4月1日



レシャックの課題

1.4位以内に入ること
昨シーズンのバルサを思い出してみよう。シーズン最後の試合で終了間際にチャンピオンズ参加権を獲得したバルサを。リバルドの奇跡的なチレーナによるゴールでバルサはかろうじて4位に入った。カンプノウを埋め尽くした観衆は興奮のあまりグランドのなだれ込むというハプニングも記憶に新しい。現実的にはバルサは何のタイトルもとることなく終わったのに、まるで何かの決勝戦に勝利したかのような興奮だった。だが、そう、我々は何も獲得していなかったのだ。
そしてあれから1年近くたった今、再びバルサは同じ状況に置かれている。リーグ優勝の希望を失い、しかも4位圏内に入るためにセルタ、ベティス、ビルバオと競いあわなければならない。これからの難しいスケジュールが待っている上に、3ポイントのハンディーを抱えるバルサ。だが最後までその可能性を信じなければならない。

2.チャンピオンズでの戦い
最初の試合で、しかも相手は2部Bのカテゴリーに属するフィゲーラス相手に敗北した国王杯、そして6試合を残した段階で早くもリーグ優勝の可能性をほぼ失なったバルサ。そのバルサに唯一のタイトル獲得の可能性が残されているのは、チャンピオンズだ。準々決勝に進んだバルサに幸運が舞い降り、明後日の試合はパナシナイコスとのものとなる。マドリが多くの控え選手とカンテラ選手だけで引き分けた相手に、バルサはギリシャでの試合で準決勝進出を決めることも可能だろう。ヨーロッパのクラブの中ではスタークラブではないパナシナイコス相手のこの試合、バルサはクラブの輝く歴史と誇りを持って勝利しなければならない。

3.希望を取り戻すこと
ラス・パルマス戦での引き分けという思わぬ結果は、すべてのバルサ関係者(クラブ首脳陣、コーチ陣、選手、バルセロニスタ、ソシオ)に大きなショックを与えた。だがあの試合から2日もたった今、そのことを嘆いている時間はない。1時間でも、1日でも早く、将来に対する希望を取り戻さなくてはならない。なぜなら、身近な将来にまだ大事な試合が我々には残っている。一つの明るい材料、それはリバルドの復帰だ。彼が抱えていた負傷問題も解決し、ほぼ100%に近い状態でリバルドは復帰してくるだろう。レシャックに与えられた課題は、今となっては心理学者や精神科医のそれと似ている。選手たちのモラルを可能な限り高いものとし、チャンピオンズ戦はもちろん、残されたリーグ戦を勝利に導いていかなければならない。


●サビオラ
シーズン開始当初、バルサの目標は3大カップ、つまりリーグと国王杯、そしてチャンピオンズの制覇だった。だが国王杯には早々に姿を消し、残り6試合となったところで首位に8ポイント差とされてリーグ戦もほぼ絶望となってきている。数字的なアディオスが決まったわけではないことから、希望はすべて失ったわけではないものの、サビオラは現実的な見方をしている。
「我々に残されてる最後の栄光への道はチャンピオンズしかない。それは明らかだよ。リーグ戦での我々に残された使命は、可能な限りのポイントを稼ぐこと。」

サビオラにとっては、リーグ制覇はすでに不可能なものと見られている。だが来シーズンのチャンピオンズへの参加権を得るために、どうしても4位以内に入ることを重要視しなければならないと語るサビオラ。
「これまでの我々のミスは、勝たなければならない試合に勝てなかったこと。地元で多くの勝利を得られなかったこと。これらのことに尽きると思う。だが同時に、すべてを失っているわけではない。4位以内に入るチャンスはまだまだ多く残されているし、何よりもチャンピオンズ制覇の可能性だってあるんだから。最後の力を振り絞って、残りの試合に全力をあげていくことをみんなで誓いあった。大丈夫、我々は今抱えている目標に向かって勝ち続けていくモラルはじゅうぶんにあるさ。」

●コクー
コクーも厳しい「現実」を直視している一人。安っぽい「希望」を根拠なしに売りつけることをよしとしない。
「リーグ優勝をするのは今となってはユートピアと言っていいだろう。首位に位置するチームとの差は歴然となってしまっている。もう我々は1位のチームを見上げるのではなく、現実的なものとして4位以内に入る可能性を追求していかなければ。それもはっきり言って非常に難しいことではある。昨シーズンのことを考えれば、それは簡単にわかることさ。でも我々すべての選手が一丸となってこれからむかえる重要な試合に勝利していけば、昨シーズンのように最後の試合の90分に決まるというようなことはないかも知れない。少なくても、個人的に言わせてもらえば、それは避けたいこと。とにかく今からラストスパートをかけなければ。」



リバルドの復活

昨日の日曜日、バルサドクターからOKがでたリバルド。明後日のアテネでおこなわれるチャンピオンズ準々決勝のパナシナイコス戦には出場が可能となった。今回のリバルドの復帰は、中途半端な形での復帰を避け、完全に体調が100%に戻るまで待たれたものであり、彼にかかる期待は大きい。

