5月7日



    

バンガールに賭けるガスパー

エスポーツ編集長
ホセ・マリア・カサノバ

■危険がいっぱい
どうやらガスパーは危険な賭けに出ようとしているようだ。10万ソシオの、そして世界中のバルセロニスタの中で、真っ二つに意見が分かれるだろう人物、そう、その名はバンガール。来週にでも発表されることになる来シーズンのバルサの監督。
この決断はガスパー会長個人の独断でなされるものだ。そして間違いなく多くのスキャンダラスな批判と、真っ二つに割れたバルセロニスタを誕生させる。なぜなら「バンガール」という名前自体がいまだに「スキャンダル」であり、2年前の辞任騒動以降バルセロナには多くの敵が存在しているからだ。だがガスパーには彼の選択に関して自信があるとすでに副会長たちに語っている。だがもしバンガールが失敗した場合、その代償は非常に高いものになることを覚悟しておかなければならない。かつてバンガールの存在がヌニェス元会長を辞任させたように、今度はガスパーがバンガールによって追放されることになる。

■良い監督、悪い性格
バンガールの監督としての才能を疑う人物はいないだろう。彼の持つプロ精神を疑う人物もまたいない。多くのスター選手がいるバルサベンチをしっかりと統制し、その選手たちのもっている最高のものを引き出すことに才能のある監督である。だが残念ながら彼の問題はその性格だ。彼が彼であろうとするその姿勢。
一つだけ明らかなことがある。もし1997年にバルサに新監督としてやってきたあの「バンガール」であり続けているのならば、つまりむっつりとし冷淡で、うぬぼれきった傲慢な「バンガール」であったら、間違いなく彼の将来は真っ暗だ。彼の成功は間違ってもあり得ない。
過去の歴史から学ぶだけのインテリジェンスを持っていることを期待するしかない。心を開いて友人を作る態度が生まれていることを期待するしかない。バルサを取り巻く人々を理解しようとする心構えができていることを期待するしかない。何も性格そのものを変えろと言っているのではない。我々は彼の「スタイル」を変えて欲しいと期待しているだけだ。カタルーニャという土地と文化にとけ込み、バルサというクラブがカタルーニャにとって何を意味するのか、それを理解しようとする気持ちを持って欲しいだけだ。彼が過去3年間のバルサ生活で不可能だったそれを、今回は可能にして欲しいと願うだけだ。

■バルサの将来に訪れるものは
ガスパーが思いつきでこの決断をとったとは思えない。彼の信頼する人物と何回もの交渉を重ねて彼の周囲を固めてきている。将来に起こりうるであろうあらゆる事柄を検討した上での決断だ。したがって彼のこの決断は危険がいっぱいのものであることももちろん承知しているだろう。この結果生まれるであろうバルセロニスタ間の分裂という大きな問題も理解してのものである。それでもバンガールに賭けようとしているものは何なのか。それは過去の彼がバルサに残した成績以外何ものでもない。3年間のバルサ在籍中、2年連続リーグ優勝という魅惑的な結果が彼のすべてだ。その上、すでにクラブ関係者やプレス、そして多くの選手たちを知っている。

ビアンキやビクトール・フェルナンデスという、いまだにバルサ内部を知らない人物はいかに良い監督であろうが成功への保証とはなり得ない。それがガスパーを中心とするバンガール推進派が考えたことなのであろう。すでにバンガールからの放出選手、獲得選手のリストは届いていると言われている。クラブの最高責任者である会長が決めたのなら、そしてその準備がすでに整っているのなら、プランは実体化していくのを待つばかりである。気に入ろうが入るまいが、プランはもう一人歩きしてしまっている。もしそうであるならば、我々が望む唯一のこと、それはバンガールが1997年の「バンガール」でないことだけだ。



バンガールに賭けるガスパー

ムンド・デポルティーボ編集長
サンティ・ノラ

■二度目にいいことはない
少なくともバルサの歴史を見てみる限り「出戻り監督」に成功はあり得ない。これまで何人かの監督が「二度目の監督」経験を持っている。そしてすべての監督が失敗に終わっている。エレニオ・エレーラ、ヌニェスが会長として選ばれ時に多くの期待を込めて選ばれた監督。一度目の監督就任時に比べ、キニー選手の誘拐事件などがあったとはいえ、結果的にははるかに最初の時期を下回った。オランダ人監督であるミケルス、彼も二度目のバルサ監督就任を果たした人物だ。だが結果はエレニオ・エレーラと同じように寂しいものに終わっている。そして伝説の人物となるクバーラの二度目の監督就任。これも失敗に終わった。
バンガールは確かに前回の監督就任中はバルサでの成功を収めている人物だ。だがその成功の背景にあったものは、前会長のヌニェスの全面的支持があったからだ。結果的にはこの背景が彼の会長辞任という結果を生んだ。彼が全面支持したバンガールを引きずっての両者の辞任騒ぎを生んだ。

