2007年
11月
2008年

ライカーの日
(07/11/29)

ヘタフェ戦での惨めな敗北の後、フラン・ライカー監督が記者会見で次のようなことを語ったのを覚えているだろうか?
「何らかの理由でうまく機能していない選手が何人かいる。もうそろそろドラマチックな変化を試す時期が来たのだろうと思う。」
何らかの理由でうまく機能していない選手、それは選手名もポジションも示さなかったとはいえ、デランテロをさしてているのは明らかだった。90分間を通じてボールに触った合計数が20回にも満たなかった二人のデランテロ、レオ・メッシーとロナルディーニョの二人。だが、その断固とした言葉は別として、実際にドラマチックな変化という手段をとる可能性があるのかどうか、そのことが多くの人々の持つ疑問だった。

これまでこのコーナーで何回も“訴えて”きたロナルディーニョのベンチスタート。個人的な“訴え”でもありながら、同時に何パーセントかのバルセロニスタの思いでもあったはずだ。だが、それでも、ロナルディーニョのスタメン外れは、そう“訴えて”きた人々でさえアッと驚くことになる。ライカーに対し不信感を抱き始めていたのだから当然だろう。だが、ライカーはドラマチックな変化を具体的に示してくれた。我らが監督フラン・ライカー、彼はまだ終わっていないことを示してくれた。

ドラマチックな変化はライカー自身にも見られる。この試合で審判になったのは、昨シーズンのチェルシー戦に笛を吹いたイタリア人審判ファリナ。彼に対するスキャンダルな抗議が原因となって、ライカー監督初の退場をくらった。まるでクライフ監督時代を思い出すかのようはシーンだ。いつも冷静な彼にも熱い血が流れていることを証明し、そしてそれは同時にグラウンドを走り回る11人の選手たちに対する熱いシュプレヒコールでもあった。

まさにこの日はライカーの日と言ってもおおげさではない。

だとしても、このライカーのドラマチックな変化をドラマチックに騒ぐ必要はないだろう。主役は常にグラウンドに登場する選手たちとなるべきだ。ライカーバルサチームのリーダであることを再び示したイニエスタや、チャビの好調さをはっきりと確認することができた。ボージャンはラウルであると同時にブートラゲーニョであることも確認できた。デフェンサの要は明らかにミリートであり、彼を守るアビダルとヤヤの強烈なキャラクターもバルデスのそれと同じように確認できた。下降気味のプジョーとサンブロッタについてはいつか触れることにして、最も評判の悪かったグジョンセンについて短く触れておこう。

彼はクラック選手ではもちろんない。セントロカンピスタの代表選手として銅像が建てられるようなデコでももちろんない。第二プンタというのが最も自然なポジションであるグジョンセンは、現在のライカーバルサではデコのかわりとして起用されている。それはなぜか、それは彼しかいないという簡単な理由からだ。運動量の多さとフィジカル面の強さを考えた場合、デコのかわりになるのは彼しかいない。テクニック的には見ていて面白いものなど望めないから、非常に地味な存在となる。そう、かつて多くの批判を浴びたバンボメルのように。そのバンボメルがそうであったように、グジョンセンもまた汚い仕事を任されている立場だ。彼にとっては初めての試みではないとは言え、得意なものでもないだろう。それにもかかわらず、グジョンセン、かなりよくやっていると思う。

バルサは試合に臨むにあたって常に二つのことが要求される珍しいクラブだ。一つは勝利すること、そしてもう一つは良いイメージを残すこと。リヨン戦では一つ目を達成することことはできなかったが、グループ一位という目的は達成することができた。そしてとめどもなく良いイメージを残して90分間の試合を終了している。それでもいつものごとく、明日は明日の風が吹く。果たして土曜日のエスパニョール戦、ライカーが同じような風を呼んでくれるでありましょうか。


ほぼ完璧な土曜日
(07/11/27)

エドゥミルソンが告発した“黒い羊たち”が誰であるか、そんなことには興味がないものの、噂として名誉候補者に上がったマルケス、ロナルディーニョ、トゥランの誰一人としてスタメン選手で出場していなかったのは興味深いことだ。もっとも、ロナルディーニョとトゥランの2人は招集さえされていなかったし、マルケスはCM興業のため、練習もまともにできなかった選手だから当然と言えば当然。

だが、ロナルディーニョは招集メンバーに入っていた。金曜日、長旅を終えて帰国し、空港から直接カンプノウに向かい、15分程度の練習をしただけのロナルディーニョを、フラン・ライカー監督は翌日の試合の招集メンバーに加えている。そして試合当日土曜日昼の12時、ホテル合宿に参加するために集まってきた選手の中にロナルディーニョはいない。それから1時間後、クラブが公式声明を発表し、ロナルディーニョ不在の理由を説明する。

“ロナルディーニョ選手は疲労困憊のため、招集リストから外れました”

