1月15

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メンディエタに何があったのか?

多くのバルセロニスタが疑問に思うこと、それはメンディエタに何が起きているのかということだ。彼らにはメンディエタの置かれている状況が理解できない。いや、彼が抱えている状況だけではなく、なぜバンガールは彼を必要としたのか、またその理由がどうであれなぜ今はベンチを温めることになっているのか、そしてレンタル期間が切れる6月には彼をどうしようというのか、バルセロニスタにとってメンディエタに関する疑問は尽きない。

バンガールが望んだ唯一の補強選手、それはもちろんリケルメでもなくエンケでもなく、そう、かつてバレンシアで大活躍を見せたメンディエタだった。彼のクラブ首脳陣に対するこの要求は、1年間のレンタル移籍というものでありながら1100万ユーロの経費が必要となり、一般的に言えば“完全移籍”に近い資金の投入を必要としたのだ。メンディエタの年俸はもちろんバルサが支払わなければならない。彼の年俸は何と手取り600万ユーロという高額なもの。そしてレンタル期間が切れる今年の6月、クラブとしては“完全移籍”としてさらに2400万ユーロをラッチオに支払うか、あるいは1年間のレンタル料として560万ユーロをラッチオに支払いメンディエタを返すかを決めなかればならない。そう、彼をラッチオに戻すとしても560万ユーロが必要となるのだ。

メンディエタが今のようにベンチを温めることが日常となる前、ガスパーは報道陣を前にして語っている。
「メンディエタは来シーズンもバルサに残ることになるだろう。」
それはガスパーにしてみれば当然のことだったに違いない。ロナルド獲得という、ガスパーにしてみれば“してやったり”という状況がありながら、バンガールからは彼を拒絶すると共にその資金をメンディエタ完全移籍のために使いたいとの報告を受けていたのだから。だがバンガールに近い関係者が語るところによれば、メンディエタへの興味はかなり薄くなってきているようだ。メンディエタ獲得というのは、バンガールの個人的な賭けと言ってもいいほどのものであったにも関わらずだ。

カルッチオでの“方向を失った”1年間を経験し、そしてワールドカップでも期待通りの活躍ができなかったメンディエタ。したがってメンディエタにとってバルサというビッグクラブへの入団は、かつての偉大なメンディエタへと戻る絶好のチャンスであったはずだ。バレンシア時代の偉大なメンディエタに戻る、最初にして最後のチャンスかも知れなかった。そして彼は自らの希望と多くのバルセロニスタの期待に応ええるようにシーズンをスタートする。バンガールは彼の活躍に目を細め「バレンシアのメンディエタが戻ってきた」というコメントを何回も繰り返すことになる。バンガールにとって期待通りの活躍を見せるメンディエタ、バルサにとっても、メンディエタにとっても、そして彼に個人的に賭けたバンガールの快調なスタートだった。

メンディエタに与えられたポジションは右カリレーロという、彼にとっては初めてのポジションだ。上へ、下へ、そして上へ、下へ、90分間にわたって止まることなく走り回されるポジションで彼は一試合で3キロの体重消耗を余儀なくされる。11試合続けてスタメン出場を果たすことになるメンディエタは当然ながらバンガールの信頼を一身に受けているという思いであったとしても不思議はなかった。だが、チャンピオンズのレバクーゼンの試合で後半にベンチに下げられてから、彼を取り巻く状況が変化してくる。誰にも説明できない変化が訪れてくる。

レアル・ソシエダ戦で初めてベンチスタートを経験することになるメンディエタ。そしてそれはあくまで偶然の出来事なのか、この試合からバルサは最悪の試合結果が続くことになる。2−1でレアル・ソシエダに敗戦した後、ラージョ戦にも敗戦をきし、そして地元カンプノウではセビージャ相手の“白ハンカチ”が登場した試合となったのは記憶に新しい。バンガールのすべてがかけられたマジョルカ戦でようやくグランドに戻ったメンディエタは、この試合の勝利によってクリスマス休暇明けには再びスタメン出場になるだろうと誰もが予想することになる。彼の状況がさらにひどいものとなるとは誰も予想できなかった。