■ガスパーの賭け
そして今ガスパーはバンガールに賭けようとしている。ヌニェス政権時代、22年間も副会長を務めたガスパーが会長の座を賭けて一つの決断をしようとしている。バンガールの監督就任。我々はいまさら彼のことについて語るまでもないないだろう。彼に関することは10万ソシオはすでに知り尽くしているし、彼の性格が変わらないことも知っている。
バンガールは「議論の的」の人物だ。それはかつてもそうであったように、今回も変わりはない。彼がどのようにイメージを変えて監督就任記者会見場に現れようが、例えば受けの良いニコニコ顔で現れようが、彼そのものが変わることなどはあるわけがないということをすべての人が知っている。したがって「どのようなバンガール」が今回登場するかどうかという議論は無駄なものとなるだろう。問題はそういうバンガールを監督就任させようとするアイデアそのものにある。バンガールについては、どのような人物であるかすべての人が知っているのだ。だから問題はそういう彼を新監督に就任させようとするアイデアそのものにあると言って良い。

■そして未来は
22年間にわたるヌニェスの長期政権が終了を遂げて以来、バルセロニスタがバルサに望んだものは何だったか。それはいつの時代でもそうであるようにタイトルの獲得ということとは別に、唯一バルセロニスタが望んだものは「平和」ではなかったか。クライフの時代が終焉しバンガールがバルサの新監督になることが決まった時、多くのバルセロニスタは新たな希望を胸にして彼を迎えた。だがその後の3年間、バルサは真っ二つの割れ毎日が論争の日々だった。だから「平和」を望んだのだ。これまで論争で失ってきた希望を取り戻すために「平和」を望んだのではなかったか。
そして今、我がバルサの会長は新たな論争のタネをまこうとしている。それが最高責任者の決断であるならば、民主的方法で選ばれた会長が望むことであるならば、我々はそれによって発生するであろう議論や論争の世界に再び入らなければならない。


●バンガール・アンケート
バンガールのバルサ監督就任のウワサが大々的に流れるなか、いくつかのメディアがこの件に関してアンケートをおこなっている。エスポーツ紙がおこなったアンケートでは33%が賛成、67%の人が反対と答えている。また昨日のTV3の番組放映中におこなわれたアンケートでは34%の人が賛成、66%の人が反対と投票している。

●セルジ、昨日の夜から入院
今日の手術を控えて昨日から入院しているセルジ。2か月のリハビリを終えてマドリ戦に出場し、再び負傷箇所に痛みを覚えてしまった。もし2か月前に手術を決意していればワールドカップの出場もじゅうぶんあり得たセルジだが、今は来シーズンに間に合うようにするのが一番の希望だという。
「長いことフットボール選手をしていればこういうこともあるさ。運の悪さを嘆いてもしょうがない。確かにこの2か月のリハビリがあまり役に立たなかったのは悔しい。ドクターたちを責めるのはお門違いではあるし、まあしょうがないとするしかないだろう。今の目標は来シーズンのプレステージに間に合うように準備を整えること。俺にとって一番大事なのは、バルサをどれだけ助けることができるかどうかということさ。だからワールドカップのことはもういい。来シーズン、とにかく試合にでてクラブを助ける活躍ができればいいんだ。」

●ココ、バルサ残留の可能性大
バルサコーチ陣はもとよりクラブ首脳陣もココの活躍の満足しているようだ。昨日の午前中おこなわれたココの代理人であり同時に父でもあるニノ・ココとの交渉で、バルサスポーツ・ディレクターのパレイラがココの来シーズン残留を希望している旨を告げている。ココの完全買い取りの最終期限は今月の31日。それまでに26億ペセタをミランに支払わなければならない。もしこの手続きが完了するとなると、ココは2007年までバルサの選手となる。

●オーベルマルス、シーズン終了後手術へ
この19日におこなわれるオランダ代表とアメリカ代表の親善試合に、バルサからはオーベルマルスだけが呼ばれていない。それはバルサの最終戦となるサラゴサとの試合が終了次第、古傷である右ヒザの手術をするためだ。今年の3月31日におこなわれたラス・パルマス戦以来、オーベルマルスの右ヒザは完全な状態ではないようだ。ワールドカップの影響でシーズンオフが長いこともあり、この季節を利用してこれまでのヒザの問題を手術によって一挙に解決することを選んだオーベルマルス。来シーズンにむけたプレステージには完全な状態で参加できる見込み。

●ビクトール・フェルナンデスとフアンデ・ラモス
ビクトール・フェルナンデスが昨日の練習前にほぼ「お別れの挨拶」をしたことにより、彼のセルタ残留の可能性はほとんどなくなってきている。そしてビーゴで伝えられる彼の後任候補はベティス監督のフアンデ・ラモス。彼の代理人であるカルバハールはその可能性について質問され、セルタに行くかどうかは別としてベティスに残る可能性はほとんどないと答えている。また一部のメディアが伝えるところによれば、ビクトール・フェルナンデスはレアル・ソシエダーの新監督になる可能性が強いと言われる。