3月4

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選手たちが戻ってきた!

パンプローナでの悔しい引き分けの翌日、バルサはいつも通りの練習に励んでいた。練習場には多くの選手が戻ってきている。ボナノ、アンデルソン、クルイベル、ガブリ、そしておまけにクリスタンバール。手術を回避したプジョーは明後日からランニングを始めることになりそうだ。バルサードクターの発表によればプジョーは20日間程度のリハビリで復帰が可能となる。

試合翌日の練習だから当然ながら軽い練習メニューのもとにおこなわれる。筋肉の疲労をとるのが出場した選手たちの目的であり、試合に出場するチャンスのなかった選手たちにはいつも通りの厳しい練習となる。スタメン出場した選手たちは“フット・テニス”をしながら筋肉の疲労をとること専念。リケルメやオーベルマルスなどが明るい表情でこの“フット・テニス”に参加している。だがこの練習に入る前、選手控え室ではアンティック政権となってから始めての怒鳴り声が聞かれた。それはリケルメとオーベルマルスに向かってのものだった。

オサスナ戦、これまでのアンティックの選手起用方を考えるとリケルメにはスタメンチャンスがなくてもおかしくない試合だった。左にメンディエタを配置し、右にロッケンバック、これがオサスナ戦までの彼のアイデアだったからだ。だがこの試合にはスタートからリケルメを起用している。アンティックにとってリケルメはいつかは立ち直らなければならない選手だ。バンガール時代には起用されるチャンスがほとんどなかったリケルメ。したがってリケルメの成功はアンティックのの成功にもなることを意味する。多大な期待かけてスタメン起用したリケルメだが、アンティックにとっては満足できる活躍とは思えなかった。それがこの日の怒鳴り声の一つとなってリケルメにとんだ。

サビオラとオーベルマルスの交代については、メディアからアンティックに対し初めての疑問が浮かび上がっている。なぜ、サビオラを代えたのか、それはアンティックの説明を聞いても納得しない多くのメディア。もし、オーベルマルスが試合終了間際にゴールを決めていればそんな疑問は起きていなかっただろう。それだから、そう、それだからと言って、アンティックはオーベルマルスに怒りを感じているわけではない。ゴールは運が良ければ入るし、悪ければ入らない。しかもアンティックにとってオーベルマルスはデランテロとは認識されていない選手だ。したがってゴールを外したことを問題にしているわけではない。問題はその後だ。ゴールポストに跳ね返ったボールを追いかけるオーベルマルス。後ろにはキーパーがついてきている。ゴールチャンスはまだ続いているというシーンだった。だが彼は何を思ったのか、ボールをゴールラインに蹴り飛ばしてしまう。まるでゴールを外した怒りをボールにぶつけるように。これは誰もが理解できないことだった。それを見ていたカピタンのデ・ボエルが凄い表情をしてオーベルマルスに怒鳴り散らしていたのはテレビでも写っていた。アンティックはそのことをオーベルマルスに追及したのだ。

だがこれらのことはすべて選手控え室での出来事。控え室で起きた内部的なことは彼ら自身の中で処理するのがプロの世界。練習場にあらわれた彼らの表情は普段と同じもの、あるいはそれ以上に明るいものがあった。多くの選手が練習に参加してきていた。アンデルソン、ガブリ、クルイベルのインフルエンザ組は何の問題もなく練習に参加、クリスタンバールも長い負傷から戻ってきている。彼にはすでにドクター許可もおりている。ボナノも右目上に傷を作りながらも走り込みの練習をしていた。プジョーはさすがに練習に参加していないが、彼もまた明後日から走り込みを始める予定だという。そしてジェラールは来週、あるいは遅くても再来週からいよいよ練習に参加してくる。


そして、カピタンも戻ってきた!

カピタンが戻ってきた。果てしなく長く暗いトンネルを通り抜けて我らがカピタンがついに戻ってきた。いや、我らがカピタン・ルイス・エンリケはバルサにとってカピタン以上の存在と言っていいだろう。彼の現場復帰が少なからずバルサの反撃のきっかけとなっているとも言えるからだ。出場可能時間が徐々に増え、リズムの回復をはかる我らがカピタン。

ベテラン選手のやることは憎い。オサスナ戦で負傷したダニの代わりに出場を待つルイス・エンリケに対し、第四審判が首にかかっているネックレスを外すように注意。我らがカピタンはおとなしく指図に従う。だが彼がしたこと、それはコーチに渡す振りをしてそ〜とパンツの中に隠したのだ。グランドに向かって走っていくルイス・エンリケはさっそくパンツの中からネックレスを取りだし首にかける。それは彼にとって大事なネックレス、プジョーが持っているものと同じ“お守り”付きのネックレスだ。デ・ラ・ペーニャがプジョーと彼にプレゼントした“お守り”付きのネックレス。

お守りを再び首にかけたルイス・エンリケは、この試合でも一時的ではありながら“守護神”として登場した。リケルメからの絶妙のパスを受けてバルサ2点目となるゴールを決めた。このゴールが勝利につながらなかったとは言え、バルサに再び“守護神”が戻ってきた前兆であった。

彼の存在の重要さはこれまでの数字が明確にあらわしている。これまで彼が出場した試合の中で78%の割合で何らかのポイントを獲得しているバルサだ。つまり4試合戦った中で1試合しか敗北しないという計算になる。ルイス・エンリケ自ら決めるゴールの重要さはもちろん、それと同じように、あるいはそれ以上に、彼の“闘争心”と“魂”が周りの選手に浸透していくことが彼の存在を大きくしている。それがルイス・エンリケ、我らがカピタン・ルイス・エンリケだ。