2月19

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Champions League
2月18日 20:45
CAMP NOU 82,417人
FC BARCELONA
vs
INTER

 

3 - 0


オレッ!オレッ!オレッ!
オ〜〜〜レ〜〜〜!

フィエスタ、そう、フィエスタはいつかやって来る。カンプノウでのフィエスタはどんなシーズンでも必ずやって来る。もうそろそろ、そのフィエスタがやって来る時間だった。フィエスタがやって来なければならない時間だった。これまで何か月にもわたって続いた退屈な試合、会長席やベンチに向けられた毎度お馴染みの白いハンカチ、そしてクラブの危機状態。それらの悪しき“過去”を葬り去り、本来フィエスタ会場として存在しなければならないカンプノウに“オレッ!”の花が咲く。カルッチオで首位を走るインテル相手の90分間にわたる試合が終了し、誇り高きバルサの名前は世界中のメディアの間で黄金の文字で示されることになるだろう。

バンガールが“悪魔”でありラドミール・アンティッックが“女神”なのか、それは神のみぞ知るところとなる。通俗な人間である我々が知りうること、それはアンティックが監督に就任してからのわずか3試合という時間経過を見る限り、バルサは“バルサらしさ”を取り戻したということだろう。もうこのチームに“発明品”は存在しないし、相手チームの戦い方に合わせたカメレオンスタイルも存在しない。各選手がそれぞれに適したポジションに配置され、したがってそれぞれの選手が“知っている”ことを可能な限り表現していくことを要求されるだけだ。ガブリがセントラルとなってゴール前を守る必要もなければ、サビオラが相手ディフェンスをマークし自陣深くまで追いかけて行く必要もない。パンはパン職人が作るもので、決して左官屋が作るものではない。

グランドを走り回りボールを走りまわす11人の選手は1か月前とほとんど変わっていない。唯一の変化、それはガスパーの辞任により会長席が主役の場ではなくなったこと、そしてベンチにはノートや携帯電話やノートブック型パソコンの姿が消えたことだろう。コーチ陣の視線はグランドに集中し試合の流れを読むことに費やされ、ノートをとることから解放されている。そしてグランドに立つ同じ11人の選手はそれぞれがそれぞれのポジションに置かれ、しかも決して相手の戦術に対応するために動くのではなく自らの戦術にしたがって動きまわっている。

アンティックは自ら認めるように“普通”の監督だ。そう、ごく“普通”の監督ではあるけれども、同時にドクター・アンティックでもある。これまでの悪しき状況を迎えている最大の原因、それを選手たちの精神的なものにあると理解したドクター・アンティック。彼は監督に就任してからこれまで精神科医としての仕事をおこなってきた。複雑怪奇なバンガールシステムにより多くの選手の頭の中がゴチャゴチャになっていることから彼らを解放しなければならない、それが彼の最初の仕事だった。そしてそれが徐々に功を奏してきている。

彼が“普通”の監督であることは“常識”的な発想でプランニングしたことからもわかるだろう。ソリンというバルサ唯一の左ラテラル選手の穴を埋めたのはレイジゲル。そしてそのレイジゲルの自然なポジションである右ラテラルにはガブリを入れる。そして疲れの見えているメンディエタを休ませモッタを起用。これらの変化以外、システムも何もかもエスパニョール戦と同じだ。つまり二人ピボッテであるチャビとコクーをそれぞれ対角線上に配置し、左インテリオールのモッタをやや守備的に、右インテリオールのオーベルマルスを攻撃的に活用、前線にはクルイベルとサビオラをいつものように配置した。

チャンピオンズリーグが誕生してから例を見ない11試合連続勝利の記録達成に向けて、まずその口火を切ったのは“生き返った”コネッホ・サビオラだった。試合開始7分、チャビからの縦パスを受けたコネッホがゴールに向かって突進する。一匹、二匹抜いてゴール小屋にボールが突き刺さるゴラッソ。バルサ有利に展開していくことを許したこのゴールは、同時に眠っていたインテルの選手を目をさますことにもなる。レコバ、ビエリがバルサゴール前を何回にもわたって脅かす。だがバルサ守備人はスーパープジョーを太い柱としてインテルの攻撃を必死になって防ぐ。そしてそのバルサに待望の追加点が訪れるのはコーナーキックからのものだった。クルイベルの放ったシュートがトルドにはじき返され、行き場を失ったボールはなぜかコクーの足下に、そしてそのボールは1秒後にはトルドの脇を抜けてバルサ2点目だ。

勝利を祝うフィエスタにはデザートがついていた。“得意のゴール”が決まらず苦しみ抜いていたクルイベルに待望のゴール、そして我らがカピタン・ルイス・エンリケがグランドに戻ってきた。お帰り!ガッツ・エンリケ!

