7月2日

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ディエゴのお言葉

ディエゴ・アルマンド・マラドーナ、23年前にジュニアー・ワールドカップで日本の地を踏んで以来の来日を果たし、ワールドカップ決勝戦を観戦することができた。あのジュニアー・ワールドカップを戦った時よりは、はるかに体重が増えているもののフットボールに対するアイデアに変化は見られない。バルセロナにいたときと同じように社交辞令なしに思ったことをそのまま語るディエゴ。その彼がリケルメに関して語ってくれた。

リケルメがバルサに移籍する可能性がでてきましたが。

いいか、これまでガスパーは俺の助言を一切無視してきたけれど、今回もしリケルメを取り逃がすようなことがあったらガスパーにとっては人生最大の犯罪を犯すことになるんだぜ。俺はウソはつかない。それぐらいはあのガスパーだってわかるだろう。いいか、これはディエゴ・アルマンド・マラドーナの言葉だ。リケルメのプレーはカンプノウの客たちを総立ちにさせるのは間違いなし。そして一つの時代を築くことになるだろう。俺がカンプノウでできなかったことをな。

リケルメを褒め称えるのは、やはりボカの選手だから?

いいか、ヤツは俺と同じ歴史をたどるんだ。ボカでプレーしてバルサに行く。そういう運命にあるんだ。リケルメは他の”クラック”と呼ばれる選手とは違うものを持っている。もっと素晴らしいものをもっている。例えば、日本でキャーキャー言われたベッカムという若造がいるけれど、ワールドカップが終わってみれば大した活躍をしていないことがはっきりしただろう。所属するクラブでも、代表選手としても結局は大した”違い”を見せなかっただろう。だがリケルメは違う。トヨタカップでのプレーを見るだけで彼の価値を知るにはじゅうぶんだ。3人や4人に囲まれてもボールをとられないのは彼ぐらいのものだろう。何回か彼と話をしたけれど、彼の頭の中にはもうバルサのことしかないようだ。

第二のマラドーナになれるということか?

幸か不幸か、マラドーナは世界で一人しかいない。もし二人もいたら彼が起こす問題で人々が抱える頭痛のタネが倍になってしまうからな。リケルメが第二のマラドーナかどうかということはどうでもいい。ボカでの試合を見てみれば彼がいかに凄い選手かということがわかるはずだ。チームを引っ張っていく強烈なキャラクターとテクニックを持ち合わせている。とにかく素晴らしい選手なんだよ。

では、なぜワールドカップに呼ばれなかったのか?

その質問には答えられない。俺はマルセロ・ビエルサに対して何かを言う立場にないし、ただ単純にリケルメの素晴らしさを語っているだけだからな。だがもし俺が代表の監督だったら間違いなくリケルメを召集していたよ。

サビオラは?

もちろんあの坊やもだ。あの子のキャラクターからして今回の代表にはピッタリだと思う。だがあの子は9番の選手じゃない。レシャックやビエッサは勘違いしている。彼は中盤から上がってきてナンボの選手。しかも頭も切れる。リーベルの選手にしては珍しいタイプだ。

リケルメとリバルドは一緒にプレーできるでしょうか?

いいか、才能ある選手が一緒にプレーできないなんてことがあるわけがない。これまでの多くの代表チームを見てみればわかることだが、いわゆる”クラック”選手はどこでも一緒にプレーできるんだ。彼らみたいな才能ある選手はグランドの中で自分の場所を自然に見つけてしまうものさ。

リバルドはバルサに残るべきか?

新聞やインターネットを通じてバルセロナから伝わってくる「リバルド放出」というニュースはキチガイ沙汰だ。彼のような選手を他のどこを探せば見つけてこれると思う? 世界最高の選手がバルサでプレーしている。そしてまだ契約期間が残っている。なぜ、彼を売らなければならない? このワールドカップでロベルト・カルロスと共にリバルドは素晴らしい活躍をしただろう? ほんの少しでもフットボールを理解するオツムを持っていれば、リバルドがワールドカップ最優秀選手だということぐらいわかるだろう。

ロナルドは?

彼の「やる気」だとか復帰への「熱い思い」はもちろん評価する。でも正直言って、彼がバルサにいた頃の調子にはほど遠い感じだ。良いプレーをしたことは確かだが、最優秀選手ではないだろう。フットボールを理解している人は俺の言っていることがわかると思う。カーンと一対一になった場面が二度あったのを覚えているか? ロナルドの頭はフル回転してどのようにカーンを抜くか考えていたんだろう。だが身体がついていかなかった。それぐらいのことがわからなくちゃあいかん。あのシーンを見て俺の確信は間違いないことが証明された。ロナルドのヒザはまだ100%治ったわけじゃない。スピードもバルサの頃とは比べものにならないぐらいお粗末だ。

元のロナルドに戻れると思いますか?

フットボールを愛する一人として、そうなることを願うよ。彼はまだ若いんだし、もし元のロナルドに戻ることができるのなら次のワールドカップでは間違いなく爆発するだろう。今回と違って、本当の世界最優秀選手としてな。

ベッカムについて。

色男。俺でさえ娘のために彼のグッズを買うはめになってしまった。だがフットボール選手としては、残念ながらボビー・チャールトンのようにカップを高々とあげる選手にはなれないだろう。イギリス代表は「ベッカム次第」という、明らかに間違ったアイデアを持ってしまったようだ。ブラジル戦でも彼を早めに代えておけばイギリスは勝つこともできただろう。本当だぜ。

最後に、決勝戦について。

今回のワールドカップを象徴する試合だった。テクニック的に非常にレベルの低い試合。その証拠に、100%の体調じゃない二人の選手(リバルド、ロナルド)が目立つ大会になったことを見れば明らかだ。それも大きな差で他の選手との違いを見せた。ブラジル自体はひどいもんだったと思うよ。あのドイツが攻めてきただけで防戦一方になってしまうんだから。だが幸運にもマルコスという良いキーパーがいたおかげで助かったようなもんだ。ブラジルを救ったのはキーパーとリバルド、ロナルド、そしてロベルト・カルロスだけだ。ドイツ? 多分これまで見てきた代表としては最悪の部類にはいるだろう。これまで何回かドイル代表と戦ってきたけれど、あれほどひどい代表はなかった。その彼らが決勝戦に残ってきたということを見ても、今回のワールドカップがいかにレベルの低いものだったかわかるっちゅうもんだ。