3月29日

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ユーベ・バルサ(残り11日)

ユベントスのホームグランドであるデレ・アルピの収容人員は6万8千人。これまでトリノ市役所の持ち物だったこのスタディアムを、ユベントスは来シーズンから自分たち専用スタディアムとする。これまでのトリノ市役所との長い交渉が実り、ほんのわずかな資金でクラブのものとしたユベントス。彼らは今シーズン終了後にさっそく改修工事にかかることになる。これまで多くのシーズンでの平均収容観客数が2万人ちょっと、したがってこれほど大きい入れ物は必要ない。来シーズンからデレ・アルピは3万5千人程度の収容人員のスタディアムとなって生まれ変わる。

ユベントスは不思議なクラブだ。地元トリノではFC.トリノの人気に負けるものの、イタリア全国で見てみると1200万人のファンを持つと言われている。地元での人気の少なさは当然ながらデレ・アルピでの観客数の少なさという現象を生み出す。今シーズンに限らず、これまで多くのシーズンでデレ・アルピでの平均観客数は2万2千人となっている。収容人員7万弱のスタディアムに2万強のユベンティーノ。あまりにも寂しすぎる風景だ。したがって何の問題もないかと思われたスタディアム改修工事だが、地元ファンはともかく、イタリア各地からの反対の声があがり始めている。

それは簡単な理由だ。ビッグチームと対戦するビッグな試合ではイタリア各地に点在するユベンティーノがトリノに駆けつけてくるからだ。例えば今回のバルサ戦ともなればイタリア各地から多くのファンが集まってきてデレ・アルピではほぼ満員状態となるだろう。それがもし3万5千人程度の収容人員となったら・・・・、彼らの多くは試合観戦できないことになる。

だがこの改修工事は最終決定とはなっていないものの、ほぼ既成事実としてクラブ首脳陣は考えているようだ。すでに改修工事の建築家の選択にかかっているし、具体的な改修プランもすでにできあがっている。その具体的な改修プランをこれから選定する建築家がいかに現実化してくいくか、それだけが問題だ。陸上トラックは除去され、観客席とグランドはより近い位置におかれることになる。そして観客席のあまったスペースを利用して、スタディアムに隣接したいくつかのホテル、集合シネマシアター、そしていくつかのレストランが作られることになる。ユベントスもようやくフットボールビジネスの世界に介入していくことになる。

2003年7月1日からのユベントスのスポンサーはナイキとなることはすでに決定している。何とこのナイキとの契約期間は12年間。1億6千万ユーロという驚くべきスポンサー料がこの12年間を通じて払われていく。もちろんユベントスがナイキに支払っていく部分も存在する。ユベントス関係のグッズの売り上げの10%、スタディアム内での商品の売り上げの50%がナイキの懐へと入っていく。ビジネス、ビジネス、ビジネスが入り込むユベントスと変身していく。

このナイキとの契約により、シーズン終了後ユベントスはアメリカへのツアーを義務づけられることになる。それはもう何年前からユニの提供スポンサーとしてやはりナイキと契約しているバルサも同じだ。今年の7月、バルサ、ユベントス、マンチェスターはアメリカでの試合で対戦することになる。ユベントスはチャンピオンズ準々決勝での敵討ちとしてこの親善試合を戦うことになる・・・ことを祈ろう。


アンティックの目的、
 それはチャンピオンズ

バルサの監督に就任して早くも2か月たったラドミール・アンティック。だがその短い期間であるにも関わらず、多くのバルセロニスタの心を掴むことに成功したようだ。いや、それはバルセロニスタだけではなく、クラブ首脳陣にとっても同じようだ。したがって来シーズンもバルサベンチに座るかどうか、それは来シーズンのクラブ首脳陣が多くの人々のアンティック継続という声を聞くかどうかにかかっている。そのアンティックは激動の4月を前にして、週末にはすべての選手に休養を与えている。そして彼も孫の待つマドリッドへと旅立つ。

非常に楽しそうに見えますが。

今日の練習を見た?予定練習時間よりも5分早く練習が始められたんだ。これは凄いことだと思う。彼らは義務を果たすために練習に来ているのではなくて、練習を楽しもうとしてやって来ている。それはどんな監督にとっても嬉しいことだし、希望が持てることだ。だから私は今後のことを非常に楽観的に見ることができる。この世界にはもう長いこといるけれど、そうそうあることではないよ、練習を予定時間より早めに開始できることなんか。

アンティックバルサと呼んでかまわないでしょうか?

少なくても自分のチームだという認識はある。我々はどこのチームのコピーではなく、我々独自のチームだ。したがって自分のチームであり、それをアンティックバルサと呼ぶのもいいだろう。インテリジェンスにあふれたフットボール、一人一人の選手の持つ良さを最大限に活かしてのフットボール、監督と選手のアイデアが一つとなってのフットボール、それを目指そうとしてきてそれが実現されている。したがって私は楽観的になるし、将来的にも明るい材料が揃っていると信じている。

しかしながらリーグ戦での戦いではすべてが肯定的な結果には終わっていませんが?

一つのミスから選手は多くのことを学んでいくし、そして同時にそのミスに対する“怒り”が生まれてくる。そのことを前提として先のことを考えていかなければならない。引き分けで終わった後の選手控え室ではすべての選手が怒り狂っていた。自分たちのミスや不運に対して怒り狂っていた。その風景を前にして監督は何も彼らには言えない。次の試合でそのことから学んでいくのがプロだからね。しかも彼らはバルサの選手だ。誰もがプレーできるクラブではない。彼らはエリート中のエリート。例えば今日の練習でのオーベルマルスのやる気を見たかい?よほど代表に選ばれなかったことが悔しかったんだろう。普段以上の迫力で練習をしていたよね。私としては彼が代表に選ばれなくてラッキーと思っているけれど。

バンガール時代に落ち込んでいた選手がなぜこれほど回復してきているのか。あなたと選手たちの長い時間をかけての会話の結果だと言う多くの人々がいますが。

それは誤解というものだ。私と選手たちとのもっとも長い会話時間はこれまで10分程度のものだろう。それ以上は必要ないと思っている。いいかい、私が抱えている選手たちはバルサというクラブに所属する選手たちなんだ。繰り返すことになるが、誰もが望んでなれることではない状況にいるエリート選手なんだ。彼らがこれまでの経験で得た“知っている”ことを“自信”を持ってグランドの中で示せば、それだけでじゅうぶんなんだ。何の特別な発明はいらない。彼らが気分良く、自分の知っていることを、チーム内の約束事をしっかり守りながらプレーすれば良いんだけの話だ。

チャンピオンズで優勝できると思いますか?

チャンピオンズに優勝できるとは言えない。そんなことを約束できる監督は一人もいないだろう。約束できる唯一のこと、それはその目的に向かって全力をあげること。それだけだ。しかも我々は少なくてもこの大会では最高の成績をあげているチームであることを忘れてはいけない。モチベーションという意味では我々を越えるクラブは存在しないだろう。