1月21

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 土曜日 日曜日

シーズンを救え!

リーグ戦前半の折り返し地点まで残り1試合となった今、バルサの目的はシーズンを救うことに絞られている。クラブの威信をかけて今シーズンを救うこと。残り20試合を総力をあげて戦い、4位以内に入ることができれば良しとしなければならない。そしていまだに残されているチャンピオンズ戦に、可能な限り遠くに行ける戦いを繰り広げること。そしてそのためには何をしなければならないかが問われている。

クラブ理事会は揺れに揺れている。決して同じ考えの基に一致団結しているわけではない。それを端的に証明したのがバレンシア終了と共におこなわれたそれぞれの集まりで見て取れる。

バレンシア戦終了後、会長のガスパー、統合ディレクターのファルゲール、監督のバンガールによる三者会談がおこなわれた。この三者会談自体は別に特別なことでも何でもない。なぜなら各試合後に必ずおこなわれる会談だからだ。だがもちろん内容的には特別なものがあったのは間違いない。約15分で終了したこの会談の後に、普段では考えられない事態が生まれる。ガスパーがすべての選手を召集したのだ。いや選手だけではなくコーチングスタッフをはじめバルサドクター関係者まで召集されることになる。

ルイス・エンリケももちろん参加している。だが試合途中で帰宅してしまったロッケンバックや観客席からそのまま帰宅したクリスタンバール、エンケ、ジェラールも不参加となっていた。召集された全員が集合したところで会長のガスパーがしゃべり始める。
「もしあなた方の中で監督や選手に不信感を少しでも抱いているものがいれば、この場で発言して欲しい。」
もちろん、それは前もって予想されたことだが、誰一人として手を挙げて発言を求めるものは出てこない。ガスパーは続ける。
「見るところ、選手は監督を信頼し、監督は選手たちを信頼しているようだ。選手と監督、そして監督と選手との間にこれだけ信頼感があるということは補強選手をとる必要はないということだと私は理解する。」

多くの選手にとって驚きの発言であったのは言うまでもない。試合前にはほぼハッセルバインの加入をメディアを通じて知っていた彼らだからだ。だが彼らの驚きはさらに続く。
「我々の置かれている状況に関する責任者は、ここに集合しているすべての関係者だと私は理解している。つまり会長である私が責任者の一人であり、クラブ理事会も責任者であり、すべての選手も責任者であり、監督も責任者であり、ドクターたちも責任者だ。すべてのクラブ関係者が責任者だ。」

ガスパーのトーンはさらに高くなる。
「バルセロニスタは早急の解決を要求している。私個人としては監督に対しても選手に対しても完全な信頼感を持っているつもりだ。だが結果がついてこないのであれば何らかの処置をとらなければならない。私はこの非常に難しい状況を放棄して会長を辞めるつもりはない。選手たちを総とっかえすることは不可能だ。したがってもし何らかの処置が必要となれば、監督を更迭し新たな監督を連れてくることになる。それが唯一の解決策だ。」

選手たちはもちろん沈黙したままだ。彼らは会長の演説を聞くしかない。選手たちを変えるわけにはいかない、だが彼らの責任も重大だと語るガスパーはその選手たちにとっては脅迫とも思える発言をする。
「いつかは私は責任をとって辞任する日が来るだろう。それは私はかまわない。だが同時にその時は、あなた方選手の何人かも私と同じ運命をだどることになることを覚悟しておいて欲しい。」

ガスパーの1時間にわたる演説が終了した後、バンガールが一言だけ発言してこの奇妙な会議が終了することになる。
「選手たちにお願いしたい。すべての力を出し切ってこの状況を抜け出して欲しい。」
監督の継続を確認し、選手にさらなる努力を要請する場となったこの会議場。だがもう一つの会場ではまったく違うスタイルの違う結論を出そうとしている会議がおこなわれていた。

副会長たちが集まっての会議がそれだ。シスタ・カンブラ、フランセスク・クロス、エンリック・レイナ、サルバドール・アレマニ、ジョアン・モラス、この5人の副会長が集まって彼ら独自の結論を出そうとしていた。彼らもガスパーたちがおこなっていた会議と同じような時間をかけて、だがまったく違う一つの結論をだしていた。それはバンガールの更迭を即時におこないセルタ戦をスタートとして新たなバルサの構築を図る、それが彼らが出した結論だった。

この二つの会議がおこなわれたのが土曜日のバレンシア戦後の深夜。そしてその翌日、ガスパーと副会長5人との会談がおこなわれることになる。副会長は彼らが出した結論をガスパーに伝える、今すぐにでもバンガールの更迭を要請する副会長たち。だがガスパーはいくつかの理由をもとにその要請を拒否することになる。その理由の一つ、それは現在の監督候補となる人物の中に適当な人物が見つからないこと。そしてもう一つ、それは現在の選手たち、そして監督が唯一現在の状況を乗り切る責任者であり彼らにはその能力があることを信じていること。

納得しない副会長たちにガスパーは一つの要請をする。2週間の時間を、最高でも2週間の時間をくれということだった。つまりセルタ戦、At.マドリ戦まで様子を見て欲しいという要請だった。だがセルタ戦にもし敗戦するようなことがあれば、話し合いは再びおこなおうというものだった。いずれにしても彼らの目的は一つだ。残りの試合をどうにか勝ち続けて今シーズンのバルサを救わなければならない、そのための最善の方法を模索しなければならない。2週間の猶予を要請したガスパーだが、それが手遅れにならないという保証はどこにもない。あと、2週間、限りなく長い2週間をバルサ関係者は過ごすことになる。


●多くの監督候補
ラドミール・アンティック、アルベルト・ザチェローニ、ルイス・メノッティ、ベルン・シュステル、キケ・コスタス、リフェ、レシャック、多くの監督候補者の名前をメディアはあげている。そんな中で最もユニークであり、誰しもが想像できなかった一人の人物を地元テレビであるTV3がニュースの中で伝えていた。その監督候補の名は、ルイス・エンリケ。選手兼監督として彼の名前があがっていた。

●アンデルソン、やっとトンネルを脱出
アンデルソン復帰に向けて大きな一歩となった昨日。10月28日に手術をしてから一人リハビリに励んでいたアンデルソンだ。これまでトレーナーとの緩いリズムでの走り込みをおこなってきていたが、昨日ついにボールを使っての練習が許可された。
「痛みも感じなかったし、手術した箇所がどこだかわからないぐらい普通の感じだった。今考えていることはただ一つ、1日でも早く合同練習に参加してそして試合に出場すること。ようやくその可能性が現実として見えてきた。嬉しい。」
ドクター陣の予定では2月に入り次第、アンデルソンを合同練習に参加させるという。

●ロッケンバック、故郷へ
クラブ側の発表のみのニュースとなっているが、ロッケンバックはすでにクラブの許可を得てブラジルに帰国しているという。バレンシア戦終了後からいっさいのメディオとの接触を避けてきたロッケンバックのこの突然の帰国は“家庭内の問題”としかクラブ側は発表していない。いずれにしても木曜日にはバルセロナに戻ってくる予定であるという。