5月9日




コロッチーニ、ボムメル

バルサ首脳陣はすでに全力をあげて来シーズンの補強選手獲得に向けて動いている。そしてこれまで密かに交渉していた補強候補選手たちのなかで最後のつめを迎えている何人かの選手がいる。そのすでに最後の獲得段階に来ているのがコロッチーニとボムメルだ。

来シーズンの監督が誰になるにせよ、もしその監督が反対しない限り2002−2003シーズンの最初の補強選手は次の二人となる。ミラン所属でアラベスにレンタルされているコロッチーニ、そしてもう一人はボムメル。来週にも正式発表されるであろうバンガールが予定通り監督に就任した場合、まずこの二人の獲得は間違いないと言って良いだろう。

■コロッチーニ
彼の獲得はほぼ既成の事実と言っていい。彼の獲得に必要な最初の1600万ユーロの支払いがミランにおこなわれるのは時間の問題だ。早ければ来週月曜日には正式発表される可能性もある。ミランが当初考えていたプランはAt.マドリへのレンタル移籍だった。そのレンタル移籍にハビ・モレーノとコントラを組み合わせてのものだったが、コロッチーニはこのレンタル移籍を拒否している。そして彼に唯一、完全移籍という形でオファーを出してきたのがバルサ。サビオラのいるバルサだった。

コロッチーニの獲得は非常に興味深いものだ。まず彼はヨーロッパパスポートを持っている選手。しかもまだ20才の選手である。セントラールとしてのポジションはもちろん、ディフェンスの前でのプレーも可能。そして彼の年俸も決して高くはない。彼の移籍が実現間近な今、ココのミランへの復帰が高まっている。

■ボムメル
バンガールが決して嫌だとは言わないであろうもう一人の選手、それはPSV所属のボムメル。ボムメルはこの6月でクラブとの契約が切れる選手だ。ヨーロッパ中のクラブが彼の獲得を狙っていると言われるが(その中にレアル・マドリも入っていると言われる)、バルサが他のクラブを大きく引き離して彼の獲得に近づいている。

今年25才になったばかりのボムメルは、バンガール好みのであることは間違いない。彼をオランダ代表でデビューさせたのはバンガールなのだから。ポジション的には右のインサイドを得意とする。つまりルイス・エンリケ、ロッケンバック、ガブリなどとの競争があり得るポジションだ。


クライフ獲得に失敗していたガスパー

バンガールが来シーズンの監督になることはほぼ間違いない。彼がバルセロナに戻ってくる来週の木曜日までによほどの変化がない限り彼の監督就任は決まったも同然だ。だが彼へのオファーの前に、ガスパーは副会長を使者としてクライフに近づき、クライフのスポーツディレクターとしての獲得を狙っていた。だが、それは失敗に終わってしまった。

多くのバルセロニスタの夢であるクライフのバルサへの復帰。監督としては健康問題から無理なのは仕方がないとして、ディレクターとしての復帰はじゅうぶんあり得る話だ。ガスパーが彼に接触するために送り込んだ使者は副会長のマスフロール。現ガスパー政権の中において、いまだにクライフと親交を持っている数少ない人物の一人だ。

マスフロールがガスパー会長の要請として伝えたことはスポーツ部門における副会長としての要職につくこと。つまりバイエルンにおけるルンメニゲと同じようなスタイルの職だ。クラブのスポーツ部門でのすべての実権を掌握し、彼のアイデアのもとにスポーツ部門を構成していくというもの。その中にはクラブ内にいる不必要と考えられる人物の放出という権限も与えられている。現ガスパー体制を考えてみれば、パレイラやレシャック、アレサンコなどはその対象となるだろう。そして新監督の選択や、その監督のもとで働く人材についての選択も彼に一存している。

これらの提案を聞いたうえでのクライフの答えはノーだった。なぜならクライフにとってバルサに戻る第一歩は、ガスパー発言問題が解決されることから始められるからだ。クライフがバルサを追われたときにヌニェス会長や副会長のガスパーがおこなった記者会見でのクライフ個人に対する誹謗中傷の発言を撤回しない限り、彼のバルサへの復帰はあり得ないということを再び明らかにした。

クライフのバルサ復帰はもう少し待たなければならない。クーマンがバルサの監督にいつかはなるように、クライフのバルサ復帰も間違いなく将来起こり得ることだ。だが我々はもう少し待たなければならない。


フィーゴ、バルサを攻撃!

