ける。そして我々がバルサに勝利しUEFA参加を確定させる。そしてマドリがサラゴサに行って再び負け、最終的にバルサの優勝となる。これが理想的な展開だ。」
最終的にバルサの優勝となるという部分をのぞいて、この理事会員の楽観的な予想は見事に外れてしまった。レアル・マドリがレクレに勝利し、そして彼らはバルサの前に膝をつきながら敗北している。カルデロンに集まった多くのコルチョネロの心理状態が、試合に影響を及ぼしたような不思議な展開の試合。普段は入らないゴールが気持ちよくスイ〜とポルテロを抜き去り、そしてトゥランとプジョーが天敵ニーニョをキッチリと封鎖。これまでのバルサの試合を見せられているバルセロニスタにとっては思いがけぬ試合展開だ。

そこで一つの疑問。バルサはなにゆえこういう良い試合展開ができたのだろうか。言い換えれば、なにゆえ今までこういう試合展開ができなかったのだろうか。

「今週の練習は今シーズン最高の内容でおこなうことができた。」
多くの選手がこう語っているのをメディアが伝えている。リーグ戦がスタートしてから約40週間後にして、そしてリーグ戦をわずか4試合残した段階で、初めてシーズン最高の練習ができた、そういうことになる。そりゃあ、どこかおかしい。コルチョネロたちのこの試合に関する複雑な心理状態と同じように、バルセロニスタにとってもこう語る選手たちの言葉は複雑にうつる。じゃあ、いままでいったい何をしていたんだ、ウン?

レクレ戦でのマドリの試合を見てから、このバルサの試合を見るとさらに複雑な気持ちになる。こういう試合ができるのなら、マドリには10ポイント以上の差をつけていてもおかしくないチームだ。2年連続リーグ優勝をしチャンピオンズを征したこのチームは、もう何年間もタイトルから見放されているマドリを大きく離してリーグ優勝を決めている実力を持ったチームだ。でも、いまさらそんなことを嘆いてもしかたがない。

大勝利したらしたで、それなりに不満も感じるファン心理は複雑なり。いずれにしても残り3試合、バルサ選手の目覚めが遅すぎたのではないことを祈るだけ。バモス、バルサ!次はヘタフェをぶちのめしてしまおう。


勝利あるのみ!
(07/05/20)

ラドミール・アンティック、かつてレアル・マドリやAt.マドリ、あるいはオビエドやバルサの監督を経験してきた人物。バルサ監督時代はもちろん応援したものの、どうも苦手なタイプの人であり、つまるところ好感が持てる人物ではない。もちろん個人的に接したことがない人物であるわけだが、15年も20年もインタビューや討論会やラジオ解説などをとおして見ていると、それなりの“体臭”は伝わってくる。その“体臭”から受ける印象は、ずる賢いというのか、都合の良い野郎というのか、ご都合主義というのか、まあ、手っ取り早く言うとそういうこと。結果論をしゃべらせたら最高の人物かも知れない。

いまどこで何をしているのか。どこかのクラブで監督をしているというニュースは伝わってきていないから、片手間にやっていた不動産業に本腰を入れているかも知れない。だが、監督業をしていないからといって廃業したという話も聞かない。したがって、失業中の監督業屋さんと理解しておこう。

そのアンティックが今シーズンのバルサに関して語っている。そしてフラン・ライカー監督批判までおこなっている。
「選手間に問題があることが確かなのに、それを解決するどころか現実を逃避するかのように目をそらしているのは監督として褒められたものではない。」
この指摘が的を射ていようがどうだろうが、そんなことをアンタに言われとうはない。身内でも何でもなく、あくまでもAt.マドリの人間である彼にそんなことを指摘されるほど、ライカーもバルサは落ちぶれていない。何と言っても、我らが監督は2年連続リーグ優勝とチャンピオンズを制覇しているのだ。

そもそも同業者批判をおこなうこと自体、ご都合主義のアンティックを的確に示している。オランダ代表のためを思ってバン・バステンを批判したバン・ガールより劣る行為だろう。この人は別にバルサのためを思って何か語っているわけではないのだから。

こういう外部からの無用の攻撃に対し、キッチリと城壁を固めなければならない。
「今のような否定的な状況の時こそ、バルセロニスタが団結しなければならない。」
クライフにしては珍しくも真っ当な発言。明日に向けた建設的な内部批判は常に存在しなければならないが、外部からの内部崩壊を誘うような批判には固い城壁を持って守らなければならない。

そうこう言いながら、気がついてみれば泣いても笑ってものAt.マドリ戦。ベティス戦での目の前での油断大敵ゴールがいまだに目に焼き付いている今日この頃、どこと対戦しても勝てる気がしない。そんなところにきて、相手チームは最近のバルサには天敵と呼んでもおかしくないAt.マドリ。

それでも、勝利を期待するしかない。どう転んでも勝利を期待。しかも彼らに勝利するのに奇跡はいらない。ほんのチョットした幸運があればよい。これまでとは違い、何かの間違いでデフェンサが頑張ってみたり、セントロカンピスタが普段以上に走り回ってしまったり、あるいはエトーやメッシーやロナルディーニョのシュートが何かの間違いでゴール枠内に入ってしまうだけでよい。ついでにバルサ有利の笛が吹かれれば最高だ。神頼み、幸運の女神頼り、頼めるところにはどこにでも頼みに行きます。

バモッ、バモッ、バモッ、バルサ!
ついでに、バモッ、バモッ、バモッ、レクレ!
もう一つついでに、バモッ、バモッ、バモッ、バルサB!


