3月5日


     

クライフのお言葉

昨日、バルセロナでクライフの出版記念会がおこなわれた。彼のアイデアをコラムニストのセルジ・パミエスがまとめたもので、本のタイトルは「フットボールが好き」。だがここ最近みられるフットボールに対しては興味が薄れつつあるという。簡単に本の内容に触れておこう。

■ドーピング問題
ドーピング問題はフットボールを始めとして、スポーツがどのように変化してきたかを端的に表している現象だと思う。例えばフットボールに関していえば、以前は今のように「肉体的」なものではなくテクニック的なものだった。肉体的なことに重点をおきすぎているからドーピング問題が発生してくる。しかも年々スポーツがビジネスになってきていることもこれに拍車をかけている。

■外国人問題
外国人を獲得すればいいというものではない。例えばイタリア人がくりひろげるフットボールとイギリス人がおこなうフットボールは全然違うわけだから、チームカラーに合った外国人をとるべきだ。もし自分のチームのカンテラに良い選手がいなければね。最近のスペインリーグを見ればわかるが、小さいクラブがカンテラを育ててうまく戦っている。自分の国の選手と外国人選手との間には、それほどの差はないということにそろそろ気がつかなければいけないだろう。もし私が現役の監督だとすれば、すくなくとも5人の優秀なスペイン人選手を集めるだろう。

■スペクタクル
統計的にはどうなっているのか知らないが、最近の観客数は減っているのではないだろうか。もしそうだとすれば、スペクタクルに欠ける試合が多いからだと思う。カルッチオのフットボールを見れば一目瞭然だ。かつてのミラン、バンバステンやグリ、バレッシがいたころのミランは楽しいフットボールをしていた。それが今ではさんざんなものではないだろうか。その典型的な例がアルベルティーニだと思う。彼はカルッチオが実践しているフットボールの犠牲になったようなものだ。かつては素晴らしい選手だったけれど、今ではグランドに穴を掘ることしか知らない選手になってしまった。

■ドリームチーム
フットボールは時代と共に、良い意味でも悪い意味でも変わってきているのは確かなことだ。だから私が監督をしていた頃のチームで今のリーグを戦えるかと聞かれれば、それはノーだろう。選手の能力も少し違うものを集めなければならないし、システム的にも変えなければならないと思う。ただ一つ言えることは、ドリームチームが持っていた戦いの精神と、攻撃的なフィロソフィーは今でもじゅうぶん通用すると思う。

■高額な年俸
素晴らしい選手に高額な年俸を払うのは当然だろう。だが現在の問題は、どうでも良い選手にまで高額な年俸を払っていることにある。それはクラブ首脳陣が無能だからだと思う。最近の傾向として、契約切れになった選手を各クラブが争って獲得しようとしている。その結果、つまり移籍料がないわけだから、その選手の実力に見合わない高額な年俸を提示して獲得合戦が繰り広げられている。運よくその選手を獲得できたとしよう。その結果チーム内のバランスがどうなるか。良い選手を高い移籍料で獲得したけれども、年俸は移籍料なしで来た選手より低い現象が生まれることになる。それは不公平というものであり、チーム内のバランスを崩すことになるだろう。選手たちもバカではないんだから、誰が最高の選手で誰が劣る選手かぐらいはわかるんだからね。年俸はその選手がどのくらいの働きをするかということで決められなければならないと思う。

■戦術について
個人的には戦術とシステムはまったく別のものだと思っている。戦術という言葉は私にとっては「相手チームをいかに無効にするか」という罠みたいなものだ。だから戦術は試合ごとに変わってくるものだと思う。例えば私がバルサにいた頃、At.マドリのマノロという素晴らしいデランテーロがいた。彼はディフェンスのマークを外すことに関しては超一級選手だった。そこで我々は一番マークのうまい選手、例えばナダールだとかフェレールを彼につけた。だがいつもうまくマークを外されてゴールを奪われる。そこで我々は考えたんだ。こいつにはマークを付けなければいいんじゃないかとね。その結果どうなったと思う?マノロは普段とは違い誰も個人マークがついていなかったので、うまくプレーできなかったんだ。こういうのを戦術というんだ。

