1月14

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ガスパー、バンガール、
新たな歴史を作る二人の人物

古くはバンガール第一次政権から、そしてガスパーが会長となったこの3年前から今シーズンのバルサに至るまで、彼らはバルサの歴史を良い意味でも悪い意味でも塗り替えようとしている“歴史的”な人物だ。チャンピオンズの戦いで10連勝という前代未聞の記録を続けているかと思えば、リーグ戦では順位を見ても試合勝利数を見ても得点数を見ても、あらゆる面から考察しても否定的なものしか見つからないバルサ。それはここ何年かの“補強選手獲得作戦”を見ても、ビックリするほどの“歴史に残る”ような実績を残してきている。もちろん否定的な意味で。

ジェラールが先日語った「リケルメとサビオラは2年後のバルサの大スター選手」という予想は別として、ここ何年かでバルサが獲得した選手の中で、ロナルドリバルド、そしてクルイベル、この3人のみが成功したスター選手となっている。バンガール第一次政権時に多くのジャーナリストが予測した“将来のバルサの危機”は、ガスパーが会長となってから徐々に現実化することになった。それはヌニェス会長の最後の2年間に見られたバルサの補強選手問題と決して無関係ではない。

バンガール第一次政権時において、バルサが獲得した国内選手はわずか一人。それは現在もバルサの在籍中のダニのみだ。バンガールが監督を務めた1987年から3年間にわたってクラブ首脳陣とスカウトたちが彼に提案した補強選手たち、それはモリーナトリスタンエルゲーラバレロンマカーイ、そしてバン・デル・サール。だがバンガールはこの中の誰一人に対しても首を縦には振らなかった。クラブが強く押したマカーイの代わりにバンガールが要求したのがダニ。皮肉にもバンガール監督3年間で唯一加入してきたスペイン人選手だ。

ガスパーが会長となってからの3年間で多くの選手が加入してきている。だが国内選手に限って言えばわずか二人、そしてさらに二人のレンタルによる獲得。つまりジェラールとアルフォンソを買い取り、デラペーニャとメンディエタをレンタルで連れてきた。ジェラールは度重なる負傷で期待された活躍ができないでいるし、アルフォンソはベティスにレンタルされ、デラペーニャは1年で戻され、そしてバンガールの強い要請で加入してきたメンディエタはもう1か月もベンチ生活となっている。

補強選手の獲得は確かに複雑で難しい問題だ。ジェネラルマネージャーを置くクラブが彼の意思で加入選手を獲得しても監督が起用しなければそれまで。また監督の要請で加入してきた選手が何年もの複数年契約で在籍したとしても、監督が変わってしまうとその後は干されてしまうケースが多く見られる。セラ・フェレール時代に獲得した選手、オーベルマルスペティドゥトゥエルジェラールアルフォンソデラペーニャ、現在残っている選手はオーベルマルスとジェラールのみ。そしてレシャック時代に加入してきた選手、サビオラジェオバンニロッケンバックアンデルソンクリスタンバールココボナノ、彼らの中でスタメンとして出場するケースが多いのはボナノのみ。そして今シーズンにバンガールが獲得した選手はリケルメエンケメンディエタ、誰一人としてスタメンでは出場していない。2000万ユーロ以上の資金を浪費してのこの有様が現在のバルサの状況を的確に指摘している。

■そして今、ガスパーとバンガール
冬のマーケットがオープンしてから2週間が経過した。クラブ理事会、そしてバンガール監督も補強の必要性を訴えている。だがそれにも関わらず、バルサはいまだに具体的な加入作戦を展開していない。それはなぜだろうか。多くの関係者が見る限り、クラブの経済的な問題は別として、ガスパー理事会のバンガールに対する不信感が強いからだと言われている。それはこの5か月間のバンガール政権の歴史を分析した結果なのだろう。リバルド放出を条件としてリケルメ獲得にOKを出したバンガールは、セルジ、アベラルド、ココを放出しながらもいっさいの具体的なディフェンス補強プランを提示していなかった。戦術的に合わないロナルドをとるよりも、彼の獲得資金をメンディエタ移籍料に使いとたいと言いながらも、だがそのメンディエタはベンチ生活が続いている。そして何よりもモリエンテス獲得問題が彼らの分裂を生んだと見られている。

「モリエンテスはあくまでもクルイベルにプレッシャーをかけるために必要。」
つまりモリエンテスは控え要員に過ぎないということだった。彼の獲得資金をすでに用意していたバルサ首脳陣はこの発言を聞いてからモリエンテス獲得を突如として中止することになる。控え選手の獲得のためにマドリに莫大な資金を渡す理由など見つからないからだ。そして今またハッセルバインの獲得を要求するバンガール。彼もまた控え選手としての獲得を恐れるバルサ首脳陣。彼らは早急な動きをすることはないだろう。マーケットが閉め切られる1月31日まで、時間を最大の武器として補強選手獲得作戦を煮詰めていくことになる。

■そしてバルサのベンチには
バルサは多くの負傷選手を抱えている。アンデルソン、ルイス・エンリケ、レイジゲル、ナバーロ、トルトレーロ、そして今またジェラールが負傷した。バンガールが活用できる選手が少ないことは誰しもが認めることだ。だがバルサカンテラの存在も決して無視することもできない。これまで長い間、カンテラの面倒を見てきたスタッフのおかげで、そして彼らが育てた有能な選手を起用しようというバンガールの勇気のおかげで、今シーズンは大量のカンテラ育ちがカンプノウに姿を現してきている。

選手数も少ない上に、バンガールノートの中に入り込める選手の数も少ないバルサだ。彼のシステムが正しいのか、これまでの選手の起用が正しいのか、各選手に与えられているポジションが的確なものか、それは第三者が入り込めないものであることを認めよう。だが選手の絶対数が負傷などの理由で足りないのはバルサ百年の歴史のなかで初めてのことではないし、また最後のことでもないだろう。監督のシステムに適用できる選手が少ないのもこれが初めてではないし、最後でもないだろう。こういう状況をどうにかしてバルサは、いやバルサだけではなく多くのビッグクラブと呼ばれるチームが生き残ってきた。そしてバルサが他のクラブに誇れるもの、それは同じような状況を迎えながらも常にヨーロッパの大会に参加してきた唯一のクラブであるということだ。

監督の仕事は、自らのシステムを最大限に有効に展開すること。そして彼が抱える選手の才能を最大限に有効に活用すること。果たしてバルサのベンチに座っている3人のクラック選手が有効に活かされているかどうかとなると、それは誰しもが疑問をもつことだ。昨シーズン、1年目のシーズンでありながら20ゴール以上をマークしたサビオラが昨年以上に有効的に起用されているかどうか。2年前にラウルと共にスペインリーグでの最優秀選手として認められたメンディエタがこれまで彼の自然なポジションで使われたことがあっただろうか。1年目のリケルメがヨーロッパフットボールに慣れるための十分な時間が、そして彼の自然なポジションでのプレーが継続的に与えられただろうか。

カンプノウで白いハンカチが振られてから今日でちょうど1か月が経過した。この1か月でバルサに何らかの変化が起きただろうか。2勝1敗という成績ながら、リーグ順位も首位とのポイント差も、そして二部降格ラインへのポイント数もほとんど変化していない。もちろんバンガールの精神状態にも変化はない。それは彼が昨日語った言葉を聞けばじゅうぶん納得いくだろう。
「もし我々が残りの試合を全勝すれば、我々がリーグ優勝できると信じている。」