3月25日



VALLADOLID - FC.BARCELONA

1 - 2



誇りをかけての勝利

バルサは生き残っている。降参という言葉はバルサにない。バジャドリ戦での勝利は大きな意味を持っているだろう。約50分間以上にわたって10人で戦うことを余儀なくされたバルサは、それでも勝利へ向けた精神は決して失われることなく戦った。

■コンパクトなバルサ
リーグ戦において、チャンピオンズにおいて、この段階での戦いにおける最も重要なこと、それは「結果」であると言い切れるだろう。
「ヌニェスが会長として初めての優勝を決めた17年前のバジャドリ戦がどんな戦い方をされたか覚えている人がいるだろうか?」
間違いなく誰も記憶に残っていなだいろう。あの試合が歴史に残したものは、ウルッティが試合終了間際にペナルティーを止めた事実だ。人々の記憶の中にはそれしか残っていない。
「バンガールのクビがかかったバジャドリ戦が、どのような内容だったか覚えているだろうか?」
誰も覚えていない。人々の記憶にあるのはチャビがゴールを決めてバルサを勝利に導き、バンガールの辞任を回避したということだけだ。
そして昨日の試合も将来、そのような試合の一つとなるだろう。試合内容は間違いなく忘れられることになる。だが人々の頭の中には10人の誇りを持った選手の戦いのみがイメージに残るだろう。

■誇りをかけての勝利
結果がでたのであれば、良しとしなければならない。後半のバルサはアップアップ状態であったことは誰しもが認めるところだ。理想的な戦いをしたのではなく、できることを可能な限りおこない勝利を得た試合。アベラルドの退場という強いられた状況が、バルサの戦い方を定義づけてしまった。ひたすら1点の優位を守る守備的な戦い。それも成功すればこの段階では一つの勝利的な戦い方となる。
バジャドリに多くのコーナキックのチャンスをとられても問題ではなかった。最後の最後まで神経質な戦いになろうがそれも問題ではなかった。首位に6ポイント差とされ、しかも来シーズンのチャンピオンズを戦う権利さえ失っているポジションに置かれているチームにとって、勝利の3ポイントを獲得するためにコンパクトな戦いこそが重要なことだった。だれもこの段階でのスペクタクルな試合など望んではいないのだ。勝利に向けた闘争心と犠牲的な精神が必要な選手たちは見事に期待に応えたと言っていいだろう。

■さらなる勝利に向けて
地獄でのイスタンブールの試合、そして昨日の10人による戦いぶりをみると、一つの予感が生まれる。このバルサは新たに快進撃を展開する可能性を秘めているのではないか、という心地よい予感だ。今まで迎風だったのが順風になってきているのはまちがいないだろう。二つの重大なマッチボールを生き延びたバルサ。それは同時に自信と誇りを取り戻すチャンスでもある。リバルドなしに、そして10人の選手でこれらのマッチボールを勝利に導いた勇気あるバルサの選手たち。誰がゴールを決めたとか、レシャックの采配が保守的であったことなどはどうでもいいことだ。問題はすべての選手が誇りを持って、チームを勝利を導いた事実にあるのだから。


試合のキーポイント

1.瞬時のリアクション
ルイス・ガルシアにゴールを決められた時も、決してバルサは悪い戦いをしてはいなかった。そしてハンディー戦になりながらもバルサは沈むどころか、瞬時のリアクションをおこす。バルサの2本のゴールは左右からのセンターリングによるものだった。

2.アベラルドの誤り
アベラルドのようなベテラン選手がおこすミスではなかった。センターライン付近でのプレーは、何の危険を生じるシーンではなかったのだから。だが彼は強烈なタックルをバジャドリの選手にしてしまう。レッドカードは当然のものであった。このアベラルドの退場により、バルサは10人の戦いを余儀なくされる。

3.チャビの不在にはボールの不在
後半が開始されてから5分、チャビに代わってデブーが入ってきた。チャビはそれまで中盤にボールを回し、後ろからの攻撃の要となっていた。アベラルドの退場という事態がチャビの交代となったが、これによりバルサはボール支配を完全に放棄した形となる。

4.相手のデランテーロを抑えたバルサ
レアル・マドリからレンタルされている二人のバジャドリのデランテーロ。トッテとフェルナンドはバルサ守備陣に完全にマークされた。ココは試合終了の笛が吹かれるまで完璧にトッテをマークし続けた。決まったマークのなかったフェルナンドも結局最後までデランテーロとしての仕事ができないまま試合終了した。

