5月13日




第二次バンガール政権誕生!

ガスパーの意志は岩のように固い。3年目を迎えるバルサの会長ジョアン・ガスパーは、第二次バンガール政権の誕生を決めた。失敗に終わったセラ・フェレール、レシャックの2年を総括し、新たなバルサの誕生をバンガールのもとに委ねる。

もちろんガスパーはこの第二次バンガール政権のもつ危険性をじゅうぶんに認識している。バルセロニズムが真っ二つに割れている現状を考えれば、それは当然のことだろう。だがこの決断は、一日や二日で生まれたものでもない。彼の信頼する人物たちとの綿密な計画を通して、すべての肯定的な要素や否定的な要素を考慮した上で決定されたものだ。第二次バンガール政権のアイデアは、カッペーロが彼にローマとの延長契約を知らせてきた日に生まれたものである。それ以来、ガスパーとバンガールは何回かにわたり電話による話し合いを持っている。そしてそれが現実化されることになる「Xデー」、それが今日だ。

■昨日(5月12日)
昨日は日曜日でありながら、ガスパーを中心とするクラブ首脳陣にとって休日とはならなかった。午後にガスパーの自宅に集まった4人の中心的副会長たち、つまりジョアン・カステール、アンヘル・フェルナンデス、フランセスク・クロッサ、そしてガブリエル・マスフロール。この4人の副会長に第二次バンガール政権の重要性を強調するガスパー。昼食を取りながら始まったこの会合は夜中の2時まで続けられた。この間、何回かにわたるバンガールとの電話のやりとりもおこなわれ、最終的な契約書類の作成に時間がけられる。

■今日(5月13日)
今日はバルサの弁護士たちが集まってバンガールとの契約書類の細かいところを検討しなくてはならない日となっている。おそらく午後いっぱいですべての検討がなされ、ファックスによってオランダに滞在中のバンガールの元へ契約書類が送られることになる。もう、今日の段階に入って、第二次バンガール政権の誕生は100%の可能性となっている。クラブ首脳陣による正式な発表は今日おこなわれる可能性もある。いずれにしてもバンガールの来シーズンからの監督就任正式記者会見は金曜日におこなわれることになる。一方ガスパーはカナル33の夜の番組「エントルノ」に出席し、この番組内でバンガールの監督就任を公表することになるだろう。

■バンガール
今日にも正式発表される第二次バンガール政権の誕生だが、彼がバルセロナにやって来るのは木曜日16日と見られている。そして翌日の17日に記者会見を召集し、第二次バンガール政権のスタートとなる。いまだに未解決なのは彼の右腕となるコーチだ。彼の信頼するオランダ人コーチを連れてくるのか、あるいはバルサの元選手を選ぶのか、それはまだ決定されていない事項の一つ。17日、金曜日、バンガールとジャーナリストのスペクタクルな再会がおこなわれる。


ニューバルサ

■補強選手
二人のアルゼンチン選手、エルナン・クレスポベロンがバルサにとってもっとも興味ある、しかも緊急に獲得を狙っている選手と言われている。4つのラインにそれぞれ一人ずつの大型補強を狙うバルサにとってこの二人は外せない存在だ。フランス人キーパーであるラメとの交渉はすでの大詰めに入っている。若きアルゼンチディフェンスのコロッチーニも、彼がバルサに来たいという願望がその加入の可能性を大きくしている。そして中盤を補強する選手でバンガールが狙うのはやはりオランダ人選手であるバン・ボムメル。今シーズンのオランダリーグで最優秀選手として選ばれた彼に的がしぼられている。

■放出選手
クライハートリバルドのバルサにおけるサイクルは、すでに今シーズンをもって終了を告げられているようだ。クラブの経済的問題もさることながら、バンガールにとってもリバルドはもちろんクライハートにしてもそれほど必要な選手とは考えられていない。だが問題がまったくないわけではもちろんない。リバルド、クライハートともバルサを出ていくことを拒否しているからだ。契約期間がまだ残っている彼らにとって、それは強い武器となるのは間違いない。そして彼らを追うものは、ジェオバンニクリスタンバールアベラルドココドゥトゥエルアルフォンソ、そしてキャプテンのセルジだ。

