5月6日



FC.BARCELONA - ESPANYOL

2 - 0


    

チャンピオンズへ1ポイント!

今シーズンのバルサが目指したものはもちろん4位に入ることではなくてリーグ優勝、あるいは何らかのタイトル獲得であったはずだ。だがバレンシアが31年ぶりにリーグ制覇を成し遂げた。そしてバルサは昨年と同じように4位以内への順位が最終目的となってしまった。エスパニョール相手の今シーズン最後のカンプノウでの試合で、ほぼその目的は達成できた。最終戦に1ポイントをあげれば、セルタの試合に関わらずバルサはチャンピオンズリーグ参加の権利を得ることが可能となった。

最終戦のバルサの相手はサラゴサ。ロマレーダでのアウエーの試合となるものの、サラゴサはすでに2部落ちが決まってしまっているため、バルサにとってそれほど難しい試合とはならないだろう。したがってバルサとしては寂しい目標ではあるが4位以内はどうにか確保できそうだ。そして昨日の試合が終わった今、ほぼ来シーズンのチャンピオンズへの参加が決まった今、我々は将来のバルサを見ていかなければならない。昨日の勝利は来シーズンへの期待の1勝としなければならない。なぜならバルサの再構築の最低条件として、チャンピオンズの参加は絶対に必要な要素であるからだ。

新しい監督や選手の獲得にも、チャンピオンズの参加は必要条件だ。多くの監督や選手にとって、ヨーロッパの中でもっとも権威あるトーナメントであるチャンピオンズリーグに移籍クラブが参加しているかいないかということは、意志決定のための重要な要素の一つとなる。そしてクラブとしてもチャンピオンズに参加することができるかどうかは、経済的にも、そしてなによりもクラブの威信をかけての問題となっている。

我々はそろそろ今シーズンのバルサに関して、総括を始めなければいけない時期にきている。例えば、昨日の試合が我々に何を教えたか。それはオーベルマルスの存在だ。シーズン開始直後から話題となったウイング問題。それは結局シーズンが終わろうとしている今日まではっきり結論の出ない問題だった。少なくてもレシャックを筆頭とするコーチ陣にとっては。これまで多くの試合にウイングが存在しなかったために、相手ディフェンスの集中している中央からの攻撃がそのスタイルとなっていた。だが昨日の試合でオーベルマルスが示したものは、バルサにはウイングが必要だということだろう。それがバルサのスタイルではなかったか。

そして例えばチャビの問題も上げられるだろう。レシャックはウイング問題と共に「4番」に関しても疑問を持ち続けての監督采配をしていた。ある時には2人ピボッテを使い、ある時はコクーを「4番」的なものとして起用していた。だが「4番」の重要性の再確認と、そのポジションはチャビのものだということは明らかだ。彼が素晴らしいフリーキックを決めたからというわけではもちろんない。チャビのオーケストラの指揮者としての役目は、ペップのそれと同じように重要なことだろう。そしてさらにいうならば、ボナノはどのような観点から見てもレイナよりは優れていることもまた確かなことだ。

来シーズンのバルサで繰り返してはいけない事のうち、ほんのわずかな例ではある。だがこの例の基本にあること、それはチームとしてのプレースタイルをしっかり確立すること、一つの戦いのアイデアを設定すること、そしてそれを相手チームによって変えたりしないこと。相手チーム次第で戦いのコンセプトまで変えてしまうのは、選手たちから自信と信頼感を奪ってしまうだけではなく、チームそのものも不安定となる。そしてカンプノウに集まるソシオたちは自分のクラブがどのような戦い方をするのか、それはその日の午後にならないとわからない始末となってしまう。そして昨日のエスパニョールとの試合は、来シーズンのチャンピオンズ参加の希望を獲得すると共に、これらのことを教えてくれる重要な例となった試合でもあった。


ありがとう、ガッツ、プジョー!

