9月6日

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

ガスパー火山、ちょいと噴火

もしガスパーが会長でなく3年前までのように副会長であったなら、昨日の発言はもっとスキャンダルでショッキングなものとなっているだろう。だがガスパーは現時点でのバルサの会長であるため、直接的表現を避けた、歯に衣を着せたようなコメントをしている。批判対象、それはもちろん中央政権とレアル・マドリだ。そして中央メディアもその批判から自由とはならない。久しぶりにほんの少し噴火したガスパー火山。

時代は確実に変わってきている。もしガスパーが3年前のガスパーであったなら、こんな間接的表現なコメントでは済まなかっただろう。だが彼は今やバルサを仕切る会長だ。それは彼自身が認めている。
「もし私が21年間務めた副会長にまだ収まっているとするならば、これらの発言はだいぶ違うものとなるだろう。だが私は会長職にいる。会長はすべての不満を越えたところで発言をしなければならない。したがっていま言える唯一のこと、それは私は疲れ切っているということだ。」

ガスパーは何に「疲れ切って」いるのか。それは彼の次の発言を聞けばわかる。
「抜群の手腕によりいくつかのことがおこなわれた、こういうことを聞くのに疲れているんだ。」
これは会長ガスパーの超間接的な言葉だから、副会長ガスパーの言葉に直さないと何を言いたいのかわからないだろう。
「多くのメディアが、そう、例えば全国国営テレビであろうと全国民間テレビであろうと、あるいは中央のプレスなどのマドリ持ち上げ記事にウンザリしている。」
これが彼の言いたいことだ。それはもちろんロナルド獲得問題のことを指している。約1か月間にわたって多くの中央メディアによって繰り広げられたバカ騒ぎ。ロナルドの獲得に成功したマドリの対する多くの賞賛ニュースに対する批判である。

彼を疲れさせているのはこれだけの理由ではない。さらに疲れている理由を語るガスパー。
「我々はこの厳しい経済状況にあって、ソシオの協力を頼まなければならない。他のクラブにしても同じような厳しい状況を迎えている。だが一つだけ違うシステムによる収入を得ているクラブがある。こういうのは非常に疲れることだ。」
再び副会長ガスパーの言葉に直してみよう。
「政府のお抱えクラブであるマドリは、不法な方法で自らの土地を売ることにより莫大な借金を返済することができた。他のクラブには不可能なことだ。」
バルサのシンパ用に作られた「ジェン・デル・バルサ」が、経済的問題を救う一つの方法であることを隠しはしないガスパー。10万人のソシオと1500のファンクラブにクラブ経営の直接参加を要請することにより、収入を得ようと努力するバルサ。一方、何の努力もなしに政治家とのコネで収入を得ようとするクラブに対する批判である。この問題に関してはスペインの国会やヨーロッパ議会でも追及を受けているマドリだ。

そして最後に補強選手加入問題を取り上げて、バルサは「疲れる」方法は絶対したくないし、すべきではないと語る。
「我々は在籍中のクラブともめている選手の獲得はしない。」
副会長ガスパーの言葉を待つまでもなく、ロナルドとジャルデルに関して語っているのは明らかだ。二人とも在籍中のクラブともめている共通点を持っている。ロナルド獲得したマドリ、そしてジャルデル獲得を放棄したバルサの違い。もちろん選手の獲得手段に関しても批判していることになる。まず最初に選手とその代理人に接近し、合意を得た上で在籍クラブに対してプレッシャーをかけるのが常套手段のフロレンティーノ・マドリ。フィーゴ、ジダーン、そして今回のロナルド、すべて同じ方法だ。

これらの「疲れる」理由を説明し、久しぶりの噴火を見せたガスパー火山。だが被害者意識による中央攻撃ではないこともことわっている。これだけのハンディーがありながらもマドリに対して恐れなど少しもないと語るガスパー。可能な限りのすべてのタイトル獲得を目指して戦うバルサであるというメッセージも忘れない。


ラウール・フロレンティーノ抗争

「ロナルド獲得問題」言い換えれば「モリエンテス移籍問題」は、チームカピタンのラウールとクラブ会長のフロレンティーノの間に大きな溝を作ることになった。それもかなり危険な溝となって選手とクラブ首脳陣を分けている。

イエロとフロレンティーノの衝突はすでにメディアの間で明らかになっている事実だ。モリエンテスをバルサに売り飛ばそうとしてフロレンティーノに対し「オレ達は傭兵ではない」と、人間性を無視した移籍の仕方を批判した。「傭兵」を多く抱えるマドリの現実を無視しているカピタンの言葉は、この際それはそれでよしとしよう。だがクラブ首脳陣と選手間における衝突はこれだけでは済まなかった。

今週の月曜日におこなわれたマドリ・エスパニョール戦での出来事だ。ファンの前でスーパーカップの優勝カップを、試合開始前に示すように選手に命じたロレンティーノ。マドリの選手がグランドに出ていく前にエスパニョールの選手に人壁を作ってもらい、その間をマドリ選手が登場しマドリディスタの前でカップを掲げるというシナリオだった。だがそれはなぜか実現しなかった。多くのメディアは事前に知らされていたので、ベンチ前にはカメラマンが大勢待機していたにも関わらず実現しなかった。それはなぜか。

選手たちが反対したからだった。ラウールを筆頭とするグループがそれを拒否したためにおこなわれなかったのだ。クラブは非公式に彼らを批判している。特に先頭にたってそれを拒否したラウールに批判の矢が向けられている。クラブ職員の一人が次のようなラウールの発言を聞くに至っているという。
「俺はこんなクラブの代表としてこれ以上目立ちたくない。これからはタイトルをとろうが一切カップに触るようなことはしたくない。」

影の主役となったモリエンテスは現在スペイン代表の合宿に参加している。昨日、彼は記者会見場に呼ばれている。代表のスポークスマンにモリエンテスは次のように語ったという。
「俺はマジな顔で記者会見にでないとまずいだろうね。そうじゃないと今の状況に不満を感じていると思われちゃうかも知れない。」
そして記者会見場にあらわれたモリエンテス。バルサ移籍問題以来はじめてメディアの前にあらわれたことになる。言葉を一つ一つ選ぶように気を使いながら語ろうとする。状況が状況だけに、下手なことは言えない。慎重にしゃべらなければならないという雰囲気が記者に伝わってくる。

「非常に元気だ。ここ何日間、いろいろなことが起きたけれどそれも良い経験。俺はプロの選手なんだから、あらゆる状況に対し覚悟ができているつもりだ。バルサとの交渉はマジなものだったという印象を持っている。彼らがロナルド問題で自分を政治的に利用したということはなかった。だが最終的に合意に至らず、振り出しに戻ったということだけだ。そのことに非常に満足していることも確か。つまりマドリに残れるということに感謝している。もちろん自分の同僚たちが心配してくれたことにも感謝している。でもつまるところ自分はプロの選手であり、将来何がおきても用意はあるつもりだ。」