バルサB不振が招くもの
(07/05/18)

「この不振の原因はすべて私の責任だ。」
一切言い訳をせず、端的にキッパリと語るキケ・コスタス監督。そう、確かにバルサBの不振の原因はキケ・コスタス監督にあることは間違いない。与えられた駒(選手)を適切に使いきれなかったこと。ベテランの選手を信用しすぎたこと。選手交代にもたびたび誤りが見られたこと。戦術的にも明らかにおかしいと思われた部分もあったこと、エトセトラ、エトセトラ・・・。だが、これらはあくまでも、どの監督でもシーズンをとおして犯すミスであり、これほど悲惨な状況を迎えてしまったことのすべての原因とは決して思えない。個人的には、彼の責任は“すべて”ではなく、ほんの一部分的なものだと思っている。

Aチーム監督とは違い、Bチーム監督にはそれほど権限はない。放出選手の決定や補強選手の選択に関してもそれほど権限はない。したがって、放出選手、補強選手に関する最大の功労者であり同時に戦犯ともなり得るのは、あくまでもディレクターだ。ホセ・ラモン・アレサンコ、彼が最大の責任者となる。そして彼をその職に就かせたラポルタ理事会もまた責任から逃れることはできない。そのラポルタとアレサンコの2人が首をそろえてF1サーキットに観戦に行ったというのは象徴的な事件である。そう、バルサBがカテゴリー落ちを防ぐために必死になって戦っていた試合の最中、彼らはミニエスタディよりカタルーニャサーキットを優先したというのはまさに象徴的な事件だ。

かつて触れたように、ラポルタ政権はフットボール以外のプロセクション年間予算を縮小してまでも、フットボールセクションを最優先しているのが特徴の一つとなっている。だが、それはカンテラ組織にまで力を注いでいるという意味にはならない。スタートは良かった。バルサインフェリオールカテゴリーの責任者がコロメールだった頃までは、彼独自のアイデアでカンテラ組織を充実させることに成功していた。カタルーニャ地方やスペイン国内だけではなく、他の国からも将来性のある少年たちをスカウトし、カンテラ組織の充実化を図っている。だが、サンドロ・ルセーと共にクラブを追い出されるようにコロメールが去り、アレサンコが最高責任者となってから何やらおかしくなってしまった。明日はどうなるかわからないものの、少なくても今日の段階ではそう言える。

ライカーバルサが誕生して以来、下のカテゴリーから上がってきた選手はわずか2人だけというのも、現在のバルサを象徴している気がする。この4年間でメッシーとジョルケラしかバルサAチームに定着していない。確かに多くの選手がバルサBやバルサCからデビューを飾っている。だが、それはあくまでも頭数合わせ的な起用であったり、どうでも良い試合での“ご褒美招集”に過ぎなかった。いくら頑張ってもバルサAチームには上がれない、そういう厳しい現実の前にモチベーションが下がってしまったのか、あるいはまた期待された選手に実力が足りなかったのか、そこら辺は外部からしか見ていない人間にはわからない。

いずれにしても現実は非常に厳しくなっている。もしバルサBが三部カテゴリーに落ちることになったら、ドミノ現象のごとくバルサCはカタルーニャ地方リーグへと転がり込むことになる。バールで働くお兄ちゃんや学生などで構成されている素人チームが多いこのカテゴリーで、果たしてバルサCチームを延命させるメリットがあるかどうか、そういう疑問を持つクラブ理事会員もいると言われている。したがって、バルサCチームの解体という可能性もないわけではない。

バルサBが三部リーグに、そしてバルサCが解体となったとしたら、次のようなことが考えられる。ボージャンの将来に関してはいずれラ・マシアサイトで触れるとして、バリエンテやクロッサス、ジェフレン、カルボ、ビクトルといった将来を期待される選手はどこかへとレンタルされるしかない。バルサCを構成しているほとんどの選手はレンタルか完全移籍という形でクラブを離れることになるだろう。そしてフベニルAの選手たちも何人かはバルサBに上がるとして、その他のほとんどの選手がクラブを離れることを強要されことになる。これは、はっきり言って異常事態だ。

だが、まだ完全に決まったわけではない。バルサBの三部落ちも完全に決まってなければ、バルサC解体というのも完全に決まったわけではない。とはいうものの・・・とんでもない状況になっちまったもんだ。


明るい話題
(07/05/17)

なにか明るい話題を見つけられないものかと思ったものの、今のバルサに明るい材料を探し求めるのは至難の業だ。フットボールセクション以外を見渡しても、以前のような明るい素材は見つからない。

マーケティング世代の落とし子であるラポルタチームが、“クラブ以上の存在”というクラブポリシーをいかに世界戦略のマーケティング素材として使用しようが、個人的には“世界最大のスポーツクラブ”という意味合いでこの言葉を使っていた元会長ヌニェスのアイデアを尊重したいと思っている。フットサルを含め、バスケ、ハンドボール、ローラーホッケー、そして当然ながらフットボールを含めた5つのプロセクションを持つクラブは、世界中に多くあるスポーツクラブの中でもそう見つかるものではない。例えあったとしても、フットサルをのぞいた4つののセクションがヨーロッパ制覇を狙える高い水準にあるクラブは存在しないだろう。だからフットボールセクションが沈みきっている時期でさえ、どこかへの“逃げ道”が見つかってもおかしくはない。だが、今シーズンはそれさえ見つからない否定的な状況だ。

