10月7日 火曜日

■1チャンネル(1.5MB)
シーズン25ゴールを誓ったクルイベルに、多くの批判があってもおかしくない。でもこの試合で彼にまともなゴールチャンスがやってきたのはわずか1回だけということは触れられていない。

■2チャンネル(1.0MB)
「ゴールを奪われてから我々は非常に良い試合展開をしたと思っている。ゴールチャンスがなかったかって?そんなことはないさ、我々はいくつかのゴールチャンスがありながらもそれをものにできなかっただけさ」
本当ですか?

■3チャンネル(1.1MB)
「これだけ多くのバルセロニスタがやってきてくれていまだに地元で勝利できないことを申し訳なく思う。試合途中で一部のファンからブーイングがあったのは当然、彼らはバルサが勝利するのを見に来ているんだから。」
疲れ切った表情のガッツ、彼を少しでも休ませてあげましょう、フラン・ライカー監督!

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夏の終わり

クラブの“根底からの変革”を誓い、革新的なイメージで新たに登場したラポルタ政権。多くのバルセロニスタに大きな希望を与えたあの夏はすでに終わりを迎えている。あの強い日射しはもうカンプノウには訪れない。もう10月、バレンシア戦は肌寒く感じられる季節の中でおこなわれ、そして体に感じる寒さ以上の“寒い”試合となった。冬のスポーツであるフットボールの本当の季節がやって来ようとしている今、バルサはすでに寒さに震えているようだ。

「バレンシア?相手チームに恐怖を覚えるなんてことはないさ。我々がいつも心配すること、それは我々のチームのことだけだ。この試合にチームがブロックとして活躍できるかどうか、それだけが気になることさ。」
バレンシア戦を控えた前日に記者団に語るフラン・ライカー監督。彼はこれまでプレッシャーなどを感じたことがないと言う。だが果たしてチームがブロックとして機能するかどうか、それだけが心配のタネだと語る。相手はスペインリーグの中でも最もチームブロックが強固なバレンシア。監督のベニテスは現ローマ監督のカペーロを師と仰ぐ。その彼が築き上げてきたバレンシアに果たしてバルサが勝利できるかどうか。楽観的なバルセロニスタは地元とでの試合だからして勝利すると信じ、悲観的・現実的なバルセロニスタはいまだにカンプノウでの勝利をかざっていないバルサを不利と見た。果たして、結果は後者の恐れる結果となったバレンシア戦だ。

バルサの試合展開はいつものやつだ。試合開始当初は何回かゴールチャンスを作りながらも、それ以降は相手のリズムに翻弄されてしまうバルサ。チキ・ベギリスタインやフラン・ライカーがシーズン開始当初語っていた“両翼に開いたバルサ”はこれまでお目にかかって来ていないようにこの試合でも登場しない。ボールを素速く処理しての早いパス回しをするかといえば、その逆にとてつもなく遅いリズムでボールがコロコロと転がっていく。縦の鋭い攻撃があるかと言えば、それはディフェンス陣の誰からかのクルイベルへの放り投げしか見られず、そこには中盤というものがまったく存在しないバルサ。そして敗因は何だったかと聞かれた監督が「ディフェンスの間抜けなポカがなければ得点は防げた」という、かつて同じオランダ人監督が語っていたような内容だ。そう、バルサはクラブ内の変革に着手し確実に変革を見せているが、肝心のチームそのものには変革は訪れていない。

昨シーズンはカンプノウで22ポイント失っている。最悪のシーズンと言われた昨シーズンに22ポイント地元で失っているバルサだが、今シーズンはすでに、まだ3試合しか経過していない段階で、早くも7ポイントも失っているのだ。それもグランドに現れている選手の顔ぶれを見てみると納得できる話かも知れない。なぜなら昨シーズンとほとんんど変わっていないメンバーなのだから。過去4年間にわたって何のタイトルも獲得できなかった同じメンバーが動きまわっているバルサだ。7人の“補強選手”を獲得したはずのバルサだが、彼らの出番は当分ない。サビオラは永遠の“将来”の選手として認識されはじめている。少なくても新たな監督が登場するたびに、彼は“将来”の選手として評価されてしまう傾向があるようだ。

ラポルタ政権による新たなプロジェクト、大いなる期待を抱かせたラポルタプロジェクト、だがこれまでのところ、そう、夏が通り過ぎ早すぎる冬が訪れようとしている今となっても、そのプロジェクトは顔を見せないし姿も見せない。スペクタクルどころか、肝心のゴールはおろかゴールチャンスさえ訪れないフットボール、それが今のバルサの現状だ。忍耐、忍耐、ひたすら忍耐をバルセロニスタに要求してきたラポルタプロジェクト、だがその忍耐にも限度があることを知るときが来るだろう。せめて我が家では楽しい試合を観戦したいと願うバルセロニスタ、この2試合でノーゴールという悲惨な現実を見せられながらも、それでも忍耐を強いられているバルセロニスタ。この試合の後半に控えめながらも登場したブーイングが、バルセロニスタの堪忍袋の尾が切れようとしていることを示している。今年の冬は例年以上の寒さがやって来ないことだけを願うしかない。