5月12日



ZARAGOZA- FC.BARCELONA

1 - 1


     

忘れ去られるシーズンの終焉

悪夢のようなシーズンが終了した。せめてもの慰めは昨シーズンと同じように最終戦でチャンピオンズへの参加権を得ることに失敗しなかったことだ。バルサとして最低の義務であるチャンピオンズへの参加は、退屈で平凡な試合でありながらもどうにか達成することができた。レシャックにとって最後の試合であり、同時にバンガールが主役となる新たな週が訪れてくる。もう、来シーズンへの準備は始まっている。

■サヨナラ、レシャック
レシャックにとって最後の試合となったサラゴサ戦。来シーズンもバルサベンチに座る可能性は現在の状況から考えて1%もない。そのレシャックの最後の記者会見が(シーズン中の最後の記者会見が)試合後におこなわれた。そこでレシャックは最後まで我々を驚かすような発言をしている。今シーズン総体を振り返ってみれば、だいたいおいて満足していると言うのだ。タイトルが一つもとれなかった今シーズンが終了した段階で、それでもなお「満足」していると言う。その理由は「選手間の雰囲気は決して悪くなかった」こと、そして「選手たちは常に監督と一緒」だったことをあげている。しかし我々が理解するところによれば、監督の仕事は結果を出すことであり、タイトルをとることではないのか。少なくとも選手たちが満足するために監督への高い年俸を払っているわけではない。

新加入選手に関しても非常に満足しているというレシャックだ。ボナノ、ココ、アンデルソン、クリスタンバール、彼らはワールドカップに参加しようとしている。ジェオバンニ、ロッケンバックはアンダー21代表だとも言う。サビオラは1年目にしては最高の活躍を見せてくれたと言う。もし彼がそう言うのであれば、なにゆえ彼らをもっと有効に利用しなかったのか聞いてみたい。なにゆえサビオラはアウエーでプレーしなかったことが多かったのか、その理由を聞いてみたい。

さらにレシャックは今シーズンを通して常にあったプレッシャーにも触れ、昨日の最後の試合にしてもそれから自由になれることはなかったと嘆いている。40年間にわたりバルサにいた人物が言うことではない。誰よりもバルサというクラブに存在するプレッシャーを経験している人物ではないか。こういうプレッシャーに耐え、それでも何らかの結果を出すために、多くの選手に対し高額な年俸が払われていることを忘れてはならない。バルサにプレッシャーのなかったシーズンなど今まで存在しなかったことを誰よりも知っているレシャックが言うことではない。まして最終戦の前に「放出選手」や「補強選手」のリストがメディアに流れたことを理由にメディアを攻撃するのは的を得ていない。これらのリストは我々が発明したものではなく、すでに多くの選手代理人の机の上に置かれているものであり、ヨーロッパの多くのクラブオフィスですでに検討の段階に入っているものだ。

もうこのへんで良いだろう。昨日はレシャックにとって最後の日なのだから。バルセロニスタとしてのレシャックにすべての幸運が訪れることを祈って、レシャックのシーズンにアディオスを告げよう。

■コンニチワ、バンガール
バルサの将来がスタートしようとしている。それも非常に危険なスタートを切ろうととしている。ガスパーが選んだ人物はバンガールだった。多くのクラブ首脳陣が、そう決して中途半端ではない多くのクラブ首脳陣が反対しているにも関わらず、ガスパーは危険な賭けにでようとしている。いまだにバルセロニスタの心の中に深い傷跡を残したまま、その傷を作った人物が戻ってくる。これを危険と言わずに何と表現すれば良いのだろうか。

まったくの寂しいシーズンが終了し今こそバルサの再構築がなされなければいけないこの時期、もっとも必要なものはバルセロニズムが一つに結集し団結して将来を考えていくことだろう。だがバンガールの復帰は見事にバルセロニズムを二つに分解してしまった。バンガールの手腕が良いか悪いかという以前の問題として、彼の存在がバルサを取り巻く環境を見事に二分することが問題なのだ。それはクラブ首脳陣を、選手たちを、プレスを、そしてバルセロニスタを真っ二つに分解している。それは各メディアがおこなっているアンケート一つとってみても明らかだ。バルセロニズムの分裂はすでに事実となってしまっている。それでもガスパーは自分の考えを押し通そうとするのか。それでもバンガールは監督要請を引き受けようとするのか。多くのバルセロニスタが「ノー」と言っているこの現実を無視してまで、第二次バンガール政権を作ろうとするのか。

いま、スキャンダラスな1週間が始まろうとしている。


そしてバルサもチャンピオンズへ!

昨日のサラゴサ戦での1ポイントの獲得により、バルサのチャンピオンズへの参加が決まった。バルサは最後の最後までこの参加権獲得が決まらなかったヨーロッパビッグチームの一つだった。

チャンピオンズへの参加が決まったといっても、昨年のように予備選を通らなければいけないバルサだ。最終的に32チームが選ばれリーグ戦をおこなうことになるチャンピオンズリーグだが、そのリーグ戦に出場するための予備選がバルサに待っている。だがそれはバルサだけではない。マンチェスター、バイエルン、ミラン、インテル、そしてもしチャンピオンズ決勝に敗れることになればマドリも予備選に参加しなければならない。多くのビッグチームが予備選をおこなわなければならない。彼らが参加する予備選は初戦が8月13日(14日)、第二戦が27日(28日)におこなわれる。

