2月13

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バルセロニスタの勝利

何か月も前からのガスパーに対するバルセロニスタのプレッシャー、それは即時の会長職辞任要求としてガスパーに突きつけられたものだった。最悪でも“ソシオを前にしての辞任”を考えていたガスパーは“Xデー”を4月1日と指定した。だが大きなプレッシャーの前に、それよりも1か月早い3月1日を辞任日としたのがつい先日。だがそれでもバルセロニスタの強いプレッシャーは収まらない。そして彼はついに昨日の夜、会長職辞任の発表をメディアを前にしておこなうハメとなった。

長い間“重体状態”が続いているバルサ。だがクラブの歴史が示すように、幸運にも基本的な部分では健康的なものが残っているバルサでもある。それはクラブがどのような状態であろうと、クラブを支えるのはソシオであり、シンパであり、世界中に広がるバルセロニスタであるということだ。ガスパーの会長職辞任、それはバルセロニスタの“声なき声”によるプレッシャーと、カンプノウでのソシオによる具体的な意思表示によるプレッシャーによって実現したことを意味する。つまるところバルセロニズムの勝利と言っても大げさではないだろう。そしてその声を真剣に受け止める時期が遅れたとはいえ、ついに要求に応じることになったガスパーに対しても感謝しなければならない。

バルサソシオとなってから今年で50周年を迎え、クラブ理事会メンバーとなってから25年を経過したジョアン・ガスパー。彼にとってバルサというクラブへの愛情がまさしく“宗教”であったのなら、昨日の会長辞任の記者会見は彼にとって最後のミサと呼んでもおかしくない。だが彼の名誉のために付け加えるとすれば、クラブ会長ガスパーとしての最後のミサであり、死ぬまでバルセロニスタと公言する彼にとってミサの習慣は永遠に続くことになるだろう。ジョアン・ガスパー、彼はすでにクラブにとって歴史の人物として消えていくことになる。それもあらゆる意味で非常に“特殊”な会長として。

一昨日の午後から突然のようにバルセロナで沸きあがった“ガスパー即時辞任”の噂。それを証明するかのように昨日の午後7時にクラブ緊急理事会が開かれた。それから2時間半後、すでに理事会員たちには辞表を表明したガスパーが記者会見を召集したのが21時半のことだった。これまでになくスッキリとした表情であらわれた彼は、淡々とこれまでのことを振り返り辞任に至るまでの経過共々将来のことに関しても語った。

「クラブ会長としては最後の仕事として、これからの記者会見をおこないます。人生の中で最も愛する組織、25年間にわたってすべての時間と精力を費やし組織に良かれと思って働いてきたこの私ガスパーが、今日を最後にクラブを離れることになります。これまで多くの会長が辞任する際に語られてきた、そう、個人的な問題だとか、あるいは家族の問題だとか、そういう理由は私には似合わない。今回の会長職辞任の理由、それは単純にして明快な理由によるものです。それは私の辞任が、クラブにとって最高に役にたつことだと考えたからです。私が最も愛するクラブにとって最良の方法だと信じたからこそ私は辞任を決意することにしました。」

「私の前にいるメディアに人々にもこれまでの協力と援助に関してお礼を言っておきたい。25年間にわたってある時は副会長として、そしてある時は会長としての自分に、そして何よりもバルサというクラブに協力と援助を惜しまなかったメディアの方々に感謝しておきたい。もしこれまでの私の行動で気に入らなかったことがあったとしてらこの機会を利用して謝っておこうと思う。だがこれまでもそうであったように、そして今後もそうであるように、あなた方との友情は消えることはないだろう。バルサを愛するという、その想いを共有しているあなた方とのつき合いは今後も続くことを期待している。」

「これまでの25年間、私が愛するバルサのために働けて幸せの一言に尽きる想いだ。可能な限りの個人的な時間とエネルギーを消費してクラブのために働いてきたことを非常に誇りに思っている。これで私はクラブを去ることになるわけだが、だからといって家に引きこもるつもりはない。なぜなら多くのソシオと同じように、カンプノウも私の家の一つだからだ。そして新たな会長が、ソシオによる選挙で選ばれた会長が、もし私のささやかな協力が必要だというのなら何でもする覚悟がある。これまでと同じように、クラブのためなら何でもする覚悟と気持ちは決して消え去らない。ガードマンが必要というのなら、芝の手入れが必要というのなら、あるいは観客席の手入れが必要というのなら、何でも協力しよう。」

「誰がいつ選挙で会長として選ばれることになるのか、それは今後のチームの状況次第と言っていいだろう。だが誰が会長に選ばれたとしても私はその人物を尊重していきたいと思う。ガスパーが会長としておこなった多くの誤りを繰り返さないように、そしてガスパーが絶えなければならなかった多くの批判やプレッシャーが起きないように、最大の幸運を新会長に期待したいと思う。人生がそうであるように、新会長にとってもいい時期だけではないだろう。だがどんなに悪い時期をむかえようと、私は一人のソシオとして決してハンカチだけは降らないことを宣言しておこう。私のバルサに対する愛情は、会長とか状況を越えたところに存在する。なぜなら私にとってバルサは一つの“宗教”だからだ。ビスカ・バルサ!ビスカ・カタルーニャ!」

この記者会見が終了した時点で、バルサの臨時会長はエンリック・レイナとなった。彼がいつまで臨時会長を務めることになるのか、それはチャンピオンズでの成績次第となる。チャンピオンズの戦いでバルサが姿を消した瞬間、その瞬間こそ、新たな新会長選手のスタートの日となる。願わくば、すべてのバルセロニスタが願うこと、それはその瞬間が5月28日以降となることだろう。