3月7日


     

世紀の敗北!

「20世紀最大のクラブ」であるレアル・マドリ。そのレアル・マドリが、自らの高慢さ故に地獄に落ちた。クラブ創立100周年に当たる昨日、スペイン政府、フットボール協会、そしてマドリ首脳陣によって用意された一つのシナリオ。国王杯優勝と共に100周年を祝うという試みは、無惨にもベルナベウの空に散った。

■試合前からすでにフィエスタ気分
この日は試合前からすでにフィエスタとなっていた。100周年を祝ういくつかの行事がベルナベウでおこなわれていた。観客席には、政府首相にして自らマドリディスタと臆面もなく語るアスナール首相を始め、マドリッド市長のアルバレスやマドリッド州知事のガジャルドンがフロレンティーノを囲むようにして陣取っている。政府要人ももちろんかけつけていた。準備は万端、フィエスタの用意は完璧に整っている。

この1週間、マドリメディアはすでにカップ戦におけるマドリ優勝のアドバルーンを高々と上げていた。レアル・マドリの輝かしい歴史を紹介し現在のマドリの優秀さをうたいあげると共に、デポルティーボのベルナベウでの弱さを強調していた。だがフタを開けてみれば、そこにはカップ戦優勝クラブに相応しい一つのクラブが存在するだけだった。デポルティーボ・デ・コルーニャ、名将イルエッタに率いられたデポルティーボは「20世紀最大のクラブ」が誇る穴だらけのディフェンスに襲いかかる。

■デルボスケに対する疑問
デルボスケはカシージャスではなく、セサーを抜擢した。だがその作戦が当たったかと言えば決してそうではなかった。もちろんセサーが敗戦の原因となったわけではない。デポルティーボのチームブロックが11人の有名選手チームに優ったということであり、ディフェンスの固さの違いがまともにでた試合であった。
デルボスケに対する疑問はキーパーの選出だけではない。100%の状態ではないフィーゴをスタメン出場させたことに対する疑問も生まれている。昨日のフィーゴはまさに10番という背番号を付けた「影」の存在でしかなかった。彼がどこにいてどこでプレーしているのか、それを確認するのは容易なことではなかった。ベルナベウ・スタディアムの地図から完全に消滅していた。今シーズンのフィーゴの集大成、それが昨日の彼だった。

■敗北者の2つの顔

  

いつになったら「負け方」を学ぶのだろうかこの男。マドリ敗戦後の恒例となっているイエロによる審判への抗議。この日も例外ではなかった。だがイエロはいったい何を審判に抗議していたのであろうか。歴史あるレアル・マドリのキャプテンとして、試合後に審判に抗議することが義務だとでも思っているのだろうか。
そしてもう一人、若者のアイドルとして自他共に認めるラウール・ゴンサレス。勝利者の名を欲しいままにしたこの若者は、決して若きスポーツマンの見本となるおこないとは言えないプレーをしていた。セルヒオの得点で先行されてからというもの神経質になったこの若者は、たびたびデポルティーボの選手とのアンチ・スポーツ的な衝突を繰り返していた。試合後に悔しさに涙をためていたラウール、まだまだ学ぶべきことが多いことを知らなければならない。

■TVE(全国放送したテレビ局)
解説を担当したミッチェル(元マドリ選手)は、セルヒオ、トリスタンのゴールには沈黙を守っていた。そしてラウールのゴールが決まった瞬間、一人はしゃぎまくるミッチェル。そして試合終了後「とてつもなくイルエッタは嫌いだが、デポルティーボは良い試合をした。」

■CADENA COPE(マドリッド・ラジオ局)
ロンセーロ「セルヒオの早いゴールはマドリにとって良い結果を生むだろう」。
そしてその後トリスタンの2点目が入った。
ロセッティ「マドリは9人でプレーしている。イエロはパボンをマークし、パボンはイエロをマークしている。これでは勝てない。」

■ONDA CERO(マドリッド・ラジオ局
試合前に優勝チームを予想したアナウンサー、ウセライ「もしマドリが相手ではなかったら、デポルティーボが優勝チームだっただろう」。
メインキャスター、ホセ・マリア・ガルシアが試合後に「もしマドリがゴールチャンスをものにしていたら、チャンピオンだっただろう」

■CADENA SER(マドリッド・ラジオ局)
デポルティーボが攻撃を始めると「危ない!」と叫んだメインキャスターのラマ。マドリの攻撃が開始された後半には「チャンス!チャンス!」を連発していた。