9月3

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ゴチャゴチャ言うんじゃねえ!

「世界最高の9番」とガスパーが絶賛するクルイベルは、いい加減アタマにきているようだ。毎日、毎週、毎月、そして毎夏に噂されるデランテーロの補強の可能性。この夏も決して例外とはならなかった。

シーズンオフに入るやいなや始まった9番の補強作戦。夏の到来を待たずに何人かの選手の名前がメディアに登場した。クレスポ、ジャルデル、ルーケ、ロナルド、そしてハッセルバイン。会長のガスパーが「クルイベルは世界最高の9番」と執拗に繰り返し語りながらも、裏ではバルサ首脳陣は新たな9番獲得に向かって動き続けていた。それは現場の責任者であるバンガールが要求していたからだ。背広組は現場責任者の要求を満たそうと、新たな9番を探し続ける。

もちろんこのような動きが、そして噂が、クルイベルの知るところとなるのは当然だ。監督が9番を要求するのなら獲得すればいい、だが毎日のようにその噂を聞かされるのはゴメンだ。
「もういい加減ウンザリだ。もし彼らが必要と思うならば、その9番という選手を早く連れてくればいい。そうすればこういう噂がなくなりメディアが静かになるだろうからな。毎日、毎週、同じような話しを聞かされるのは勘弁して欲しい。」

だが、新たな9番が必要などとはクルイベルはぜんぜん思ってはいない。煩わしい噂から自由になりたい、それだけの理由で早く9番を連れてこいといっているのだ。
「俺個人として言わせてもらえば、バルサには新たな9番なんて必要ないさ。これからそれを証明してやろうと思う。残念ながら先日の試合では証明できなかったけれど、これからの試合でゴールをぶち込み続けてやろうじゃないの。それがパトリック・クルイベル、わかる?」

カンプノウでの初戦となったAt.マドリ戦では多くのゴールチャンスを作りながら決定打に欠けていたバルサ。もちろん試合後には多くの批判が沸きあがる。そして特に9番をつけているクルイベルにその批判が集中することになる。
「俺のミスは他の選手のそれより目立ってしまう。しかも俺は9番をつけている。だからバルセロニスタはまるで顕微鏡で見るような感じで俺のことを細かく観察し続けるだろう。だがあの試合をよく観察してみればミスしたのは俺だけじゃない。でも批判はいつも俺に集中してしまうのはもう慣れっこだ。大丈夫、俺はパトリック・クルイベル、これからの試合でゴールは必ずやって来る。それが早ければ早いほどいい。大丈夫、うん大丈夫さ。」

我らの9番がこういう力強い発言をしてくれるものの、日曜日にカンプノウから自宅に向かった多くのバルセロニスタは、新たな9番の必要性を感じていたに違いない。攻撃フットボールとバンガールが言う割には点が入らないバルサ。10回以上のゴールチャンスを獲得しながら最後の詰めを欠くバルサ。だがバルサ首脳陣はリーグでの選手登録最終日となる昨日(2日)まったく動きを見せていない。20時をリミットとしての選手登録であったが、バルサは結局新たな9番の獲得を諦めている。締め切り時間間際になって飛び交った「ジャルデル獲得」も単なる噂にしか過ぎなかった。なぜなら昨日の午前中、バンガール、ガスパー、ファルゲールの三者会談ですでに結論は出されていたからだ。マドリッドではロナルド入団発表のバカ騒ぎがおこなわれている中、バルサにとっては夏の補強作戦はすでに終了していた。


相変わらずバンガール

試合の翌日の練習はスタメン選手にとっては前日の疲れをとるための軽いものとなる。だが控え選手にとってはいつものようなキツイ練習がおこなわれる。もちろんバンガールは彼らにつきっきりで怒鳴り散らしたり、あるいは時として誉めることも忘れない。そのようないつものような試合翌日の練習となった昨日、主役はバンガールを除いてジェオバンニ、リケルメ、そしてジェラールだった。

控え選手が中心となった昨日の練習。バンガールはグランドの半分を使い、4人で一つのチームを構成したミニゲームを主体とした練習をおこなう。30分以上続くこのミニゲームは、それでも5分おきにバンガールの大声で中止される。各選手のミスを指摘するためだ。赤組はエンケ、ロッケンバック、ジェオバンニ、そしてリケルメ。青組はボナノ、レイジンゲル、ジェラール、そしてダニ。

