12月9日

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Champions League
12月10日 20:45
CAMP NOU
FC BARCELONA
vs
NEWCASTLE

 

●召集選手
ボナノ、エンケ、デ・ボエル、クリスタンバール、レイジゲル、プジョー、コクー、チャビ、モッタ、メンディエタ、サビオラ、リケルメ、ロッケンバック、クルイベル、ジェラール、ダニ、ジェオバンニ、オーベルマルス

●負傷中
アンデルソン、ルイス・エンリケ、ガブリ

●カード制裁
ナバーロ


カンプノウが法廷の場となる日

クラブ理事会メンバー、バルサ現監督、そして選手たちが明日のニューキャッスル戦に勝利するためにソシオの援助を要請している。多くのバルセロニスタがカンプノウにかけつけ、難しい状況をむかえているチームを助けて欲しいと呼びかけている。これまで一度として我らがクラブに背を向けたことのないバルセロニスタ、したがって彼らの多くがカンプノウに向かうことになるだろう。だが目的は“12番の選手”となるためだけではない。クラブ会長、監督、そして選手たちに不満を表明するためにカンプノウに集まるのだ。そう、明日はカンプノウが法廷の場となる日だ。

バルサは特殊なクラブだ。それも非常に特殊なクラブだ。あまりにも特殊なクラブゆえ、時として地元カンプノウでの試合でさえ“地元有利”という常識が成り立たないケースがあることはすでに歴史が証明している。そしてそのような歴史の1ページに、再び“地元有利”ではなく“地元不利”という現象が書き込まれる可能性がある明日のニューキャッスル戦。

クラブ理事会はそんなことはもちろん承知しているし、また恐れていることも確かだ。ジョアン・ガスパーの第一の腹心であり副会長を務めるフランチェスク・クロッサはすでに予防線を張っている。
「我々クラブ理事会は無駄な時間を浪費することなく、だが決して急ぐことなく冷静に現状を分析したいと思っている。今の段階でおこなういかなる決断も時期尚早と判断している。なぜなら我々は火曜日には大事なチャンピオンズの試合が待ち受けているからだ。いかなる決断も水曜日まで待つことが最善のことだと思う。」

だが多くのメディアは早急の解決を訴えている。地元スポーツ紙のエスポーツやムンド・デポルティーボ、そして一般紙スポーツ部門の昨日の見出しは、ほとんどが同じトーンでガスパー会長とバンガールの責任追及をおこなっている。それは同時に、多くのバルセロニスタの声と同調しているのも間違いのないことだろう。バルセロニスタにしても早急の解決、そして責任の追及を図ろうとしているのだ。ガスパーが最大の責任者と誰もが認識しているとはいえ、決してバンガールもそれから逃れることはできない。土曜日の深夜にエル・プラット・バルセロナ空港に待ち受けていた何人かのバルセロニスタはラージョ戦から帰ってきたバンガールに対して厳しい追及をおこなっていた。昨日の練習にもかけつけた何人かのソシオもバンガールに対して壮絶な罵声を浴びせていた。今や、ガスパーもバンガールも彼らにとっては同じ穴のムジナだ。

何よりも数字がバルセロニスタの怒りを正当化している。クラブ創立から100年以上の歴史を持ち、そしてスペインリーグという年間を通してのシステムが確立してから、現在のバルサの悪い成績を過去にたどるなら1941年まださかのぼらねばならない。1941−42シーズン、バルサは第13節を消化して同じようにひどい状態をむかえ、そして最終的には二部との入れ替え戦までおこなっているシーズンだ。現在のバルサの置かれている位置、それは首位まで13ポイント、敗北の数字(5試合)が勝利の数字(4試合)を上まわり、最近4試合でわずか1点しか獲得していない悲惨な現状だ。そしてアウエーでの勝利は何と9月14日(ビルバオ戦)を最後として、それ以来記録されていない。

