3月26日



イルレッタ株↑、カペーロ株↓

クラブ首脳陣がいくら否定しようと、来シーズンの監督候補を物色しているのは間違いない事実だろう。多くのバルセロニスタにとってももちろん関心深い問題である。レシャックの続投がないと仮定した場合、これまで一番の候補に上がっていたのはカペーロだった。だがここに来て様子が少し変わってきている。イルレッタ株が上昇してきているからだ。

■イルレッタとカペーロ
3月の下旬に入った今日の段階において、バルサの来シーズンのベンチに座る可能性が一番強い人物、それはハボ・イルレッタだ。クラブ首脳陣の中で、彼を押す声が日増しに強くなってきている。それはまず第一に、イルレッタは誰よりもスペインリーグに関して知識があること、それは現在のバルサ選手に関する知識でも同じような事が言えること。そしてもう一つ大事な要素、それは経済的問題(彼の年俸や彼が要求するであろう補強選手の移籍料や年俸)がカペーロのそれに比べてはるかに安く済む可能性があること。

イルレッタの代理人であるミゲール・サントスはすでにスポーツ・ディレクターのパレーラと会合を持っている。そして先週の木曜日、サントスはデポールの会長であるレンドイロとも会合を持った。レンドイロにしてみれば一日も早いイルレッタの延長契約を結ぶ意向で臨んだこの会合、イルレッタ側の答えは「急がない」ということだった。しかもいくつかの他クラブからのオファーを検討中であるということも伝えてあるという。

イルレッタはこれまで何回となく、デポールでの仕事は終わったという内容の発言をおこなってきている。チームとしては良い結果を残してきてはいるものの、デポールファンとのしっくりいかない状況はここ何年間も変わってはいないことも関係あるかも知れない。イルレッタはいずれにしても急いではいないようだ。オファーを検討する時間もあるし、余裕もある。彼が2年前デポールとの延長契約をしたのは4月22日、去年は5月28日にそれぞれサインしている。彼にとって、時間はまだまだあるのだ。

ここに来て、カペーロ株はローマのそれがそうであるように急下降のカーブを描いている。カペーロが要請した来シーズンに向けての補強選手リストをクラブ側が経済的問題を理由に拒否したのは記憶に新しい。カペーロを監督として「維持」していくにも、あるいは新たに監督として「就任」させるにも、非常に経済的負担が大きい。なぜなら彼はすでに出来上がった選手の獲得、いわゆるクラックかそれに近い選手の獲得を要請するからだ。

例えばバルサ側に提出されたというリストを見てみよう。まずキーパーの補強に始まる。そしてセントラール、中盤、デランテーロ、それぞれ少なくても一人ずつの補強選手、しかも超一流選手の加入を要請している。おおざっぱに見積もってこれらの補強には200億から300億ペセタの資金が必要だ。したがってこれらの資金捻出のためにはリバルドはもちろんクライハート、オーベルマルス、コクーなどの放出も覚悟しなければならない。

ガスパーはこれまで隠すところなく、カペーロを獲得したいと発言してきた。だがここに来て、少し様子が変わってきていることは事実だ。ローマのチャンピオンズリーグからの敗退は、ガスパーに考えを変えさせるきっかけとなったのかも知れない。

■レシャック
レシャックはバルサに40年在籍している人物だ。彼は自他共に認めるバルセロニスタであり、もちろんクラブのためなら何でもする用意がある。最近もガスパーとの会話の中で、もし来シーズンに新しい監督を連れてくるならば、彼はそれに協力すると伝えている。だが彼が来シーズンも監督を続けるオプションがまったくないわけではない。もし何らかのタイトルを獲得した場合、それはじゅうぶんに考えられることだ。いずれにしても彼の将来はこれからの試合結果次第ではある。

■ラニエリ
チェルシーはラニエリに2年の延長契約を申し出ている。だがデポールのイルレッタと同じく、彼も決して再契約を急いではいない。彼に近い人間からの情報によれば、ラニエリはスペインへの復帰を望んでいるといわれる。バレンシアやAt.マドリでの監督経験をしている彼にとって、スペインリーグへの復帰は夢なのだ。ただバルサにとって問題なのは、カペーロ獲得と同じように、彼の要求する補強選手の経済的問題だろう。ディフェンス面に重点を置くラニエリにとって、バルサのディフェンスの再構成が何よりも重要な問題として写っているからだ。

