3月25日 金曜日

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マドリディスタ

ユベントス、ヘタッフェに連敗した後、フロレンティーノは記者会見を招集し弱々しくため息をつきながらもマドリディスタに檄を飛ばしている。
「すべてのマドリディスタにお願いしたい。例え各種のメディアが否定的なニュースを流そうと、そんなことにはいっさい惑わされず今こそマドリディスタの団結が必要だ。このような状況だからこそ、そう、このような悪しき状況だからこそマドリディスタの団結をお願いしたい。残り10試合に勝利すれば我々は優勝の可能性までじゅうぶん残しているのだから。」

その翌々日、とてもシロウトが作ったとは思えない立派な垂れ幕がマドリ練習場を囲んでいた。その垂れ幕はマラガとの試合当日1時間半前にはすでにベルナベウの観客席にかざられている。手書きの文字は一つもなく、そして玄人のデザインによるようなきれいな文字の垂れ幕がベルナベウ観客席に陣取る。
「マドリディスタよ、最後の最後までチームを応援しよう!」
「クラブ、選手、ファンの人々が一つになって叫ぼう!“アラ・マドリ!”」
「今こそ、選手とファンが一つの固い団結を!」
この気持ち悪くなるような垂れ幕を誰が用意したのか、それは説明する必要もない。そして試合開始15分前からはスクリーンにかつての“栄光あるレアル・マドリ”の各シーンが流される。

フロレンティーノ独裁政権が誇る宇宙戦艦レアル・マドリを応援するマドリディスタは、苦しいシーズンに悩まされること以外にも少なくても三つのことを我慢しなければならない。一つ、プロの手で作られた“自然発生的”な垂れ幕のスローガンに同意し、どんなにつまらない試合でも90分間一生懸命応援すること。二つ、試合前には見たくなくてもかつての栄光のシーンの数々に付き合う度量の深さをもつこと。そして三つ、深夜まで彼女と夜遊びし練習には遅刻、おまけにグランドでは走らない、しかもゴールまで決まらない、そんな選手にブーイングしたら水ボトルを投げられてビショビショになることも覚悟すること。
アラー・マドリ!

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