3月24日



VALLADOLID - FC.BARCELONA

20:00 NUEVO ZORRILLA


     

最初の決勝戦

バルサの監督カルラス・レシャックは心理学者に変身した。昨日、バルセロニスタと選手に対しメッセージを送っている。
「残り24ポイントを獲得すれば、我々は優勝できる」
今日は残り8試合の最初の決勝戦となる。

■クライフの精神
今シーズンのバルサは3連勝したのが最高で、それも1回しかしていない。したがって、残り8試合を8連勝するのはユートピアではある。だがそれが不可能と誰が言い切ることができるだろうか。
「8連勝、24ポイント、そして我々はチャンピオン」
非常に難しい。だが不可能ではない。しかもクライフのサブとして働いていたレシャックが言うことだからなおさらだ。1994年、サラゴサに6−3という大敗を喫してバルサはほぼ死にかけようとしていた。タイトル獲得はは今シーズンより難しい状況を迎えていた。だが偉大なクライフはここに来てチームを立て直す。
「我々はまだ優勝の可能性が残っている」
残り15試合となった時点で、スーパーバルサは13勝2分けという成績を残す。リーガ最終戦、デポルティーボはジュキックのペナルティーの失敗によりタイトルを逃し、バルサの奇跡的な逆転優勝を許した。

■チャンピオンズの精神
トルコでの勝利はあらゆる意味合いにおいて、レシャックバルサに大きな足跡を残したようだ。あの勝利により、選手たちはもちろん、バルセロニスタも失われ欠けていた「希望」を取り戻した。今、バルセロニスタは期待を抱き、選手たちは自信を身につけている。
クラシコでの引き分けという結果はリーガ制覇からの最終的な決別かと思われたものの、トルコでの勝利は再び「夢」を見ることを可能にしてくれた。我々は決して「安っぽくはかない夢」のことを言っているのではない。喜びは確実に感染し、新たな結果を生んでいく。それがバルサの快進撃となる可能性だってあるのだ。トルコでの勝利は2002年のバルサの「運」を変える歴史的な試合として残るかも知れない。

■レシャックの精神
イスタンブールの「地獄」から無事に生還してきたバルサ。この勝利は選手の信頼感を取り戻すと共に、レシャックのモラルを非常に高いものにしている。

「今の我々は天国にいるわけでもなく、まして地獄にいるわけでもない。言ってみれば『試練の場』にいると言っていいだろう。チャンピオンズの結果は我々が冷静さを取り戻すのに役立った。だがそれも今日のバジャドリ戦次第といえるだろう。チームの雰囲気は非常にいいものとなっている。これまで我々はリーグ制覇から脱落したと思っている人々がいるようだが、私はそうは思わない。」

レシャックにとって明らかなことは、ガラタサライ戦以前と以降では精神的な面で大きな変化が生まれたことのようだ。それは少なくてもタイトル獲得に向けた可能性の追求が可能になったことからきている。

「もし一シーズン通してバルサが何のタイトルも獲得できなければ、少なくとも私は失敗のシーズンだと思う。我々はバルサであり、世界の中でも屈指のクラブなんだからね。だがもしチャンピオンズの決勝戦に進出し、リーグでも2位につければ、それはそれなりに良いシーズンだったと言っていいかも知れない。」

イスタンブールの勝利で、たったそれだけの勝利で、偉そうにしゃべっていると思われることを嫌うレシャック。状況が良い方向に向いていようが悪い状況を抱えていようがモラル面ではいつも上昇志向だと言う。

「フットボールは人生と同じさ。良いときも悪いときもある。だがどのような状況であれ精神面だけは強く持たないといけない、というのが長い人生を送ってきた私の結論。良い状況の時だけ胸を張ってしゃべることは許されない。ルイス・エンリケがガラタサライ戦でゴールを決めようが決めまいが、私のモラルは常に高い。」


