4月7日



ATHLETIC- FC.BARCELONA

0 - 2



ブラボーサビオラ!

両チームにとって良い試合内容だったとはとても言えない。もちろん歴史には残らない試合だ。だがバルサにとっては非常に貴重な勝利であり、二つの重要なものを勝ち取った。一つは来シーズンのチャンピオンズ参加権獲得を楽観的なものにしたこと、そしてもう一つは火曜日のパナシナイコス戦へ向けてモラルを高めることができたからだ。

■唯一求められたもの、それは勝利
勝利か、あるいは勝利か。敗戦という結果はいっさい考えることが許されなかったバルサ。もし来シーズンのチャンピオンズに参加したいと思うのであれば、ビルバオ戦では勝利のみが許される結果であった。そしてその「義務」を無事果たすことができたバルサ。相手はここ2試合で11点という失点を許しているビルバオだった。したがってパナシナイコス戦での不本意な敗北のあとの試合であったにも関わらず、勝利の可能性は少なからずあった。結果は幸運にもバルサの勝利。

幸運なバルサの勝利?思わずそう言いたくなるような、淋しい試合内容が続く90分だった。パナシナイコス戦で残した最悪のイメージが拭い切れたかというと、残念ながらそうではない。相変わらず後ろに下がり続ける中盤の選手たち、そしてボールを奪うことより奪われることに専念する選手たち、3回以上のパスが続かないバルサのスター選手。得点をあげてからはディフェンスに専念するレシャックバルサの姿がそこにあった。だがこの段階に来て他のことを望むのは無駄なことだろう。今のバルサに唯一求められるもの、それは勝利。そしてその勝利を勝ち取ったバルサにおめでとうと言おう。

■相変わらずのレシャック
再び、そう再び、レシャックは多くのバルセロニスタが驚くスタメンで試合に望んだ。もちろんパナシナイコス戦と違い、少しは攻撃的な布陣でスタメンを準備したことを批判する気はない。なぜならアウエーの試合であるにも関わらず、オーベルマルス、リバルド、そしてサビオラという強力なトリデンテを攻撃要員として戦おうとしたのだから。しかも第四のデランテーロとしてルイス・エンリケまでが中盤に控えていた。

だがどうもレシャックの考えることは中途半端だ。なぜならこの日の中盤下の選手を見てみると、ボールを配給する肝心の選手たち、つまりチャビやデブーが不在なのだ。どうしても相手のシステムに合わせての戦いを挑もうとするレシャックバルサ。中盤を体力勝負の選手で埋め尽くしパワーフットボールを挑むものの、トリデンテは孤立してまうという結果を生み出す。後半チャビの登場により、試合そのものが少しはコントロールされてきたことを見れば、レシャックの誤りは一目瞭然だろう。

■サビオラの「ゴールの嗅覚」
アウエーでのゴールに見放されていたサビオラ。だがついにその悪運を吹き飛ばす日がやってきた。もしクライハートがカード制裁を受けていなければ、サビオラのスタメン出場もなかったであろう昨日の試合でついにアウエーでのゴールを獲得した。

これまでアウエーの試合でゴールを決められなかったとはいえ、実際そのチャンスが少なかったのも事実だろう。ほぼベンチスタートを余儀なくされていたサビオラだが、もしその試合がハンディー戦になっていれば後半からの出場、もしバルサが勝利していればそのまま審判の笛が鳴るまでベンチ生活という感じだった。だが彼はカンプノウでは11得点を決めている選手だ。アウエーでの悪運が消えるのも時間の問題ではあった。そして昨日はいかにもゴールの嗅覚を備えている選手のみが得られるゴールを決める。


試合のキーポイント

1.ディフェンス陣の集中力
レイジンハー、アベラルド、クリスタンバール、そしてココで編成されたバルサのディフェンス陣は、90分にわたってほとんどミスもなくビルバオ攻撃陣を抑えた。特にアベラルドの完璧と言っていいであろうディフェンスは特筆するべきもの。クリスタンバールと共に、高いボールをほぼ支配した。また忘れてならないのがボナノの活躍だろう。ティコのフリーキックを見事にはじいた黄金の右手。ボナノの登場は少なからずバルサのディフェンス陣に冷静さを与えている。

