1月8

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明・ロッケン、暗・ジェオ

2001年7月、2100万ユーロを投じて獲得したジェオバンニ。1年目となった昨シーズンは、負傷やチーム事情により出場機会が期待されたほどではなく、そして今シーズンに入ってからはまったくといっていいほど出番がなかったジェオバンニだ。その彼は1年半のバルサ生活を一時的に終了し、ポルトガルのベンフィカへとレンタルされた。一方、彼と一緒に入団してきたロッケンバック、彼はレクレ戦での“ゴラッソ”により本来のロッケンバックが戻ってきたことを確信したようだ。2003年に突入し、この二人の親友を取り巻く環境に微妙な変化が起きようとしている。

“ドゥンガのようにボールを奪い、ロベカルのようにシュートする”これがロッケンバックが考える理想的なプレースタイルだ。久しぶりにスタメン出場したレクレアティーボ戦、この試合で彼としてはほぼ完璧にこのプレースタイルができたと回想する。これまでイタリアメディアを中心として何回も“交換トレード”の商品として登場してきたロッケンバック。彼や彼の代理人にはいっさい知らぬところで発生するニュースであったとはいえ、決して無関心ではいられなかったという彼は、この試合90分プレーすることによりほぼトンネルを抜けきったと感じている。
「クリスマス休暇は身体を休ませることはできたけれど、精神的にはそれほど良いものではなかった。シーズンが始まってほとんど出番がなかったし、移籍の噂がしょっちゅう流れていたり、自分を取り巻く雰囲気はあまり良いものではなかった。でもあのゴールで気分的にすべて吹っ飛んだね。長い、暗いトンネルをやっと出ることができた感じだ。」

彼の持ち味の一つが、強烈なロングシュートであることはもちろん自分で認識しているロッケンバック。個性的な選手として自分の長所を最大限に活かしていこうと考えている。これまで試合での出場機会が少なかったとはいえ、彼は自分の長所をさらに磨くための練習を怠っていたわけではない。シュート力をさらに強烈なものにするために彼が努力してきたことは二つ。一つは練習後に毎日欠かさず通うジムでの筋肉づくり。筋肉をさらに強固なものにしてシュート力の増強を図る。そしてもう一つは彼が尊敬するロベルト・カルロスのシュートの研究。彼はビデオを何回も見てロベルト・カルロスの研究をしているという。

ロッケンバック個人のフットボール観はただ一つ。いかに強烈なシュートを放つことができるか。いかにその強烈なシュートをゴールポスト内に狙い打つことができるか。いかにその強烈なシュートがゴールとなる確率を上げることができるか。ロッケンバックはその強烈なシュートと共に生きる男だ。そして親友のジェオバンニの将来に関しても心配するやさしい心の持ち主でもある。
「彼と離ればなれでプレーすることになるのは寂しいことだけれど、彼にとってプレーチャンスがやって来るという意味で良い決断だったと思っている。ベンフィカで成功してできるだけ早くバルサで一緒にプレーしたい。」

そのジェオバンニ。昨日の夜にベンフィカ首脳陣とバルサ首脳陣、そしてジェオバンニの代理人も含めた三者会談で、今シーズン終了時までのレンタルに同意。あとはジェオバンニに対する年俸の支払方法、そして最終的なジェオバンニ当人のサインをもってこのレンタルが現実化となる。ベンフィカがバルサに支払う半年のレンタル料は25万ユーロで合意。彼が受け取る年俸の100万ユーロは、バルサ側が65%、ベンフィカ側が35%、それぞれ支払うことになる。

今日の午前中はバルサの練習に参加し、午後にはリスボンに向かうことになるジェオバンニ。もしベンフィカの監督であるカマッチョが必要とするなら土曜日のビトリアとの試合に出場することになる。
「バルサでは証明できなかったこと、つまり自分のバルサへの移籍の際に支払われた高額な移籍料が相応しい金額だったということをベンフィカで証明してやろうと思っている。これまでの1年半で自分としてはまったくと言っていいほど納得できる活躍ができなかった。ベンフィカで少しでもプレーするチャンスをもらい、バルセロニスタには見せられなかった本来のジェオバンニのプレーができれば最高だ。そして自分の目的はただ一つ、バルサで成功すること。来シーズンにはバルサに戻ってきてバルサで成功すること。それしか頭にない。」


そして、メンディエタの明暗

メンディエタに何が起きているのだろうか。今シーズン、バンガールが唯一望んだ補強選手としてレンタル移籍してきたメンディエタ。シーズン開始と共にバンガールがなぜ彼を望んだのか、それを証明するように毎試合スタメン選手となってグランドを上に下に走り回っていた彼の姿はもうない。バンガールに何が起きても不思議ではないとはいえ、メンディエタ問題は多くのバルセロニスタにとって不可解なものとなっている。

彼とバンガールの間に何が起きたかは別として、ガイスカ・メンディエタにとって辛い時期に入っていることだけは確かな事実だ。チャンピオンズの予備選を含めて、今シーズンスタートしてから5か月間にわたって“バンガールが選ぶ11人の選手”としてA定食メニューには必ず顔を出していたメンディエタ。その彼がここ何試合かにわたってスタメン出場はおろか、途中出場さえ果たしていない状況が続いている。バルセロニスタの誰一人としてこの状況を理解できるものはいない。

それではいったい彼に何が起きたのか。当事者たちが語らない以上、我々の想像力で状況を分析していくしかない。そして、理由はいくつか考えられるだろう。バルサ対バルソビアのチャンピオンズ予備選を皮切りに、国王杯戦を除き彼は21試合続けてスタメン選手となっている。そして彼が置かれたポジションはほとんどの場合が右サイドを走り回る“カリレーロ”だった。一試合消化するごとに3キロもの体重が減少するといわれる、非常に運動量の多いポジションを彼は長い間にわたって休みなく続けてきた。だが、彼はもちろんスーパーマンではない。しかも彼にとって自然なポジションでもなかった。疲労、疲労、果てしない疲労が彼を襲ってきたとしても何の不思議もない。

11月27日、レバクーゼンとの試合で前半1−0とリードしていたバルサ。後半に入ってからメンディエタは交代してベンチに入った。その瞬間から、まさにその瞬間から、バンガールによる不可思議な“メンディエタ不出場”の試合が続くことになる。ベンチに座っているか、あるいは身体を暖めるためにライン際を走り回っているメンディエタへと変身する。ここ6試合でスタメン出場となったのはわずか1回、途中出場が2回、そして3回は90分間ベンチを温めている。

やり慣れないポジションでのプレーに肉体的にも精神的にすり切れてしまったのか、あるいは一時的なバンガールの気まぐれ現象なのか、それはまだ残っている長いシーズンが明らかにしてくれるだろう。我々の知るメンディエタは不屈の精神を持った選手だ。バスク人特有の不屈の精神を誰にも負けず持っているメンディエタ。彼にはまだ最後の言葉が残されているのは間違いない。彼の自然なポジション、つまり右インテリオールのポジションが生まれた先日のレクレ戦ではロッケンバックがそのポジションを務めた。彼が自然とするポジションがシステム的に生まれながら、彼にはチャンスが生まれなかった。だがメンディエタ、シーズンは長い、間違いなくチャンスがやって来る。それを活かすか活かさないかで来シーズンからの将来が決定することになる。
アニモ!メンディ!
スエルテ!