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アンティック風“A定食”

アンティックに時間はない。日曜日の大事な、大事な、大事なビルバオ戦まであと3日と迫っている。しかもバルサの指揮をとってからまだ3日しかたっていないアンティック。この限られた時間の中で可能な限りの最高の“A定食”を料理するには素材をいかすことしかない。最高の素材を持った11人の選手を起用しての準備を、しかも早急に始めなければならない。

アンティックの頭の中にはすでに“A定食”を構成する11人の選手たちの姿が明確に浮かび上がっている。彼には時間がない。そう、時間がないことは監督就任を引き受けた時点ではっきりしていることでもあった。だが彼にとって幸いなことは、これまでのバルサの試合をすべて見てきており、バルサの選手のことがすでに頭の中にインプットされていたことだろう。したがって時間がないとはいえ、初めて見る選手でもないし彼らのことを知らないわけでもない。そしてビルバオ戦に備えてのテストはすでにカディス戦という親善試合で済ましている。

彼が試みようとするシステムは4−4−2。あるいは4−1−3−2と呼んでもいいかも知れない。キーパーにはボナノをそのまま起用する考えだ。ディフェンスを構成する4人の選手たち、左からソリン、デ・ボエル。プジョー、レイジゲル。彼らの前にピボッテとしてチャビが入り、その斜め前にコクー、メンディエタがそれぞれ左右インテリオールの選手として配置されるだろう。メディアプンタとしてリケルメ、その前に二人のプンタとしてクルイベルサビオラが入りゴールを狙う。これまでのバンガール時代と違うところは若手選手の起用が少ないところだろう。アンティックはこの難しい状況をむかえているバルサが奈落の底から抜け出すまでは、とりあえず経験豊かな選手の起用をベースに戦っていく覚悟だ。

■オーベルマルス
11人の選手の中にオーベルマルスの名前はない。だがアンティックは彼に大きな期待を寄せる監督だ。オーベルマルスは後半にリズムを変えるための貴重な選手としてベンチスタートとなるだろう。彼の持ち味であるスピードと一対一の勝負強さ、そして試合のリズムを変えるために彼には多くの期待がかかる。だがこれまで違うところは左ではなく右サイドでプレーすることになることだ。

■アンデルソン、ルイス・エンリケ
アンティックが望む“鉄のような固さ”を持ったセントラルの選手、理想的な選手としてはアンデルソンとなる。リハビリの最終時点をむかえている彼だが、残念なことに今すぐの復帰は無理というもの。少なくても2月下旬まで待たないとならない。そしてルイス・エンリケにももちろん大きな期待を寄せるアンティック。すでにレアル・マドリの監督時代に彼のことは知り尽くしている。彼の復帰も3月はじめまで待たなければならない。

■ガブリ、モッタ、イニエスタ
At.マドリやオビエドの監督時代に何回もガブリの獲得を狙ったアンティックだけに、ガブリにかける期待も大きいが、彼もまたいまのところ負傷中。だがエスパニョール戦には復帰が可能とみられている。もちろん若手のモッタやイニエスタもベンチスタートとなるが後半での出番が必ずあるだろう。特にモッタはベテラン選手となったコクーの代わりとして後半に登場してくる機会が増える感じだ。そしてイニエスタの出番はリケルメやチャビの代わりとなって実現すると思われる。

■そして監督と選手たち
精神的に落ち込んでいる選手たちを見るのはアンティックにとって初めての経験ではない。チーム状況が悪ければ練習風景も暗いものとなるのは致し方ないこと。だが肉体的な強化もさることながら、精神的な落ち込みから救い出すのも今のような状況では肝心なことだ。
昨日の練習は足を使ってのバレーボール、いわゆる“フット・ボレー”にかなりの時間をさいた。彼は腕を組み、その練習を見ながら大声で叫んでいた。
「さあ、元気を出して!楽しくいこう!そう!そう!」
「ゲーム中にしゃべるのは禁止されていないぞ!もっと楽しくやれ!」

アンデルソンやジェラールはこのゲームに参加していないものの、練習そのものには顔をだしている。そして二人とも何らかの変化が起きていることを認めている。ジェラールは次のように語っている。
「今のような状況になったら監督の交代というのは素直に受け入れないといけいないと思う。現状打破するには環境の変化がどうしても必要だからね。そしてまだわずか3日しかたっていないけれど、我々選手の精神的な部分での変化が確実に起きてきていると思う。我々はアンティックのことを信じていかなければ。」