リバルドにとって新たな出発となる日が訪れた。2週間にわたりすべての試合から遠ざかり、リハビリのみに専念してきたリバルドの体調はほぼ100%と言って良いだろう。リバルド復帰のニュースはバルセロニスタにとって明るいものとなっている。ラス・パルマス戦での思わぬつまずきによってリーグ優勝の望みが薄くなった現在、バルサに残されているタイトル獲得の可能性はチャンピオンズのみと絞られてきてしまった。そして明後日のパナシナイコス戦に出場が可能となったリバルドの復帰はまさに時を得たものだろう。

バルサーマドリ戦で左足かかとを痛めたリバルドは、負傷箇所の完治と共に体調が完全になるまで復帰を延ばしてきた。先週末のラス・パルマス戦にも無理をすれば出場できたリバルドだが、コーチ陣の「完全な形での復帰」という要望のもと出場を取りやめていた。クラシコ以降3試合の不出場となっているリバルドだが、バルサの成績はそれほど否定的なものではない。ラス・パルマス戦は引き分けに終わったもののガラタサライ戦、バジャドリ戦には勝利を飾ったバルサだ。だがチャンピオンズの本番が近づいてきている今、リバルドの復帰は非常に明るいニュースだろう。

体調は100%と保証するリバルドとバルサドクター。だが問題がないわけではない。2週間以上も試合を離れていることに加え、合同練習に参加したのは昨日が初めて。試合のリズムについていけるかどうか懸念する声もある。だが例えリズムが欠けているリバルドであろうと、彼の復帰はバルサ選手のモラル面での効果も考えられ、明後日のスタメン出場はほぼ確実と言っていいだろう。

■オーベルマルス
ラス・パルマス戦で試合途中で右足ヒザに痛みを覚えたオーベルマルス。グランドの中から交代を要請したものの、バルサはすでに3人の選手と交代したあとだった。結局、試合終了までプレーを続けたオーベルマルスだが、昨日の練習には参加していない。彼のパナシナイコス戦の出場に関しては、今日の精密検査を待たなければならない。

■ロッケンバック
ロッケンバックの負傷は思ったより長引いてしまった。昨日の練習では痛い止めをうちながらの参加となった。だがすべては今日の練習次第となる。今日は痛み止め処置もしないで練習に参加するロッケンバックだが、もし痛みを感じないで練習を終えることができた場合、バルサドクターからのOKが出ることになる。

■ココ
右足かかとの痛みをおさえながら、ここ何試合かに出場してきたココ。練習風景を見る限り、彼の負傷は感じられない。ココはファイトの固まりのような選手だ。毎日の練習後、各試合後、彼は右足かかとの特別な治療をドクター・プルーナにおこなってもらっている。決して100%のできではないココだが、プジョーと同じように負傷を理由に試合を休むことをよしとしない選手。パナシナイコス戦も間違いなく出場を申しでるだろう。


ガスパー会長のお言葉

ラス・パルマス戦での勝利が飾れなかったバルサにとって、チャンピオンズはリーグよりも優先事項となったことを認めるガスパー。だが同時に、スペインリーグそのものにも期待を残しているということを言い忘れない。

バルサの会長ガスパーはまだタオルを投げていない。チャンピオンズでの試合がリーグのそれより重要事項となったことは認めるものの、リーグでの戦いも数字的に絶望になるまで戦い続けるのがバルサの使命だと強く訴えるガスパーだ。
「リーグは確かに難しくなってしまった。それは誰の目にも明らかだろう。だがすべての希望を失ったわけではない。多くの選手が語っているように水曜日の試合に全力をあげるという姿勢はいいことだと思う。だが同時にリーグでの試合も放棄することはもちろん許されない。それは我々バルサにとっては歴史的に許されないことだ。数字的に我々の不可能さを示しているわけではない。希望の光が消えたわけでもない。最後の最後まで全力をあげて挑戦するのが我々バルサのスタイルだ。」

ガスパーは彼の持っている記憶を一生懸命探しながら、希望の光も探し出す。
「我々はかつて、残り4ゲームとなった段階で6ポイントも2位に差をつけていたシーズンがあった。だがそのシーズン、我々は優勝できなかった。そして同じような状況で我々が2位につけていたシーズン、最後の試合で我々が逆転優勝したこともある。もちろん私は現実に目をつぶって語っているわけではない。それはバルサの会長として許されないことだからね。確かに、繰り返すことになるが、リーグ優勝はとてつもなく難しい状況ではある。だが不可能ということでもない。」

一息ついたところで、現状分析に入るガスパー。今シーズンの総括は試合がすべて終わった時点でなされなければいけないとしながらも、これまでのバルサを振り返る。
「我々のこれまでのミスは、自分の家で17ポイントも失ってしまったことによるだろう。この状況が今のバルサが抱える現実だ。バルセロニスタの怒りもこの現実をみれば明らかだ。我々の目の前で勝利できないバルサを見せつけられているんだからね。だが冷静に我がバルサの歴史を見てみよう。100年の歴史において、我々はこれまで16回しか優勝をしていない。チャンピオンズも1回だけだ。私は50年間ソシオをしているが、これが我々バルサの現実でもある。しかし我々のクラブの創始者は、我々を2位のクラブにするために創設したわけではない。常にチャンピオンとしてのクラブとして作り上げられたのだ。始まったばかりのこの21世紀をバルサの世紀として、勝利に包まれた歴史をつくりあげていかなければならない。」