4月17

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一発かましてみよう明後日!

クラシコの戦いの持つ意味を誰よりも知っているのは、もちろんカンテラ上がりの選手であることは間違いない。下は10歳前後の少年たちによって構成されるベンジャミンカテゴリーから、そして頂上としての一部チームでのクラシコを経験し、そのライバル性の何たるかを知ることになるカンテラ選手たち。カルラス・プジョー、彼もまたそのようなバルサカンテラ上がりの選手の一人だ。

マドリ・バルサ、あるいはバルサ・マドリのクラシコの戦い。プジョー少年にとってそれはバルセロニスタの一人としてテレビ観戦するだけでもこの世に存在する最高の試合であり、ましてバルサのユニフォームを着て試合に出ることなどは“夢のまた夢の世界”のことだった。だがその手が届かないと思われた“夢のまた夢の世界”を現実としてからすでに何年か経過している。カンプノウでもベルナベウでもすでに何試合か経験しているカルラス・プジョー。それでも今なお、クラシコの戦いは決してどこでにもあるありふれた試合ではないし、あくまでも特別な、それも超特別な試合だ。

クラシコ、それはバルセロニスタにとって、そしてカンテラ選手にとって、リーグでの順位などとはまったく関係ないものだ。もちろん対決時の調子の良し悪しも関係ない試合となる。シーズンの対戦スケジュールが発表になるとき、多くの選手がまず注目するのはいつマドリ戦がおこなわれるかということ。それはリーグでの戦いでありながら、独立した一つの戦いでもある。だから今のバルサの状況がどんなに悪いものであれ、少なくてもカルラス・プジョーにとって、そして多くの選手にとって明後日の試合は独立した試合だ。

つい先日25歳の誕生日を迎えた若きベテラン選手カルラス・プジョー。ビジャレアル戦やコルーニャ戦での敗北でリーグの試合における選手たちのモチベーションの欠如が言われる中、彼は次のようにクラシコの試合に関して語る。
「これまでの試合でモチベーションが欠けていたというのは個人的には納得できない。でも明後日のマドリ戦に関して言えば、モチベーションが欠けていると思ったらマドリッド行きの飛行機に乗る必要もないだろう。この試合が特別な試合だと感じないような選手がいたら、それはもうバルサの選手じゃあないよ。」

多くのバルセロニスタが感じていることに敏感なプジョーだ。それは彼もまた子供の頃からバルセロニスタであり、バルサの選手にして誰よりもバルセロニスタと自覚している彼にとって当然のことでもある。ここ何年か明るいニュースが続かないバルサの現状を悔しい思いで見つめているバルセロニスタ。この試合で、そう、このクラシコで彼らに少しでも明るいニュースを提供したいと願う。
「ベルナベウでの試合とはいえ、この試合は願ってもないチャンスじゃないかと思う。バルセロニスタに大きな喜びを提供する絶好のチャンスだと思うんだ。自分にとっても、もちろん多くのバルセロニスタにとっても、この試合はそんじょそこらに転がっている試合じゃあない。だからもし勝つことができれば、それは単なる3ポイントを意味するだけのもんじゃない。」


<昨日の練習風景>


サビオラの欠場が決定

わずか20分、それだけの時間で規律委員会はサビオラの1試合出場停止処分を認め、バルサ側が提出していた“異議申し立て”を却下した。バルサが規律委員会へ提訴書類を提出したのが昨日の午後6時、そして彼らが却下を発表したのが6時20分。通常2時間はかかる討議がわずか20分弱で終了を見た記録的な会議だった。

バルサ側が提出した書類は何十ページにもわたる控訴内容だ。しかもサビオラにイエローカードが示された瞬間のビデオや、同じようなプレーで制裁を受けなかった多くの例を示したビデオまで提出したバルサ。このビデオを見るだけでも1時間は必要となる。だがセマーナサンタで長期休暇が目の前に迫っている彼らにとってビデオなどを一々見ている心の余裕などなかったようだ。しかも書類を提出してきたクラブはバルサだ。フットボール連盟と揉め、してはならない一般法廷へと問題を持ち込むことを決断したバルサだ。彼らにとって20分でも長すぎる時間だったのだろう。

フットボールの世界は孤立し閉鎖された組織で成り立っている。UEFAやFIFAが毎年多くの問題をメディアに露呈されながらも、それでも組織拡大を年々はかっていけるように、スペインフットボール連盟も使途不明金問題や政府からの援助金差し止め措置を受けていても微動だしない。そして彼らの各クラブに示す各種の判断も不可思議さで満ちあふれている。

先日のAt.マドリ・エスパニョール戦で観客席から投げられたペットボトルがキーパーのトニーに直撃した事件は記憶に新しい。物がグランドに投げられる事態と、その物が実際に選手や審判にぶつかることでは当然ながら処分は違ったものとなる。だがこの“事件”に加えられた処分は600ユーロの罰金のみとなった。それは良しとしよう。だが一つの比較をしてみよう。やはり先日おこなったビジャレアル・バルサ戦を思い出してみよう。この試合後に審判によって書かれた“報告書”には次のような処分要請項目がある。

それはバルサ側の選手が試合開始時間より5分遅れて出てきたため、試合開始が遅れることになった、という報告がフットボール連盟になされている。実際にバルサの選手が遅れてきた時間は2分というものだったが、それも良しとしよう。だがこの報告をおこなった審判は何故バルサの選手が遅れて出てきたかということまでは報告書に記載していない。ビジャレアルの選手の中にカジェッハという選手がいる。2本目のペナルティーを決めた選手だ。彼のお母さんが試合直前に亡くなったことを試合前に知ったバルサの選手たちは、彼に対してお悔やみをいうためにビジャレアル側の選手控え室に全員で行っている。そのためにわずか2分だけ出場が遅れたバルサの選手たち。だがそのバルサに対してフットボール連盟が“遅刻罪”として要求した罰金、それは601ユーロというものだった。

“PER LA PAU”という平和メッセージや、カンプノウ閉鎖問題を一般法廷へ持ち込んで以来、フットボール連盟とバルサの関係はメチャメチャだ。今回のサビオラ事件にしてもじゅうぶん予測できることだった。バルサ側はカンプノウ閉鎖問題の際にもおこなったように、スペインスポーツ連盟への再審議をおこなう権利をまだ有しているものの、それはおこなわないことに決定した。サビオラのイエローカードが取り消される可能性が強いのにも関わらず、バルサはこの権利を放棄することに決定した。

なぜバルサはその権利を放棄したのか。それは二つある。一つはつい先日おこなわれたマドリ会長のフロレンティーノのインタビューで彼は次のように語りフットボール連盟にプレッシャーをかけていることを知っているからだ。
「これまでマドリ戦となると、必ずといっていいほどカード制裁で出場できなかった選手が取り消し要請をして認められて出場してきている。したがってサビオラも我々との試合に出場することになるだろう。」
実際はまったくの記憶違いかはったりに過ぎない。この2シーズンを通してマドリ戦を前にカードを取り消された例は2回に過ぎない。16人の選手がカード制裁取り消しを要求してそれが認められたのはわずか2回だ。

そしてもう一つ。バルサが問題あるクラブとして見られたくないということもあるだろう。すべての処分を控訴委員会に提出するクラブとして見られたくないという、外見的な部分の問題もあるからだろう。しかもサビオラがもしマドリ戦に出場できないことがハンディーとはなるとしても、考え方によっては大事なユベントス戦によりフレッシュは状態で出場できるという読みもあるかも知れない。いずれにしても、サビオラのクラシコ出場はこれで100%なくなった。