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5月17日
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最初のバンガール・ショー
アムステルダムからバルセロナまでの移動で最初に予定されたのはごく普通の方法、つまり航空機を利用してのものだった。だがクラブはバンガールに車を利用しての陸路での方法を提案する。そしてバンガールが選んだ方法は・・・アムステルダムからバレンシアまで飛び、そこからタクシーを利用してのバルセロナ入りだった。 なんでこんな複雑なことをしなければならないのだろうか。バルサ首脳陣は第二次バンガール政権の開始に当たって、かつてとは違うイメージ、以前とは違うもっと透明なイメージを約束したのではなかったか。だがバンガール監督就任の記者会見がおこなわれる前から、すでに一つのミスを犯してしまった。アムステルダムから航空機を利用してくれば何の問題もなかったのだ。逃げ隠れするような来かたをする必要などなかった。バルセロナの空港に何人かの反バンガールの人たちが待ちかまえていようと、笑顔で通り過ぎれば良かっただけのことではないか。多くのプレス関係者も待機していただろう。そして質問が機関銃のように飛んできただろう。だがそれはすべて明日の記者会見でと言って済ませればよかったのだ。 バンガールは夜の8時過ぎにバレンシア空港に到着した。利用する出口は普通の旅客が使う通常出口ではなく、職員が使用する裏口から外に出る。バレンシア空港には我々を含めて4、5人のジャーナリストしかいないというのにだ。彼は裏口からこそこそと外に出る。そしてタクシーを拾い、バルセロナまでの350キロの旅にでた。自宅のシッチェスの到着したのはもう夜中。朝早くから彼の自宅を囲んでいたカメラマンたちは、仕事が終わらない限り新聞社には戻れない。疲労は隠せないものの笑顔でジャーナリストやカメラマンが囲む自宅に入るバンガール。もちろんコメントはいっさいなしだ。 まったく必要のなかったプレスとのこの「追っかけごっこ」は今日の13時に終わりを見る。バンガールの監督就任記者会見にはガスパー会長はもちろん、ガスパーの信頼する4人の副会長と共に元監督となるレシャックが出席する。多くのジャーナリスト、カメラマンが押し寄せることになるであろうこの記者会見場は、普段の場所ではなく会長用の広い会場が予定されている。 |
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まったく理解できないクライフ
クライフは現在のクラブ理事会とうまくいってはいないとはいえ、バルセロニスタのひとりであることは彼もまた認めるところである。したがって常にバルサの成功を期待するものの、今回のバンガール監督就任に関してはまったく理解できないと語る。 多くのバルセロニスタが驚いたように、彼もまた驚きを隠さない。なぜこの時期に、あれからまだ2年しかたっていないというのに、ガスパーはバンガールを選んだのか。誰もがもつ疑問を彼もまた共有する。まずバンガールに関して次のような疑問を投げかける。 そして次の獲物は元バルサ執行部を構成していたヌニェス会長とガスパー会長だ。 レシャックももちろんクライフの批判からは逃れられない。 なんにも理解できないクライフだが、バルサの成功を期待することには変わりがない。どんな状況であれバルサの成功を祈るというクライフ。だが今回のバンガール監督就任で、その成功は非常に期待薄であると言う。 |
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●コロッチーニ ミランとバルサが合意したコロッチーニの移籍問題は、今日17日夜中の12時をもって期限切れとなる。もしその時間までに何らかの形で彼の移籍料である1500万ユーロがミランに支払われないと、バルサの所有しているコロッチーニの優先権は消滅することになる。現在アラベスにレンタルされている彼は、来シーズンは完全移籍という状態を望んでいる。At. マドリも狙っているとはいえ、それは1年間のレンタル形式を要求している。したがってAt. マドリが完全移籍というスタイルをとらない限り彼の獲得は難しいものになっている。いずれにしても今日の夜中の12時には、バルサ」コロッチーニ問題は明らかとなるだろう。 ●デブー問題、いまだに未解決 ●オーベルマルス、今日手術 |
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チキート号外
