2月5日


    

アップ&ダウン

テネリフェ戦での圧勝によりチーム内に新鮮な雰囲気が生まれてきたバルサに対し、依然としてアウエーでの試合に勝てないことを証明したマドリはナーバスな状態を迎えている。わずか3日前は「危機のバルサ」であり「惑星から来たチーム」であったマドリだが、状況はガラッと変わってしまった。

ップ・バルサ
レシャックの将来を決める試合となったテネリフェ戦での勝利の秘訣は何か。それはすべての選手たちが、まるで最後の試合のように全力で戦ったことであろう。ラージョ、オサスナ戦で見られた選手たちのプレーぶりとは比較にならないほどの意気込みが感じられた。その典型的な選手がクライハートだ。

だがカンテラ選手のことも忘れてはならない。誰よりもバルサのチームカラーを己のものとして自覚している彼らの働きは大きい。テネリフェ戦では6人の若きカンテラ出身の選手が登場した。闘争心、モチベーション、すべての力をチームのために、というカンテラならではの意気込みが随所に感じられた試合でもあった。

歴史的に見て、バルサは春からのチームである。ドリームチーム時代を思い出すがいい。例年11月からの危機状態が続き、弱小チームに完膚無きまで痛めつけられた後の反撃が春近くから開始されたバルサ。今年のバルサが例外でないと誰がいえよう。

ダウン・マドリ
レアル・マドリはシーズンを通してほぼ同じ11人のスタメン選手で戦っている。それもリーガ、チャンピオンズ、国王杯と、3つのタイトル戦でも同じように選手を使ってきている。これで疲労がたまらないわけがない。控えの層が薄いという弱点が、デル・ボスケに同じ11人の選手の起用を押しつけてきているのだ。これから最も重要な2月に入り、体力的に限界のところにきてしまっているマドリの選手だ。

悪いことは続く。この大事な時にきてチームの要となるイエロとジダーンが負傷してしまった。彼らはマドリにとって最も重要な、そして代わりのが見つからない選手たちである。ワールドカップを前に強行スケジュールを強いられている現在、当然起こるべくして起こったことだ。ここでも選手層の薄さが原因の一つとなってしまった。

会長のフロレンティーノ・ペレスはマドリ創設百周年にあたって、必要以上のプレッシャーを選手たちにかけてきた。そのプレッシャーは、もちろん選手だけではなく監督のデル・ボスケにも当然あるだろう。幸か不幸か彼らにはまだ3つのタイトル獲得の可能性が残されている。だがこれが吉とでるか凶とでるか、紙一重のところでもある。選手層の薄さ、強行スケジュールの試合、常に勝利を要求されることによる「決まった11人のスタメン」による試合。果たしてマドリの選手がこれからの大事な時期を乗り越えていけるかどうか。


待ちに待った復帰

バルサにガッツが帰ってきた。闘争心の固まりが帰ってきた。チームの柱となる選手が戻ってきた。ルイス・エンリケの復帰は単なる良い選手の復帰とは異なる。もっとそれ以上の意味がある選手の復帰だ。

11月20日のリバプール戦で負傷したルイス・エンリケが戻ってきた。実に2か月以上のリハビリ生活だった。だが「一日も早い復帰」のために必死の努力をしてきたルイス・エンリケが、今週の金曜日にはついにレシャックの計算できる選手となる。

先週末にはアベラルドとアンデルソンも練習に参加してきている。そして今回のルイス・エンリケの復帰はバルサにとって非常に明るいニュースだ。昨日マシアの練習場に久しぶりに顔をあらわしたルイス・エンリケをすべての選手が暖かく迎えた。実に久しぶりの彼の練習風景だった。そう、ルイス・エンリケにとって今シーズンは決して良いシーズンではないだろう。負傷に見まわれ、試合出場数は例年になく少ない。だがこの大事な2月での復帰は、今までの暗い過去をすべて洗い流してくれるかも知れない。

ドクター・プルーナは今週の金曜日に最終的なOKを出す予定だ。その日はマジョルカ戦の召集メンバーをレシャックが発表する日でもある。したがって彼のマジョルカ戦での出場はおろか、召集さえまだ確実とは言えない。だが彼の復帰は時間の問題だ。これまでバルサに欠けていた「強烈なキャラクター」を掲げてルイス・エンリケが戻ってくる。


ビエイラをいただきます

フロレンティーノ・マドリにとって来シーズンの目玉選手と噂されるビエイラ。だがバルサも黙ってはいない。バルサはガスパー会長自ら彼の獲得に乗り出してきた。

ガスパーが「ドン・バロン」誌を通じて次のように語ったのはそれほど昔のことでもない。
「我々はジダーンでさえ獲得できる」
それは今となって考えて見ればジダーンそのものではなく、ジダーンのソシオであるビエイラのことだったのかも知れない。

今から2週間前、ガスパーはマーク・ロジャーとエンゾ・カルペジアーニというビエイラの代理人と接触している。この会合にはミンゲージャも顔をあらわしていた。この接触の目的は、ビエイラの将来が具体的にどうなっているのかということを探るのが目的だった。ビエイラ側の代理人は「マドリとの交渉は進んでいる。だが書類的にはいっさいのサインはされていないし、いまだに口頭での基本的な交渉段階だある」ということだった。つまり、交渉中ではあるが決定的なものはまだ何もないということだ。

ガスパーが会長に就任した時の言葉を思い出そう。
「いつか、マドリにはフィーゴの件でお礼をさせてもらう」
かなり前からビエイラを狙っているマドリにとって、バルサによる彼の横取りは決して愉快なものではない。

ビエイラ側の代理人は、バルサ側の提案してきた条件に対し非常に興味を示したふしがある。バルサ側が提示した条件とは、ビエイラの移籍は彼のアーセナルとの契約が切れた時点でおこなうというもの。つまりアーセナルに払う移籍料がないわけだから、代理人と選手に対するコミッションが莫大な額として支払われる可能性があるということだ。ビエイラの契約は2年後に切れる。


●コクー、モッタを誉める
バルサに入団して4年。これまで間違いなくスタメン選手だったコクーに新たなライバルが登場した。モッタだ。テネリフェ戦を観戦したコクーは、モッタについて非常に良い印象をもったようだ。
「モッタの出現はバルサにとって非常に肯定的なことだと思う。これで僕のポジションにも強烈なライバルが現れたということだ。別の言い方をすれば、選手層がさらに厚くなったということだよね」

●クライフ イン マドリッド
レアル・マドリ基金が主催する「カンテラ・フォーラム」に参加したクライフ。最近は元バルサの選手に囲まれるよりは、元マドリの選手との接触の機会が多いクライフ。この日もバルダーノを始め、ブートラゲーニョ、カマッチョ、デル・ボスケなどに囲まれながらの討論会に出席した。そしていつもながらのクライフ節を披露。
「最近のリーガは面白くない。23ゲームを消化した段階で、首位のチームが40ポイントというのは異常なことではないか。テクニック的にも非常に落ちている。テクニック不足を走りきることによって埋めようとしている傾向がある。マドリにしてもバルサにしてもそれは同じだ」