カンプノウでの今シーズン最後となった昨日の試合。3年連続タイトルなしという寂しいシーズンの幕が閉じられた。だがそれでもカンプノウでの最後の試合である。カンプノウに集まった多くのバルセロニスタは、ルイス・エンリケとプジョーに対し特別の感謝の気持ちを捧げるために彼らに大きな拍手をスタンディングオベーションでおくって別れを告げた。

昨日はスペインフットボール協会の要請で、すべての試合が20時から同時に開始された。バルセロニスタにとっては他のスタディアムでの試合結果も気になるところ。特にセルタやデポール、ベティスの試合結果はバルサの来シーズンにおおきな影響を与える。だがカンプノウで最初の拍手はバレンシアのゴールに対するものだった。その後のビーゴの試合でのセルタのゴールには沈黙を守るバルセロニスタ。クライハートやチャビのゴールにはもちろん大きな拍手が送られる。

だが昨日の主役はゴールを決めた彼らではなかった。まず一人目の主役、ルイス・エンリケがベンチに下がるときにこの日最大の拍手が送られる。そしてその後ベンチに下がることになる二人目の主役プジョーにも大きな暖かい拍手が送られる。

レシャックがバルセロニスタであることに誰も疑いの目は持たない。彼はバルセロニスタであるが故に、彼らが何を望み何を期待しているのか誰よりも知っている人物だ。だから今シーズン最後の試合となった昨日の試合で、バルセロニスタの感謝の表現を可能にするために二人の主役を途中交代させた。

バルセロニスタにとって感謝の気持ちを捧げたい選手、それはグランドで汗を流す選手、エスクードの付いたユニフォームを汗と泥と涙で濡らす選手、体調がどうであれすべてを出し尽くしてプレーに臨む選手、強烈なキャラクターを観客席まで伝える選手、そしてバルサカラーを愛する選手、それらのすべてを持っているルイス・エンリケとプジョーに感謝の気持ちを伝える。そしてスタンディングオベーションで、彼らの耳元に届くように声の続く限り叫ぶ。

「ありがとう! ありがとう! ルイス・エンリケ!」
「ありがとう! ありがとう! プジョー!」


●デブー
デブーにとって昨日の試合はカンプノウでの最後の試合になるかも知れない。クラブとの延長契約はお互いに合意点に達していない状況だ。
「この結果でチャンピオンズへの参加は我々の結果次第となった。サラゴサで1ポイントをあげればいいんだからね。今日の勝利は非常に大きい意味を持っていると思う。前半で3点や4点あげられるチャンスがあったけれども、1点入ってから楽になった。個人的にはこれがカンプノウでの最後の試合とならないように願うばかりだ。俺はバルサに残りたいと思っている。でもそのためには2年以上の延長契約をしてくれなければ。もし今のままなら他のオファーを検討するしかないだろう。」

●ボナノ
彼にとって初めてのシーズンだが、一つもタイトルをとれなかったことを残念がるボナノ。昨日の試合では初めてのダービー戦を経験できたが、アルゼンチンのそれとはあまりにも違うことに驚いている。
「残念ながらアルゼンチンのダービー戦は、フットボールの試合というよりは戦争そのものなんだ。試合中でさえファン同士の喧嘩で負傷者が多くでるし、試合後の警察官との衝突が当たり前のことになっている。でも今日の試合はぜんぜん違っていたね。」
そして来週の試合はすでに2部落ちが決定しているチームとの試合となるが、決して油断はできないとも語る。
「楽しい試合とはならないと思うな。アルゼンチンですでに2部落ちが決まっているチームとの試合をいくつかしたことがあるけれど、雰囲気は殺伐としたものだった。ファンは自分たちの選手を野次りまくり、フットボールの試合という雰囲気ではなかった。でもサラゴサ戦はそんな感じじゃないといい。とにかく我々は油断しないで慎重にいかなければ。」

●チャビ
カンプノウでの最後の試合に見事なゴールを決めたチャビ。グアルディオーラの負傷でワールドカップへの参加の可能性が一段と強まってきているが、彼はその質問に関していっさいコメントしないという。彼の尊敬するペップの負傷が彼の心を重くしているからだ。昨日の試合後の記者会見でもいっさいワールドカップのことには触れないチャビだ。
「これで我々次第となった。来週サラゴサ戦で1ポイントあげればいいだけになったんだからね。ワールドカップの件に関してはすべてカマッチョが決めること、自分から話すことは何もない。」