5.ポジションの変化
バジャドリの先制点を許してからのバルサはポジショニングの変化をおこなっている。それはチャビが抜けたあとも、プジョーが抜けたあとも連続してポジショニングの変化がおこなわれた。だが常にバランス的に平衡を保ったままバルサは最後まで戦い抜いた。


レシャックのコメント

試合後のレシャックは試合結果には満足しているものの、試合内容については非常にガッカリしている。だが貴重な勝利であることは間違いない。しかもこの勝利は「汗」と「血」と「涙」で勝ち取ったものだからだ。

アベラルドの早すぎる退場によって10人での戦いを強いられたバルサ。この試合を必要以上に苦しいものにしてしまった退場だ。
「非常に難しい試合となってしまった。前半に関して言えば、我々は非常に良い展開をしたと思う。二つのチームが攻撃を試み、ファンの人々にも面白い展開のゲームだっただろうと思う。だが後半に入って我々がしたことは守るだけ。ひたすら守るだけという淋しい試合展開となってしまった。アベラルドが退場してから我々がおこなったことは体力勝負というつまらないもの。唯一、明るい材料があるとすれば、我々が苦しみながらも勝利を望んだその精神だろう。」

レシャックは10人というハンディ戦になったところで、自分の戦いのフィロソフィーを曲げたことを素直に認めている。つまり「結果」だけを追求した戦い方をしたということだ。
「今の我々にとって唯一重要なことは試合結果。状況がそれを要求しているんだからしょうがない。この勝利はチーム全体に冷静さを与えたと同時に、リーグ戦にいまだに乗り遅れていないことを証明した。だがね、こういう戦い方は好きになれん。必要性は否定できないけれど、こういう戦い方はねえ。もし選ぶことが可能であれば3−4という結果の試合を望むね。ファンの人々にとってもそのほうが楽しいだろうから。」

そうは言いながらこの3ポイントの獲得はバルサにとって非常に大きなものとなっている。次節はバルサの上をいくチームがほとんどアウエーの戦いになる。バルサはカンプノウでラス・パルマ戦だ。したがってポイント差を縮めるチャンスがやってくる。
「バジャドリのグランドではレアル・マドリやデポルティーボが敗戦している難しいところ。だが我々はそれを乗り切った。そして来週はポイントを縮める可能性がやって来る。これからだね、リーグは。」


●コクー
疲れ切った表情で記者の前に姿をあらわしたコクー。すべての力を出し切った感じだ。
「試合前にはマドリもデポルティーボも、そしてバレンシアも勝ったということがわかっていたから、我々にとっては絶対勝たなければならない試合だった。もし負けていたら、計算上ではまだ可能性が残っていても事実上リーガ制覇は不可能ということになっていただろう。前半は良い試合をしていたと思う。でも10人になってからはね、しょうがないよ。」

●アベラルド
試合後に、自分の誤りを素直に認めるベテラン・アベラルド。チームに迷惑をかけたことを反省している。
「俺の足はボールに行ったんだ。ところが実際は相手の選手に当たってしまったというわけだな。しかもチョット足を上げすぎた。だからレッドカードはしょうがない。とにかく後半は永遠に終わらないかのように、ドキドキ状態で見ていた。もし引き分けたり負けたりしたら俺の責任だからな。」

●ガブリ
ガラタサライ戦に続いて再びスタメン出場を果たしたガブリ。その喜びは隠しきれない。
「後半に入って我々は守備的な戦いになったけれど、それでもすべての選手がそれぞれ持っているものを出していたと思う。スタートからして良くなかった。まず彼らが先に点を入れ、逆転したと思ったら我々は10人になってしまったし。それでも大事なことは苦しみながらも勝利できたこと。しかもアウエーでの2連勝は精神的に非常に大きいものとなると思う。」

●クライハート
1点目のゴールを決め、リーグの最高得点王の一人となったクライハート。
「オーベルのパスを見て、右足アウトで蹴ろうと思った。すべてがパーフェクトにいってゴールとなった。満足、満足。でももう一つのチャンスは失敗したなあ。」

●サビオラ
2試合続けてベンチにいたサビオラ。だがアルゼンチン監督のビエルサは彼のことを忘れてはいない。水曜日にスイスでおこなわれるカメルーンとの親善試合にサビオラを召集している。サビオラの召集は最終的にクレスポの負傷という事態が起きたため実現したものだが、それでもサビオラのワールドカップへの出場の可能性は残っていると思われる。