■未定
バンガールにとってエストレーモはどうしても必要なポジションであり、それに適した選手が必要となる。その意味でオーベルマルスは大事な選手でありながらも、これまでの実力を出し切っていない彼に満足しているわけではない。したがってクラブにとって魅力的なオファーが届けば、バンガールとしても反対することはないようだ。またロッケンバックボナノレイナなどの選手に対する扱いも大きな疑問となっている。

■カンテラ
現在の選手の中でバンガールが一部に送り込んだ選手は3人いる。チャビガブリ、そしてプジョー。クライフが「己のカンテラ」を持っていたように、バンガールにしても新たなカンテラ選手を狙っている。すでにババンジーダは何年か前にバンガールの手によって一部で試されている。彼と共に一部に上がってくる可能性が濃厚と見られる選手、それはトラッショーラスイニエスタナバーロたちだ。


各選手の採点

■チャビ
今シーズン開始前に一つだけ確かなことがあったとすれば、それはグアルディオーラが去った時点でチャビが彼の後継者となることだった。監督がレシャックということもあり彼の全試合の出場が予想された。だが不可思議なことにレシャックにはバルサ伝統の「4番」を放棄する試合がいくつか見られた。それにも関わらず、チャビの後半の活躍は目を見張るものがある。

■プジョー
バルセロニスタが無条件で「バルサの顔」として選ぶであろうプジョー。今シーズン何回か負傷に見舞われながらも、外見上は普通にプレーし続けたことに多くのバルセロニスタは気が付いている。限りない闘争精神とバルサカラーに染まっているプジョーのハートが、来シーズンのバルサの看板とならなければならない。

■コクー
これまでの彼のイメージとしてあった中盤からの上がりによるゴールはいっさい見られないシーズンとなってしまった。だが彼が仕事をさぼっていたと見るバルセロニスタはいない。今シーズンは彼の周りの選手の穴を埋めることに専念させられたコクー。彼が出場した試合での走り回った合計キロメーターを計算すればギネスブックものになるだろう。

■クライハート
レシャックの希望により中盤でのプレーが多かったにも関わらず、チーム内最高の25ゴールを記録している。だがそれでも多くのゴールミスによってうまれる彼の印象が、その最多得点という事実を小さいものにしてしまっているのも確かなことだろう。それでもカンプノウの試合中の多くの批判にも関わらず、常に全力でプレーし続けた姿勢は評価しなければならない。

■サビオラ
多くの否定的な事実、それは初めてのヨーロッパでのシーズン、19才という若さ、クラックの卵としてのプレッシャー、そして父親の死。だが多くの予想を良い意味で裏切り、アウエーでの出場チャンスが少なかったにも関わらず多くのゴールを決めている。ブラボー、サビオラ!

■デブー
特筆すべきことが何もないシーズンとなったデブー。延長契約問題がこじれている段階でのバンガールの復帰ニュースは彼にとって明るい材料となっている。

■ボナノ
大騒ぎされることなくバルセロナの地を踏んだボナノのシーズン開始当初の活躍は、第二のヘスプの登場かと思わせるものがあった。だがレシャックの不可解なレイナの起用により、彼の出番が少なくなった。レシャックが彼への信頼を取り戻す時期は遅すぎたと言ってもいいだろう。

■ガブリ
キーパーのポジションを除いてほぼすべての場所でプレーさせられたガブリ。それは彼にとってありがたいことであると同時に不利な条件ともなった。一つのポジションに慣れる間もなく次の試合では他のポジションへ。便利屋選手におこりがちなケースの一つだ。

■クリスタンバール
彼の起用回数の多さに一番驚いているのは彼自身だろう。アベラルド、アンデルソンの負傷が彼の出場回数を多いものにした。だが彼のプレーを高く評価することは難しい作業だ。一つのミスが多くのミスを生むように、精神的に弱いところが見られる。