■カペーロについて
キッパリと言うが、個人的にはとても好きになれない監督だ。イタリア人監督全般に言えることだが、彼らのフィロソフィーは相手のミスを攻撃の起点にするところにある。創造性のかけらもないことは誰もが知っていること。今のカルッチオの試合での観客席をみたことあるかい?どこもガラガラじゃないか。もしバルサ首脳陣が彼を引っ張って来たいと思うなら、もう一度ローマの試合のビデオを見るべきだろう。それでも良しとするなら私が口を挟む問題ではない。しかし少なくとも私の協力は得られないと思った方がいい。

■サビオラ
すごく良い選手だと思う。だが同時にまだまだ若い選手だ。大事に使っていかなければならないと思う。若い選手にありがちな、そう我々も若いときにミスしたようなミスを彼もしている。それはしょうがないことだろう。だがそのミスによって生まれるプレッシャーからどのように彼を保護するかが問題なんだ。我々が、指導陣としての我々が良く犯すミスは、少しでも良い選手を見つけるとその選手にすべてを託してしまうこと。そして何らかのミスが何試合が続くと、今度は地獄へ追いやるようなことがあるんだ。つまり何試合か干してしまうというようなことがね。それは結局その良い素材を持っている選手をダメにしてしまうことになる。だから指導陣にとって大事なのは、うまく若手の選手を時間をかけて育てること。決して急がないことだ。デラペーニャの二の舞をしてはまずい。彼に起こっていることは非常に残念なことだと思う。デラペーニャは本当に良い選手であったし、性格的にも非常に素直な子だった、だが周りにいた人間が彼をダメにしてしまった。もちろんフットボールビジネスの犠牲者でもあるんだが。


●セルジ、マドリ戦はほぼ不可能
16日のマドリ戦に間に合うように必死にリハビリに励んでいるセルジだが、どうも期待したほどの回復状態がみられない。彼の右足の踵にはいまだに多くの内出血がみられ、彼が期待したほどの回復の早さがなされていない。それでもセルジは一筋の可能性を信じてリハビリに頑張るという。

●プジョー、ジェラール、OK.
マラガ戦で背中に痛みを覚えて途中退場したプジョーと、右足に強い打撃を受けてこれまた途中退場したジェラール。だがベティス戦への出場はかなりのパーセンテージで可能なようだ。今日の練習で様子を見てからはっきりするものの、少なくてもプジョーは検査も受けずに今日の練習には参加する模様。

●国王、リバプール戦に
バルサに強い味方があらわれた。13日のリバプール戦に国王が観戦を希望しているという連絡がクラブオフィスに入ってきた。バルサ側としてはもちろん喜んでこの要望に応える所存のようだ。国王の試合観戦はバルセロナオリンピックの時には「勝利の女神」的な存在で、彼が観戦する決勝戦は必ずスペイン代表が勝利するジンクスをうんでいた。

●アベラルド、延長契約に期待
わずかなプレー時間ではあったものの、マラガ戦に途中から出場し何の問題もなくプレーできることを示したアベラルド。第一段階をまず突破したアベラルドが次に目指すものは、バルサとの延長契約での合意だ。彼のバルサとの契約はこの6月30日をもって切れることになっている。
「バルサでプレーし続けて引退できればこれほど幸せなことはない。だがそれは俺の一存ではどうにもならない話し。クラブがどのような条件をだしてくるのかもわからないんだからね。俺はもちろんバルサに残ってプレーしたい。でもそれが無理なら、それはそれでしょうがない。俺はプロの選手なんだから、他のチームにいってそのチームのために一生懸命プレーするだけだ」

●グアルディオーラ、バルセロナの休暇
先週の土曜日から彼の所属するクラブの許可を得てバルセロナに戻ってきているペップ。かつてのバルサメンバーを訪ねたり、友人たちとの楽しい時間を過ごしている。