レクレとの試合後、カンプノウ記者会見場で、ライカーがロナルディーニョ不在について語る。
「ドクター陣と話し合って彼が休養をとることに決めたのは、グッドアイデアだと思う。」
この言葉から察するに、監督はロナルディーニョとは話し合っていないことがわかる。そしてそれを彼は日曜日に認めている。ここらへんが、ライカーの監督としての立場がどうなっているのかよくわからないところだが、まあ、それはどうでも良・・・くはないが、とりあえず良しとしよう。問題は、ドクター陣による公式発表がなされていないことだ。今までの例であれば、メディカルチェックした結果は必ず公式発表されることになっているが、それが今回に限っておこなわれていない。この事実から次のようなことがじゅうぶん予想できる。つまり、メディカルチェックしたわけでも、ロナルディーニョ個人と話し合ったわけでもなく、選手側が疲労困憊を理由に一方的に“招集辞退”したということだろう。事実、とあるメディアにつかまったドクター陣の一人は、そのことに関して聞かれて“黙秘権”を行使してしまっている。そして試合後の多くのメディアは一方的な“招集辞退”としてコメントしている。長い間バルサを見ているが、“招集辞退”が許された選手はたぶん彼が最初だろう。

そう言えば、セビージャ戦でもまったく同じことがあった。試合前日には招集されていながら、当日にはそのリストから名前が消えていた。理由は“軽い負傷”だったが、もちろん、多くのバルセロニスタがそんな理由を信じるわけはなかった。そして今回は“疲労困憊”。確かに、代表戦に招集されて戻ってきたばかりの選手が疲労を感じていないわけがない。特に中南米から戻ってきた選手たちは確かに疲労がたまっているだろう。だが、いずれにしても試合に出場させるかどうかを決めるのは監督。普通のクラブでは、それが監督の大事な仕事の一つだが、ライカーバルサは違うようだ。選手の肉体的・精神的状態を知ろうともしない監督がおり、そして自ら試合に出るか出ないかを決めてしまう選手がいるチーム。お茶目なチームと言うにはあまりにもお茶目すぎて、涙がチョチョギれてしまう。

それでも、ほぼ完璧な日となった土曜日。1日も早く第二カピタンとなるべしガビ・ミリートの初ゴール、希望の星ボージャン・蹴るキックのカンプノウ初ゴール。それが決まった時のアンリとの美しきかな北ゴール祝福風景。そして同じく、ミリートとバルデスがお互いに走り寄っての感動的な南ゴール祝福風景。ひょっとしたらクルービーどころかコドロよりゴールが決まらない選手ながら、チームの駒の一つとして戦いの姿勢が伝わってくるアンリ。イニエスタが倒れているにもかかわらずプレーを続けているレクレ選手に対して、アビダル、ミリート、バルデス、ヤヤなどが見せてくれたファイトある小突き合い。そしてその輪の中からソ〜と抜け出したチャビ。バルサが勝利し、そしてマドリが引き分け。ほぼ完璧な土曜日の午後。

だがそれはもうすでに過去のこと。明日は明日の風が吹く。

「もしリヨン戦に負けたとしても、グループ首位になる可能性は残っている。」
こんな情けないコメントを試合前日にするようになっちまったライカーに、イチャモンをつける気も失せてきた今日この頃、我らがクラックロナルディーニョが戻ってきた。もちろんリヨン戦にはスタメン出場。さてさて・・・。


エドゥミルソン
(07/11/24)

合計すると15分程度の長さのものを水曜日と木曜日の2回に分けて放映した、カタルーニャ地元局によるエドゥミルソンインタビュー番組。別に目新しいことを語っているわけではなく、名指しで誰かを個人攻撃しているわけでもなく、監督批判やクラブ理事会批判をおこなっているわけでもない。
「チーム内にプロ精神に欠けた選手がいる。」
一言でまとめてしまうとこの言葉に尽きるインタビュー番組。プロ精神に欠けた何人かの選手のことが話題となった昨シーズンに続き、新しいシーズンに入っても少しも変わっていないということが明らかなったに過ぎない。だが、そんなことは地元ファンなら誰でも知っていることだ。

いずれにしても、去年のエトーの爆弾発言と一緒にしてはならない。彼の周りにいた子供ファンがビックリするような汚い言葉で、怒鳴り散らすように同僚を名指しで批判し、そして監督を「悪いヤツ」と断言した、あのエトー爆弾と一緒にしてはいけない。15分間のインタビューでエドゥミルソンが語った内容は非常に論理的なものであり、説得力に富んだものだった。
“ロッカールーム内の出来事は必ず内部で処理すべし。”
もし彼の発言が批判の対象となるのであれば、それは彼が語った内容ではなく、この掟を破ったことだろう。だが、子羊ちゃんが多いバルサの選手の中にあって、誰もが納得できることを素直に、適切に、シンプルに語るグジョンセンや彼のような存在は貴重にさえ思えてくる。

