3月3日

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LIGA 第24
3月2日 17:00
SADAR
OSASUNA
vs
FC BARCELONA

 

2 - 2


1ポイント、たった1ポイント

多くの負傷者や病人を抱えながらもいっさいの言い訳は許されぬと試合前に語っていたアンティック。しかも相手はサダール・スタディアムでのオサスナという、歴史的に見ても非常に難しいところでの試合だ。ミランでおこなわれたインテル戦と同じように、バルサの選手たちは“労働着”に着替え90分の戦いに挑む。2回にわたって3ポイントを手にしたかに見えたバルサ、だが試合終了の笛が鳴ったときに獲得したポイントはわずか1ポイント、たった1ポイントだった。

アンティックは自らを“幸運の男”と呼ぶ。確かに彼がバルサの監督に就任してからその“幸運”さが実証されてきていた。試合結果や多くの選手の変化を見るまでもなく、ルイス・エンリケやアンデルソンなどの長い間のリハビリ生活を送っていた選手が戻ってきたことからも、その“幸運”さが感じられることになる。だがこの1週間に起きたことは彼の“幸運”さを一時的に抹消させたのか、あるいはすべてのものに永遠さがないことを証明したかのようだ。プジョー、コクーは何週間にもわたってリハビリ生活に入らなければならない。大事な試合を前にしてクルイベル、アンデルソン、ガブリはインフルエンザに倒れ飛行機にも乗れる状態とはならなかった。そして昨日の試合で再び二人の選手が試合中に倒れることになる。ダニは靱帯に傷がつき5週間の安静、ボナノは試合中に何が起きたかさえ覚えていない。

だが少し物事を楽観的に見る必要性もあるかも知れない。1ポイント、たった1ポイントの獲得という事実は同時にアンティックバルサは依然として敗北を知らないということも意味する。これまでホームで3試合、アウエーで3試合、合計6試合の公式試合を指揮してきたアンティックは3勝3分けの成績を残している。決して悪い数字ではない。そして数字以上に大事なもの、それはすべての選手のメンタル面を変えたことだ。バンガールバルサが抱えていた“敗北者”の精神から“勝利者”の精神を持った選手たちへと。

2ポイントを失った試合とはいえ、バンガールバルサであれば1ポイントも獲得できなかった試合ではあった。78分に同点とされたバルサだが、昨日のバルサはそれでも勝利に対する信念を見せる。“敗北者”精神を捨てた11人のバルサ選手は、諦めるということを知らずにひたすら勝利を目指して戦う。それがルイス・エンリケの勝ち越しゴールとなってあらわれたのが89分。そしてその後、オーベルマルスが決定的なチャンスを決めていれば1−3という結果となってのバルサ大勝利となるはずだった。だが、そこはそれ、フットボールはフットボールだ。審判の笛が吹かれるまでは何がおきても不思議ではないフットボールの世界。ロスタイムに同点とされるバルサとなる。

■アンティックバルサに変化はなし
多くのスタメン常連選手が出場できない試合ではあったものの、アンティックはシステムそのものを変えることなしにオサスナ戦を準備した。もちろんいくつかの“発明”は必要な試合となる。それも半分近くの選手のポジション移動が必要なほどの“発明”が必要な試合となった。ダニ、リケルメ、オレゲールという通常は控え選手である彼らがスタメン出場としてグランドに姿をあらわす。そしてレイジゲル、メンディエタ、モッタの各選手は出場できない選手たちの穴を埋めるために普段とは違うポジションを務めることとなった。

カディスとの親善試合で右ラテラルでの仕事をほぼ完璧にこなしたオレゲールはこの試合にも同じポジションに起用される。そしてプジョーの穴を埋めるのは右ラテラルを本業とするレイジゲル。モッタはコクーと変身しての登場だ。これまでモッタあるいはメンディエタによって占められていた左インテリオールにはリケルメが入る。体調が完璧でないと自己申告したオーベルマルスの位置にはメンディエタが入った。考えつく限りの有効性を信じて新たな選手配置をしなければならなかったアンティック、勝利こそ逃したものの後悔はいっさいない。
「我々の抱えている状況が決して良いものでなかったにも関わらず、すべての選手がそれぞれの持ち味をいかしてよくやってくれたと思っている。結果にはもちろん満足していない。もう少しで勝利することができた試合を引き分けてしまったのだから悔しいの一言だ。サビオラを代えたのはリードしたことにより大きなスペースができるだろうからオーベルマルスのスピードに期待した。だがいずれにしても勝利の3ポイントは獲得することができなかった。今はもう来週末の試合に準備をしなければ。今度の試合には多くの選手が戻ってくることが期待できると思う。」

■カピタン・ルイス・エンリケ
前半に靱帯を痛めるという負傷をしたダニに代わって登場したルイス・エンリケ。決して良い出来ではなかったバルサの前半の動きだが、それでも彼の登場により闘争心あふれるバルサへと変化を見せることに成功。後半には久しぶりのゴールを決めたカピタンだ。
「あのゴールは嬉しかったい。実に久しぶりのゴールということと、チームの勝利につながるゴールだったかんね。でも結果的にはそうならなかったんだけど、まあしょうがないっち。引き分けというのは悔しいけれど、でも我々にとって決して後退とは意味しない。ここはもともと難しいスタディアムだかんね。」

■目を覚ませリケルメ!
アンティックはリケルメについて聞かれ次のように答えている。
「意欲的なプレーをしてくれたと思っている。前半はいくつかのミスが見られたが、スペースが広がった後半にはいい仕事をしてくれた。」
この“社交辞令”的なリケルメに対する評価は的を得ていないし真実でもない。どこに意欲的なプレーが存在したのだろうか。非常にイレギュラーで動きの悪い前半のリケルメではなかったか。少なくても我々が期待するリケルメではなかった。それでも久しぶりに90分にわたってプレーし続けた彼は、時々良いプレーを見せる場面もあった。
「久しぶりに1試合すべてプレーできたことが嬉しい。でも同時に非常にガッカリもしている。勝利の3ポイントがすぐそこまであったのに引き分けという結果になって本当に残念。いま我々がしなければならないことは、少しでも早い時間に疲れをとって来週末の試合に備えることさ。」

■エンケ、リーグ戦デビュー
ボナノの思わぬ負傷により、ロベルト・エンケがリーグ戦に初出場を果たすことになった。これまでチャンピオンズの試合には2回、国王杯には1回それぞれ出場チャンスを得ていたエンケだがリーグ戦では1回もプレーチャンスが訪れなかった。決してラッキーなデビューとは言い難い試合となったものの、バルサの失点を彼の責任にするのは可哀想というものだ。
明後日おこなわれるロルカというチームとの親善試合には出場する可能性はあるものの、週末のリーグの試合には彼のスタメン出場はあり得ないだろう。負傷に倒れたボナノだが週末の試合には出場可能となっている。