■ルイス・エンリケ
度重なる負傷という不幸な出来事がありながら、勝利者の精神をもち周りの選手の見本となってプレーし続けた貢献は大。彼の闘争心とバルサカラーへの愛情、そして貴重なゴールがバルセロニスタの心をつかむ。まさにチームの原動力として存在する換えのきかない「唯一」の選手

■ロッケンバック
バルセロニスタを二分して評価される選手。彼がスペクタクルな選手であることは間違いない。だが将来、どのようなスペクタクルを見せてくれるのか、それは色々と意見のわかれるところ。ブラジル人選手のようなテクニックによるそれか、あるいはぶつかり合いを信条とするドイツ人選手のそれか。

■リバルド
もちろんリバルドのシーズンではなかった。不完全な体調でシーズンを迎え、負傷しながらシーズンを過ごし、そして負傷したままでシーズンを終えた。それでもチーム内で一番シュート数が多く、一番ファールを受けた選手であることは何かを意味しているのだろう。セルタ戦での片足を引きずりながらのシュートは感動的ですらあった。

■ココ
今シーズン最後にチーム入りしたココ。セルジの控えとしてバルサに来たものの、セルジの度重なるの負傷によりスタメン回数が多かった。それなりのプレーは見せたものの、彼の来シーズンのことは誰も知らない。もちろんバンガールを除いて。

■オーベルマルス
マラドーナやシュステル、そしてロナルドやロマリオなどが在籍したバルサの歴史の中で最高額の移籍料を払って獲得した選手。これをどう評価すればいいのだろうか。エストレーモが存在しないシステムが多かった今シーズン、彼があげた得点はわずか1点。

■ジェオバンニ
右エストレーモとして鳴り物入りで登場し、シーズン開始直後はそれなりの活躍を見せた。だが思わぬ負傷と、なによりも彼の獲得の際の「コミッション問題」が彼を押しつぶしてしまった。今後の彼がどうなるかは別として、ながらく「コミッション問題選手」として記録されることになるだろう。

■モッタ
今シーズンには少なかった明るいニュースの一つがモッタの登場だろう。まだまだ荒いとはいえ左足の強烈なシュートや、若い割には強烈なキャラクターも持っているモッタ。

■セルジ
イタリアからの補強選手が来たというプレッシャーがありながらも、バルサキャプテンとして常に果敢にプレーし続けたセルジ。だが彼もまた負傷に倒れる。結局、この負傷が原因となり最後となるだろうワールドカップ代表への道も閉ざされることになった。

■ジェラール
2年続けて多くのバルセロニスタの期待を裏切ることになったジェラール。負傷で倒れることがあまりにも多すぎた。それも負傷から戻ってきて、試合に再出場してからの再負傷。2試合続けて試合にでることがほぼ不可能な状況だった。それでも多くのバルセロニスタは彼に対する期待を失ってはいない。来シーズンこそ彼の正念場となるだろう。

■レイジンハー
今シーズンが開始されると共に延長契約のサインをしたレイジンハー。だが彼を待っていたシーズンは、スーパープジョーが彼のポジションを奪うものだった。ほぼプレミア行きが決定していたレイジンハーだが、バンガールの復帰とと共に残留の可能性が強くなっている。

■アンデルソン
ヨーロッパチャンピオンとしてバルサに加入してきた彼は当然ながらディフェンスのキーポイントとなる選手だった。だがこれまで負傷したことのないアンデルソンにその負傷がやってくる。来シーズンが彼の最初のシーズンとなる。

■レイナ
多くのプレッシャーがかかるのはバルサの選手としてはしょうがないことだ。だが必要のないプレッシャーまで受けたレイナである。レシャックのボナノに対する不信感から突然スタメン出場となったレイナ。若い選手にとっては辛いシーズンとなってしまった。

■アベラルド
長い負傷生活に悩まされたアベラルドを襲ったものは、再起不能のウワサだった。だがそのまわりからの圧力も乗り越え、リハビリを終えて再出発したアベラルドはかつてのアベラルドだった。バンガールの復帰により、彼の将来は非常に暗いものになっている。だが彼がもしバルサを出ていくことになった場合、もちろんバルサの表玄関からのものにしなければならない。