ところで、“テラッサの坊ちゃん”とか“テラッサのマヌケ”とか、テラッサ出身のチャビが多くのバルセロニスタに影でからかわれているを知ってるだろうか。

熱い血を持った選手ではないし、負傷を恐れず足を突っ込む選手ではない。大試合で活躍する選手とは言えないし、危機的な試合状況でチームを引っ張る選手でもない。クールと言えばクール、計算高いと言えば計算高い、頭がいいと言えば頭がいい選手。そのチャビが、去年のグジョンセン内部批判発言に対してもそうであったように、今回のエドゥミルソン発言に対しても、とてつもなく退屈で、どこまでも常識的で、まったくもって面白みに欠ける反応をしている。
「彼の発言内容は非常識であり、チームのためによくないことだと思う。」
この優等生的な反応こそ、彼のキャラクターを如実に示している。そしてこの反応を見るたびに、多くのバルセロニスタが囁く。
「またあのテラッサの坊ちゃんが何か言ってるよ。」

このエドゥミルソンインタビュー番組がメディアに登場する前日、カタルーニャ地元紙バンガルディアに彼のインタビュー記事が掲載されている。これのほうが面白い。例えば、カピタン・プジョーに関して次のようなことを語っている。
「カルラス・プジョーは我々のカピタンとして相応しい人物だと思うが、一つだけ残念に思うこともある。チーム内に問題が起きたときには、ロッカールーム内で大声を上げて糾弾する。それはカピタンとして当然のことなんだけれど、例えば、問題となる選手の襟首を捕まえて『いいか、チャラチャラやっていないで、もっと根性入れてやったらどうなんだ!』というような行動をとったらもっと素晴らしいカピタンになれると思うんだ。自分はこれまでそういう雰囲気の中でプレーしてきたから知っているが、当然ながら彼らはロッカールーム内で喧嘩になるさ。でもグランドに出たら必ず助け合う仲になるんだ。同じ釜のメシを食っているヤツらはそういうものさ。」

アトレッタ・デ・クリストという、信仰深き団体に加入しているエドゥミルソンだが、カピタン・プジョーやテラッサの坊やなどとは比較もできない複雑な幼少時代をおくっている。。外部からやって来た選手とは比べものにならないぐらいチームカラーを体に染みこませているカンテラ選手たち、だが、そういう彼らも、本当のプロ選手の言葉に耳をかさなければならない。


金曜日クラシコ?
(07/11/21)

今年の8月、クラブ会長ジョアン・ラポルタの名でソシオアボノ各人に手紙が送られてきている。それは次のような内容だった。
「二部カテゴリー相手の国王杯戦ではカンプノウに足を運ばないソシオアボノが多い事実を前にし、いかにして観客席を埋めるかということを考えた結果、今シーズンから予約制をとることにしました。観戦を予定されているソシオアボノの方は、試合日3日前までにクラブ宛に電話連絡することが義務づけられます。」
簡単に説明すると、こんな感じの内容。だが、このアイデアは手紙が来てから2週間後くらいにボツとなった。多くのソシオアボノが反対の意思表示をおこなったからだ。
「試合観戦するかしないか、何でそんなことをクラブに報告しなければならないのか。自分の席に行くか行かないか、それは持ち主の自由というものではないか。」
一般販売できるチケット数などたかが知れたものだから、クラブ側としては空席となる年間所有者の席を一般ファン用に売りたかったのだろう。だが、ソシオアボノの人々の“俺の席”意識は強く、最終的にこのアイデアはボツとなる。

カンプノウでおこなわれる今シーズンの最初の国王杯は来年の1月2日アルコヤノ戦。ビッチシと詰まったスケジュールゆえ、こんな日に試合をおこなうことになったのだろう。1月2日といえば、スペインでは仕事がある日だし、相手はアルコヤノときているから、多くの“俺の席”主張ソシオも当然ながら行かない。誰も興味のない試合。だが、選手たちにとっては、マイナス的な意味で、非常に重要な意味を持つスケジュールとなる。

普段のシーズンであるならば、クリスマス休暇は10日間から2週間ほどとれるのに対し、今シーズンは1週間もないことになる。例えばバルサの場合、年内最終戦は12月22日土曜日、あるいは23日日曜日に予定されているカンプノウクラシコとなるが、この試合後数日間の休みを取った後、年末には練習が再開されることになっている。それはレアル・マドリにしても同じことだ。そこで両チームの選手たちが要求していること、それは土曜日でも日曜日でもなく金曜日に試合をおこないましょう、そういうことらしい。休みを一日でも長くとりたい選手たちの、もっともな意見。

年内最後の試合を金曜日にというのは、別に例外がないことでもない。だが、今回はチョイと問題がある。なぜならレアル・マドリは12月19日水曜日にアリカンテ相手の国王杯1回戦が予定されており、金曜日開催となると中1日しか休みがないことになる。アリカンテ相手の国王杯を火曜日とすれが問題が解決するが、すでにアリカンテ側は2千枚のチケットを売ってしまい日付変更が難しいときている。

