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LIGA 第21
2月9日 20:30
CAMP NOU 70,000人
FC BARCELONA
vs
ATHLETIC BILBAO

 

2 - 2


変わらないもの、それは・・・

先週1週間の間に大きな変化があったバルサ。昨日、カンプノウの会長席に座っていたガスパーは3月1日までの期限付き会長となっていたし、ベンチにはバンガールの顔はない。わずか5日間の練習をもって明らかにチームのイメージを変えたアンティック、だが“運”までは変えることができなかった。

バンガールバルサとは明らかに違う顔を持ったアンティックバルサであった。これまでボールタッチが何よりも重要な問題とされてきた戦い方から、相手のゴールに向かって一直線に攻撃を展開するダイレクトフットボールへの変化。ソリンというラテラル選手一人だけの変化という、これまでとほぼ同じメンバーでの戦いでありながらバルサは確かに変化を見せた。だが昨日の、少なくても昨日のアンティックバルサは残念ながら二つの顔を持つチームだった。これまでになく希望を持たせる前半のバルサ、そして失望を感じさせる後半のバルサ。

希望にあふれた前半のバルサ、それはこれまでの難解な“発明”を捨て、自然な形で選手をグランドの中に配置することから始まった。ディフェンスはごく普通の4人ディフェンス。プジョーとデ・ボエルがしっかりと真ん中を守り、左右のラテラルどちらかが機を見て攻撃に参加していく。チャビとコクーの二人ピボッテは横一直線に並ぶことを避け、一人がディフェンス面を担当、もう一人が攻撃的にプレーを展開していく。右にオーベルマルス、左にメンディエタと配置されたインテリオールの選手たちは攻撃時にはエストレーモとなりセンターリングのチャンスを探る。そして相手ゴールにより近くクルイベルとサビオラが、この二人は決して横一線に並ぶことなくそれぞれがお互いを助けるポジショニングとなる。最初の1点は右のオーベルマルスからのセンターリングをサビオラが決め、2点目はオーベルマルス自らがゴラッソを決めた。

前半のバルサが光り輝いたものであったかと言えばそれは少し大げさな表現となるだろう。それでもこれまでのバルサの試合内容に比べれば明らかに希望が持てるものだった。各選手がそれぞれ目的を持ち、それぞれのポジションに配置され、ボールを持った瞬間に左右のサイドに開き、そしてダイレクトに、ひたすらダイレクトに攻撃がおこなわれていく。

アンティックが監督に就任した際に、現在のバルサが抱えている一つの大きな問題を提示したことを覚えているだろうか。これまでテレビ観戦ながらすべてのバルサの試合を見てきたアンティックにとって理解できないこと、それは後半に入ってからの選手の動きの悪さだった。
「体調が100%の形で仕上がっていない」
これがアンティックの最初の分析だった。したがって彼は初日から走ることをもって練習を開始した。だが彼が監督に就任してからまだ5日しかたっていない。彼の分析した“悪いバルサ”が顔を見せる後半となった。

バンガールバルサに“幸運”がやって来なかったように、昨日のアンティックバルサにも“幸運”は訪れなかった。後半開始2分、マドリッド出身の審判はペナルティーエリア外のファールをペナルティーとして笛を吹いた。メヒア・ダビラ審判、これまで何回もバルサの試合に笛を吹いて問題となっていた審判の一人だ。そして今回も彼は決してバルサ有利の笛を吹くことなく90分の試合を終了している。だがビルバオがあげた同点ゴールは彼のせいではない。ペナルティーエリア内でまるでビリヤードのボールのように何回も“壁”に当たったボールが最終的にビルバオ選手の足下にたどり着き、運のない失点を許すことになる。

自信を失った選手たち、勝利者ではなく敗北者の精神を抱えてしまっている選手たち、頭脳を働かせるというよりは心だけでプレーし続ける選手たち、そういう彼らにとって同点にされてからの反撃を望むのは難しいことだ。メンディエタに代わってリケルメが登場しても状況に大きな変化は訪れない。オーベルマルスは右サイドから意味不明にも姿を消してしまっている。サイド攻撃が不可能となったバルサは中央攻撃を試みるが、ビルバオの厚いディフェンスの前にボールは通らない。アンティックバルサのスタートは、こうして二つの明らかに違う顔を見せ、そして“運”にも見放されて2ポイントを失う結果となった。

■アンティックの総括
親善試合のカディス戦と違い、アンティックには多くの問題点が明らかになったようだ。結果がでなかったとはいえこの試合を肯定的に考えるアンティックだ。もちろん結果には満足していないものの、内容そのものには満足していると語る。
「否定的なことよりも肯定的なことが多く見られた90分だと思っている。前半に関して語れば試合前に準備したとおりの展開となったと言える。右足利きのオーベルマルスを右サイドに配置したのは自然なことであり、しかもメンディエタとかリケルメは左から中に入ってくる傾向のある選手。二人とも期待通りのプレーをしてくれた。だが我々の努力を無駄にしてくれたのは、ありもしないペナルティーをとられたことと無関係ではないだろう。精神的に100%の勝利者となっていない、それはこれまでの否定的な結果がそうさせているわけだが、そのような精神状態の中で後半開始2分ぐらいで1点とられたのは大きかった。だがそんな不運を嘆いていてもしょうがない。私アンティックはこのバルサは必ずリアクションしていくという確信を得ている。結果的に勝利の3ポイントがとれなかったのは残念だが、次のダービー戦に勝利していくしかない。」

■ソリンのデビュー
ソリンにとって憧れのカンプノウでのデビュー戦。勝利こそ飾れなかったものの、彼の記憶に残るものとなるだろう。彼が最初にボールに触ったのは試合開始2分。
「カンプノウへようこそ!」
新しい選手が来るたびにおこなわれる観客席からの大きな拍手が彼にも送られる。そう、彼はバルサの選手としてついに地元カンプノウでデビューを飾ることができた。
「チームが勝たなかったときに個人的なことに関して語る習慣はないんだ。それでもバルセロニスタの人々には感謝の言葉をおくらないといけないね。最初の瞬間から自分のことを暖かく見守ってくれたバルセロニスタには本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。」
コクー、あるいはメンディエタとのコンビネーションが初日からスムーズに運ぶことができた。左ラテラルとしてスタートし、試合終了間際には左エストレーモとしてプレーしたソリン。
「どんなときも攻撃に参加することは好きさ。でもあくまでも自分はディフェンスの選手だから、攻撃参加の時には“まさか”という感じで登場していかないとね。相手に驚きを与えるような攻撃参加をしなくては。その意味では、しかも初日としては満足できる出来だったと思う。」