そういう状況にもかかわらず、メンディエタは決して不満を口にするタイプの選手ではない。監督に説明を求めるわけでもなければ、記者会見で不平不満を語るタイプの選手ではない。そして己の置かれている状況を冷静に見つめるメンディエタは次のように語る。
「かつての自分に戻るのはとてつもなく難しいことだろうね。もう自分の能力がなくなったとかそういうことじゃなくて、当時とはまったく違う内容のことをしなけらばならないんだから。」
彼にとってみればもちろんバンガールに対する批判ではない。自分の置かれている、あるいはシーズンスタート時から置かれていた状況を彼なりに分析しただけのことだ。

彼の置かれている状況を理解できないと語る多くのバルセロニスタ。だがかつてバンガールが最初にバルサの監督を務めた頃に起きたいくつかの“事件”を思い出してみれば納得がいくかも知れない。チャッピー・フェレールをベンチに追いやった選手、その選手は確かオクノボという名前の選手だった。バンガールがフェレールよりは圧倒的にスピードがありディフェンス面でも優れていると評価したオクノボ。彼はいまどこで何をしているのだろうか。右でも左でもエストレーモとして最大の評価をあげられてバンガールが獲得したゼンデン。彼がバルサに来てみて初めてわかったこと、それはセンターリングをあげることのできない選手だということだ。途中から左サイドバックの練習をさせられながらも、半年にわたって一人残ってのセンターリングの練習をさせられた話は有名だ。

彼の独断で獲得した多くの選手たち、ボガルデ、ドゥガりー、シリック、リトゥマネン、デウー、彼らがどうなったかを語る必要もないだろう。だがメンディエタに関しては多くのバルセロニスタの大きな期待があることも確かなことだ。誰もがわからない理由でベンチ生活を続けさせられているメンディエタ。そしてバルサの次の対戦相手は彼がかつて在籍したバレンシアだ。バンガールの“気まぐれ”により、メンディエタの再登場ということもあるかも知れない。


●ジミー・ハッセルバイン
ベンチに座ってスタメン選手にプレッシャーをかけるための選手補強はおこなわないというバルサ首脳陣。それはモリエンテス獲得作戦以来はっきりとしていることだ。だがどうやらバンガールはハッセルバインをスタメン選手として起用するプランがあることをクラブ首脳陣に告げているようだ。クラブ最高首脳陣、つまりガスパー会長、ペレス・ファルゲール、シスタ・カンブラ、そしてクロッソが月曜日に集まり、ハッセルバイン獲得の可能性について話し合いをおこなっている。そこででた結論、彼をスタメン選手として起用するのなら獲得の方向で動き出すというものだった。今、バルサ首脳陣はハッセルバイン獲得に動き出そうとしている。

●ひたすら前を見るジェラール
マラガ戦で負傷したジェラールにとって、昨日は再び新たなスタートとしての日として記録されることになる。1か月、あるいは2か月かかるリハビリ期間といわれる、そのリハビリのスタートの日だ。今日にでも再び精密検査がおこなわれさらに具体的なリハビリ期間が発表されることになる。
「自宅に帰ってテレビであのシーンを見たとき、鳥肌がたってしまった。」
そう語るジェラールだが、もうマラガ戦のことは過去のこととして忘れ、ひたすら前を見てリハビリに励んでいきたいと語る。
「自分に対して、そして自分を応援してくれる人に対して、一つだけ望みたいこと、それは忍耐と我慢だ。忍耐と我慢のみがリハビリを1日でも早く終わらせグランドへの復帰を可能としてくれる。そしていつの日かグランドに戻ることができたら、監督の信頼を再び獲得することできるよう頑張るだけだ。」