毎週おこなわれるリーグ戦も、ギリギリまで時間はおろか日にちまではっきりせず、国王杯の試合にしてもクラブによって試合開催日がマチマチというお粗末なスケジュールの今シーズン。テレビ放映権戦争とユーロ2008開催が生んだ現象だが、少なくても1月2日国王杯開催というのはシーズン開始前に各クラブ首脳陣が集まって決めたものであり、選手はともかくクラブ側が文句を言う筋合いのものではない。非常識とも言える過酷なスケジュールに追いやられる選手たち。そして、バルサの年末スケジュールは次のようになっている。クラシコ戦がいつになるかは別として、いずれにしても試合翌日からミニクリスマス休暇に突入する。だが、12月28日木曜日にはすべての選手がラ・マシアに戻ってきて練習再開。28日、29日、30日と練習をし、31日の大晦日と元旦の午前中は休養。1月1日午後から再び練習を開始し翌日のアルコヤノ戦に備える。

さて、まだ先の話ながら、飛行機の遅れや乗り継ぎのミスを理由に集合日に遅れてやって来る中南米組がいる可能性に100ユーロ。


La vida sigue
(07/11/14)

オイジェとの20年間、長いようで短かった20年間、楽しかった時間をありがとう。適当な言葉も見つからず、アディオス!スエルテ!そしてグラシアス!

2007年11月13日火曜日午前10時45分、バルセロナの空に旅立つ。
合掌。


危うしライカー
(07/11/13)

フラン・ライカーの監督としての継続性に疑問符が投げかけられたのは、これまで2回ほどある。バルサ監督に就任してから約半年後、多くのファンの期待を裏切るような結果をだしていた時期に疑問符が付けられたのが最初。それから何年か後に出版されたサンドロ・ルセーの本にも書かれているように、ラポルタを筆頭としたクラブ首脳陣そのものが彼の継続に疑問を持ち、何人かの後継者候補と交渉を持っていたようだ。だが、ブルドッグ・ダビッツの加入がきっかけとなり奇跡的な快進撃を展開すると共に、ライカーへの疑問符も次第に消えていく。そして、二回目に疑問符が付けられたのは、昨シーズンが終了した瞬間だ。

監督としての采配の才に特に優れているというわけではない。強烈なキャラクターをもって、グループの先頭に立って引っ張っていくというスタイルの監督でもない。
「勝利するときは我々すべての関係者の勝利であり、負けるときも同じようにすべての関係者の敗北である。そして当然ながらその最高責任者となるのは、監督と務めている私フラン・ライカーとなる。」
ヘタフェ戦での敗北の後、これまでのすべての敗北総括と同じように、グループ団結の重要性を強調するライカー。そう、ライカー監督の特徴としては、この言葉に見られるように、わがままな選手によって構成される一つのグループを、できる限り波を立たせずスムーズにまとめていくことに象徴される。だが、昨シーズン中に起きたいくつかの内部問題の発生という事実が、ライカーの監督としての継続性に大いなる疑問を投げかけた。

ラポルタを中心とするクラブ首脳陣による“内部規律”の統制の徹底化という方針と共に、ライカーに対して再びベンチに座るチャンスが与えられた。そしてそれから3か月近くたった今、これまで彼に投げかけられた疑問とは比べものにならないスケールでそれはライカーを襲っている。監督としての采配能力はもちろん、グループ指揮者としての能力まで疑いがかけられてしまった。

「次のアウエーでの試合ではこの敗戦を総括して戦おう、自分も含めて多くの選手が試合に負けるたびにそう語ってきたけれど、もうそういう言い訳が許される段階ではない。問題は選手たちの試合にかける姿勢にあると思う。相手チームの選手たちはバルサ相手ということで120%もモチベーションで戦ってくるんだから、我々もモチベーション豊かに戦わなければならないんだ。だが、例えば相手チームに先制されると、リアクションが必要だというのに下を向いてしまう選手がいる。こういう傾向は非常にヤバイ。」
敗戦後にカピタン・プジョーがシナリオを無視して心の底からの叫びをあげた。名前を優先するようなライカーの選手起用に対し、選手内部に不満の声があるという噂はかなり前からある。グループ団結の重要性を訴えるライカーでありながら、彼のやり方はそれを壊そうとしているかのようだ。

“ロナルディーニョ率いるバルサ、快進撃中!”
“ロナルディーニョの復活!”
安っぽいパンフレット紙と化してしまったムンド・デポルティーボ紙やエスポーツ紙が掲げたカンプノウでのベティス戦勝利翌日のタイトル。カンプノウに90分間いた人々と、記者席に座っていた彼らとは、たぶん違う試合を観戦したのだろう。だが、その試合からわずか1週間後、各パンフレット紙は次のような雰囲気で試合を伝える。
“ライカーバルサ、二進も三進もいいかず”
この試合に限らず、これこそがライカーバルサの現実だ。

「アウエーの試合ではどうもうまく機能しないので、これから真剣になって対応を練らなければならない」
記憶に間違いがなければ、1年近くもアウエーの試合ではうまく機能していないライカーバルサであるにもかかわらず、我らが監督は今さらながらこう反省する。そして驚くことに、試合翌日の練習は自主トレーニングとなった。多くの選手が“自主的に”参加してきたものの、ライカーは顔を出していない。危うしライカー!


