5月8日




6人の放出選手

2年契約・年俸420万ユーロという条件で、来シーズンからバルサの監督になるルイス・バン・ガール。彼は今オランダにいながら、着々と来シーズンのバルサの構想を練っている。すでにガスパーのもとには「放出選手リスト」と「補強選手リスト」がわたされている。その放出リストには6人の名前が上がっている。リバルド、クライハート、セルジ、アベラルド、ドゥトゥエル、そしてアルフォンソ。

半ダースに及ぶこの放出選手候補の他に、レイジンハーはすでにマンチェスターへの移籍がほぼ決まっている。したがって実際には7人の放出選手となる。その中でも目玉選手となるのは何と言ってもリバルドとクライハートだろう。バンガールが望む4人の補強選手獲得のためには、現在在籍している誰かを売りに出さなければ経済的に不可能なことから、ガスパーとバンガールの交渉の中でお互いに歩み寄って「放出選手候補」となったこの二人。特にクライハートは現在の移籍選手市場においては、買い手に困らない選手でもある。彼の移籍料は3500万ユーロとされており、多くのプレミアリーグのクラブが興味を示している。セルジとアベラルドの放出は年齢的なものに加え、バンガールと関係が良くないところからきている。またアルフォンソはバンガールにとってまったく興味のない選手であるし、ドゥトゥエルにしても同じ。

バンガールは今のところ契約書類にはサインしていないが、ガスパー個人との口約束は済ましている。そしてUEFA カップ決勝戦観戦のためにオランダに滞在しているものの、すでに来シーズンのバルサの構築に向けてフルタイムで動き出している。来週中に正式発表されることになるであろう監督就任を前にして、彼は放出選手とは別に4人の補強選手の獲得についても動いているようだ。4つのラインにそれぞれ一人ずつの補強、つまりキーパー、ディフェンス、中盤、フォワード。そして彼はチェルシーに在籍しているハッセルバインの獲得を狙っているともいわれる。いずれにしてもワールドカップ終了後に最終的な補強選手の獲得を決定したいというのが彼のアイデア。ワールドカップでどのようなプレーをするのか見てから最終的な決定をするといわれている。いずれにしてもバンガールはやる気満々のようだ。もう親しい人物にはタイトル獲得の可能性まで示しているという。

■リバルド
99−00のシーズンが終了した段階ですでにバンガールはリバルドの放出を決めている。だが皮肉にもこのシーズン終了後バルサを出ていくハメになったのはバンガール自身だった。したがってバンガールの復帰により、リバルドが放出対象選手になっても何の不思議でもない。バンガールとリバルドが共有した3年間のバルサ生活は、常に衝突の歴史でもあった。リバルドは左ウイングという彼には納得できないポジションに置かれ続けたことにより、何回もバンガールに対し不満を述べている。そして今、バンガールにとってそのポジションにはオーベルマルスがいる。リバルドの存在価値はバンガールにとって、移籍によって得られるユーロとしての価値だけである。

■クライハート
クラブ側の要請を受けてバンガールが移籍OKとした選手。バンガールとしては残留させてもよい選手の一人だが、希望する4人の補強選手獲得のためにはクライハートを放出するのも仕方がないという結論をだした。彼は多くのクラブが狙っている選手でもあり、彼の移籍によって得られる3500万ユーロにより、補強選手の支払が可能になるということだ。

■アベラルド
長い負傷生活から戻ってきたアベラルドは、復帰後の試合で来シーズン以降もバルサに残留するのを可能にするような活躍を見せている。ガスパー会長も最低1年の延長契約を約束したものの、バンガールの出現によって無効になる可能性が大だ。

■セルジ
クライフ時代の唯一の生き残り選手であるセルジに、バンガール政権のもとでは未来はない。前回のバンガール政権時代もそうであったように、彼とセルジはうまくいかなかった。セルジの他の選手たちに与える影響力をバンガールは恐れているのだ。アモールが、セラーデスが、チャッピが、そして多くのクライフ時代の選手が放出されたように、セルジも来シーズンはバルサにいないだろう。

■アルフォンソ、ドゥトゥエル
バンガールにとってまったく興味のない二人の選手。アルフォンソとドゥトゥエル。彼らは間違いなく移籍される。

■レイジンハー
バンガールの放出選手リストの中に彼の名前は上がっていなかった。だがクラブディレクターのファルゲールとの交渉で彼はすでにマンチェスターへの移籍が決まっていると告げられたバンガール。

