12月3

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すべて有罪!

ガスパー会長、バンガール監督、そして選手たち。クラブが悲惨な状態を迎えている現在、この中から一人として責任を逃れる立場にある者はいない。エスポーツ紙がおこなったアンケートに答えた5千人のバルセロニスタは、現在のこの状況を作りだした最大の責任者はガスパー会長(59%)、バンガール監督(32%)、選手たち(9%)という数字を出している。そしてガスパー会長の犯した最大の罪はバンガールを監督として起用したこととしている。

ガスパー会長の罪はバンガールを再び監督として起用したことだけにはとどまらない。この3年間において300億ペセタという莫大な資金を使いながら有効な選手獲得をおこなえなかったこと、そして度重なる不用意な発言も批判の対象となっている。これはエスポーツ紙がおこなったアンケートに答えた人々の数字だが、他のカタルーニャのメディア(ムンド・デポルティーボ紙、エル・パイス紙、エル・ペリオディコ紙、ラ・バンガルディア紙、etc.etc)も珍しく歩調を合わせてバルサ総体を厳しく批判している。この批判からは会長はもちろん監督や選手たちも決して逃れることはできない。なぜならすべてが批判対象となっているからだ。

■ガスパー会長人気の急降下
もし今すぐにでも会長選挙がおこなわれるとすれば、ガスパーが選ばれることは絶対と言っていいほどあり得ないことだろう。それほどソシオからの信用度はなくなっている。ヌニェス会長の後を継いでから最大の危機を迎えているといっても言いすぎではない状態のガスパー会長。彼が会長に就任して以来、一度もタイトルを獲得していないばかりか3年目を迎える今シーズンも明るい材料を探すことができない。クラブ理事会内の“プロフェッショナル化”を訴えてきたにもかかわらず、いまだにそれは実現されていない。それどころか旧ヌニェス派、現会長派、かつて選挙戦で戦ったカステーレス(現副会長)派、同じく選挙戦で対抗馬となったバサット派が入り交じってのクラブ現理事会に意見の一致を見つけることは不可能なことでもある。
カタルーニャ州の議長になることより難しいし、それよりもさらに魅力的で権威ある椅子とされるバルサ会長席。その黄金の席に座れる権利はまだ2年間残っているガスパーだが、その座は今ガタガタと揺れ動いている。

■何をしようとしているのか、バンガール監督
ガスパー会長に対する最大の批判の的がバンガール監督就任という決断であるわけだから、当然バンガールに対する批判は大きい。理由がどうであれ、そして状況がどうであれ、リバルドを“戦力外選手”として無料で追い出したことを否定はできない。ロナルドをレンタルで獲得する可能性があったにも関わらずやはり“戦力外選手”として拒否した事実も否定できない。バルサに来たがっていたクレスポをやはり“それほど必要ない選手”として拒否した事実も彼は否定しない。そしてこれらの事実をすべて認めた上で“選手の質が低いのかも知れない”とソシエダ戦終了後に語るバンガール。
彼への最大の疑問はもちろんその監督としての能力に対するものだ。これまでの試合でのプランニングで明らかになっているように、バルサ独自のスタイルを作り上げるのではなく、むしろそれを放棄した形で相手チームの戦いに合わせたプランニングスタイルに対する批判だ。しかも度重なるポジションチェンジとマンツーマンシステムに対する疑問も強く上がっている。

■選手たち
バンガール第一次政権でもそうであったように、今回もチームブロックがすべての個人技を上まわると考えるバンガール。したがってリバルドも必要なしとしたし、ロナルドも断ることになる。だがこれまで12節を消化し、そのチームブロックの片鱗さえも見えていないし、クラック選手による個人技が冴えわたっているというわけでもない。
バンガールはエンケをなぜ必要としたのか。国王杯でのノベルダ戦でつぶれたエンケに代わって正キーパーとなったのはカンテラのビクトルだった。誰しもが疑わなかったボナノの才能を疑ったのはバンガールのみだ。ディフェンスは必要以上のミスを犯している。中盤にいたっては存在しているのかどうかも疑わしい。ゴールが決まらないデランテロに対する不安が消えることもない。
ベティス、コルーニャ、マドリ、そしてソシエダ戦、これまでのバルサが対戦してきた相手の中ではもっとも“強敵”とされるこれらのクラブにバルサが決めたゴールはわずか1点だ。それもあのクルイベルがソシエダ戦で決めた冗談のようなゴールのみだ。昨シーズンはほとんど負傷のせいで出番がなかったリバルドだが、それまでは試合を決められる選手として活躍していた。だが今のバルサに試合を一人で決められる選手は存在しない。唯一のクラック選手であるプジョーにゴールまで期待するのは酷というものだろう。