ヘタフェ戦
(07/11/10)

ヘタフェの新監督マイケル・ラウドゥルップがバルサと“対戦”するのは、もちろんこれが初めてではない。
「何年もプレーしたクラブなんだから、例え敵チームの選手となっても大したブーイングなど浴びせられないだろう。」
レアル・マドリの選手として初めてカンプノウにやって来たラウドゥルップ。試合前の予想どおり、彼には大したブーイングは起きなかった。彼に浴びせられたのはこれまで経験したことのない「頭の中が真っ白」になるような、怒濤のようなブーイングの嵐だった。まるで「体が動かなくなるような感じ」だったと言う。

そしてそれから数年後、クライフの壮行試合に出場するためにカンプノウを訪れた彼に、10万観衆からの暖かい拍手が送られた。
「あのクラシコでのフーイングは、自分に対する愛情の逆表現だったのかも知れない。」
かつて愛された者のみが受ける壮絶なブーイング。ヨーロッパの北方に位置するデンマークで生まれ育ったラウドゥルップはそう考える。このクライフ壮行試合から何年かたって、ブロンビーというクラブの監督としてカンプノウを訪れた際にも、多くの暖かい拍手を受けている。

「ロナルディーニョが4、5年前の彼に復活してくることはないだろうが、それでも徐々に調子を取り戻していると聞く。アンリも新しい環境の中で、それなりに期待に応えてやっているようだ。バルデス、プジョー、チャビなども例年並に頑張っている。でも、自分がこれまで見た5試合(カンプノウ4試合、アウエー1試合)の印象では、ライカーバルサを支えているのはメッシー、そしてイニエスタ、この二人だと思う。」

ライカーバルサを支える二人の天才選手、メッシーとイニエスタ。だが、それでも、この二人の連係プレーを持って名コンビと呼ぶことは少ない。ロナルディーニョが常にメッシーを探すように、メッシーもまた常にロナルディーニョを探し、そしてイニエスタといえば、それが誰であろうと、常に最良のポジションにいる選手へのパスを追求する。

例えばレンジャース戦。メッシーはロナルディーニョに25回のパスを出しているにもかかわらず、アンリには2回しか出していない。
「ロナルディーニョとは肌が合うというのか、考えることなど必要なく自然にプレーができる感じ。そういう雰囲気が彼へのパスを多くしているのかも知れない。もちろん、パスを出す前に相手の顔を見てパスをだしているわけではないよ。」
アンリとは肌が合わないというよりはごく普通の関係であり、ロナルディーニョとは不思議なほどフィーリングが合う関係と理解すればいいのだろう。かつて、グアルディオラもまた、ロナルドにパスを出さないことで批判されたことがある。彼の親友であるフィーゴに対するパスの数と比べると、圧倒的に少なかったロナルドへのパス回数。当時、グアルディオラは次のような感じで語っていた。
「それは考えもしなかったことだ。フィーゴがエストレーモの位置にいるからパスが出しやすかったのか、あるいは異常にフィーリングがあっていたのか、そういう理由かも知れない。」

フィーゴが入団してくる前のグアルディオラのコンビ相手、それはラウドゥルップだった。グアルディオラとラウドゥルップ、住む場所は離れていても、いまだに連絡を取り合っている仲だという。
「エリート中のエリート世界を歩んできた選手が、三部リーグのチームをスタートとして監督業に入るのは普通のことじゃないさ。でも、それは彼らしいことでもある思うし、自分はナショナルチームのコーチ役としてスタートしたけども、彼もまた徐々に経験を積んでいけばいいのさ。どこにいてもペップの成功を願っている。」
バルサ戦をのぞいて、ヘタフェ監督ラウドゥルップの成功を。


シュステルらしさ
(07/11/09)

セビージャ戦に敗れた試合後の記者会見は、こんな感じでスペクタクルに進められている。まず、アス紙の記者がレアル・マドリ監督ベルナルド・シュステルに質問する。
「ラウルに対するペナルティーが吹かれなかったことや、ラモスの退場に関してどう思うか?」
それを受けて、シュステルはその記者に向かって逆に質問を投げかける。
「どこから来た人だ?」
まったく唐突な質問。戸惑ってしまった記者はシュステルに聞き返す。
「誰のことだ?」
「審判だよ。」と応じるシュステル。
「ああ、カタルーニャの審判だと思う。」
記者がそう語ると、まってましたとばかり結論を出すシュステル。
「それでじゅうぶんだ。はい、次の質問!」
いかにもシュステルらしい。これぞみんなが知るシュステルだ。昔から何も変わっていない。

