4月29

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明日のために・・・
とりあえずアンティック続投

8日後の5月5日には会長を辞任することが決定しているレイナ会長。その彼が“レイナ風辞任の仕方”とでも言うべき行動に出始めている。昨日の午後にとつぜん招集された記者会見で、彼は来シーズンにおけるアンティックの続投を発表した。つまりアンティックとの契約期間を1年間延ばし2004年6月30日までとしたのだ。だが現実的な発想をすれば、この延長契約はアンティックが来シーズンもバルサの指揮をとることを約束したこととはならない。なぜなら来シーズンの監督の選択は新会長選挙で選出された会長とその理事会の決断を待たなければならないからだ。

アンティックがバルサの監督に就任し初めてカンプノウの芝を踏んだ日、彼を取り囲んでいた多くの記者たちに次のように語っていたのを思い出す。
「私は100年ぐらいこのクラブにいる気でやって来た。」
100年が可能かどうかは別として、とりあえず契約的にはもう1年バルサに在籍しチームの指揮をとることが決定した。あと8日で契約が切れるレイナ会長と、やはり2か月後には契約が切れるアンティックの間で交わされた“延長契約”が昨日発表された。

わずか8日間たてば主役の座から下りることを義務づけられているレイナ会長。だが考えようによっては8日間も主役の座にいられることを意味する。常識的な発想としては来シーズンの監督は会長選挙で選出された人物が決定することであり、期限付き会長が決めることではない。だが、そこはそれ、何といってもレイナ会長だ。5月5日まではバルサというクラブの会長でいられる限り、可能な限りのニュースを提供し歴史に少しは残る会長として辞任したいと思うレイナ会長。彼が今の段階で決定するすべての事柄は、次に訪れてくる新会長が承認、あるいは否定する種類のものだ。“決定”であって決して“決定”とはならないレイナ会長の決断。

2月2日にアンティックはバルサの“今シーズン限りの監督”としてやって来た。とてつもなく悲惨な結果を残していたバンガールを更迭し、バルサを救うために彼にすべてを託したガスパー当時会長。首位に20ポイント(現在24ポイント差)、4位まで12ポイント(現在13ポイント差)、UEFA圏内までの6位に7ポイント(現在2ポイント差)、二部降格ラインまで2ポイント(現在7ポイント差)という状況の中でやって来たアンティック。その彼が契約上は“今シーズン限りの監督”ではなく、もう1年の延長を勝ち取った。レイジゲル、デ・ボエルなどを始めとする何人かの選手の肯定的なリアクションやチーム自体のイメージの変化、そして前監督と違いメディアとの問題がいっさいないことも彼のイメージを良くしている。
「私はバルサのことを誰よりも知っているという有利な立場にいるし、クラブを知らない他の監督が来ることよりも私が残ることの方が論理的だと思う。」

繰り返すことになるが、来シーズンの監督を最終的に決定するのは次の会長だ。だが契約的には来シーズンも監督として残ることが決まったアンティックは統合ディレクターのファルゲールと話し合いをもち、来シーズンに向けてのプランニングを開始するという。これまでの試合での選手起用に見られるように、彼が信頼する選手、信頼しない選手ははっきりしている。もし彼の一存で決めることができるならば、レイジゲルはそのまま、そしてデ・ボエルとコクーは残留となる。そして“最も重要な選手”として認識されているクルイベルはもちろん契約をまっとうすることになる。

一方、将来が暗い選手も当然ながら存在する。その代表的な選手がエンケ、クリスタンバール、ロッケンバック、ダニだ。今シーズンの残りの試合をすべてビクトルにかけると公言しているアンティックにとってエンケは必要ない選手。これまでほとんど出番のないクリスタンバールやロッケンバックにしても残留は難しい。
「24人の選手を厳選すること、そのためには現在我々が抱えている選手の内容と市場に現れてくるだろう補強選手との比較をきっちりとおこなわなければならない。我々はここ何年かおこなってきた獲得選手の誤りを繰り返すことは許されない。」


●ティアゴ・モッタ
多くのバルセロニスタが認めるモッタの活躍。一部チームの選手として定着した今シーズンだが、彼の契約条件はいまだにバルサBのものだ。クラブ側からは彼のもとにも代理人のもとにもまだなんの契約見直し案も届いていない。契約条件を認識しているいくつかのイタリアのクラブが彼の獲得を画策していてもおかしくない状況だ。
「そんなことはなんにも心配していないさ。ボクはバルサの選手で、これからもできる限りバルサでプレーしたいと思っている。時期がくれば、そして神様が望めば、年俸アップという状況はそのうちやって来るさ。それよりも今は多くのことを学んでいる状態。一試合一試合が自分にとっては勉強。浮ついた余計なことは考えないで、一生懸命やるだけさ。体調もバッチリだし、残りの試合に全力を傾けたいと思う。」

●ガブリ、セレクションへ
これまでスペイン・アンダー代表のすべてのカテゴリー代表選手としてプレーしてきたガブリ。だが唯一欠けていたのは“アンダー”をとったカテゴリーだった。そして突然のように彼にそのチャンスがまわってきた。昨日の定例の練習が終了し、車で帰宅した彼に電話が入った。エクアドール代表との親善試合に代表選手として緊急招集されたのだ。しかもチャビ、プジョーが負傷中の今、唯一のバルサの選手として代表にかけつけることになる。
「まるで夢を見ているようだ。いくつかの偶然によって呼ばれることになったのはわかっているけれど、それでも呼ばれたことには変わりがないからね。今シーズンはオレ達にとってこれまでないほど苦しいシーズンとなってしまったけれど、個人的には誰にも負けないように必死になってやって来たシーズンでもある。そのご褒美かも知れない。」

●バルセロニスタ・クルイベル
ソシエダ戦で一部のファンからブーイングを受けたクルイベルはすでのアムステルダムにいる。オランダ代表の試合に出場するためだ。これまで何回か地元であるカンプノウでのブーイングを経験してきたクルイベルだが、あの日のブーイングはさすがにこたえていたに違いない。そんな彼にイングランドやイタリアからのオファーの噂がおこり、しかもバルサとの契約問題もいろいろと複雑な状況にある。だがそれでも、彼の目的は一つ、バルサに残ること。
「いつかはイングランドでプレーしたいという俺の思いは誰もが知っていると思う。でもそれが可能となるのは、少なくてもバルサとの契約が終了してからの話しさ。俺の希望は一つ、バルサでタイトルを獲得すること。できる限りのタイトルを獲得することさ。そりゃあ確かに自分のチームのファンにブーイングされるのは辛いことさ。でも俺はいつかあのブーイングを大拍手に変えてやろうと思っている。ソシエダ戦でも俺にブーイングを浴びせていやがったヤツらはほんの少しだ。ゴール裏にいるボイショス・ノイスのヤツらはあの試合でも俺のことを応援してくれていた。
“ゴールを決めろ、ゴールを決めろ、パトリック!!!”
彼らは試合中そう叫んで俺を元気づけてくれていた。だからゴールを決めたあと、あのゴールを彼らに捧げるためにゴール裏に走っていったんだ。」