バスケットチーム。ガスパー時代にはヨーロッパを制覇したセクションながら、今シーズンは国王杯を勝利したものの、リーグ戦は4位に終わりプレーオフに入ろうとしている。
ハンドボールチーム。世界最強のハンドボールチームと言われたヌニェス会長時代のこのセクションは、ラポルタが会長に就任してきてから下降線状況が続き、国王杯を制覇したものの、来シーズンのチャンピオンズ参加権を得るのさえ難しい状態。
フットサルチーム。リーグ戦残り2試合を残した段階でどうにかこうにかカテゴリー降格を逃れている。
ローラーホッケーチーム。このセクションだけは別だ。10年連続リーグ優勝、国王杯制覇、チャンピオンズ優勝、世界クラブ大会優勝、逃したタイトルはスペインー・スーパーカップだけというオバケチームだが、いかんせん生で見たことのないスポーツだけに実感がわいてこない。

ラポルタバルサの特徴の一つとして、フットボールセクションにより多くの精力を注いでいることが上げられる。会長としてのラポルタだけではなく、彼個人としてもそれほど他のスポーツに興味がないのだろう。バスケやハンドボールなどがおこなわれるパラウ・ブラウグラーナに彼の姿が見られるkとは、これまで皆無と言っていい。そしてクラブ理事会が、これらのセクションに対し本腰を入れて強化する姿勢を見せていないことが、パラウ・ブラウグラーナに集まるファン数の減少状況を生み出している。先日観戦に行ったハンドボールの大事な試合では、これまでだったら8千人で埋まっているパラウ・ブラウグラーナにわずか2千人強という寂しい観客席。う〜ん、ここにも明るい話題が出てこない。

月曜日、練習風景を30分近く拝見。メディアが伝えるような暗い雰囲気はまったくなく、選手たちはみんな明るい表情でかる〜く流すようにして終わり。まるでベティス戦では何事もなかったかのような緊張感の欠片もない練習が終わった翌日の火曜日、何と練習のない完全休養日ときた。あのカペロマドリでさえ練習しているというのに我らがバルサは余裕の休日。デコ、エトー、チャビ、エドゥミルソン、ジオという、例のベティスゴールを生んだフリーキックの瞬間にボールに背を向けていた“油断五人衆”が話題になっているが、その一人であるデコはさっそくロンドンまで飛びCM撮影だと。う〜ん、やはり明るい話題が出てこない。

そしてやっと見つけた今週の明るい話題。それは今週末はカンプノウで試合がないこと。さらに見つけた来シーズの明るい話題。それはロナルディーニョがコパ・アメリカに不参加としたい意向を発表したこと。もっとも、これがバルサにとって明るい話題となるのか、他のクラブにとって明るい話題になるのか、そこまではわからない。


最最悪の週
(07/05/15)

考えてみればスタートからして良からぬ週ではあった。日曜日、ロナルディーニョはバルセロナから少し離れた、とある観光地のディスコで朝まで遊びほうけている。普段ならニュースとならない日曜日深夜のディスコ巡りなれど、一緒にいたのがナスティックのジルベルトという選手というのがまずかった。二部落ちにまっしぐら状態のナスティック関係者は、マジにこの問題をとらえてしまった。そして自然と彼と一緒に遊んでいたロナルディーニョの名前までメディアに登場してしまう。もう半年近く前から噂になっていたライカーの娘との関係までスキャンダルっぽく取りあげられてしまうロナルディーニョであった。

木曜日、世紀のスキャンダルとなったヘタフェ戦での敗北。
土曜日、フベニルAチームの国王杯での早すぎる敗退。
日曜日、バルサB地元での敗北により、片足どころかほぼ両足と言っていいほどの三部リーグ降格に突入。昼の12時30分からおこなわれたこの試合の最中、ラポルタとアレサンコ(バルサインフェリオールカテゴリーの最高責任者!)はF1がおこなわれるカタルーニャサーキットへ。そして20時45分、今シーズンのバルサを象徴するかのような油断大敵ゴールを喰らう。例えマドリがエスパニョールに勝利しようと、バルサもまたベティスに勝利するであろうから、“最悪”でも2ポイント差で新しい週を迎えられると信じていたのに、どうやら“最最悪”の週というのがあったようだ。差は0ポイントとなり、しかも彼らの方が上に行ってしまった。ギャフン。

イムノが流れ始めると共に姿をあらわしたバルサ選手たちに向かってブーイング。バルサ選手の名が一人一人紹介されている最中にもそれぞれブーイング。それが大嵐のフーイングとならなかったのは、この日のカンプノウを埋めた人々の大半が観光客だったからだろう。自分の周りには誰一人知り合いがおらず、ほとんどがイングランド人、ドイツ人、オランダ人という外国人。知り合いの連中はヘタフェ戦での怒りがまだ消えていないのか、あるいはもうライカーバルサを見捨ててしまったようだ。そして彼らの席にはF1帰りの、真っ赤に日焼けした顔の旅行客が居座っている。ロナルディーニョが出すパスには“オーマイガッ!”と叫びおおげさに頭を抱え、そして大きな拍手を送る彼らが座っている。もちろん“オーマイガッワルイ!”とは誰も叫ばない。それはいいことだ。

さて、ひたすら長い週がやって来た。再びギャフン!