思ったことをストレートにしゃべってしまうと言えば聞こえはいいが、けっこう陰湿でありドイツ的?皮肉混じりのコメントを得意とする。しかも、頭に血が上るスピードは若い頃とかわりがないようだ。そんな彼だから、これがレアル・マドリの監督に就任してからの、初めての問題発言でもない。

新たにセビージャ監督に就任したマノロ・ヒメネスに関して聞かれたシュステル。
「セビージャの監督はドシロウトがやろうが、それなりの結果をだせるだろう。すでにベースはできているんだから。」
オランダ人選手ドレンテの出場機会が少ない理由は、と聞かれたシュステル。
「俺が要求してやって来た選手ではない。」
メッシーの活躍に関して。
「家で飼っている犬の首輪を彼につけるのが一番だ。少しはおとなしくなるだろう。」
エトセトラ、エトセトラ。

まだ引き分けたり負けたりした試合数が少ないこともあり、これだけのことで済んでいるのかも知れない。だが、ミスジャッジを批判するのではなく、審判の出身先を問題としてしまったのは、それがいかにもシュステルらしいといえども、やはり問題となる。カタルーニャと名の付くすべての組織が怒りを表明する。

こういうことには、その敏感な鼻を常にクンクンさせている政治家が黙っていない。さっそくメディアの前にしゃしゃり出てきて、何人かのカタルーニャ州議会政治家がシュステル発言批判をする。
「こういう人種差別ととられてもおかしくない発言は、若者たちの間で暴力を生み出すことになる。」
もちろんカタルーニャ審判協議会も黙っていない。
「審判の生命と言っていい公平さを疑われるのは納得できない。スペインフットボール協会、及び審判協会はシュステルに対して何らかの制裁を加えるべきだ。」

カタルーニャの審判=バルセロニスタ、これがシュステルの描いた単純な構図。だが、エスパニョールファンであるペリーコの連中はこれが気に入らない。知り合いのペリーコが語る。
「カタルーニャの人々がすべてバルセロニスタだと思ったら、それは明らかに間違いだ。ここにはナスティックのファンもいるし、我々みたいなペリーコだって大勢いる。カタルーニャ即バルサという発想は気にくわない。」
それはカタルーニャでマドリディスタをやっている人々にも同じように気にくわないことだ。
「カタルーニャで生まれたからって、バルサやエスパニョールのファンになるとは限らない。マドリッド生まれの人でもバルサファンがいるように、ここで生まれたマドリファンも大勢いるんだ。」
複雑な国だ。

ちなみに、シュステルにからかわれたアルバレス・イズキエルダという審判は、バルセロナの地下鉄職員をやっている。そして彼は自他共に認めるペリーコでもある。ペリーコ=アンチ・バルセロニスタ=マドリディスタという構図を参考にすれば、あの試合でセビージャの選手に肘鉄をくわらせたグッティやディアラを退場させなかったのは当然という答えが出る。

関連記事“ベルナルド・シュステル”(こちらカピタン8月21日)


レンジャーズ戦
(07/11/07)

ここ数年間、バルサの“公式”旅行代理店にはRACCという会社が任命されている。例のサン・ドニの決勝戦で、バルサソシオ向けのチケットを一部だけとはいえ、RACCソシオ(つまり会社のお得意さん)に回してしまうという、犯罪的な行為が表沙汰となり問題となった会社だ。もっとも、ソシオ用チケットの一部をスポンサー関係者や友人関係にバラマイてしまったラポルタ一派だから、キャラクター的には同じようなRACCが“公式”となり続けているのかも知れない。そもそも“公式”と名の付くものは何であれ、だいたいそんなものと理解するのがよろしい。

そのRACCが10月23日グラスゴーでのレンジャース戦を前にして、自社のウエッブページ上でいくつかの“グラスゴー上陸作戦”企画を出している。
・往復チャーター便、選手と同じホテル一泊付き、850ユーロ。
・当日往復チャーター便、400ユーロ。
この二つが最もポピュラーなものだったらしいが、両パックとも試合チケットは含まれておらず、それは自前でどうにかしないといけない。いずれにしても、この料金は定期便で往復し、自分でホテルを予約した場合の2倍以上の料金となる。そして試合2日前、往復チャーター便400ユーロというパックをRACCはキャンセルすることになる。最少100名という催行人員が集まらず、チャーター便キャンセルを余儀なくさせられた。グラスゴーには500人前後のバルセロニスタが応援に行っているが、ほとんどの人が定期便を利用したり、バスや車を利用して陸路でわたっている。

