ラポルタ・クライフお笑いコンビ
ラポルタ会長は語る。
「フラン・ライカーが偉大な監督であるという考えに誤りはないと信じている。彼はバルサにとって理想的な監督であり、来シーズンも彼が監督を務めることになるだろう。もちろん来シーズンのプランニングは彼を中心としておこなっていきたい。」
わずか2週間前には“非常事態”の場合のことを考慮に入れて監督探しをしていたラポルタのこの発言は「今日、金曜日の段階では」と、付け加えるべきだった。今週末から始まる“4試合の決勝戦”がどのような結果に終わるか、もし非常に否定的な結果となれば、この発言も過去のものとなりかねないからだ。
ラポルタがこの発言をメディアを前にしておこなった金曜日、やはりヨハン・クライフも“彼のバルサ”について語っている。
「フラン・ライカーはバルサにとって理想的な監督であり、これまで非常によくやってきていると思っている。誰もが望むような理想的な結果がでていないことで彼を責めることはナンセンスだ。なぜなら今シーズンの新加入選手に関して彼はまったくタッチしておらず、任されたメンバーでやりくりしてきたのだ。」
だが待て。その体制は彼の“助言”のままに動いているラポルタ会長が作り上げたものであり、その会長が任命したクライフの手先として動いているチキ・ベギリスタインが実行者として新たな補強選手を獲得してきたのではなかったか。スポーツ・ディレクターというボスを監督の上に置くシステムを作ったのはクライフ・ラポルタコンビではなかったのか。
そして来シーズンに関しても触れるクライフ。
「個人的には今の選手を基本としてのチーム作りをおこなっていくのがいいと思う。多くの放出・獲得選手の名前がメディアで発表されているが、今のバルサベンチの雰囲気は非常に良いものとなっている。良い選手ばかりでチーム構成をしながらもベンチの雰囲気が悪いことよりも、どんな選手で構成されていようとベンチの雰囲気が良いことの方が、時として成績が良くなることがある。そういう意味で語るなら将来のバルサは非常に楽観的に考えることができると思う。もっとも、バルサという憧れのクラブでプレーすることに慣れてしまって少しダレてしまっている選手がいることはいると思うけどね。」
思い出してみよう。ラポルタが会長となる以前、つまりヌニェス、ガスパー体制の時代のことを。当時のクライフが何を語り、何を批判したのか。それはあまりにも“どうでもいい選手”によって構成されているチームに対する批判ではなかったが。まだマルカ紙にコラムを毎週連載していた頃に、常にマドリのチームと比較したながらバルサを批判していたのは誰だったか。わずか半年にしてこれほど180°違うアイデアを語ることが可能な人物、それは彼をおいて他にいない。
口直しに、三大テノール歌手にして生涯バルセロニスタを自認するジョセップ・カレーラスの発言を載せておこう。フットボールの世界とは何の関係も持たない彼の言葉にバルセロニスタの心が我々に伝わってくる。
「バルサというクラブ、これだけの伝統ある歴史を持つバルサというクラブが、年間予算2億ユーロという莫大な予算が可能となるバルサという我々のクラブが、今シーズンの目標が4位以内というのは50年のソシオ経験において初めてのことであり、とてつもなく嘆かわしいことだ。私はバルサのフットボールを長い間見てきているが、技術的なことはシロウトだと認めよう。だが一人のソシオとして現クラブの持つフィロソフィーを批判することは可能だと信じている。我々は20年ぶりにカンプノウでの試合でクラシコに敗戦するという現象に遭遇した。それにも関わらず、クラブ関係者はバルサの監督を偉大な監督だという。もし、この発言が10年、あるいは20年前におこなわれていたら、おそらくカンプノウはソシオの手によって放火されていただろう。いや、少なくても私一人でもカンプノウに火をつけていたと思う」
ブラボー、カレーラス!
|