準備万端!
(07/05/13)

ヘタフェ戦はもう過去のページへと追いやろう!というこの変わり身の速さは、バルサファンを長いことやっている経験から取得したものであり、そして生き延びるのに必要な精神として重要なものだ。

長かったシーズンがやっと終わることになる6月17日まで(それ以降におこなわれる何かの決勝戦などもう関係ない)、残るゲームは5つ。そして我らがバルサは、これを書いている段階で2位のレアル・マドリに2ポイント差をつけている。最悪のケースとして、土曜日にはメレンゲが一時的な首位に躍り出るとしても、日曜日が終わる頃には元通りになっているだろう。したがって新たな週がやって来れば、最悪2ポイント差、うまくことが運べば4ポイント、あるいは5ポイント差となって首位に輝いているかも知れない。

すでに過去のページに書き込まれてしまった“歴史的に残るスキャンダルな敗北”の主役となった一人一人の選手が、その悔しさと意地をこれからの試合で見せれば良い。それでも依然としてテレテレしている選手は監督が外せば良い。やる気とドス・コホネスを見せる選手がグランドを走り回れば良い。3年連続リーグ優勝という歴史に残るシーズンとするために、すでに失ったものを追い求めるのではなく、これから獲得できる素晴らしいタイトルを目指して頑張ってみよう。

だが、それはそれとして、カン高く鳴る口笛の練習もバッチシおこない、風呂敷大の白いハンカチもポケットの中にしっかりと準備して行こう。リーグ優勝が決まる可能性のあったヘタフェ戦、あるいはエスパニョール戦のみカンプノウに行く予定だったのを変更し、ベティス戦にバモス。この試合は観戦可能な人々には義務的に駆けつけなければならない試合となった。このチャンスを逃してはならぬ。いざ、カンプノウへ!バモス!

こうあるべきベティス戦スタメン11人。


これを恥といわず何と言う
(07/05/12)

先週末のマドリ・セビージャ戦。ベルナベウにいくつかの興味深い垂れ幕が張られていた。
“国王杯決勝戦をベルナベウでおこなうことを拒否せよ!”
表現の仕方にそれぞれ違いがあるものの、すべての垂れ幕の主旨はこうなっている。バルサが決勝戦に進出してくる可能性が大きいだけに、そんな決勝戦にベルナベウを使わせるなという意見。そりゃ、気持ちは痛いほどわかる。決勝戦ともなれば多くのブラウグラーナ色で固まった“永遠の敵”共が街を徘徊し、そして優勝でもしようもんならベルナベウにバルサイムノが流れ、バルサの旗が所狭しと振られるのだ。そんなシーンを観客席ではもちろん、テレビ画面でも見たくない。メレンゲの気持ちはよ〜くわかる。

そしてウルトラ・スルが選手をやっているようなミチェル・サルガドも記者会見でこう語っている。
「バルサが出てくる決勝戦にここを使わせるのは挑発行為、冒涜行為だ。」

なぜベルナベウが決勝戦スタディアムとして選ばれたのか。それは彼らが立候補したからだ。決勝戦スタディアムとして立候補し、そしてメデタク彼らの目的が達成されたからだ。したがって、気持ちはわかるものの、文句をいう立場にはないことも確かなこと。決勝戦に使用されたくなかったら立候補しなければよかったのだ。例えば、国王杯決勝戦グランドとして一度たりとも立候補したことがないバルサ・カンプノウみたいに、おとなしくしていればよかったのだ。だが、彼らにとって幸いなことに、ベルナベウにバルサは登場しない。

バルサにとっては1997年5月以来のベルナベウでの国王杯決勝戦となるはずだった。すべて“常識的”に物事が運び、予想できない恥ず知らずな結果が訪れなければ、そうなるはずだった。今から10年前、バイア、チャッピー、コウト、ロレン・ブラン、セルジ、ポペスク、ペップ、ペーニャ、ガッツ、ウリスト、フィーゴ、アムニケ、そしてロナルドなどを擁するバルサの監督は老将ボビー・ロブソン、対する相手のベティスの監督はセラ・フェレール。延長戦にまでもつれ込んでしまったこの決勝戦で3−2というスコアーでバルサが優勝している。試合後、バルサマフラーを両手に抱え、まるで狂ったように走り回っていた我らがガスパー副会長が目立ちに目立った試合となった。だが、今回のベルナベウ決勝戦ではバルサマフラーが登場しなければ、バルサイムノが流れることもなくなった。

ライカーバルサが誕生してから最も醜い試合の一つと言って良い。スーペル・マリオがダメ印を押されることになるマラガ戦より醜い試合だった。

試合後、恥ずかしく思うか?と聞かれるフラン・ライカー監督。
「スポーツ選手にとって唯一恥ずかしく思う瞬間は、もっと自分の力を出せるはずだったのにそれをしなかった、あるいはできなかったと認める時だ。だから、個人的には恥ずかしいと思ってはいない。ただ、ソシオの人々の期待に応えられなかったことを謝罪したいと思う。」
個人的に付け加えるとするなら、己の持つフィロソフィーを捨てて試合に望むことも恥ずかしいことの一つだろう。カルラス・プジョーが試合後語っているように「3点を守る試合をしてしまった。」ライカーバルサは、監督から選手まで全員恥ずかしく思うべきだろう。そして、もちろん、ジョルケラ以外誰一人として己の持っている力を出しきれていなかったのだから、この点でも恥ずべきだ。

根拠のない推測。ライカー、ロナルディーニョ、エトー、この三人が揃って来シーズンもバルサに残る可能性は試合ごとに少なくなってきているようだ。誰がクラブを去るのか、もしこの推測が当たるとすれば夏には結論がでることになる。サイクルとはいかに短いものか・・・。


ボージャンに夏休みを!
(07/05/10)