15万人だかのソシオ数を誇るクラブにしては、500人という移動応援団の数は少ない。この試合に限らず、歴史的にファンの移動数は少ないクラブだ。チャンピオンズの決勝戦、あるいは国王杯での決勝戦以外、千や万単位での移動はあり得ないバルセロニスタ。

カンプノウ11月7日20時45分バルサ対レンジャーズ戦。ドーバー海峡をわたってカンプノウにやって来る彼らには、すでに6千枚のチケットが配分され、そしてもちろんそれは完売となっている。だが、チケットをバルセロナで手に入れようというファンや、それがダメなら街のバールでテレビ観戦というレンジャーズファンも大勢いる。その数なんと2万人。今これを書いているのは試合前日の火曜日午後。我が家の近くのバールのテラスには、半袖の青いユニを着こみ半ズボンというスコットランド人が、朝からビールをガバガバガバガバと飲み狂っている。今日と明日だけで、バルセロナにあるバールでのビール消費量は普段の一月分になるらしい。

個人的にレンジャーズというチームを見るのは初めてだが、今から35年前にカンプノウにやって来ているという。1972年、レコパ・デ・ヨーロッパ決勝戦がレンジャーズとディナモ・デ・モスクの間で、カンプノウにおいて戦われれたそうな。3−2というスコアで勝利したスコットランド人たちは、酔った勢いと勝利の喜びでバカ騒ぎを演じたという。彼らはカンプノウの椅子という椅子を壊したあと、グラウンドに流れ込み警備員や警察官と衝突。そして深夜には街の中心に押し寄せ、商店のショーウインドーや街灯を壊しはじめ、再び警官隊と衝突して多くの負傷者と逮捕者をだしたという。

だが、それはあくまでも35年前の出来事。これまでカンプノウで、マンチェスター、リバプール、チェルシー、セルティックなどというファンと一緒になっているが、いわゆる“フーリガン”ぽいのには会ったためしがない。南ゴール裏・南側ラテラル間に陣取るであろう6千人のレンジャースファンとは別に、“シエント・リブレ”システムを利用して、バラバラの席を手に入れて応援に駆けつけて来るであろう、赤ら顔、半袖、半ズボン、太い腕にタトゥーのスコットランドお兄ちゃんたち。
“オー・マイ・ガッド!”
という彼らの叫び声を聞くのが好きだ。この試合でも、もちろん聞くことができると期待。


ど〜にも盛り上がらない
(07/11/04)

中学の体育の先生をしながらバレンシアBの監督を務めていた33歳の若者を、マドリ相手の試合で臨時監督にするなどというアッケラカンとしたことなどせず、もしキケ・フローレスがそのままチームを指揮していれば、バレンシアは普通に勝っていたかも知れない。もし、そういう結果になっていたとしたら、バジャドリ相手の試合で稼いだ1ポイントはそれなりに意味のあるものとなっただろう。でも、それはあくまでも“もし”の話。“もし”がつかない現実的な話、それは“ついに首位に躍り出ました!”という今週末の明るい目標が不可能となってしまったこと。

「相手は非常に難しいチームだった。」
と、試合後に語るフラン・ライカー。まだ地元で1勝もしておらず19位という位置にいるチーム相手の試合後のコメントとしては悲しすぎる。
「チームを助けようとする一人一人の選手の犠牲的な精神が欠けていた。」
これはもう監督としてのコメントではなく評論家のものだ。

デフェンサにロラン・ブラン、ポペスク、アベラルド、フェルナンド・コウト、ナダール、チャッピー、セルジ。セントロカンピスタとしてペップ、イバン、アモール、ルジェー、オスカー、セラーデス、ルイス・エンリケ、バケロ、そしてデランテロとしてロナルド、フィーゴ、ウリスト、ピッズイ、ジオバンニ。バルサの長い歴史にあっても最強メンバーと言っていい、この1996年メンバーに優るとも劣らない今シーズンの豪華メンバー。19位相手の試合相手に難しいチームだったと語るのは、いかにライカーとはいえ少しお茶目すぎるだろう。これで2007年に入ってからのアウエーの試合で5勝6敗6分けという情けない成績となったが、総括大好き人間のライカー監督としては、今さらながらとは言え、まったく総括ができていないと批判されてもしかたがない。

ロナルディーニョやチャビ、そしてライカーという不思議な監督に関しても文句の言いたくなることは山ほどあるなれど、こういう否定的な状況では突っつくのをやめておこう。

ベティス戦。いまだに昨シーズンのゴールシーンが脳裏に残っている。試合終了間際に目の前で決められたベティスゴール。このシーズンを象徴するかのような、バルサの選手の油断から生まれた同点ゴール。あの試合も今と同じような状況だった。カンプノウにやって来たベティスは二部降格ラインにひっかかっている危機状態、そしてバルサと言えば3ポイントを稼がなければリーグ優勝が怪しくなる状態。バルサ選手のメンタル面、監督の采配と呼べるかどうかわからない采配、昨シーズンの反省を口にするバルサだが、チーム内情は大した変化は感じられない。