■ビアンチ
今シーズン途中、何回もレシャックの交代要員として名前が登場したカルロス・ビアンチ。皮肉なことに彼の名前がメディアの現れるたびにレシャックの反撃を見る結果となった。ボカを離れたビアンチはいまだに自由の身となっている。彼の獲得は同時にリケルメの獲得を意味する。だがビアンチの獲得に反対する首脳陣がいることも事実だ。それはヨーロッパでの経験、つまりローマでの監督時代の失敗経験を恐れている首脳陣もいる。

■クーマン
多くのバルセロニスタが夢見る将来のバルサの監督、それがロナルド・クーマンだ。ドリームチーム時代のキャプテンを務めた彼がいつかはバルサのベンチに座ることは間違いないだろう。彼のバルサへの復帰は、攻撃フットボールの回帰でもある。クライフとバンガールの中間をいくと言われるクーマン、彼の監督就任を望む声は多い。だが理想的には、アヤックスでの何年間という監督経験を積んでの復帰が望ましいことも確かなこと。アヤックスとの契約は来シーズンを含めて2年残っている。


優勝の可能性を見るリバルド

チャンピオンズにおけるガラタサライ戦の勝利、そしてリーグ戦におけるバジャドリでの勝利、この二つの戦いがバルサを生き返らせたと思うリバルド。彼にとって今のバルサには二つのタイトル獲得も夢ではないと言う。

これまでの多くの苦しみが決してムダには終わらないと信じるリバルドだ。左足かかとの負傷状態で戦線離脱しているリバルドだが、この二つの勝利がバルサの将来を決める重要な試合となったと感じている。しかも最も重要な局面での勝利が選手たちのモラルを非常に高いものにしていると思っている。

リバルドは他の多くの選手と同様に、この段階に来ての勝負はひたすらポイントを稼ぐことを最優先しなければいけないと考えている。試合内容がどうであれ、勝利の3ポイントを稼ぐために戦わなければならない。
「勝利がすべてに優先する。ガラタサライ、バジャドリ相手に我々は非常に苦しい戦いをしたけれども、目的は見事に達成したと言って良いだろう。勝利の3ポイントは90分の苦しい戦いの報償でなくてはならない。それと同じように、これまでの苦しい戦いをしてきた今シーズンの報償がタイトル獲得になれば最高だ。」

結果主義という批判には耳も貸さないリバルド。この段階に来ての結果主義による戦いに何の悪いことがあろうかと思っている。
「リーグ戦はまだまだ長い。しかも上位とのポイント差はわずかなものだ。我々には優勝するチャンスはじゅうぶん残っていると思う。デポールにしてもマドリ、バレンシアにしても、間違いなく「つまずきの試合」が待っているだろう。我々はそれを利用して少しずつ上位に食い込んでいけると信じている。」

彼の楽観主義的な見方には理由がある。それはやはり最近のバルサの戦い方から来ていると言う。
「苦しい戦いを乗り越えて勝利を得ることの重要さ。これがここ何試合かで我々が証明したものだと思う。しかもこれまで我々に不足していた幸運までが近寄ってきている気がする。」

■さらなる3人の楽観主義者
ガラタサライ戦でのゴールを決めて、チャンピオンズ決勝リーグの参加を可能にしたルイス・エンリケ。チームブロックとしての戦いはもちろん今より良くしていかなければならないと認めるものの、あの勝利以来バルサは良い方向に向かっていると信じている。
「イスタンブールを起点として、我々はあらたな道を探し当てたと思っている。あの試合で何かが変わったんだ。だから我々の未来はじゅうぶん明るいものだと思う。これまで苦しんできたバルセロニスタと、何らかの形で喜びを分かち合うことができるだろうと信じている。」

レシャックは数学に強い。彼なりの独自の計算方法で将来を見つめている。そしてそれによればバルサの優勝の可能性は大いに期待できるものであるようだ。
「もしこれからおこなわれるすべての試合に勝利すれば我々は間違いなくタイトルをとれると思う。上位は団子状態であると共に、これからのプレッシャーに完璧に耐えられるクラブは見あたらない。だからある意味で言えば、タイトルがとれるかどうかは我々次第ということだ。」

バルサのキャプテンマークをつける一人であるフィリップ・コクーも将来のバルサに対する考えは悲観的ではない。
「それはこれまでの我々の戦いぶりを見ればわかること。試合内容そのものではなく、苦しみ抜いての勝利という事実を見て欲しい。我々はどのような逆境を迎えていても反撃できるということを証明したことになる。リーグはまだ何試合も残っているし、チャンピオンズだってじゅうぶんに優勝できる可能性があるだろう。」