これまでフラン・ライカーがおこなってきたボージャンに関するコメントを聞く限り、もし彼がユーロU17大会にスペイン代表選手として招集されていなければ、この国王杯ヘタフェ戦にバルサAチームの一員として呼ばれていた可能性が大だ。だが、もちろんそれは実現していない。スペインU17代表は決勝ランウドまで進んでしまい、木曜日にベルギーを相手に準決勝を戦う。そして決勝ランウドまで進んだことにより、このベルギーとの試合に勝とうが負けようが、今年の8月に韓国で開催されるムンディアルU17(ジュニアー・ムンディアル)への参加権をすでに得たことになる。ユーロU17の大会でスペイン代表選手としてプレーしているボージャンが、この韓国大会にチームの一員として招集されたとしても不思議なことでも何でもない。

だが、普通の選手たちが夏休みを楽しんでいるこの時期に、ボージャンが駆けつけなければならない可能性をもつ代表の試合はこれだけではない。

彼が招集される可能性がある大会は何と3つもある。6月30日から7月22日までの期間を利用してカナダで開催されるムンディアルU20。そしてオーストリアで7月16日から27日まで開催される(スペイン代表はまだ参加権を獲得していない)ユーロU19。すでに触れているムンディアルU17を含めてこの3つがボージャンが招集される可能性を持つ大会となる。だが、もちろん3つ全部行くことはあり得ない。体が二つあるならともかく、ボージャンは一つしか体を持っていない。

ユーロU19の大会に招集される可能性はまったくないとは言えないものの、可能性としては一番低いと言える大会だ。もしムンディアルU20の大会に招集されれば、ムンディアルU17大会に招集される可能性も低くなる。そしてその逆のケース、つまりムンディアルU17に招集されることになれば、ムンディアルU20の大会に招集される可能性も低くなる。だが、いずれにしても“可能性が低くなる”だけで、可能性が消えるわけではない。3つある大会のうち2つの大会に招集される可能性がまったくないわけではないようだ。

2007−08シーズンのライカーバルサチームは7月23日から28日までスコットランドでおこなわれるプレステージからスタートする。ジョバニとボージャンはこのプレステージに参加することがすでに決まっているが、もしムンディアルU20(ジョバニはメキシコU20代表として参加が決定されている。)に招集され7月22日の決勝戦まで残ったとしたら、大会終了翌日にプレステージに参加してくることになる。この場合、彼らには夏休みがないことになる。それはチョットひどい。

そして、8月18日から韓国で開催されるムンディアルU17の大会に招集されたとしたら、この場合は8月3日からスタートするライカーバルサのアジアステージには参加できないことになる。代表合宿は大会開催日から2週間前から始まるのが普通だから、当然ながらライカーバルサの一員としてアジアステージに同行することは不可能だ。アジアステージに参加できようができまいがそれはどうでも良い問題として、問題はライカーバルサプレステージから一時的ではあれ離れてしまうことだろう。

だが、これらの問題はすべてボージャンが来シーズンもバルサに残留するという大前提から来ている。もしバルサBがカテゴリー落ちし、三部リーグでの戦いを義務づけられたとしたら、事情はまったく違うものとなってくる。将来あるキラキラ星選手を、つぶし合いが特徴となる三部リーグでプレーさせることはできない。かといって、第三、あるいは第四のデランテロとしてライカーバルサに押し込むことも意味のないことだ。来シーズンが始まる頃にはすでに17歳となっている彼に必要なことは、毎試合プレーすること。ライカーバルサチームではそれは保証できない。そこで考えられること、それは一時的に他のチームにレンタルすることだろう。彼をスタメン選手として起用してくれ、しかも成長を助けてくれるレベルの高いカテゴリーでプレーすることを可能としてくれるチームにレンタルすること。これしかない。不振状態が続くバルサBのマイナス面はとんでもないところまで飛び火してしまっている。


1位バルサ、2位マドリ
(07/05/09)

「バルセロニスタにとって最高のリーグ優勝は2位にレアル・マドリが位置することだ。しかも我々とのポイント差が少なければ少ないほど素晴らしい優勝となる。」
かつて“ドリームチーム”を指揮していた時代に、ヨハン・クライフがこう語っている。そしてその言葉どおりの素晴らしいリーグ優勝を、我々バルセロニスタに二度もプレゼントしてくれた。1991−92シーズン、そして1992−93シーズンと2年連続して、レアル・マドリにわずか1ポイントだけの差をつけてリーグ優勝を飾っている。しかも両方とも最終戦での逆転優勝という派手なシナリオ付きの優勝だった。

残り5試合を残したところで首位のバルサと2位のレアル・マドリの差はわずか2ポイント。したがって、バルセロニスタにとって最高のリーグ優勝を達成する下地は整っている。もっとも、それはマドリディスタにも言えることで、彼らにとっても2位にバルサを押しのけての素晴らしいリーグ優勝を達成することも可能となっている。いわば、地獄と天国の境目にある塀の上をヨロヨロと歩き回るような残り5試合となるわけで、とてつもなくスリリングな展開となってきた。だが、バルサとマドリの決定的な違い、それは我々の方が2ポイント多く獲得し首位にたっていることだ。首位であること、それは相手に対して優位にたっていることであり、相手にとってはハンディ戦となっていることを意味する。そして何よりも、第三者のことを考えないで自らの勝利だけを目指せば成功が訪れる立場にある。

そして国王杯。理想的な優勝はレアル・マドリを破ってのものとなるが、肝心の相手はもうとっくに消えている。だが、第二の理想的な優勝パターンはベルナベウでの決勝戦で勝利することだ。ジョアン・ガスパー元会長の人生最大のエクスタシーは、ロブソン時代にベルナベウで国王杯優勝を飾ったことだろう。ベルナベウにバルサイムノが流れる中、バルサマフラーを振りながらグランドを走り回っていたガスパー。それは多くのバルセロニスタを代表したシーンでもあった。

