1月13日

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LIGA 第17
1月12日 20:30
ROSALEDA
MALAGA
vs
FC BARCELONA

 

0 - 0


バルサの“現実”が戻ってきた日

「勝利の予感がする」
試合前日にそう語ったバンガール。だが彼が狙ったものは“負けない”ための試合を目指したプランニングだった。カテゴリー降格ラインにひっかかっているような弱小クラブが狙う“アウエーでの引き分け”作戦。グランドを走り回る選手たちにこのプランニングが精神的に影響を与えないわけがない。かつてレシャックが監督だったころに、リードしている後半にすべての選手が後ろに下がったように、昨日のバルサは試合開始からクルイベルまでバルサ自陣でのプレーとなった。3連勝を目指すというよりは3試合負け知らずを達成するのが精一杯という、バルサの“現実”が見えた試合となった。

バンガールのプランニングは相手に1点も与えないという発想から組み立てられた。そしてそれは見事に成功したと言っていいだろう。彼がお気に入りの普段のディフェンス選手を起用できないにも関わらず、カンテラ選手などや本来は中盤の選手たちを駆使してのディフェンス作り。その意味では完璧なディフェンス・プランニングに成功したと言える。コクーをリベロとし、ちなみにデ・ボエルよりは遙かにいい仕事をしたコクー、そしてジェラールとガブリをダリオ・シルバとデリー・バルデスへのマンマークに、左右のラテラルにはプジョーとモッタを配置する。だがプジョーは同時にムサンパをマンマークしなければならない。そう、創造的なバルサというよりは、いつもの相手をつぶしていくことを優先とするバルサの戦い。人によっては3人ディフェンス、また人によっては5人ディフェンスと呼ぶことができるディフェンスシステム。そしてジェラールが試合開始早々に負傷するというアクシデントがありながらも、二部Bから召集されていたオレゲールが期待通りの活躍を見せる。

前半はひどい内容の試合展開となる。“ひどい”という言葉では生易しすぎるかも知れないほどの“ひどい”試合だった。それはバルサだけではなくマラガも同じだったから余計“ひどい”試合に見えたのだろう。お互いに想像力の欠片もない、どちらかというと守るのも攻めるのも怯えながらの試合展開。クルイベルは味方陣内まで下がってきている。オーベルマルスはどこにいるかさえわからない。デランテロの二人がこのような状態であるのだから、もちろんシュートすることなど問題外の試合となる。シュートなくして、もちろん得点することは不可能だ。

後半の15分も前半45分と同じトーンで試合が展開される。だがロッケンバックに代わって入ってきたリケルメ、そしてその5分後にオーベルマルスの代わりに登場してきたサビオラによって、試合の雰囲気はガラッと変わることになる。試合終了まで残すところ30分弱となったこの試合、彼らの登場によりボールを支配しての奥行きのある試合展開がなされる。だが決してリケルメが我々の期待するリケルメでないことも確かなことだ。サビオラが万全の体調であるとも言えない。それを認めた上で、それでもなお試合のリズムを変えることに成功した二人の選手。

それでもゴールはついに訪れることなしに90分が過ぎていった。試合終了までの10分間、均衡が崩れない試合によくおこるように、あるいは負けることを恐れる二つのチームが戦う時におこるように、最後は相手に得点をされないための試合に逆戻りしてしまうことになった。バルサが貴重な2ポイントを失ったのか、あるいは1ポイント獲得に成功したのか、それは戦いの姿勢を見てみれば明らかだ。バルサは1ポイントを獲得したのだ。

■バンガール監督のお言葉
バルサは勝利することなしにマラガを離れることになった。勝利するためにマラガに来たはずだったバンガールバルサ。それは1年半ぶりの3連勝を祝うための試合としなければならなかったはずだ。それが可能とならなかった以上、彼は決して満足することはできないだろう。事実、試合後の記者会見でもそう語るバンガール。
「我々は0−1という結果を目指して戦うことになった。それは試合展開を見てもらえばわかることだと思う。そしてその結果に値する試合をしたと思っている。残念ながら我々は中盤でのミスが多すぎた。人数的に有利をほこりながらも、個人個人の選手のミスによりその有利さを活かすことができなかったのが勝利できなかった一つの原因だろう。前半の45分間はどちらのチームにとっても決して良い試合展開をしたとは言えない。リケルメやサビオラを投入して勝利を狙った後半にしてもそれほど良いできとはならなかった。」
勝利を狙いながらも目的が達せなかったことが残念だと語るバンガール。果たして前半のバルサを見て、勝利を狙ったというバルサを理解できる人がいるだろうか。だがいずれしても、まだリーグ優勝を狙えると語るバンガール。
「我々はまだ優勝するチャンスは残っている。」
バルセロニスタを奮い立たせる力強い言葉で記者会見を締めくくるバンガール。このマラガ戦との引き分けという結果により“現実”のバルサは、首位のレアル・ソシエダに14ポイント、そしてレアル・マドリに13ポイントと差をつけられたことになる。

■ジェラールの負傷
唇を噛みながら頭を下げてベンチに向かうジェラール。今にも悔しさで泣きだしそうな表情を見せるジェラール。前半11分、本当にアクシデントといっていい負傷のため退場することになるジェラール。彼はバレンシアから我が家であるバルサに戻ってきて2年半となる。そしてこれまで病院通いと練習場通いを繰り返してきたジェラールだ。その彼がやっと新たな希望を抱いてセントラルというポジションでこれまで与えられなかった“継続性”をつかもうとしていた矢先の出来事だった。せっかくつかんだチャンス、これまで待ちに待ったチャンスが今再び崩れようとしていることが悔しかったのだろう。彼は試合後もコメントを避けてバルセロナへと向かうことになる。わずか一言、悔しさでいっぱいであろう胸の内を見せるジェラール。
「ヒザがおかしくなったのがすぐわかった。自分としては続けようとしたんだが・・・無理だった。」
今日の午後にでもおこなわれるヒザの精密検査。昨日の段階では、ドクター・プルーナは最悪の場合を考えて一切の希望願望的な予測を語らない。結果はすべて今日明らかになる。

■孤独なクルイベル
戦術的な問題で前半の45分、そして後半の半分ぐらいにわたって自陣内に下がらなければならなかったクルイベル。時たま前線に上がれば果てしなく孤立状態を迎えたクルイベルだ。リケルメ、サビオラの加入で彼らしい仕事をすることがほんの少し可能となったクルイベルだが、それでもゴールチャンスは生まれなかった。
「正直に言っちゃえば、この試合は誰が見ても退屈な試合だろう。それはプレーしている自分にしてもそうだったんだから間違いないよ。すべてが、そう、一つもうまくいかなかった試合だった。我々の目的は3連勝すること、それだけだったにも関わらず勝利という結果を得るにはほど遠い試合内容だった。そして我々が勝ち取ったものはわずか1ポイント。本当に退屈な試合だった。」