●メンバー予想(エスポーツ&カッコ内はムンド)

昨日の練習で思わぬ負傷をしたロッケンバックが出場できないため、ガラタサライ戦の繰り返しメンバーとはならない今日のバジャドリ戦。召集メンバーにはロッケンバックとトラッショーラスの代わりにコクーとデブーが復帰した。この二人がスタメンで出場することはほぼ間違いないと言っていいだろう。ディフェンスでもし変化があるとすれば、クリスタンバールをベンチにおいてアベラルドが再びスタメン選手としてプレーする可能性があることだ。コクーも11人のスタメンに戻ることも間違いないところ。
デランテーロに関してはガラタサライ戦との変化はないと見るのが一般的。クライハートとオーベルマルスがツートップとして出場し、サビオラは再びベンチスタートとなる。


カルッチオにペップが戻る日

バジャドリ戦が始まる5時間前、バルセロニスタ注目の試合が開始される。バルセロニスタにとってもう一つの重要な試合、それは元バルサキャプテンのペップの試合だ。ブレッシア、この小さな街にあるグランドに今日ペップが戻ってくる。

ペップのいるレッシアには自然がたくさんあり、その自然から学ぶ多くの諺が古くから言い伝えられている。その中の一つに次のようなものがある。
「健康な人間はイヌのように小便をする」
文字通り、今日のペップはその諺を地でいかなければならない。試合開始前と試合終了後におこなわれる2回の「尿検査」が待っている。だがそれは強制的におこなわれるものではない。彼と彼を弁護してきた人々が再び起きるかも知れない「アクシデント」に対する予防線のためのものだ。

ペップが恐怖感を抱いているとしても何の不思議もないだろう。なぜなら彼はドーピング検査にひっかかった以前と同じものを摂取しているのだから。元NASAの研究員で現在バルセロナ大学に勤めるドクターが用意してくれる複合ビタミン剤を今でもとり続けているペップ。だから彼の弁護士たちは一つの予防線を張った。独自に試合前と試合後にそれぞれ試験管にペップの尿をとり、それをバルセロナ大学で検査するという予防線を。また「アクシデント」があった場合に証拠として使用できる可能性を。あらゆるイマジネーションを使用してペップを守らなければならない。そう、イタリアでは何が起きても不思議ではないのだから、

ペップの復帰という事実は、バルサの選手たちにも決して無関心ではいられない。すべての選手がペップ個人の復帰を祝い、そして2部落ちのラインにいるブレッシアを救い、できればワールドカップに出場して欲しいと思う。ペップの心境を一番理解しているのは、やはり同じ境遇におかれたデブーであろう。
「僕の場合は幸運にも夏のバケーションの間に出場停止期間が含まれていた。だがペップの場合はシーズンの真っ最中の停止処分だから、彼にとっては非常に辛かったと思う。そういう意味で彼の復帰は自分のことのように嬉しい。そして外国でプレーすることの難しさという意味でも、彼にはこれから頑張って欲しい。自分の国で成功しても外国に行けばゼロからのスタートとなる。そしてペップはいまだにそのゼロ地点に立っているんだ。残り試合は少ないようだけれど、しっかり頑張ってワールドカップにも出場できるぐらいのプレーをして欲しいと思う。」

チャビにとっても今日は特別な日だ。
「ペップが通過してきた地獄のような日が今日終わるんだ。少なくてもプレーできるという意味ではね。我々バルセロニスタにとっても今日は特別な日だし、フットボール界にとってもそうであると思う。」

今日の試合に復帰してくるコクーもペップのプレーを期待する一人だ。
「忘れることはできないだろうが、一日も早く過去を忘れるようにし、プレーに専念できればいいと思う。フットボールを愛し、プロ選手として活躍する人間にとってプレーできないことほど辛いことはなかったと思う。すべての幸運がペップのもとに、そしてブレッシアを救う救世主となることを祈っている。」