だが、カタルーニャ人は悲観的だ。

グラスに半分のワインが入っていたとする。楽観的な性格を持つ人が多いと言われるマドリッドの人々はこう言うだろう。
「グラスに半分のワインが入っている。」
そして悲観的な発想を持つことで知られるカタルーニャの人々はこう語る。
「グラスの半分は空になっている。」

マドリメディアはもう何日も前からお祭り騒ぎだ。特にセビージャに勝利してからその騒ぎは一段と激しくなっている。すでにリーグ優勝を決めたかのような大騒ぎだ。そして一方のカタランパンフレット紙はひたすら地味に、何かいつものような元気さが見られない。そう、彼らもまたカタルーニャ人なのだ。

そして、我らがカピタンプジョーが次のような語るとき、多くの同意を得ることになる。
「我々がこれまで何回も繰り返し言っているように、リーグの制覇は限りなく難しい作業だ。もし、簡単に勝てると思っている人がいたとしたらそれは大間違いだと言える。」
決して過信することなく、あくまでも慎重に戦っていかなければならない。そういうポリシーが見られる発言。

プジョーの発想がまったく正しいと認めた上で、だが、同時に、勝利の魂を持ったオランダ人フラン・ライカーが語る発想の方が好きだ。
「我々は残り5試合の段階で首位に立っている。タイトルを狙うすべてのチームが我々のような立場にいたいと思っているだろう。我々は誰しもが望むようなとてつもなく恵まれた地位にいることを忘れてはならない。」
ブラボー!ライカー!

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過信
(07/05/07)

「クバラという偉大な選手を擁したバルサがあの“シンコ・コパス”を可能としたように、ロナルディーニョという世界最優秀選手を抱える我らバルサが、6つのタイトルを獲得することもごく自然なことだ。」
今シーズンの始まる前の6月、我らが会長ラポルタは元カタルーニャ州知事のジョルディ・プジョーとの朝食会で、シーズンごとに高くなる鼻をさらに高くし、そして大いに胸を張ってこのように語っている。この言葉に、今シーズンのバルサが知らぬうちに抱いてしまった過信が象徴されている。

ムンディアルのあった年だというのに、アメリカでの長期的なマーケティング・プレスタージを組んでいる。選手たちがそのマーケティング・プレスタージに参加してくるのに、足並みが揃っていないというマイナス面さえ生んでしまった。前シーズンの疲労とムンディアルでの疲労が重なったうえに、十分な夏休みもとれないでこのマーケティング・プレスタージに参加してきた選手もいれば、休養十分で参加してきた選手もいた。合同練習という名とは裏腹に、各自それぞれ特別なメニューで調整がおこなわれていく。それは公式試合が始まってからもメンタル面、フィジカル面の疲労に差がある選手たちによって一つのチームが形成されていくことを意味する。そして、モナコでの沈没、さらに日本でのムンディアリートの敗北。早くも6つ可能獲得タイトルのうち2つが消えていった。

だが、それでも一度抱いてしまった過信はなかなか消えない。普段より圧倒的に長期となる2週間弱のクリスマス休暇をとるバルサ。バルサフィジカルトレーナーのセイルロや監督のライカーにしてみれば、専門的観点から判断してこの長期休暇をとることに決めたのだろう。だが、それでも、過信がなかったか?今シーズンのスケジュールを見れば、唯一ミニキャンプが可能となる期間だった。後半戦に向けてのフィジカル調整を図るのには絶好のチャンスだった。そしてチャンピオンズの相手チームがリバプールに決まる。
「多くのバルセロニスタが望むような対戦相手になった。」
として大喜びしたラポルタ理事会の連中は、抽選後の記者会見でビートルズソングまで披露してくれた。メディアもリバプールと当たったことを幸運とし、多くのバルセロニスタもラッキー!と大喜びしている。もちろんこれを書いている自分も含めて・・・。

そう、過信を抱いたのはラポルタだけではなかった。多くの選手たち、多くのカタランメディア、そして多くのバルセロニスタたちもまた知らぬ間に禁じられた空間をさまよってしまった。リーグ前半戦での戦いの内容が、決して昨シーズンのような希望と期待にあふれるものでなかったにもかかわらず、依然としてずば抜けた成績によるリーガ制覇を夢見ていた。ひょっとしたらチャンピオンズ2年連続制覇もかなりの確率で達成できるのではないか、そう夢想していた。もちろんこれを書いている自分も含めて・・・。

そして5月第一週のバルサ。国王杯ほぼ決勝進出可能となり、リーグ戦も残すところ5試合となり、依然として首位を走っている。もし3年連続リーグ優勝となれば“ドリームチーム”以来の偉業となるし、国王杯もとり2大タイトル獲得なれば歴史に残るシーズンとなる。多くの過信を多くの人々が抱いてしまったとはいえ、そしてチャンピオンズの戦いには早すぎる終焉を迎えてしまったとはいえ、ライカーバルサの擁する偉大な選手たちがいてこその結果であることは間違いない。20人前後のライカーバルサの選手たちの実力は“ドリームチーム”のそれを遙かに超えたものだと思っている。さらに、ベンチでの采配には問題があるものの、ベンチ内をまとめる手腕に関してはクライフを超えているフラン・ライカーがいる。昨シーズンのライカーバルサに比べれば70%前後の今シーズンでありながら、リーグ戦での首位という状況は不思議なことでもない。