2.中盤でのぶつかり合い
昨日のバルサの最大の罪は、フットボールをしようというイメージがなかったことだ。それはなぜか。それは簡単な理由による。なぜならバルサはほとんどの時間、ボールを持っていなかったのだから。ボールを奪われ続け、たまにボールを持ったかと思うとすぐさま奪われてしまう選手たち。肝心のパスが続くこともない。コクーはほぼ何もしていなかったに等しい。ロッケンバックとルイス・エンリケがどうにかこうにか戦いに加わっていた。リバルドは中盤の戦いの助けに常に下がることを要求された。チャビの参加がほんの少し流れを変えることができたと言えるだろう。

3.孤立したサビオラ
もしサビオラがいなかったら、もしサビオラの「ゴールの嗅覚」が登場しなければ、まず間違いなくバルサは引き分けという結果を持ってサンマメスを離れていたことになるだろう。ひたすら前線で一人で戦っていたサビオラ。オーベルマルスはここ何試合での疲れがでたのだろう。影も形も見られなかった。リバルドはやはり故障上がりというイメージを拭えなかった。周りの助けもなく一人孤立していたサビオラ。だが勝負を決めたのは彼だった。

4.重傷、ビルバオ
灰色に近いバルサの試合展開のおつき合いをしたのは、果てしなく黒に近いビルバオだった。チームとしてのアイデアも、チームブロックも、そして個人技も、何をとっても限界が感じられたビルバオ。かなり重傷だ。最近2試合で11失点というのは偶然の出来事ではなかった。攻撃陣を抑えたのも、ディフェンス陣を翻弄させたのも、決してバルサによるメリットとは言えない。落ち込み続けるビルバオのデメリットが多かった試合だ。


●ボナノ(6)
黄金の右手がバルセロニスタの勝利をプレゼント。これまでキーパーの活躍で試合を救うことが少なかったバルサには久しぶりのニュース。

●レイジンハー(6)
右サイドでイエステをほぼ完全にマーク。だが攻撃参加するまでには至らない。ディフェンスに専念したレイジンハー。

●アベラルド(7)
ウルサイスをほぼ完璧にマーク。試合を重ねるごとにディフェンス陣の要として、重要な存在となってきている。

●クリスタンバール(6)
相手のスピードについていけず、ひたすらファールすることによって攻撃を防いでいた。サビオラのゴールを作った功績は大。

●ココ(6)
必要以上に苦労した試合。本来の彼であればもう少し左サイドを支配していただろう。攻撃にも参加することなく、疲労が感じられる。

●コクー(6)
中盤の隙間を埋めることに専念させられた昨日のコクー。攻撃の起点としては何の作用も起こせなかった。地味な仕事に専念。

●ルイス・エンリケ(6)
攻撃に参加するよりは、コクーと同じように中盤の穴を埋めることを余儀なくさせられた。相変わらずのガッツぶりを発揮。

●ロッケンバック(7)
フリーキックにしても、ファールにしても、審判に文句をつけることも、すべて並外れた選手。だがチームにとって必要な選手ではある。

●リバルド(6)
中盤にまで下がってボールを要求し続けたリバルド。彼らしいプレーは時々あったものの、やはり100%ではない。

●サビオラ(7)
インテリジェンスあふれる若きクラックサビオラ。アウエーで初のゴールを決める。これまで、アウエーでの最高の試合だろう。

●オーベルマルス(6)
時おり見せるカウンターアタックに参加。だが一対一の勝負に挑むことは一度もなかった。ファイト不足。途中交代。

・チャビ(7)
わずかな時間しかプレーしていないにも関わらず、彼の存在を示した試合。サビオラとガブリへの絶妙なパスと共に、チームを統制した貢献は大。

・ガブリ(5)
中盤をさらに厚くするために登場。特別評価する時間もプレーもなし。