3月6日 日曜日

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ラポルタ、ディミッション!

こういう風景は決して嫌いじゃない。ヌニェスが会長をしていた時代にも、ガスパーが会長をしていた時代にも、何年かに一度はカンプノウでは見られた風景だ。多くの人々の怒りが自然発生的に一つのスローガンとなって責任者を追求するこの風景、なかなかスペクタクルであります。ただ、これまで何回も見てきた風景ではあるものの、パラウでこういう現象を見るのは初めての経験。ラポルタ政権となってからのバルサバスケ部門に対する“過小評価”に対し、バスケファンの欲求不満が爆発した。ユーロリーガ・トップ16でのレアル・マドリ戦前の出来事だ。
“ラポルタ、ディミッション!”
“ラポルタ、ディミッション!”
“ラポルタ、ディミッション!”

パラウのアボナード(年間指定席所有者)はこれまでバルサソシオである必要はなく、年間指定席料さえ支払えば誰でもなることができた。だが、ラポルタ政権は今シーズンからアボナードになるにはバルサソシオであることを義務づけた。家族連れが多いこれまでのアボナードには経済的に厳しい要求だ。
「カンプノウには行かないのになんでソシオにならないといけないのだ!」
そういう声がでたとしても不思議ではない。バルサのバスケ部門だけを追いかけているバルセロニスタだっているのだから。まず、シーズン初めにこういう経済的な負担について不満がでていた。そしてバルサに初のヨーロッパカップを獲得してくれたペシック監督の辞任。ラポルタ政権によって進められたバスケ部門の“改革”は、そのディレクターに元ハンドボール監督のバレロ・リベーラをおくことから始められた。ところがペシックとリベーラは以前からギクシャクした仲として知られており、補強選手獲得にも意見を出すようになったリベーラに嫌気がさしたペシックが辞任。そしてパラウでおこなわれたバスケの試合を観戦しに来たリベーラにほんの一部の人々からブーイングが起こったことを理由にリベーラも辞任。まず、シーズンのスタートからしてスッキリいかないバスケ部門だった。

不振状態の責任をとって監督のモンテスが辞任したのはつい先週のことだ。モンテス辞任と新監督発表の記者会見がラポルタとバスケ最高責任者であるバルトメウが同席しておこなわれた。この席でバルトメウはしてはいけないことをしてしまう。理事会内部批判だ。決して外に出してはいけない内部ゴタゴタ問題を記者会見という席で表沙汰にしてしまったバルトメウ。もっとも理事会の内部ゴタゴタ問題はこれまでのラポルタとルセーの確執問題としてすでに知られていたものだが、やはりそれを正式に認めることは許されない。バルトメウはこの記者会見の翌々日、バスケ最高責任者の位置からおろされることになる。

“フッボクル・バルセロナ”だからしてフットボールを第一優先にするのはこれまでの歴代会長もしてきたことだ。したがってクラブが抱える経済的観点からバスケ部門の年間予算を削ったことでラポルタを批判すのは可哀想。だがそれでも同じようにプロセクションであるバスケ、ハンドボール、ローラーホッケーなどを充実させていかなければならないのが総合クラブとしてのバルサの宿命でもある。バルトメウやラポルタが内部問題を内部で解決できなかったことや、限られた予算といえその中での選手補強作戦にも誤りがあっただろう。いずれにしてもラポルタだけが責められる問題ではないような気もするが、そこはそれ、彼はクラブの最高責任者。したがって彼に批判の的が行くのも仕方がない。批判の声を聞くのも会長の仕事の一つだ。そう言えば、それだけが仕事となったガスパー元会長は元気だろうか?

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