戦術・戦略面の明確化、フィジカルトレーニングの充実化、プロ精神に富んだ練習、グランド内はもちろんそこを離れたところでの規律ある行動、これらの“バルサらしくない風景”をいつか見てみたい気もする。監督モウリーニョ、コーチにガッツ・エンリケという絶妙コンビを夢見つつ、とりあえず現実のバルサ、ぬるま湯に浸かったライカーバルサの意地を期待。


常にその時点での最強メンバーで
(07/11/01)

「ロナルディーニョの復活を願っている。」
メディアに呼ばれてもしないのに我らが出しゃばり会長がこう語れば、普段は一人一人の選手のことに関して触れることのないチキ・ベギリスタインも口を挟む。
「良い方向に向かっているという印象を受けている。」
彼らがこうだからしてライカー監督も黙ってはいない。
「彼は非常に良くやっていると思っている。」
10番の復活を願うのは当然だとしても、非常に良くやっていると監督に評価されている選手が、これまで1試合か2試合しか90分間続けてプレーしていないという不可思議な現象は、どのように理解すればよいのか。

なにゆえ1年以上も“不振”が続いているのか? 何年ぶりかの夏休みをとりプレステージもほぼ完璧にこなし、体の異常などどこにもないにもかかわらず、なにゆえ体が動かないのか? まだ27歳という年齢であるにもかかわらず、すでにエリート選手生命は終わってしまったのか? 相変わらず続いている夜遊びがプレーそのものに悪影響を与えているのか? マイニチ毎日まいにち、ロナルディーニョの話題ばかりがメディアに取りあげられているのに、少々ウンザリ気味の今日この頃。それにしても、バルサというクラブの存在は、一人の選手などをこえたところにあるはずではなかったか。

調子の良い選手を優先して出場させる。結果をだした選手を継続的に使い続ける。不振な選手は試合に出場することなく調整に励む。こういう単純にして素直な理屈が、なにゆえライカーバルサには通用しないのだろう。

ライカーのアイデアか、あるいはスタッフテクニコたちのアイデアか、イニエスタをロナルディーニョの位置に置いたのは大ヒットだった。9月19日リヨン戦後半20分、ロナルディーニョに代わりイニエスタが同じポジションにつく。そしてその後のセビージャ戦、サラゴサ戦、レバンテ戦と一つのスタイルができあがり、チームが一体となってスムーズに機能し始め、ライカーバルサらしいフットボールが今シーズン初めて登場し始めたのは、あの瞬間からだった。だが、その機能的なフットボールが再び消えてしまう。ロナルディーニョの“負傷”が完治すると共に、マルケス、ヤヤ、サンブロッタ、デコという選手が負傷してしまう。イニエスタをピボッテに置くという苦肉の策をとりながら、そして大いなる苦戦を強いられながら、徐々に負傷者たちが戻ってきた。ここでも単純に考えれば、リヨン戦以降の機能するバルサに戻れるはずだった。だが、いまのところそうなっていない。

単純に、そして素直にチーム構成を図るのであれば、ビジャレアル戦で唯一ゴールを決めたボージャンという選手に対し、継続性を与えるべきだった。レンジャース戦に活躍したグディもまた次の試合から継続性を与えるべきだった。ボージャンはゴールを決めて以来、2試合続けて出場していない。グディと言えば、次の試合にはスタメンから降ろされてしまった。不振状態が続くロナルディーニョは、もちろんスタートから起用されている。そしてアルメリア戦、後半29分、大いなるブーイングを浴びせられてベンチに下がるロナルディーニョ。そして彼の代わりに登場したのは、大いなる拍手を持って迎えられたレオ・メッシー。象徴的なシーンではある。劇的に表現してしまえば、バルセロニスタにとってのトップヒーローが世代交代した瞬間だ。

どんなに凄い選手であれ、必ずサイクルの終焉が訪れてくる。これまで活躍してくれた選手が、現役生活を閉じるその瞬間までバルサでプレーして欲しいという希望は、あくまでもユートピアにしか過ぎない。それよりも大事なこと、それは彼らがエリート選手として、最も華やかな時期をバルサで送ってくれればいいということだろう。たった1シーズンしかプレーしなかったロマリオにしてもロナルドにしても、プロ選手としての最高の瞬間をバルサで送っている。クーマンにしても、ウリストにしても、ラウドゥルップにしても、バケロにしても、チキにしても、リバルドにしても、バルサで最高のプロ生活をおくり、その後他のクラブに移っている。チャビやイニエスタ、そしてプジョーなども、そういう経緯を通過することになるだろう。それはそれでいいのだ。バルセロニスタにとって最も大事なこと、それはバルサなのだ。

そして、そのバルサにとって大事なバジャドリ戦。負傷中のエトーとデコ、オーバーワーク気味なアビダルとアンリ、彼らをのぞいた状態でのバルサ最強メンバーでのぞんでみよう。