残り5試合となったいま、いまさらフィジカル面の調整がどうのこうという段階ではない。このまま70%の出来で突っ走るしかない。スペクタクルな試合展開は来シーズンに期待すればよい。多くの人々が抱いてしまった過信は、選手たちに汗を流すことを忘れさせてしまっている。ひたすら汗を、それも冷や汗を流す羽目となったのは試合を観戦するバルセロニスタだ。だが、それでも、二部カテゴリーでやっていけるかどうかも心配となるようなレアル・ソシエダ相手の試合で、何人かのバルサの選手は額に汗を光らせていた。そして、残りの5試合、さらに何人かの選手も加わって汗を流していかねばならない。ヨタヨタとしながらも、栄光あるゴールラインまであとわずか。


チャンピオンズ
(07/05/05)

約50年前から開催されているチャンピオンズリーグ(旧コパ・デ・エウロッパ)の成績をちょっと紐解いてみよう。

レアル・マドリ・・・12回決勝戦進出 9回優勝
ACミラン・・・・・10回決勝戦進出 6回優勝
リバプール・・・・・・6回決勝戦進出 5回優勝
バイエルン・・・・・・7回決勝戦進出 4回優勝
アヤックス・・・・・・6回決勝戦進出 4回優勝
ユベントス・・・・・・7回決勝戦進出 2回優勝
バルサ・・・・・・・・5回決勝戦進出 2回優勝
マンチェスター・・・・2回決勝戦進出 2回優勝
(2回優勝しているノッティンガム、ベンフィカ、インテル、オポルトは省略、同じく1回しか優勝していないチームも省略)

優勝回数の多いチームはミランをのぞいて一発勝負、つまり決勝戦に強いのが特徴。そして7回の決勝戦のうち2回しか勝利していないユベントスという例外があるものの、当然のことながら決勝戦への進出回数が多いチームとなる。今回のチャンピオンズでは準決勝の段階でチェルシーやマンチェスターが優勝候補としてあげられていたが、統計を見てみる限りACミランやリバプールが決勝戦に進出したのは不思議なことでもないようだ。マンチェスターは2回しか決勝戦の経験がないし、チェルシーに至ってはまだ一度も経験のないこととなる。

ロートル選手が多く恐竜チームと陰口をたたかれているミランと、プレミアでは首位に20ポイントも離されているリバプールがヨーロッパ一番を争って決勝戦を戦う。どちらのチームにも共通していることは、チャンピオンズの戦いが煮詰まってくるごとに調子を上げてきていることであり、そして、もちろん守備の固さ、中盤のつぶしの強さ、そして数少ないゴールチャンスをものにする効率の良さを持っていることだ。もっとも、チャンピオンズの戦いに限って言えば、これらの特徴は優勝を狙うチームには必ず必要な要素となるから例年のことといえばそれまでだが。

試合内容が例え悪くても、いわゆる試合巧者というのか、90分過ぎてみれば勝利しているというチームはこの種の大会に向いている。レアル・マドリはギャラクシーチックな時代は別として、常に効率が良く勝負に強いことが歴史的なチームカラーとなっているが、バルサは幸か不幸か歴史的にそういうキャラクターに欠けているクラブだ。ソシオはひたすらスペクタクルを求め、勝負そのものより、勝利する過程が最も重要なキーとなる傾向がある。昨シーズンの成功は、守備と攻撃のバランスが非常によくまとまっていたことが原因の一つだろう。REMに加えてラルソンという強烈な攻撃陣がうまく機能し、そしてマルケス、プジョーのセントラルにエドゥミルソンのピボッテを加えた三角地帯が強固な守りを形成していた。残念ながら今シーズンのバルサにはそのバランスの良さが見られない。

さて、ソシエダ戦を控えた前日、カンプノウを利用しておこなわれたバルサの練習は当然ながら非公開。だが、報道陣シャットアウトのこの練習風景を見てしまったのだ。実はこの日、バルサTVのインタビュー番組をカンプノウ観客席で録画。前回と同じようにリハーサルをやってくれないし、質問項目も教えてくれないという不親切な状況での一発勝負。そして一発勝負には弱いようで、しどろもどろ状態で言葉がうまくでず見事失敗の巻き。あ〜あ、断ればよかったとまた後悔。

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売り時はいつか?
(07/05/03)

若干23歳、顔の作りは今の彼よりかなり細く、体も心なしかスマートだったロナルディーニョが、バルセロナ・エル・プラット空港に到着した日のことは今でも鮮明に覚えている。特別印象に残ったこと、それは大勢のファンが出迎えに来ていたことでも想像を超えるジャーナリストが待ち受けていたことでもなく、それらの人々に囲まれてクシャクシャになりながらも、決して消えることのなかった笑顔だった。それまでロナルディーニョがどういう選手か知らなかった人々でさえ、この絶え間ない笑顔を見るだけで何か将来への希望を感じたはずだ。バンガール第一次監督時代、そしてガスパー会長時代を経験してきたファンにとって、これからのバルサに何らかの変化が誕生するのではないか、そんなことを予感させてくれる印象的な笑顔だった。

多くのファンが抱いたその予感が正しかったことを、早くもカンプノウ初戦で証明してくれたロナルディーニョ。“ガスパッチョの夜”とか“深夜の密会”とか呼ばれた24時05分試合開始のセビージャ戦で、バルサゴラッソ史に残るであろう派手なゴールを見せてくれた。

