3月23日



幸運と、そして次に待つもの

抽選会の結果は誰もが望んだものとなった。ギリシャのパナシナイコスとの対戦。だがその次に控える準決勝の相手はクラシコの再現となる可能性もでてきた。マドリ・バイエルンの勝者と対戦することになるバルサだ。

■準々決勝
パナシナイコスとの対戦が決まった瞬間、もちろんバルサの選手の中で悲観に暮れる者はいなかった。デポルティーボとバイエルンと当たる可能性もあった中で、パナシナイコスは対戦相手としては最もやりやすいことは間違いない。
UEFAの抽選係員が最初に引いたボールの中にはパナシナイコスの名前があった。そして次に対戦相手となるチームのボールが引かれる。そこにはバルサの名があった。パナシナイコス対バルサの準々決勝がこれで決定された。バルサの関係者が詰めかけた抽選会場だが、彼らにとって残りの組み合わせはすでにどうでもいいものとなった。唯一、興味を強く引くこと、それは準決勝でどこのクラブと当たる可能性があるかということだった。

■準決勝
気まぐれな神様が決めた準決勝の組み合わせ。それはバルサ・パナシナイコスの勝者とマドリ・バイエルンの勝者によって戦われるということだった。バルサ対マドリによる準決勝の可能性、これが抽選会場で発表されたとき、なんとも言いようのないざわめきが会場を包む。
もしこの試合が成立することになると、サン・ジョルディの日(カタルーニャの守護聖人であるサン・ジョルディのお祭り)にカンプノウでのクラシコとなる。だがコパ・デ・ヨーロッパでバルサとマドリが対戦するのはこれが初めてではない。最初は59−60シーズン、この戦いも準決勝だった。だがホームアンドウエーの両試合ともマドリが3−1で勝利している。そして翌年、再び対戦したバルサは前年の復讐を達成する。つまり、今回もし準決勝で両チームが対戦するとなると、1勝1敗という歴史的な結果を背負ってのものとなる。


パナシナイコスとは

オリンピアコスと並んでギリシャでは伝統的なクラブとなっているパナシナイコス。1908年に創立されたこのクラブは、約100年近い歴史の中で18回のリーグ優勝と15回のカップ戦優勝を果たしている。しかしながら最後のリーグ優勝は95−96シリーズ、ここ何年にもわたってリーグ制覇からは遠のいているのが現状だ。

■クラブ
デポルティーボとかバイエルンとかいう強豪クラブに比べれば、バルサにとって最も戦いやすいクラブであることは間違いないだろう。だがこれまでのチャンピオンズでの戦いを見てみれば、決して簡単なクラブではないことも明らかだ。ウルグアイ人の監督セルヒオ・マルカリアンが率いるこのクラブは、ドイツのクラブやマジョルカ、スパルタ、オポルト、そしてアーセナルなどを押しのけてここまで残ってきたチームである。そして地元ではこれまで1敗もしていないことも特筆すべきことだ。熱狂的な雰囲気の中で戦われる自らのスタジアムでの勝利と、アウエーでのカウンターアタックでの戦い。ゴール数は決して多くはない。むしろ少ないと言った方が正解だ。だが効率的に決められるゴールがこれまでの試合を見る限り強力な武器となっている。

■選手たち
クラックと呼ばれる選手たち。それはキプロス出身のコスタンティノウ、ナイジェリア出身のポーランド人であるオリサデベ、元バレンシアの選手だったクロアチア人ブラオビック、そして元マドリに在籍したジャルニ。そして多くのギリシャ代表選手がこれに加わる。

■スタジアム
アポストロス・ニコライデスというのが正式名称。収容能力16,730人と非常に小さいスタジアムではある。だが愛国的にして熱狂的なファンが集まるこのスタジアムの雰囲気は、他の大きなスタジアムのそれと比べても何ら劣るわけではない。すでにイスタンブールでの熱狂的な雰囲気のもとに試合をおこなってきたバルサではあるが、再び「地獄」での試合を通過しなければいけない。

■これまでの対戦
100年近い歴史を持つパナシナイコスだが、この対戦がバルサとは初めてのものとなる。これまでバルサが対戦してきたギリシャのクラブ、それは75−76シリーズにおけるパオク・サロニカとのUEFA戦。ギリシャでは1−0と敗北したもののカンプノウで6−1と大勝し、サロニカを敗っている。そして記憶に新しいところでは00−01シリーズでのAEKアテネとの対戦。アウエーでもホームでも勝利し何の問題もなくギリシャチームを葬っている。


そしてバルサの選手たちは

この抽選会がおこなわれているとき、バルサの選手は練習を終え選手控え室に戻っていた。シャワーを浴び着替えもすんだ選手たちはテレビ画面に釘付けになっている。そして彼らと対戦するクラブがパナシナイコスと決まった瞬間、もちろんそれは大喜びであったに違いない。

その証拠に我々ジャーナリストの前に現れた彼らの表情は、微笑みを満面に浮かべてのものだった。記者会見場にキャプテンとして唯一あらわれたフィリップ・コクー。
「もちろんこの抽選に満足しているよ。もし個人的に決められることが許されるのなら、間違いなくこのチームを選んでいたからね。パナシナイコスというチームは正直言ってよく知らない。この前のマドリとあたった試合の一部を見ただけ。だがいずれにしても試合前に勝利が決まっているゲームというのはないんだから、慎重にいかなければならない。準決勝はそれからの話しさ。」

カルラス・プジョーも周りに囲んだ記者たちに、ほぼコクーと同じようなことをき語っている。
「我々にとっては幸運な抽選結果だよね。だがだからといってもう準決勝のことを考えるのは間違い。まずパナシナイコスに勝利しなければ。予想されるほどの簡単な試合となならにと思うよ。」

カタルーニャ・ラディオのゲストとして抽選会を見守っていたフランク・デブー
「この段階にきて簡単なチームなどいない。それでも我々はラッキーだと思う。デポルティーボやバイエルンなどと当たらないですんだんだから。パナシナイコスとはアヤックス時代に対戦している。チャンピオンズでの準決勝だと思う。我々は地元で0−1と敗れたんだけれど、あちらで0−3と勝利し勝ち抜いたんだ。今回もそういきたいね。」