「バンガール記者会見」 今日のバンガール監督就任正式発表会に参加できるジャーナリストやカメラマンに対するチェックは厳しい。事前にクラブが許可を与えたマスコミ関係者だけがバンガールの記者会見にのぞめる。大勢のマスコミ関係者が集まることが予想されるため、サビオラの入団発表式でもそうであったように、ガスパーのみが使う会長用記者会見場でおこなわれた。 予定通り13時(日本時間20時)に記者会見がスタート。左にバンガール、真ん中にガスパー、右にファルゲール。ガスパーの前に置いてある書類にサインするバンガール。これで彼が監督として正式に決定された。副会長たちやレシャックは、この3人とは別の脇にある椅子に座っている。 ガスパーの発言で記者会見がスタート。これはどううでもいいので省略。 再びバルサに戻ってくれて満足している。非常に難しいしごとであることはわかっているが、希望は常にあるものだ。すべての人に協力をを望みたい。なぜならバルサはここ3年間、何も勝利していないクラブだ。私も最後の年は何も勝ち取ることができなかった。バルサというクラブが3年間も何のタイトルもとれないということは異常なことでもある。だが他のヨーロッパのビッグクラブを見てみても、何のタイトルを獲っていないクラブもある。 ある人が言っていたが、我々は人々が言うほどそれほどいいクラブではなかったのではないか。だからすべての人々の協力を要請したい。再び勝利するバルサを作るために、すべての人の協力が必要だ。 この後記者たちにより質問が始まる。これに関しては「今日の夕刊」をここに続けて17時(日本時間24時)に発行します。 |
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5月17日 特別発行 夕刊
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バンガール監督就任記者会見
一問一答 |
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これまでのメディアによっておこなわれたアンケートでは賛成、反対が大きく別れていますが、そのことについて。
まず最初に断っておきますが、私はスペイン語を理解することはできますが、私にとっては外国語であることには変わりがないわけで、誤解を招く言葉を使う可能性があるかも知れないが、それは了承していて欲しい。 マドリは今回のチャンピオンズ優勝によりここ5年間で3回もヨーロッパチャンピオンになっている。それに比べ、バルサは100年の歴史でリーグ優勝17回、チャンピオンズ1回しか優勝していない。 確かにマドリはたくさんのタイトルを獲得している。だが問題は過去をふりかえることではなくて将来を見つめることだろう。将来のバルサが重要だ。そして何よりも重要なのは、その明るい将来を作るためにはまずチーム作りからはじめなければならない。そのためには、繰り返すことになるが、みんなの協力が必要だ。 前回のバルサ時代に多くの人があなたのことを批判しました。タイトルをとりながらも批判されました。何かがあなたに欠けていたということでしょうが、今回戻って来るに当たって自分変わったと思いますか。 私のミスは認めよう。だがミスを起こしたのは私だけではない。何人もの関係者がミスを起こしてしまったのだ。あなた方ジャーナリストも例外ではないと思う。だが我々人間は反省するということを知っている生き物だ。今度は同じミスを犯したくはない。それにはあなた方ジャーナリストの協力も必要となってくる。私に助言をしたいのなら私は喜んで聞く耳を持っている。我々は同じ船に乗っているということを忘れない欲しい。 2年前に「カタルーニャは仕事をするところではない」と言ってあなたは辞任をしましたが、この2年間であなたは変わったのでしょうか。 そういう風にいった覚えはないんだ。多分、誤解されて伝えられてしまったのだろう。この記者会見の最初にも言ってるが、私はスペイン語を完全にマスターしているわけではない。私の言いたかったことは、カタルーニャで働くことは非常に難しいということだ。バルサを見ればそれは一目瞭然だろう。それでも私は今回戻ってきた。それはなぜか。カタルーニャが私の場所だからだ。家族も友人もすべてこの地にくることになるだろう。そして私は自分の家であるバルサに戻る決心をしたのだ。 あなたは先ほど「自分だけのミスではない」と言いました、具体的に他の誰がミスをしたのか。 それは当時バルサに関係したすべての人々だ。コーチ陣、選手、クラブ理事会、そしてあなた方プレス。