これらのチーム同士が予備選で当たることはない。フェイノルドニューキャッスルスポルティング・リスボアもシードクラブとなるので彼らとも当たることはない。したがって予備選でバルサが当たる可能性を秘めたクラブは、ボアビスタブルッハザグレブバルソビアグラスゴーディナモなど。いずれにしても7月26日の抽選を待たなければならない。この日にバルサが予備選当たるでクラブが明らかになる。そして8月29日に9月17日から開始される最初のリーグ戦の抽選がおこなわれる。


気絶したアベラルド

アベラルドにとっては誰よりの緊張した試合だったに違いない。試合が始まる前からその兆候は見られた。グランドに11人のバルサの選手が登場し各ポジションに散っていく。だがアベラルドは親友のルイス・エンリケに近寄りまるで最後の別れかのように挨拶をする。固く抱き合ったまましばらく動かない二人だった。そして試合終了後、いつもは記者連中と冗談を交わしインタビューに応じる彼は逃げるようにして控え室に走り去っていった。この試合がバルサの選手として最後になるだろう彼にとって、緊張感は試合が終わった後も続いていたのだ。

そして控え室に到着しベンチに座りながら顔をタオルで覆うアベラルド。その彼が突然気を失う。控え室で着替えをしていた同僚たちがドクター・プルーナを呼びに行くと共に、アベラルドを介抱しようとする仲間たち。緊張の空気が流れる中、アベラルドは気を失ったままだ。

しばらくして意識を取り戻した彼を検診したドクター・プルーナは、精密検査をするために他の選手たちとは別に車でバルセロナへ向かうことを勧める。時間の経過と共に意識がはっきりし平常に戻ってきたアベラルドだが、用心のために彼だけ一足先にバルセロナへと向かった。

バンガールの監督就任と共に、彼の来シーズンは非常に難しいものになっている。バンガール監督就任がウワサされる前にはガスパーが1年の延長契約を提案したものの、今ではその交渉も中断されたままだ。昨日の試合がバルサ選手として最後となるかも知れないアベラルドは、親友のルイス・エンリケとのコンビも最後となる。だが彼らには約束した一つのことがある。それは現役として最後のシーズンは出身クラブであるスポルティング・ヒホンに戻り、一緒に最後のシーズンをプレーしようというもの。バンガールの復帰をきっかけとして、この瞬間が徐々に彼らに近づいて来ている。


●コクー
バンガール監督就任ウワサに関してあまり多くのことを語りたがらないコクー。これまで多くの監督候補の名前がメディアに登場してきているが、誰が来てもうまくいくだろうとコメントする。
「バンガールとはもう一緒に仕事をしたことがあるし、お互い理解しているから問題はないだろう。でも誰が次の監督になるかということにはあまり興味がない。これまでメディアが発表してきた監督候補は、素晴らしい人ばかりだし誰が来てもうまくいくと思うよ。いずれにしても来週にはわかることだし、個人的には誰が監督になろうと僕の契約期限までは少なくともバルサでプレーするわけだし・・・。いずれにしてもバルサで引退できればそれに越したことはない。」

●ボナノ
アルゼンチンからやって来て最初のシーズンが終了したボナノ。たった1年間だけの経験であるにも関わらず、バルサがいかに難しいチームかということを実感したという。多くのメディアからのプレッシャー、緊張感が途切れることのないかった一シーズン。そしてシーズン中であるにも関わらず、放出選手や補強選手、そして新しい監督のウワサ。彼にとってビックリすることの多い1年間だったようだ。
「クラブとしてのプロジェクトがはっきりしていいること。選手たちが一つになって団結すること。こういうことがプレッシャーに勝っていくのに必要なことだと思う。このクラブは一日として冷静に落ちついていられることのないところだからね。いつも何らかの批判やウワサが駆けめぐっている。だから選手たちはそういうことに惑わされず、団結していかなくては。もうすでに各ポジションの補強について語られているけれど、まあそれはバルサみたいなビッグチームだったらしょうがないことなのだろう。」

●クライハート
後半20分で交代させられたクラハートは怒り狂っていた。移籍のウワサなんか気にしていないと言う彼にとって、この試合がバルサの選手としての最終戦とは思っていないものの、最後までプレーしたかったと興奮して語る。
「途中で代えられるのは嫌いだ。気分が悪くなる。でも監督がそう決めたのならしょうがない。移籍話しが精神的に影響を及ぼしていることなんてないさ。オレは若いけれどそういう経験はじゅうぶん積んでいる。ましてクラブからは何も言ってきていないし。」

●ロッケンバック
バンガールの監督就任と共に、来シーズンからの立場が怪しくなってきている選手の一人がロッケンバック。どこかへのレンタルや完全移籍の可能性もメディアに流れている。だがそんなことは気にしないロッケンバック。
「そんなことは知らんけんね。おいの契約は5年間ばってん、関係なかとね。」

●プジョー
彼を1部にあげたバンガールには今でも感謝しているプジョー。今シーズンは個人的には満足できるものではあったものの、チームの成功の方を望むと語る。
「もちろん個人的には非常に満足できるシーズンだった。でもそんなことより何のタイトルもとれなかったことのショックの方が大きい。サラゴサ戦は我々の最後の意地を見せる試合だった。タイトルもなし、チャンピオンズへの参加もなし、それじゃあ寂し過ぎるからね。バンガールの復帰はどういうことかよくわからないけれど、個人的には彼に感謝している。」