■ドクトール・アンティック
満面に笑みを浮かべて記者会見場にあらわれたアンティック。バンガールバルサがチャンピオンズ10連勝を記録し、そして彼が11連勝という新記録を樹立した立て役者だ。だが彼は主役になることを拒否する。勝利するも敗北するもすべて選手が主役とならなければならないと考えるアンティックの姿がそこにある。
「今は少し喜びすぎだということはわかっているけれど、それは許して欲しいと思う。もう我々は土曜日のベティス戦を考えなければならないことは承知しているが今晩だけは喜びを感じて過ごしたいと思う。明日の練習には一番先に私が行くことを約束しておこう。だから今感じている喜びをじゃましないで欲しい。」

彼の喜びは選手たちがキッチリと仕事をしたことにある。そして何よりもスタディアムが一体となってフィエスタの場となったことが嬉しい。
「すべての観点から見ても我々はほぼ完璧な試合をしたと言えるだろう。グランドで走り回った選手だけではなく、出場するチャンスが訪れなかったすべての選手に感謝している。一人一人がそれぞれの方法でこの試合を戦うことができた。監督、選手、そしてバルセロニスタがそれぞれの仕事を果たして今日の勝利を飾ることができた。プレーした選手たちはそれぞれしなければならないことをし、控えとなった選手たちは走り回る選手たちを激励し、そして8万人以上のバルセロニスタは素晴らしい応援をしてくれた。これ以上のことは望むことができない。」


■ボナノ(6)
ゴールを一つも許さなかったとはいえ、ハラハラドキドキボナノだ。足芸が得意でないとはいえ、もう少しどうにかならないもんか。

■ガブリ(8)
右ラテラルという、彼にとってはこれまで何回も守ってきたポジションではあるが、彼の本来のポジションでもないことも確か。それでもそれなりにカンテラガッツを持って90分プレー。攻撃に参加したときの生き生きとしたガブリが印象的。
オーレー!ガブリエ〜ル!

■デ・ボエル(8)
皮肉になことにオランダ人監督が去りセルビア人監督が来てから彼らしさが戻ってきた。スピードこそないもののベテランの味をしっかりと出し、インテルの若手小僧どもを粉砕。
オーレー!ベテラ〜ン!

■プジョー(10)
スーパー、スーパー、スーパー・プジョーが90分にわたりスーパーなプレーを披露。年俸では依然として勝ち目はないけれど、二人の似非スーパーレコバ、ビエリを沈めまくった。スーパーとはプジョーのためにある言葉として再認識。
オオオオオッレー!オオオオオッレー!スーパープジョー!

■レイジゲル(7)
左足はイマイチの彼から出されるパスは、あっちへ行ったりこっちへ行ったり。彼本来の位置ではないのだからあまり高望みしては可哀想。もともと右にいてもそれほどいいパスは望めないのだから。

■チャビ(9)
バレンシアクーペルがペップを封殺することに労力を費やしたのに、インテルクーペルはすでにそれを忘れてしまったかのようにチャビを自由にしてしまった。水の中のカッパのようにスイスイのチャビ。右へ左へ、そして真ん中へキラーパス。
オオオオオッレー!チャビ!

■コクー(8)
まるでPSV時代のコクーに戻った感じ。相手ボールを奪うというダークな仕事の合間にチョイと前へ。チームのリズムをはかるカピタンとして十分な活躍をみせ、ついでにいただきゴールまで決めた。
オーレー!コク〜!

■モッタ(8)
中盤の選手と右ラテラルの選手の上がりを防ぐ貴重な仕事をした若者モッタ。ロッケンバックに二流のブラジル人選手とドイツ人選手の血しか流れていないのに比べ、彼には少なくてもブラジル選手の香りが伝わってくる。
オーレー!モッタ〜!

■オーベルマルス(7)
最初のコルドバとの勝負に負けてからというもの勝負することを忘れたオーベルマルス。この日の彼の仕事は2人のディフェンス選手を引き受けることに終始。足りなくなったディフェンス選手の隙間を誰か有効に活かして頂戴作戦。

■サビオラ(10)
ゴールというエサに飢えに飢えたコネッホが戻ってきた。彼の1点目をゴラッソといわずして何という。今シーズンだけではなく彼がバルサの選手となってからの最高の試合。
オオオオオッレー!オオオオオッレー!コネッホ〜!

■クルイベル(8)
“ゴールに生きる男”クルービーにやっとゴールが訪れた。もちろん彼が決めたゴールは簡単なものではなかった。簡単なゴールチャンスなんか彼にはいらないし入りもしない。男クルービーは難しいゴールを決めることに生き甲斐を感じる選手。もっともっと難しいセンターリングをよこせー!
オオオオオッレー!クルービー!