フランチェスク・クロッサが次のように語るとき、彼の言葉の中に一理あることも認めなければならないだろう。
「クラブの危機、危機というが、我々フットボール・クルブ・バルセロナを構成している他のプロセクションも見て欲しいと思う。バスケット、ハンドボール、ローラーホッケー、各セクションでの活躍も正しく評価して欲しい。すべてのセクションがリーグ一位、そしてヨーロッパ一位のポジションにつけているではないか。」
そう、彼の言うことは決して間違ってはいない。だがいつものことながら、肝心のフットボール部門にソシオの関心が一番にいくのも仕方のないことだ。クラブの重要なフットボール部門を支える二人の太い柱、それがガスパーとバンガールであり、彼らに批判がいくのもまた当然のことだ。

■窮地に立つガスパー会長
彼をよく知るクラブ関係者の一人は、ガスパーが会長となってからの最悪の時期をむかえていると認めている。最近の彼は疲労困憊、硬い表情を崩さないガスパーとなっていると語るが、ガスパーはこの状況を乗り切る能力も持ち合わせていると信じるクラブ関係者。そう、確かにガスパーは辞任をする意思はなさそうだ。だがオフィスに閉じこもり気味のガスパーはソシオの前に姿を表し、彼らの意見を聞く姿勢をとるべきであろう。彼は10万ソシオのクラブ会長なのだ。明日のニューキャッスル戦では会長席にあらわれるガスパーには試合開始前後に登場するであろう白いハンカチが待っている。だが彼の恐れていることはその白いハンカチではない。試合に負けた場合に間違いなく起こるであろう10万ソシオによる「ガスパー辞任」の大合唱だ。ニューキャッスル戦はすべてのバルサ関係者にとって単なる3ポイント獲得の試合ではなくなっている。勝利さえすれば一時の安静が訪れ、もし負けるようなことがあればここ何年かの最大級の嵐が吹き荒れることになる。

■解決策を見いだせないバンガール監督
ラージョ戦での試合前日と試合後の彼の表情を見比べれば、バンガールの心境にどのような変化が起きたのか明らかとなる。ラージョ戦に関してはかなり楽観視していたバンガール。だが敗北という結果が彼に大打撃を与えていることが表情からうかがえる。彼が語る「シーズンは長い」ということや「我々はまだ最下位に落ちたわけではない」という発言に見られるように、最悪の状態をむかえているとはいえ巻き返しえの意欲はうかがえるが、彼のノートには具体的な解決策が描かれいないのも確かなことだろう。毎試合、毎試合システムの変更を試み、それと同時に選手たちのポジションをも変更してきたバンガールノートに、具体的な解決策は見あたらない。彼がシーズン当初に抱いていたプロジェクトはもう終わりに近づいているといっても大げさなことではない。キッパリとした具体的な対応策がない限り、このバンガール体制からは明るい将来は見えてこないだろう。バルサが今シーズンどのような成績で終わろうと、来シーズンのバルサベンチに彼の姿がないことを多くの関係者がすでに予想している。だが来シーズンのことは今はどうでもいい。緊急に必要とされているのは、現在のバルサベンチに座っている彼がみせる解決策だ。

■リアクションを見せない選手たち
バンガールの語ることが正しいかどうかは別として、現在のバルサが抱える選手たちの内容を検討する時期が来たのかも知れない。ここ3年間にバルサが獲得した選手の中でここ何試合かでのスタメン選手は3人のアルゼンチン選手、つまりリケルメサビオラ、そしてボナノだけとなっている。ロッケンバック、ジェオバンニジェラールクリスタンバールオーベルマルスエンケ、そして今シーズンの目玉獲得選手であったメンディエタはベンチだ。これが300億ペセタを使って獲得した選手たち。そして多くの選手たちには、ラージョ戦後にむかえた状況を非常に危険なものだという自覚だけはあるようだ。あのデ・ボエルにしても「限界ラインまで来ているかも知れない」と語っている。ボナノ、リケルメ「恥ずかしい状況だと思う」と語り、コクーをはじめ多くの選手が「勝利だけがこの状態を乗り切る唯一のもの」とまで語っている。だがグランドでそれを証明しなければならない彼らは、ラージョ戦では少なくともその意地を示すことなく終わっている。相手に先制されてしまうとそれに対するリアクションができない選手たち。だが今クラブが抱えいるこの悪状態に対してはいかなる行動でもいいからリアクションをしなければならない。ニューキャッスル戦、彼らにとっても将来をかけた戦いだ。