すべてだ。(と、だんだん顔が紅潮して声が高くなる。バンガールらしくなってきたぞー) ということは、あなたは何も変わっていないと言うことですか。 (ガスパーがこの質問に答える) なぜこんな難しい状況であるにもかかわらず戻ってきたのか。 バルサは私の心のクラブであり、そのクラブが私を必要としているのなら喜んで戻るつもりだった。今バルサを取り巻く雰囲気は緊張感でいっぱいだと思うが、それはアヤックス時代もそうだった。最後のころはバンガール反対、バンガール賛成、今と同じような雰囲気だった。でもそんなことに私は負けない。 コーチは誰を考えているのか。 第一コーチはジョンケルになるだろう。彼はオランダフットボール協会でも一緒だったし、カンテラを見るのにも優れている人物。 リケルメについて。 個人的には非常に気に入っている選手だ。それは過去何回も言ってきていると思う。だがこれまで私がおこなってきた選手獲得を見てもらえばわかるが、彼がしめるポジションがどうなっているかということを最初に考えなければならない。どこのポジションを補強しなければいけないのか、それがまず最初のアイデアだ。それはこれからレシャックなどと考えていこうと思う。 ファン・ボメルについて。 彼もリケルメをとるかどうかという問題と同じだ。ファン・ボメルのポジションには現在のバルサでどのような選手がいるのか、それをがます最初にチェックしなければならない。レシャックとはもちろん、バルサBの監督とも話し合わなければならない。もしカンテラにそのポジションをしめる良い選手がいれば、その選手が優先とならなければならない。それが私のフィロソフィーだ。 前回はヌニェスを始めとするすべての理事会があなたの獲得に賛成してバルサに来ることができました。だが今回はそういう状況とは遠い。あなたの獲得に反対している理事会の人もいる。同じように働くことが可能と思うか。 確かにヌニェスには全面支持をしてもらった。だが現在の会長もそうだ。クラブを司っている人物に信頼を得ることが大事なことであって、その他の人々はあまり問題ではない。私は前回の監督の時、ほとんどの時間をクラブ内にあるオフィスで過ごしている。したがって多くの職員と知り合いになり、いい関係をもっている。これは私にとって大事なところだ。今回私が来ることになったとき、あるプレスでバンガールはカルロス・ナバーロ(バルサ職員)をクビにするという記事を見た(ここら辺から目に涙が・・・)。とんでもないことだ。彼は職員として非常に素晴らしい仕事をしてきた人だ。私の目の前に今彼がいるけれども、そういういい加減なことは言って欲しくない。彼はバルサにとって大事な職員なのだ。人間的にも非常に素晴らしい人なのだ(もう、涙が頬をつたって落ちてきています)。 どのようなフットボールを目指したいか。 そういう質問があるとは驚きだ。私はバンガール。攻撃的なフットボールを目指すのは間違いない。バルセロニスタは常にそういうフットボールを愛してきている人たち。ただ、いつも攻撃的なフットボールが可能ではないことも確か。だが私は攻撃的なフットボールを目指したい。 あなたはもうカタラン人がセンチメンタルなことを非常に大事にする人種だということがわかっていると思います。そこで例えばセルジだとかアベラルドだとか、彼らのアイドルとなっている選手を放出する可能性はあるか。 まだそういうことは何にも決めていない。だが一つ確かなことは(言葉を探しながら慎重にしゃべろうとするバンガール)、いかにクラブにとって、あるいはファンにとって大事な選手であろうがいつかはクラブを出ていかなければならない。彼らが大事な選手だということはもちろん知っている。ファンにとっては私以上に大事な人々だということも知っている。だが私の仕事はクラブのため、チームのため、そして勝利を得るため、そのためにしなけらばならないことはしなければならない。だがその場合も紳士的に、エレガントにサヨナラを言い渡さなければ。 クライハートについて。 これからクライハート個人とレシャックと話し合いをもって決めることだ。いまのところ何の結論もでていない。 5年前のように8万人が集まるプレゼンテーションを期待しているか。 いま言えることは、私の監督就任に賛成してくれている人に感謝すると共に、半分はいると聞いている反対の意見の人たちにも納得できるような試合をしていきたいと思う。最後に、すべてのソシオに団結を求めたい、私に時間を与えて欲しい。私にチャンスを与えて欲しい。 ここで突然、クバーラの死亡がニュースに。記者会見場に集まったすべての参加者が起立し1分間の黙祷。記者会見も打ち上げられた。 |