このミニゲームはまるでリケルメのリサイタルのような様相を見せる。現在のバルサの選手の中でテクニック的に一番優れているのはもちろんリケルメだ。リケルメはこの試合で10点近くのゴールを決めた。だがバンガールは一度も彼のことを誉めるために試合を止めたりしない。リケルメのプレーでゲームが中断したのは数回。それはすべてディフェンス面に関することだった。バンガールはどうもリケルメのディフェンスプレーが気にいらない。
「ロマン!それじゃダメだ!もっと下がってボールを取りに行け!」

こういう練習でいつも人一倍光りを放つのは決まってロッケンバック。彼は試合であろうと練習であろうと、すべてを出し切らないとすまない性格をしている。ジェラールに対しまず後ろからの強烈なタックル。ジェラールは倒れるものの大事には至らない。そしてそれからわずか5分後、今度はひじ鉄がジェラールの顔を直撃。怒り狂うジェラールを慰めるバンガール。そしてジェラールにとっての3回目のロッケンバック災難。再び強烈なタックルを受けて倒れるジェラール。その場で謝るロッケンバックとは仲良しのジェラール。ここでも問題にならなかったばかりか、練習後は二人で食事に。だがジェラールの災難はロッケンバックではなかった。1点差で赤組が勝っているときバンガールの怒鳴り声がジェラールに飛ぶ。
「お前らは2点差で負けてるぞー。しっかりやれ!」
そしてそれに答えるジェラール。
「監督、2点差じゃなくて1点差ですよ」
それを聞いたバンガールが顔を真っ赤にしてさらに大きな声がジェラールに飛ぶ。
「口でプレーしようなんて思うなジェラール!もっと動け、もっと走れ、もっとボールを奪え!」

11点差で赤組の勝利となるこのミニゲーム。リケルメと共に得点を稼いでいたのはジェオバンニだ。だが彼もまたバンガールの怒鳴り声からは自由にはなれない。ミドルシュートがゴールポストの遙か彼方上方に飛んでいったジェオバンニのシュート。バンガールはそれを見逃さない。大声で試合をストップさせる。
「ジェオ!いったいそこの場所から何本のシュートが入ると思う?状況と場所を選んでシュートせい!忍耐、忍耐、そして忍耐だ。いつかは試合に出られるぞ!」


●プジョー、1週間のリハビリ
プジョーの負傷はどのような楽観主義者の予想をも超えるものだった。たった1週間のリハビリで練習に戻れることが昨日の精密検査で明らかになった。
日曜日の試合で負傷したプジョーだが、多くの関係者が予想した最悪の事態、つまり手術の可能性まで捨てきれないほどの事態だった。だが幸運にも、それはバルセロニスタにとってもバンガールにとっても、もちろん当人のプジョーにとっても、負傷は予想されたものよりもかなり軽いものだった。今週末は代表の試合があるためリーグ戦はお休みとなる。したがって来週末のビルバオ戦には問題なく出場できる見込みだ。

またドクター・プルーナによれば、一時入院をしていたモッタもすでにドクターOKが出ている。明日からの練習に参加し、徐々にリズムを戻していかなければならない。
これまで負傷リストに入っていた二人の選手、アンデルソンとオーベル。アンデルソンはすでに4日前から練習に合流している。またオーベルは昨日の練習に初めて顔を出し、軽いランニングを始めている。

●もう一人の白い傭兵の誕生
「たくさんのゴールとスペクタクルなプレーでマドリディスタを楽しませたい。憧れのマドリに入団できて幸せ。」
これがロナルドのマドリ入団記者会見でのお言葉。どこかで聞いたことがあると思ったらそれは記憶力がいい証拠だ。ブラジルからオランダのPSVに来たとき、そしてバルサに入団したとき、最近ではインテルに移ったとき、そう、すべて同じセリフだった。「傭兵」として呼ばれてもおかしくない多くのフットボール選手がいることは仕方ないことだろう。だがこれほどまで「傭兵」としてクラブを移りまくる選手がいただろうか。どこのクラブでもこれまで1回として契約をまっとうしなかった選手。それがロナルドだ。
ロナルドは昨日から真っ白のマドリディスタとなった。チームカラーなぞどこのクラブでも感じたことのないロナルドは、それでも昨日から自分はマドリディスタと宣言するだろう。それも子供の頃からのマドリディスタと言うかも知れない。だが多くのマドリディスタも彼の過去は知っている。もうすでにマドリディスタとなったロナルドに対する話題、それは彼は何年マドリでプレーすることになるのか。これしかない。