●プジョー、ラージョ戦は微妙
日曜日におこなわれたソシエダ戦終了後、バルセロナに戻ってきてからサンクガットの病院に緊急入院していたプジョーだが、翌日の月曜日夕方には退院することができた。精密検査を慎重におこなった結果、脳そのものには影響がないということだった。だが脳への障害は2、3日たってからあらわれることが多々あるため、慎重を期して今日の練習には参加せず自宅待機となる。プジョーが抱える問題は脳だけではなくむちうち症状に近い状態であることだ。頸部(首の後ろ)の痛みがまだとれないプジョー。彼を診察したドクター・プルーナは場所が場所だけに慎重にしていかなければならないと語る。
「精密検査の結果脳への障害はいっさい見られなかったので安心している。だが交通事故と同じようなもので、頭同士が衝突したことによるむちうち症状が心配だ。今日火曜日は自宅で安静にして様子を見て、もし首の痛みがとれるようだったら明日の練習に参加することになるだろう。もっとも痛みに関するプジョーの発言というのは医者としてすべて信用するわけにはいかないこともあるから、明日の練習に関しては私自身が決めようと思う。」
ドクター・プルーナにはまったく信用されていないプジョーであります。

●クルイベルとナバーロのミスを批判するバンガール
試合に負けた翌日のミーティングは長い。練習前に選手控え室でおこなわれた昨日のミーティングもまた長いものとなった。ビデオをみながら敗戦の原因をみんなで話し合い、バンガールは選手を前にして一人一人のプレーを分析していく。もちろんソシエダ戦の翌日だからボナノをのぞいて賞賛に預かる選手は一人もいない。その中でもクルイベルとナバーロに批判の焦点をあてるバンガールだ。
ナバーロに対する批判はあきらかだ。ソシエダ戦の2点目の原因となったナバーロのクリアミス。それを責めようとするバンガールだったのだろう。だがあのゴールの原因を最初に作ったのはチャビのパスミスではなかったのか。そのチャビは個人的にはバンガールには呼ばれなかった。長いミーティングの後にバンガールの個人的に呼ばれた二人の選手、それはナバーロとクルイベルだった。クルイベル?そう、バンガールは彼が試合後におこなった発言が気にくわなかったのだろう。
「この試合も限りなく一人ぼっちで前線で戦わなくてはならない試合だった。もっと積極的に責めることができるように、緊急にどうにかしなければいけないと思う。」
この発言をシステム批判発言と受け止めるバンガールでありました。

●武士魂ボナノ
ソシエダ戦でバルサ選手として50試合出場を果たしたボナノは、どんな状況であれ思ったことをそのまま語る男。この試合での敗戦の原因は決して彼の責任ではなかったし、むしろスキャンダルとなる圧倒的なゴール数による敗戦を防いだ殊勲者でもあった。だが彼はこんな状況を迎えていることを恥ずかしいと考えるプロ中のプロの選手である。
「恥ずかしいと感じている。こんな負け方をするバルサじゃないはずだ。だがこの思いは、誤解を招くといけないから個人の意見として聞いて欲しいと思う。あくまでもボナノ個人の意見として受け止めて欲しい。すべての選手が全力を出しきって毎日の練習に汗を流し、試合でも90分間勝利のために一生懸命戦っての敗戦だから恥に思わない選手がいたとしてもそれはそれで納得いくこと。だが個人レベルでは、つまりボナノ個人としては非常に恥ずかしい試合だと思っている。」
時間をかけてゆっくりと言葉を選びながら語るボナノ。つまらない誤解を避けたいという気配りが感じられる。敗戦の責任をまず自ら一番に認めようとするボナノの普段の姿がそこにある。
「バルサは世界中のフットボール界の中にあっても屈指のクラブ。歴史が、タイトルが、年間予算がそれを証明している。監督がどう言おうと素晴らしい実力を持った選手が集まっていることは疑うことのできないことだと思う。我々バルサの選手はこの段階で10位という信じられない位置にいるけれど、それでも4位を目標なんてことは言ってははいけないし、事実もっと上を狙わなくてはならない。首位との差は広がったとは言え、我々にはまだ優勝するチャンスが残っているということを信じて戦っていきたい。」
ブラボー!ボナノ!