「俺がマドリに来た理由は簡単に説明できる。より格式のあるクラブへ、より選手の扱いのいいクラブへ、よりタイトルが獲得できる可能性のあるクラブへ、そして経済的により待遇のいいクラブへ、この4つがマドリに来た理由さ」
マドリへ移籍してから2年もたっている今、なぜか突然のように移籍した理由を説明し始めたルイス・フィーゴ。いったい何を言いたかったのだろうか、このペセテーロは。

ルイス・フィーゴは過去のバルサ時代のことはいっさい覚えていないかのように、今再びバルサ攻撃を始めようとしている。今シーズン、カンプノウでの試合には一試合も出場しなかったフィーゴ。負傷を装い、イエローカードを探しまくり、あらゆる手段を駆使してでもカンプノウに戻ることを恐れたこのポルトガル人。そして今、マドリディスタに受けのいい一番の方法、つまりバルサ攻撃をし始めた。

ここ何試合かベルナベウでの試合を見た人ならすでに気が付いているだろう。試合ごとにフィーゴに対するブーイングの数が多くなっていることを。それは今に始まったことではない。今シーズン開始当初から徐々に増えてきているベルナベウでの風景の一だ。昨年はバルサから来たことにより、多くのマドリディスタの無条件の歓迎があったが、今年に入ってからのフィーゴに対する批判は試合中にも見られるようになってきている。

負傷から完全に立ち直っていないということもありながら、ここ何試合か惨めなプレーが続いているフィーゴにとってベルナベウでのブーイングは心に突き刺さるものがあるのだろう。どこのスタジアムに出向いても、どこの街に行っても、一番の批判対象となっているフィーゴにとって地元での批判はやりきれないものがある。そんな彼にとって、マドリディスタが一番喜ぶバルサ批判は、グランドで良いプレーをするより効率的なものと写ったのであろう。かつて最優秀選手などとおだてられたこのフィーゴ、どこまで落ち続けるのか我々はしっかりと見届けることにしよう。



プロジェクト2002−2003

マーク・バン・ボムメル、PSVの大黒柱であり今シーズンのオランダリーグで最も活躍した選手、彼が来シーズンに向けての最初の移籍選手としてリストアップされている。もし最終的にバンガールがバルサベンチに座ることになるとすれば、ボムメルは来シーズンからバルサのユニフォームを着ることになる。

バルサのテクニカル・スタッフによって進められている来シーズンのニューバルサ構想。レシャックとパレーラを筆頭とするこのテクニカル・スタッフが考えているのは5人の補強。つまりキーパー、セントラール、左サイドバック、メディオセントロ、そしてデランテロセントロ。

■キーパー
まずキーパーに関しては契約間近と言われるラメ、そしてロベルト・エンカ(ベンフィカ)の名前が上がっている。

■セントラール
このポジションに関しての補強は難しい。コロッチーニが第一候補にあがっているものの最終的な決断はされていない。カンナバーロネスタの獲得は経済的に無理な話。

■左サイドバック
バルサに残るかと思われたココはミランに戻る可能性が強い。ニースのエウラが獲得対象になっているとも言われる。

■メディオセントロ
ボムメルの持つテクニック、肉体的能力、強烈なキャラクター、ゴール能力、そしてなによりも24才という若さが彼の売り物だ。いくつかのプレミアリーグが狙っているともいわれるが、バルサが彼の獲得の最前線に位置している。そしてベロン獲得のウワサがあったものの、マンチェスターは出すことはないだろう。またダークホース的な存在としてレバクーゼンのゼ・ロベルトも獲得候補の一人となっている。

■デランテロセントロ
最も難しく、だが必要に迫られているポジション。バルサディレクターのファルゲールのよって進められていたクレスポの獲得。これまでいくつかの形式を模索して彼の獲得を狙ってきたバルサだが、クライハートとオーベルマルスとの交換という案までだされている。一方チェルシーに在籍するハッセルバインの獲得は非常に難しいものになっている。チェルシー側が彼の移籍に反対していることにより、クライハートとの交換というのは拒否されている。


俺を売りたいなんて理解できない

クラブとしての正式な発表もないし、クラブ側の責任者が彼に話したわけでもない。だがメディアの間では移籍候補の一番となっているクライハート。もちろん無関心ではいられない彼は、今のような状況を理解できない一人だ。

新しい契約を去年済ませたばかりでまだバルサとの契約期間が残っているクライハート。今シーズンはバルサの選手の中で最高の得点をあげている選手だ。その彼がメディアの中で移籍候補第一番にあがっている。好むと好まざるとその手のニュースは当然彼の耳にも届いてくる。だがそんなニュースがまったく理解できないと言うクライハート。
「クラブが俺を売ろうとしているというニュースはもちろん知っている。だがそれはメディアを通して知ったというだけでクラブの誰かが俺に言ってきたわけではないよ。いいかい、俺は今シーズン、チームの中で最も多くの得点をあげている選手だよ。何でそんな選手を売らなければならないんだ。俺は2006年まで契約が残っているし、もちろんバルサが気に入っている。だれが何と言おうと俺は動かないよ。」

彼の意思は固いようだ。バルサを出ていかなければならない理由などまったくないと思っている。余程の事情がない限りバルサを出ていかないと決意するクライハート。
「当人の俺が動かないと言っているんだから、クラブはなにもできないはずだ。なぜなら俺はまだ契約中の選手だからね。もし俺を出したいんなら俺の同意なくしてクラブは出せない。もしメディアの言っているように本当にクラブが出したいというのが前提の話だけれど。でもそんなことは信じられないな。俺がバルサに残るといっているんだから、これでこの話は終わりだよ。」