■チャビ
バンガールの「まるで自分の息子のような」カンテラ出身選手は3人いる。チャビとガブリとプジョーだ。その中でもチャビは彼にとって特別な選手。来シーズン構想の中で中心の選手となるのは間違いなくチャビだろう。

■ルイス・エンリケ
バンガールが提出した「放出選手リスト」は実は6人ではなく7人であった。7人目の選手はルイス・エンリケ。だがクラブ側の強い反対にあって彼の名前は削除されている。したがってルイス・エンリケの放出はない。ないが彼にとって厳しいシーズンになることは間違いないところだろう。


揺れに揺れるバルセロニズモ
 賛成37%・反対63%

10万ソシオはもちろん、多くのバルセロニスタやクラブ首脳陣内部までも含んでのはっきりとした分裂。それが昨日からのバンガール現象だ。ガスパー個人のこの賭けは、予想されたようにバルセロニズモ内に大きな地震を生み出している。

■賛成派
バンガールの復帰を賛成とする37%の人々。それは彼が3年間のバルサ監督という期間において2回のリーグタイトルを獲得したこと、そして誰よりもバルサ内部に詳しい人物であること、選手たちを厳しく統制する能力があることなどをあげている。

■反対派
一方彼の監督就任に反対する63%のバルセロニスタ。彼らの言い分もはっきりしている。バンガールの監督生活3年間で示されたように、彼はまったくと言っていいほどバルセロニスタとのコネクションがなかったこと。またそれだけではなく、彼の就任によってバルセロニスタ内に大きな分裂を生む可能性があること。

■バルサ首脳陣
ガスパーの決意は固い。それは多くのバルサ首脳陣がすでに確認していることでもある。エスパニョール戦が終了した段階で、すべてのバルサ役員がガスパーの決意を知ることになる。緊急会議として招集されたこの会合でガスパーはすべての役員を前にして、二つの要請をしている。

一つ。クラブ最高責任者である会長としての固い決意のもとにバンガール監督就任を決めたこと。したがってもう後戻りすることはできないこと。
二つ。したがってクラブ首脳陣内部での抗争をできる限り避けるようにすること。個人的な意見としての発言をしないことなどだ。

実際、クラブ首脳陣内部もはっきりと二つに別れてしまっている。ガスパー会長に近い部分は彼の決断を支持しているのは当然だとしても、何人かいる副会長たちの意見もバラバラの状態だ。ガスパーの判断を誤りだとする部分の首脳陣は、クーマン獲得に向けて動き出しているともいわれる。だがガスパーは反対勢力の動きを知りながらも、彼の決断を曲げようとはしない。どうしてもタイトルが必要となる彼の会長就任3年目となる来年、大きな冒険は避けたいと考えている。それがビクトール・フェルナンデスやビアンキの監督就任が否定された原因だ。そしてクーマンもまだ早いと考えるガスパー。だが彼の決意がどのように固くとも、首脳陣内部が割れることは避けようのない事実となるつつある。



すでにバンガール次第

ガスパー・バンガール間の合意はすでに済まされている。だがオランダにいるバンガールは大きな希望を感じているものの、無条件でこの監督就任要請を受けるわけにはいかないようだ。彼を含めて彼の周りにいる人たちも、バルサへの復帰に一抹の不安を抱いているといわれる。その不安の元とのなっているのは、バルセロニスタが彼をどのように迎え入れるかということだ。

ガスパーの要請を両手を広げて歓迎してみたものの、彼にも問題がまったくないわけではない。何人かの放出選手や補強選手などという問題が可能かどうかということ以上に、彼がもっとも心配していること、それは彼をどのようにバルセロニスタが迎え入れるかということだ。彼はバルセロナに敵が多いことをこれまでの経験からじゅうぶんに認識している。したがってガスパーとの合意に関しいてもいくつかの条件を出している。

その中でも特筆すべきことは、クラブ首脳陣総体の意見の一致とバルセロニスタによる好意的な受け入れ態勢を作り上げること。この条件はバンガールにとって絶対譲れないものだ。ガスパーはこの要請に対し、できる限りのことをすると答えているものの、現在のバルセロニスタの分裂状態は止めようもなく動き始めてしまっている。もちろんそれを知っているバンガール。彼の新たなカンプノウでの冒険の可能性を邪魔するものがあるとすれば、唯一この分裂状況によるものだ。

