11月1日

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きっ、きっ、きっ、危機だっ!

AS“ローマに敗れたものの次へのステップを確保したマドリ。だがチーム状態はこれまでの災害状態から大惨事へと移行し、深刻な状況を迎えている”
MARCA“ローマ戦での敗北はマドリの危機状況を端的に表している。ゴールの入らないフロレンチームの将来は暗い”
マドリの危機をうたっているのはカタルーニャメディアではない。地元マドリッドのメディアが「彼らのクラブ」の危機を深刻に受け止めているのだ。惑星からやって来たチーム、レアル・マドリをこう命名したマドリメディア。だがその惑星チームもここ8試合で1勝2敗5分けでは彼らの落胆ぶりも納得がいくというものだ。

ひどい、とてつもなくひどい状態のマドリ。彼らが危機感を感じようと感じまいとマドリメディアは危機感以上のものを感じている。これまで機会があるごとに、その傲慢さを恥ずかしくもなく露呈してきたクラブに厳しい現実が待っている。それは地元メディアからの批判だ。ラーシングに、ビジャレアルに、そしてあのローマにさえ玩具にされた惑星チーム。試合では汗をかくこともなく、走り回る必要もなく、チョチョイのチョイであらゆるチームに勝利するはずだった惑星チーム。その惑星チームの大看板である5人のエリート惑星人、ロベルト・カルロス、ジダーン、ラウル、ペセテロ、そして新たな惑星からわがままをいいつつもやって来た超惑星人ロナルド。ベルナベウでおこなわれたチャンピオンズリーグ第5戦はこの5人の惑星人が初めて一緒に登場するお披露目会でもあった。だが悲惨にも地球イタリア地方に住むカルッチオ人のケチなフットボールの前に沈没することになる。

ラウルはここ2年間、肉体的に限界の状態を抱えながら可能な限りの試合に出場している。ラウル・マドリのラウルであるから、彼がいなければマドリは機能しないと言えばそれまでだが、今シーズンの彼の状態を見る限りもう限界に近い状態だろう。ロナルドの加入と関係あるかどうかは別として、これまでの彼のプレーに見られるようなキレが感じられないし、最後の切り札としての活躍とは遠い状態だ。

ジダーン、チームを引っ張っていかなければならないキーポイントの選手。昨年はチームにとけ込むのに時間がかかったとは言え、最終的にはマドリの勝利に貢献した選手だ。だが今シーズンの彼は昨シーズンの彼とは明らかに違っている。ワールドカップ失敗でのショックが残っているのか、あるいは負傷することを恐れているのか、はたまたすでにモチベーションに欠けてしまったのか、いずれにしても100%ジダーンからはほど遠い状態だ。

ロベルト・カルロスはクラブから常に過小評価されていることに不満を表明してきた。だがそれにも関わらず毎試合誰よりも100%のモチベーションで90分プレーするロベルト・カルロス。だが今シーズンの彼にはいつものスピードがないし冴えも見られない。前線でのやりたい放題の惑星人のつけを喰らって、カウンターアタックに備えないといけないことも関係しているかも知れない。

ペセテロは3月に負傷して以来、かつてのペセテロではなくなってしまった。もちろんペセテロはペセテロとして変わってはいない。だがフットボール選手としての彼はあの負傷以来、確実に下降線をたどってきている。30代を迎えたばかりの彼だが、惑星人の平均寿命は低いようだ。バルサにいた頃のフィーゴはすでにいない。負傷、復帰、そして再び負傷という道が彼を待っている。

ロナルド、かつてのバルセロニスタのアイドルであり21世紀を背負ってたつスター選手であったロナルド。“マーチン株式会社”の稼ぎ頭としてゼニの臭うところを走り回されてきたロナルド。今の彼にはワールドカップでのほんのチョットの活躍の影も見られなければ、ましてバルサのロナルドではない。マドリ会長のフロレンティーノに守られているとはいえ、身内のマドリメディアも彼にちょっかいを出すようになってきた。もちろんマドリディスタも黙ってはいない。ローマ戦で彼に送られたブーイング、これが初めてではないし決して最後でもないだろう。

■デル・ボスケ→カマッチョ
危機、危機、危機と騒ぐマドリメディアに腹を立てているデル・ボスケ。彼の精神状態も健康状態も決してよくない。今までサラマンカ生まれのジェントルマンとして知られていた彼が次のような発言をするまでになっている。
「危機じゃと!?どうして我々が危機なのじゃ?危機と言われなければいけないのはここ3年間なんのタイトルもとっていないようなバルサのことを言うのじゃ、バカモンッ!」
とつぜん彼の口から出てきたバルサ批判。危機そのものを認めるつもりももちろんないデル・ボスケ。クラブ職員として首脳陣の言われるままに選手起用をしてきた彼に、惑星人グループをスタメンから外す勇気はない。ロナルドよりもグティやモリエンテスの方がより効果的な攻撃ができるとわかっていても惑星人を外すことはできない。ペセテロよりもマクマナマンの方がより効果的な人選であるとわかっていても、100億ペセタ選手をベンチに置くことはできない。
そんな彼に待っている将来はドラマチックなものとなっている。今週末に対戦するチームはデポルティーボ・コルーニャ。最近の5試合に勝利の味を噛みしめていないマドリに待っている「統計」は悲惨なものだ。リアソールでおこなわれる試合でマドリは何とここ10年間勝利したことがないのだ。しかもここ5か月間にわたってアウエーで勝利したことのないマドリ。もし敗戦の道をたどることがあるとすれば、バルダーノの厚い信頼を勝ち取っているカマッチョがベンチに座る可能性もある。


●オーベル、レイジンゲル、復帰の可能性
今日の午前中におこなわれる最後のテストに合格すればドクター許可がおりる二人の選手、それがオーベルとレイジンゲルだ。復帰が可能となると小さな痛みがあらわれ、これまで試合に出場していないオーベル。だが今回は本当に復帰できそうだ。そしてレイジンゲルにもついに復帰が現実化してきている。長い間の負傷から立ち直れそうな彼らをバンガールが必要とするなら日曜日のラーシング戦に召集される可能性さえある。
またラーシング戦に呼ばれないのが確実なのはモッタ。まだ完全に痛みがとれていないこともあり、練習にも参加していない。そしてルイス・エンリケもほぼサンタンデールには向かわず、バルセロナ居残りとなる可能性が強い。彼もまた小さな痛みが完全にとれていない。

●ダニさんもベティスに行きますか?
ブルッハス戦には久しぶりのスタメン出場を果たしたダニ。だが彼の厳しい現実は変わっていない。それはバンガールにとっても明らかだし、彼自身も認識していることだ。したがってこのまま試合出場できるチャンスもなくバルサに残るよりは新たな道を模索しようとするダニ。ブルッハス戦の翌日の記者会見でもそのことをはっきりと語っている。
「バルサに残るのは非常に難しいと思う。もちろん個人的にはバルサに残りここで成功するのが夢。だが試合に出られないのではそれも不可能だ。だから冬のマーケットで移籍先を探さないといけないだろう。」
彼に注目するクラブ。今のところベティスとレンジャズが濃厚。特にベティスの監督を務めるビクトル・フェルナンデスがダニ獲得に乗り気なようだ。ベティスが抱えるデランテロは二人。一人はベティスカンテラ育ちのダニ、そしてもう一人はアルフォンソ。カンテラ・ダニは長い負傷からいつ立ち直るか今のところわからないし、アルフォンソも負傷中だ。もしクラブ通しの交渉でダニがベティス移籍となれば、かつてのマドリ・バルサのデランテロが二人揃うことになる。