新しい会長が選出され、新しい理事会が誕生し、新しい監督と新しい選手たちが加わり新たなバルサが誕生し、カンプノウ初戦で大いなる明るい希望がわいてきたバルセロニスタ。いかに会長や監督や選手が変わろうが、常に変わらないのはカンプノウに向かうソシオだ。そして当然のことながら、彼らはバルサというクラブの歴史の証人となる。3年連続最終戦逆転リーグ優勝の目撃者となれば、ロマリオのコーラ・デ・バカを、ロナルドのバレンシア戦での突風ゴールを、リバルドのチレーナを、そしてセビージャ戦でのロナルディーニョのゴラッソの目撃者ともなれば、時として見たくもないシーンの目撃者ともなる。

2007年4月28日カンプノウ20時50分ごろ。レバンテ相手のこの試合、バルサは1−0で勝利し、すでにロスタイムに入っている。ここまでの5分間程度、レバンテは猛攻撃と言ってもおかしくないほどの攻めを見せていた。バルデスの前に飛び込んだデランテロが決定的なゴールチャンスを逃した後、バルサはカウンタアタックに出る。ロナルディーニョはモリーナとの勝負に敗れ、ボールはラインをこえバルサボール。情けないことにアップアップ状態であったバルサだから、ごく普通にボールを拾いに行き、ゆっくりと時間をかけるべきところ。だが、何を思ったか、ロナルディーニョは急いでボールを拾いチャビ(だったと記憶)にスローイング。すぐに3人ぐらいの選手に囲まれてしまったチャビは、一番近くにいるロナルディーニョの助けを求めた(ように見えた)。だがロナルディーニョはまったく動こうとしない。再びロナルディーニョを見る(ように見えた)チャビ。それでも彼は動かない。少しぐらいの勘違いがあるかも知れないが、何だかこうしているうちに審判が笛を吹いて試合終了(と記憶)。

いずれにしてもロナルディーニョが最後まで動かなかったのは確かだ。こういうシーンを見るのは初めてではなく、この試合でも何回かあったことであり、そしてこれまでの試合でも何度もお目にかかっているシーンだ。こういうシーンを目撃するたびに、多くの人々が一つの疑問を持つことになる。仲間を助けにもいかない選手が果たしてチームにとって必要な選手なのかどうか?

もちろんクラブ理事会も考える(と推測)。売り時はいつなのか。今シーズン終了時か、あるいは来シーズン終了時か。少なくともバルサ金庫番ソリアーノは売り時を考えているだろう。リバルドやサビオラの売り時を誤った過去を振り返れば、最も適切と考える時期に“値段が付く選手”を売らなければならない。

バルサというクラブがロナルディーニョというクラックを生んだのは事実だし、同時にロナルディーニョが現在の復調バルサを作り出した一人であることも事実。つまり、ロナルディーニョがバルサを必要としていたように、バルサもまた彼を必要としていた。これを過去形とするか現在形とするか、その判断は人によって異なるかも知れない。そして見たくもないシーンを何度も見せられながらも、個人的にはそれでもまだバルサに必要な選手だと思う。


残り六つ
(07/05/01)

試合に勝利するためには選手たちの持つモチベーションが大きな要素の一つとなるだろうが、スタディアムに向かうファンにとっても“見に行くんだ!”“楽しみだぞ!”というようなモチベーションが必要だ。だから“テレビでやるからいいっか!”というような低いモチベーションの時にはなかなか行く気にならない。そんなモチベーションが欠けていた今月。まず小雨のデポル戦をパス、相手がマジョルカでは晴れてもモチベーション不足でパス、不在だったとはいえ例えバルセロナにいたとしても腰が動かなかったであろう国王杯ヘタフェ戦パス。というわけで、今月はまだ一試合もカンプノウには足を運んでいなかった。

知り合いが日本から来たせいもあり、4月最後の日曜日はバルサデーとすることに決定。まず12時にはバルサB対バレンシアBのおこなわれるミニエスタディに。そしていったん戻ってきて、16時半からのバルサCの試合がおこなわれるミニエスタディに駆けつけるはずがシエスタのしすぎでアウト。見に行こうというモチベーションはあったものの眠気には勝てるほどのものではなかった。それでも試合終了間際にかけつけて試合観戦し、この日最後となるデザートは19時からのカンプノウ・レバンテ戦。これが喰えないデザートだった。

5月1日は祭日。したがって多くの人々が飛び石連休というやつを利用してバルセロナを離れている。もう何年も一緒に観戦している常連たちはほとんど来ていない。だが、どんな試合であれ、そしてチームがどんな状況であれ、必ず来ているインチャもいる。その彼の話によれば、メッシーのマラドーナゴールを見たのは彼だけであり、いつもの常連は誰も観戦に来ていなかったという。そしてこの試合も彼と自分たちだけ。自分の周り10メーター四方の常連たちにもモチベーションの欠片もないようだ。それでも席が空いているというわけではない。“シエント・リブレ”方式のおかげで、多くの観光客がカンプノウの観客席を埋めつくしている。ロナルディーニョがボールを触れば“オー!”と叫ぶ人たちによって席はキッチリと埋められている。

別に特別なデザートを期待していたわけではなかったものの、あまりにも味付けが悪かったというか、あるいは味がなかったというか、はたまた無味乾燥というか、バルサデーの最後を飾るには少々お粗末だった。いまさらスペクタクルな試合展開を期待したのではなく、ひたすら選手たちが一生懸命やっている姿を見るだけで良しとする試合。だが、相変わらずボールをとられては立ち止まり、審判の方を見ながらヘラヘラしているような選手が目立つようでは興ざめでござる。

明るい材料、そして最も大事なこと、それはこの試合に勝利したことと残りの試合が一つ減って首位を保っていること。これほど大事なことはない。さて、次の試合観戦はリーグ優勝が決まるヘタフェ戦、あるいはエスパニョール戦となりそう。

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