■バンガールの要請1
いい雰囲気での受け入れ態勢。それはクラブ首脳陣内部からカタルーニャメディア、バルセロニスタも含んだ「バルサ総体」での彼の受け入れ体制をスムーズに運ぶようにしなければならない。

■バンガールの要請2
一部のチームはもちろん、バルサBのような下部カテゴリーも含んだすべての権力掌握。

■バンガールの要請3
クラブの経済状態を理解した上で、経済的に無理な補強は要求しない。だが少しでもその問題を解消するために、放出選手の販売はおこなわなければならない。

■バンガールの要請4
すべての放出選手、補強選手の決定は彼が一存でおこなうもので、スポーツディレクターはこの問題には口を出さないこと。


クーマンに接触する反対派

バンガールの監督就任アイデアはガスパー個人のものであり、彼だけの疑いのない事実となっている。だが何人かのクラブ副会長をはじめ、多くのクラブ首脳陣がガスパーのアイデアに反対の意見を提出している。その反対派が具体的な構想の一環としてクーマンの監督就任案を出してきている。そしてもしバンガールが監督に就任した場合は辞任をほのめかす役員もでてきている。

それはエスパーニョ戦の後にガスパーがバンガール監督就任案を役員を前にして報告した翌日だった。つまり日曜日、何人かの副会長と役員が集まりガスパーに一つの提案をしている。バルセロニスタが真っ二つに割れる可能性のあるバンガール獲得は危険な賭けであり、バルサを取り巻く状況が決して良い方向には向かない。そして彼らの提案した監督候補はクーマンだった。

彼らにしても、そしてガスパーにしてもクーマンの獲得は非常に難しいことだということを知っている。クーマンはアヤックスとの契約がまだ2年も残っている上、最近のコメントでもその契約期間をまっとうしたい旨を告げている。しかしながらそのコメントの中で、もしバルサが私を必要とするならばそれはクラブと話し合うべきだというニュアンスのことも付け加えている。そして彼と契約をしたアヤックスの会長は今シーズン限りで引退することになっている。したがって彼との契約期間は見直される可能性も存在するようだ。

ガスパー反対派にとって、クーマンはすでに経験的にもじゅうぶんバルサでやっていける人物であるという見解。だがガスパーにとっては、いまだに将来的な監督候補というカテゴリーを越えていない。だがクーマンはバンガールと違い、多くのバルセロニスタの支持を受けることは間違いないことも知っている。いずれにしてもガスパーと反対派の抗争は始まったばかりだ。


●カタルーニャカップ獲得も失敗
今シーズンのバルサの悪夢シリーズは、テラッサでのカタルーニャカップ決勝戦の敗北を生み出した。始め悪ければ終わりも悪しを地でいくようなバルサの今シーズン。この悪夢が土曜日のサラゴサ戦まで続かないことを祈るバルセロニスタ。控え選手とはいえ、ほぼ一軍のメンバーでスタートしたバルサはチャビのフリーキックで先制点を獲得する。だが今シーズンに度々見られたように、後半には入りもう一つの顔を見せるバルサ。ディフェンスをひいた形となったバルサは予想通りテラッサの反撃を受け、1点を入れられる。PK戦となったこの試合、バルサはカタルーニャカップをも失う結果となった。

●アンデルソン、ダニの復帰
カタルーニャカップでの唯一の明るい材料は、アンデルソンとダニの完全復帰だ。3か月ぶりにグランドに戻ってきたアンデルソンはスタメンで出場し、90分間なんの問題もなくプレーした。そしてダニもスタメンで出場し、途中交代するまで他の選手のリズムに劣ることなく活躍した。

●ラメと基本的合意
フランス人キーパーであるラメの代理人であるカンポーロが昨日カンプノウの事務所へ。ラメは29才のジロンディンスのキーパーで、フランス代表での控え選手でもある。彼の獲得に向けた基本的な部分での合意は昨日の折衝ですでに達している。だがいまのところ最終的な書類へのサインはされていない。

●おめでとうガッツ! 32才の誕生日
ルイス・エンリケ・マルティネス・ガルシア、1970年5月8日ヒホンで生まれた彼は1996年にバルサに移籍してきた。そして今日、彼にとって特別な日となる。32才を迎える誕生日だ。今シーズンだけではなく、これまですべてのバルセロニスタに示してきた彼のファイトあるプレーを、来年も見られることを期待して彼の誕生日を祝おう。例えバンガールという、彼にとって悪魔のような存在が近づこうと。
おめでとうガッツ、ガッツ、ガッツ!!!