2月7日

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秒読み段階か、ガスパー辞任

自ら望んで会長になろうとしたのではなく、状況がそうさせてしまったバルサ会長のガスパー。これまで2年半にわたって多くの批判を浴びながらクラブの再建に最後の力を絞ろうとしてきていた彼だが、精神的にも肉体的にも大きなプレッシャーの前に倒れる寸前だ。4月1日に開かれることが決まったソシオ代表の参加するクラブ特別委員会を待たずに、ガスパーが辞任する可能性もでてきている。

サルバドール・アレマニー、ガスパーの親友にしてこれまで一緒に長い期間にわたってクラブ理事会を形成し、ガスパー政権のもとでは副会長を務めてきた。だがそのアレマニーもついに辞任をすることを決意した。これまで噂には上っていた辞任騒ぎであるとはいえ、ガスパーにとってはショッキングなことだっただろう。彼はガスパーにとって、いわゆる“身内”の副会長の一人であり、その意味で本格的に内部崩壊が始まってきていることを示している。しかもガスパーにはアレマニー以外にも、さらに“身内”の理事会員の辞任が噂として告げられている。

ガスパーにとって保身をはかるための唯一の“盾”となっていたバンガールはもういない。ソシオ、シンパ、そしてバルセロニスタの直接攻撃を避けるための“盾”となっていたバンガールはすでにシッチェスの自宅でのんびり過ごす身となっている。したがってガスパーはバルセロニスタからの直接攻撃をもろに受けることになる。多くの人々が望んでいたバンガール更迭、そしてアンティックの監督就任という事実で、バルセロニスタに少しは明るい材料を提供したことだけではもう攻撃を逃れられない状況となっている。

普通の、ごく普通のソシオの“声なき声”はガスパーには届かない。だがカタルーニャの多くの政治家からのプレッシャー、メディアに登場する機会の多い有名人からのプレッシャー、元バルサの選手であったり監督であったりした人々からのプレッシャー、そして何よりも、エスポーツ紙とかムンド・デポルティーボ紙などのスポーツ関係メディアや、ラ・バンガルディア、エル・ペリオディコ、エル・パイスなどの一般紙からの壮絶なプレッシャーを連日受けているガスパーだ。それは彼だけでなく、彼を取り囲む“身内”連中にしても同じことだ。

ガスパーの親戚の一人でありクラブ副会長を務めるフランセスク・クロッサは当然ながらガスパーから最大の信頼を得ている人物だ。そしてそのクロッサと共に何人かのガスパー腹心の理事会メンバーもここ最近ガスパーに忠告をし始めている。忠告という言葉が悪ければ助言といってもいい。理事会員であると共にバルセロニスタである彼らは、ガスパーの会長辞任という出来事がクラブの冷静さを保つために必要な時期に来ていると判断しているようだ。しかも彼らに輪をかけてバルセロニスタであるガスパーにとってもプレッシャーに耐える限界に近づいていると判断している。

“無責任なバルセロニスタ”、ソシオから彼に投げかけられるこの言葉はガスパーにとって最も辛いことだろう。すべての時間をさいてバルサのために働いてきたガスパーにとって、メディアや元バルサ選手や監督、そして政治家などのプレッシャーより“声なき声”のソシオからのプレッシャーが最も辛いことであることは間違いない。4月1日におこなわれるソシオ代表を召集してのクラブ特別委員会で辞任発表するか、あるいはそれを待たずに辞任を公表するか、今となってはすべてが可能な状態となっている。


野次馬か、真のバルセロニスタか?

“クラブ以上の存在”として知られるバルサ、それは良い意味でも悪い意味でも確かなことだ。それは特に今のような状況を迎えている時にクラブを取り囲む“実体”が顔を出してくる。政治家にとっても弁護士や文学者にとっても決して無関心ではいられないバルサの現状。これらの多くの人々がメディアに登場し意見を述べる。もちろんその中には単なる名前を売るだけの野次馬や、ひたすら権力の座を狙う者、あるいは悪い状況の時にしか顔を出さないお調子者もいる。

■ヨハン・クライフ
ご存知ヨハン・クライフ。多くのバルセロニスタにとって英雄の一人であり、現在はご意見番の一人となってクラブ内部には絶対に関わりを持つことを拒否している人物。彼に言わせればヌニェス政権の延長上にあるガスパー政権であるからこそ、クラブとの関係を持ちたくないということになる。だが石を投げることはしても、決してその責任をとろうとしない人物でもある。
「ガスパー一人が悪いという問題でもない。したがって誰々の責任だからその人物を辞めさせれば済む、そういう問題ではないだろう。まず現在のバルサがしなければならないこと、それは第一にここ何年かひどい状態が続いている原因を分析すること。そして第二に、それぞれの責任ある人物がそれぞれ問題の原因を分析し、それを持って話し合うこと。個人的に言えば、現在のバルサが抱えている問題は非常に重たく大きいものだと思う。」

それでは具体的にどのようにしていけばいいのか。それは才能ある若い人たちのアイデアを尊重することだという。
「問題は非常に重大となっているバルサだから、私みたいな年寄りではエネルギー不足だと思う。個人的には今の生活に不足しているものはないし、今さら難しいことに顔を突っ込む気もない。こういう状態を救っていくの若い人たちが、それも才能あふれる若い人たちが指揮をとっていかなければ。私はチキ・ベルギンスタインなんかが適任だと思う。」

■ラモン・フステ
ヌニェス政権時代に理事会員を務め、彼の辞任と共にクラブを去っていった。したがってガスパーが会長に選ばれた選挙戦では彼は立候補していない。だが次期会長候補としてガスパーが会長に就任した時点からすでに動き始めているラモン・フステ。彼は親友の一人であるバンガールが更迭された翌日にガスパー政権に対して“不信任動議”を発表した人物だ。
「クラブが我々の不信任動議を認めようが認めまいが予定通り運動していくつもりだ。ソシオの同意を得る最初の運動がおこなわれるのは日曜日のビルバオ戦となる。だが誤解してもらっては困る。我々はバルセロニスタであり、決してビルバオの勝利を望んでいるわけではない。それどころか私はすべてのソシオに要請したい。日曜日はカンプノウにかけつけバルサの応援を、難しい状況を迎えているバルサに対してできる限りの応援をして欲しい。ソシオが不満感を持ったら白ハンカチを振るのもいいだろう。だが試合中だけはそんなことを忘れて90分間にわたってチームを応援して欲しい。」

■ジョセップ・ピケ
アスナール保守内閣で科学技術長官を務めるカタラン人政治家のジョセップ・ピケ。彼もまたバルサのソシオの一人である。
「バンガールが更迭されてアンティックになって少しは我々にも希望がでてきた感じだ。だが私は他の政治家と違って、バルサ内部のことには口を出さない主義。しょっちゅうメディアに登場し発言している政治家連中は選挙のことを考えておこなっていると言われてもしょうがないだろう。だが私は違う。バルサ内部のことには口をださない。だが一人のソシオとして言わせてもらえば、そう、やはりガスパーは辞任すべきだ。」