5月4日 火曜日

■1チャンネル(1.6MB)
チームが一つにまとまったとき、ワンタッチボールが走り回るとき、ゴールを決めるのはゴレアドールとは限らない。ジオのリーガ初ゴールはバルサらしいプレーで生まれた。

■2チャンネル(1.4MB)
才能ある選手たちがそれぞれの才能を発揮したとき、彼らだけの力でゴールが生まれる。

■3チャンネル(0.9MB)
見たくないシーン。アニモ、クアレスマ!
バルサドクターは早期回復をはかるために手術をすすめているが、最終的な結論をだすのは患者さん。その患者さんは家族と相談してから2日以内に結論をだすと語っている。

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おチビちゃんたちの秘密

フラン・ライカーがその“怪しげな日記”に何を書き連ねようと、彼には決して否定できない事実がある。シーズンが開始されて間もなくどこからともなく登場した一つの噂、それは身長の低い選手を好まない、そういう噂だった。したがってサビオラよりもパトリック、チャビよりもジェラール、もちろんイニエスタなどはバルサのメディアクラック・ガウ〜チョの影となった存在でしか過ぎないからして、彼らの活躍場所は非常に限られたものになるだろう、そういう見通しが語られたものだ。

冬のマーケットで獲得したダビッツはバルサに色々な効果を発揮してくれた。強固さをさらに増すすることになるディフェンス陣、チャビやロナルディーニョがディフェンス面の心配をすることなく攻撃態勢に入れるようになったこと、そしてフラン・ライカーにとっては、そう、ダビッツのように決して身長に恵まれていない選手でも“やれるじゃないか!”という発見の効果。本当かな?

いずれにしても、ダービー戦ではチャビ、サビオラ、イニエスタという身長に恵まれない選手たちがスタメンで出場することになった。多くのメディアが予想したクアレスマはベンチ、そしてオーベルマルスはベンチにさえ入れず観客席からの観戦を余儀なくさせられていた。そして右ラインの白いペンキにくっつくように位置していたのはイニエスタ。フラン・ライカーが要求したこと、それは“オーベルのようにスピードをもって相手ディフェンスを抜き去り、クアレスマのように滅茶苦茶なドリブルで相手を攪乱させること”だった。それはまるで、かつてクライフがロナルド・クーマンを右インテリオールの位置で起用し“スキを見て右エストレーモの位置に入り、同時にバケーロとポジショニングチェンジを繰り返すように”という要請と同じように、その選手の持つキャラクターを無視したものだった。だが、それでも、クーマンがそうであったように、イニエスタもまた誰にも負けない活躍をすることになる。

試合が開始されて30分、イニエスタの存在に気がつく人々はそれほどいなかったかも知れない。気がついた人がいたとしたら、彼の華麗なプレーを見たからではなく、白いラインにくっついているやけに色白の選手だったからだろう。
「エストレーモの位置でプレーするのは初めてだったけれど、それほど苦労せずとけ込むことができた。」
そう語るイニエスタだが、実際は自分のポジションを発見できない前半の30分だったに違いない。だが彼がライン際にいることに最初に気がついたのは、やはり身長に恵まれないチャビとサビオラだった。
「あれっ?あそこにいるのはイニエスタじゃないかい?」
そう言ったかどうか、とにかく混み合っているセントラル付近を突破しようとする縦の攻撃から、ようやく仲間に見つけられたライン付近にいるイニエスタへボールが走るようになる。チャビからイニエスタへ、イニエスタからサビオラへ、サビオラから再びチャビへ、ボールはチビちゃんたちの足下を走り回ることになる。もちろんギャラクシー・ガウ〜チョがフィエスタの音頭をとることになる。バルサの攻撃の開始の狼煙が上がった。

かつてクライフが語ったことをフラン・ライカーも同じように語ることになる。
「才能ある選手は得意とするポジションがどこであろうと共存することが可能だ。」
オーベルのようなスピードがなく、クアレスマのようなドリブル技術をもつわけでもないイニエスタ、その彼がエストレーモの真似事に成功したのは、彼には才能があったからだ。チャビに負けないぐらいの“全体を見渡せる視覚”とオーベルやクアレスマにはない“センターリングの正確”さ、多くの才能をもつイニエスタのその代表的な才能のいくつかが彼のプレーに二重丸を付けることを可能とした。おチビちゃんたちの秘密、それは才能だ。